また来て三角   作:参号館

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聞いて驚け見て笑え

驚く事に私はあの九尾襲撃を乗り切った

 

そして、母を失った

 

母さんは逃げ遅れたのかなんなのか、家の下敷きになって死んでいた。

サザミと二人で瓦礫をどけて見つけた母は、私の部屋だった場所にいた。

「大方お前を探していたんだろう。馬鹿な事をしたな、俺も、お前も。」

サザミの煙草が目に染みる

 

 

 

九尾襲撃の日私はサザミと修行をしていた。

母さんはその日はアカデミーに用があるとかで家を出ていた

アカデミーにいるなら心配ないだろうと私は母さんを見送ってサザミと西の森へ向かった

終ったのは夜でこのまま里に帰って九尾襲撃を待つかと思っていたら襲撃が始まり

私はサザミによってシェルターへ運ばれ

サザミは母を探しに、里を守りに戦場へ帰った

 

ただ、待つしかできなかった

自分の無力が空しかった

のうのうと生きることになりそうな現実に憤りしか感じない

 

…もがきゃよかった

吐いて、もがいて、苦しんで、あがいて

母を助ければ良かった

私は馬鹿だ、大馬鹿者だ。

両手に抱えているものさえ守れなかった

 

「サザミ、私つよくなる。」

 

「…ああ」

 

「強くなるからね、さざみ」

 

「…ああ」

 

「だから、もう…」

 

「分かってる」

 

「いなくならないでね!!」

 

 

私は強くなる、そして、両手に抱えるものを守れるようになる

シェルターで膝を抱えて待つなんてできない

私はサザミを失わない。

サザミも私を失わない。

私達二人はお互いが弱点であり、強さになる。

 

 

 

私は写輪眼を開眼した。

最初から3巴だった

笑うしかなかった。

 

 

 

 

―――

――

 

 

時期が来たらしく、

サザミは無事だった家の蔵、まるまる結界で覆い

父の事、母の事、サザミの事、祖父の事すべてを話してくれた

 

伏線回収が早いぜとは思っても言わないのが吉

なんたってこれからの話がめちゃ長くなる

 

 

曰く

祖父、千手扉間の妻がうちはニヒトという人物なんだが

何故いがみ合ってる千手と、うちはが結婚する事となったのかはこの里の出来た頃の話から始まる訳だが、そう…有体にいうと

「同盟組んだし友好のしるしにお互いに誰か嫁がせない?」

という柱間の一言があり、物議をかもし

千手からは二番手扉間、うちはからはマダラの右腕(?)ニヒトがそれぞれ出され

政略結婚??したとこから話は始まるのだ

 

 

「え?まって。もしかして、この話、めちゃくちゃ長くない?」

 

「みなまで言うな、色々こじらせた先祖が悪いんだ。俺の先祖じゃねえけど…」

 

 

二人はまあ、いい所の地位にいるので引く手あまたかと思いきや扉間は里の事で忙しくそんなことに構ってられるほど暇じゃなく

ニヒトは先の戦争で体中に傷があり、嫁の貰い手に困っていた。

一瞬マダラの嫁にあがったがニヒト本人が降りたらしい

「私は戦場を歩いてきた、彼の嫁に足りえない」(意訳:戦場ばっかで炊事洗濯、何もできない人を当主の嫁にするのは流石にやばい)

 

とまあ、見事行き遅れた二人が結婚したんだが

子供も千手には柱間の子がいるし、特に望んではおらず

二人して、仕事尽くめの日々を送っていたそうな

 

そんな二人を見た、二人目が出来て嬉しくって仕方が無かった柱間は

「お主もいい加減童貞を捨てるべきぞ?」

と発破をかけ、仕事に追われ3徹目だった扉間はブチ切れ無断で1週間の休みを取り、火影室が書類でいっぱいになる頃、ニヒトがご懐妊した。

 

「…ツッコミは」

「無しの方向で頼む。俺もこれ聴かされた時は端折れと思ったが作間さん曰くここが醍醐味だそうだ…」

 

同一族共にお祝いに沸いたが、次はどちらの孫になるかで争ったそうだ

そんだけいがみ合ってて良く同盟を組めたなと思うがまあ、皆戦争で疲れていたのだろう。子供1人にこんだけ騒げるのはこんときだけだった

 

子供は3人

長男は『狭間』、次いで6年の時を挟んで生まれた二男は『隙間』最後に5年の月日離れて『作間』とそれぞれ名づけられた

長男次男はニヒトに似たうちは顔で

三男だけが扉間にそっくり、生き写しのようだと言われたそうだ。

 

母親ニヒトは3男作間を産んで、そう間をおかず亡くなってしまったらしい。

3兄弟はそれぞれ優秀だったが特に優秀と言われたのが二男の隙間

なんと、5歳で写輪眼を開眼した

 

「え?何それ?写輪眼舐めてんの?」

 

「まあ、母親の死をきっかけに開眼したそうだから、そうもなるだろう。」

 

「…」

 

で、その隙間は12の時亡くなった。

戦場で万華鏡写輪眼を開眼して、調子に乗って敵陣に突入したらぽっくり…

 

「…言い方どうにかならない?こう、もうちょっと…さぁ…」

「俺もそう思ったが作間さんがこうとしか説明してくれなかったんだよ」

 

で、隙間はその万華鏡写輪眼を兄の狭間に託しお亡くなりになり。

兄はそれを譲り受けその3年後、またも戦場で、父である扉間に万華鏡写輪眼渡して亡くなったそうだ。

 

そして、その写輪眼が紆余曲折あり今ここにある

 

 

そういわれ目の前に出された巻物はポンと音を立てピアスに変わった。

 

 

「私思うんだ。紆余曲折、かくかく云々の部分が一番大事って。」

 

「俺もそう思うが紆余曲折は俺からいえん。恨むなら