また来て三角   作:参号館

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ギリギリ生きてます。


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「オイ、

 

 

 

オマエガ白ゼツ殺シタセイデ、オレガサスケ達ヲ回収スル事ニナッタンダガ。

コッチニモ計画ガアル。余計ナ事ヲスルナ。」

 

 

 

「シャッ……シャァベッタァァァァァァ!!!」

 

 

 

「おい。」

 

「さーせん。」

 

 

 

 

時空のゆがみから、顔をのぞかせたのは黒ゼツであった。

サクヤの完全なるボケに、思わず突っ込んでしまった自称マダラだが、さらなるボケを阻止する為にも話を進める事にした。

 

「サスケはどうなった。」

 

「本体ハ マダラガ回収シテ 香燐ヲ使ッテ今回復サセテイルガ、全快ハ無理ソウダ。

マッタク……五影相手ニヨクヤル。」

 

未だ時間がかかりそうな現状に、先にサクヤの方を片づけるかと思案するマダラ。

指示を待つ黒ゼツは補足的に情報を付け足す。

 

「本体ハ今五影トオ話シ中。

コイツガ白ゼツヲ殺シタカラ時間ガカカッテイル。」

 

白ゼツを倒されたのが結構痛手だったのか妙に黒ゼツが突っかかる姿を見て、マダラは別の違和感を覚える。

 

確かにあの場で白ゼツを倒す意味は無かった。

強いて言うなら黒ゼツをサスケ回収に向かわせたせいで自身が分身をこちらに送る羽目になったが……とここまで考えて、マダラはある一つの答えに行き付いた。

 

 

もしかして俺たち、

ダンゾウ殺害の布石に使われてるぅーーー?!

 

自称マダラの長い沈黙に、黒ゼツはなんだと視線をおくる。

そして、やや時間をかけて口を開いたマダラはサクヤに声をかけた。

 

「おい、」

 

「へい?」

 

間抜けな返事を返すサクヤに、マダラは確信を突く言葉を告げた。

 

 

「お前、オレらを布石に使っただろ。」

 

 

その一言に、サクヤはにんまりと嗤った。

 

 

 

「成る程、うちはマダラを騙るだけはあるなぁ。」

 

 

 

 

布石と言う言葉に、ピンと来ていない黒ゼツは、マダラとサクヤを交互に見やったが、それ以後何もしゃべらずに考え出したマダラに、どういうことだと声をかける。

マダラはサクヤを剣呑に眺めながら言葉を吐いた。

 

「どうもこうもない。

五影会談前のダンゾウ襲撃も、会談中の白ゼツ襲撃も、襲撃時のこいつの言動も、俺がここに来た、全てが布石で、ダンゾウを殺すためだった。

そういうことだ。」

 

 

 

 

 

「序にサスケの疲弊も入れといてくれよ。」

 

飄々と嘯くサクヤにマダラは更に厳しい目を向けた。

 

 

―――

――

 

雷影は元気だった。

 

 

元気で片づけてよいものか怪しいが、とりあえず日本語的表現をするなら元気だった。

それはもう、とんでもなく、飛び切りに。

 

ドンの察知能力と情報整理の速さ、そして何よりそのあまりな規模に、年甲斐もなくはしゃぐぐらいに。

 

雷影の護衛兼側近として、遠路遥々侍の国に来たシーの面目は丸つぶれであった。

まあ幸いにもシーは、まったく微塵もこれっぽっちも露ほども気にしてはいなかったが、一応護衛として雷影に一言苦言は呈した。

 

「雷影様、その野干を信じるのはいいですけど、侍の国で八茶けるのだけはやめてくださいよ。」

 

 

しかしその元気すぎる雷影は、ワシは冷静だとのたまった上、上がるテンションをそのままに、ドンの案内の通りに進み。

ドンの案内通りにサスケ達、”鷹”に爆速で邂逅した。

 

 

雷影御一行の数人に見つかったサスケ達は、そのまま戦闘に移り、雷影の護衛(シーとダルイ)によってD社と水素水は撃沈させられ、サスケ一人で雷影と応戦する。

砂影が到着したり2,3悶着あり、一時はピンチに陥ったが、キレたサスケはあの冷たいチャクラによって形勢を逆転させ、雷影の片腕をもぎ―――

 

――問題はそこからだった。

何故なら、自分たち鷹ではこの雷影を止めることはできない。

明白な事実だ。

 

 

 

雷影が元気すぎた。

 

 

片腕をもいだはずなのに、なぜか後衛の砂影が雷影を砂漠葬送で止めるほどに雷影のテンションが爆上がりで

サスケを戦線離脱させるために水月と重吾と合わせて畳みかけた攻撃は、振り向きざまに砂漠葬送をぶち抜いて繰り出された雷影の雷虐水平千代舞により、相性的にも水月にクリーンヒットしていた。

 

水素水こと水月は思った

 

 

「(だれかこの元気すぎるジジイをどうにかしてくれ ‼ )」

 

 

今ここで2人の影を相手取るより、ここをスルーして先に進んでしまった方がはるかに合理的な判断だが、問題は

(なぜか)雷影の側近と風影によって抑えられている雷影が、素直にスルーさせてくれるかどうかだった。

 

「風影ぇ‼なぜ止める‼」

 

「「「あんたの腕がもげてるからだ(よ‼)」」」

 

誰が敵味方か分からなくなるほどに、雷影以外の心が一つになった瞬間だった。

しかし、思いのほか冷静だったサスケ(片腕もいで満足したともいう)は、その間に唯一見つかってない、いや

お目こぼしされていた香燐を二階で回収、香燐の索敵によって戦線を離脱

 

――と思いきや、ついには砂瀑葬送を自力で抜け出した二度目の雷影の襲撃により再度須佐能乎を組み立てる羽目になる。

 

「待たんかぁああああ‼」

 

「しつこいっ!」

 

「こちらには幸運の狐がいるんでな‼

どこまでも――」

 

「その幸運の狐はもういなさそうダガナ。」

 

 

そんなはずと雷影と側近が意識を外したその時、サスケと香燐は床に飲み込まれていった。

 

 

―――

――

時は少し戻り、五影会談が連続の乱入者により中断されたあと。

雷影と砂影が出ていき、侵入者の幻術のすきにより火影さえも消え、残るは水影と土影、そして侍の長の陣営。

 

 

 

その場には気まずい空気が漂っていた。

遠くから聞こえる鈍い音や、ドゴンという何かを破壊する音、爆発音を無視すればとても静かな空間だった。

あと雷影のでかい声もかすかだが聞こえてくるのを会議室内のものは感じていたが、とても、とてつもなく静かで冷えている。

侍たちは空気に徹し、土影の側近赤ツチと黒ツチはお前が行けよとばかりに水影の側近青と長十郎をにらみつけるまでである。

しかしそこにサクヤ、そして追求すべき火影が忽然と消えた会議室に、はっきりとした声が響いた。

 

 

 

「さて、――――」

 

 

水、岩、鉄の者たちが声の響いた方に顔を向けて、しかし慌てて目をそらした。

 

 

「―――どうしてやりましょうか?」

 

 

 

 

みずかげは おにのぎょうそう だった。

 

笑みをたたえた目元から額に向けて大きく浮き出た血管、弧を描いているはずの口端は僅かに痙攣し、怒りに握ったこぶしが行き場なく震えている。

今、彼女を刺激してはならない。

さすがのガヤ担当、岩影も理解した。

だが、このまま水影を放おっておくと、さらにヤバイくなることも重々承知している。

どうにかして、一旦頭を冷やす必要がある。

 

「土影様?

私は至って冷静ですよ、ええ、至って。

とても冷静ですもの。」

 

思わず言葉を漏らしてしまったかと、手を口元に持っていった土影だが、それが如実に言葉を肯定していることに、土影は気づいていない。

側近のものは『何やってんだこのジジイィィィィィイ!!』と心の中で心の限り罵倒するが土影に届くはずもなく、

ゆっくりと般若が振り返るのを見た土影たちは、ひゅっとした音と共に、息を呑むことしかできなかった。

 

「こんなに頭が冴えてるのは何年ぶりかしら。」

 

土影たちはサクヤが戻ってくる、または女性の相手に長けている忍びが来ることを祈ることしかできない。

しかし岩影達の祈りむなしく一人、女性経験の浅い若造(それも空気がとんでもなく読めない)が来てしまった。

 

サスケである。

 

 

 

 

爆発音のような音と共に壁が壊される。

瞬間、熱風と火遁の炎が空間に広がった。

気配を追って各々神経をとがらせる中

一人天井を見上げた水影はつぶやく。

 

「やっぱり、いい男ねうちはの一族って……あの2代目の忘れ形見とは違って。」

 

チャクラ吸着により、天井のちょうど真ん中に立つ。

険しい顔で会場を見渡すサスケを影達が視認した時、侍の長、ミフネが動いた。

チャクラ反発を使って己の間合いまで迫ったミフネは、その勢いのまま首を狙って横なぎに刀を振るうが、危なげなく防がれる。

一太刀で実力を悟ったミフネは、背後で臨戦態勢を整えた忍び達に場を譲る。

しかし香燐の方が早かった。

 

「サスケっ‼

ダンゾウはここにいない‼

火の国の方向だ‼」

 

ちゃんと扉から登場した香燐の言葉と同時にサスケが動くがしかし

壁に空いた大穴を背後の扉ごと、粘着質な液体がふさいだ。

 

踏み出した一歩は普通の一歩だった。

 

「ハァ、やっぱりもったいないわ…せっかくの男前なのに……」

 

ただ、その一歩のなんと恐ろしいことか。

 

 

「溶かしてしまうなんて。」

 

妖美な笑みを浮かべる姿はげに美しき。

視線はさすけを舐めるように下から上へ。

香燐は声を上げようとするが水影のほうが早かった。

 

「土影様? やはり捕まえて吐き出させた方が得ではなくて?」

 

急に話を振られた土影は冷静だった。

苦節七十云年、今は亡き妻との思い出が走馬灯のごとく脳裏によぎるぐらいには冷静だった。

その冷静さをもって

 

「……あの煩いのが黙っているかが問題じゃぜ。」

 

他人に責任を押し付けた。

それを聞いて水影は一応思案するが、答えはもうはじめから決まっている。

 

「そう、ならせめて

とろけるようなキスで、眠らせてあげるわ。」

 

妖美というべき笑みであり、不穏を感じる光があった。

香燐は思わずサスケの御尊顔を見て精神を安定させようとするが、もうその場には影もなかった。

 

―――

――

 

恐ろしく怒っていることは分かった。

さすがに人の機微に鈍感なサスケも怒気は分かる。

しかし、2代目の忘れ形見が誰を指すかはわからないし、何があったかも察せなかった。

そして最悪なことに誰に似たのかサスケは、()()()()()口が悪かった。

 

「邪魔するな。

あんたら老害に用はない。」

 

水影の後ろに稲妻がどんぴしゃりと落ちた。

 

 

 

「ろ…う……がい…」

 

 

 

岩影は文字通り頭を抱えた。

そして諦めた。

きっとうちはサスケは死体さえ残らず、自分は雷影にどやされることを。

 

 

 

両者あれよあれよという間に組みあがった印と共に術を繰り出す。

 

〈火遁・豪火滅却〉

 

通常より横に広がった火遁が、会議室へ更に赤い絨毯を広げる。

豪火滅却の高さを犠牲にした、部屋全体に早く、そして一歩の後退を迫る攻撃に、千々に乱れる影や侍、その側近たちだったが、ここは五影会談の会場である

 

〈土遁・土流壁〉

〈水遁・水陣壁〉

 

冷静な声が各所で上がり

水遁と火遁のぶつかりにより水蒸気が部屋一面を埋める中、

 

 

〈溶遁・溶怪の術‼〉

 

 

サスケの火遁を上に飛んで避けた水影は、すかさず炎を噴き出している恰好の的へ、術を繰り出した。

 

粘着質な液体がサスケに向かうが、サスケはそれを易々とさけ、千鳥を携えさらなる追撃をかける。

サスケの背後にいる()()()()()()

 

 

 

香燐は熱さと痛みと人が溶けるにおい、そして炎が広がる世界を背景に戦うサスケを目に入れた。

あまりの痛さに思わず呻きを上げるが、サスケはそれを気にした様子もない。

 

香燐は気づいていた。

もうサスケにとって自分の存在価値は、回復機構を残すのみということを。

 

そして、現在の戦闘を最後に、香燐達とサスケは仮面の男、マダラによって千々になることも。

 

 

だから、どうした。

 

回復機構がなんだ、赤毛が何だ、渦巻きが何だ、雑魚が何だ、弱くて何だ

私は私として惚れた人につきまとってんだ、

サスケがピンチなら助けたいし、サスケが死にそうなら生かしたいし、サスケがその道を進むなら私だって進むんだよっ!!

 

『生きてるな。』

 

近くに仮面の男の気配がする。

生死の確認か、つま先で脇腹をつつかれ香燐はうめき声を上げた。

 

ああ生きてるよ。

生きてサスケにつきまとうんだよ。

 

メガネが取れぼやける視界、サスケが廊下に飛び出た姿を最後に香燐の意識は暗闇に途切れた。

 

 

 

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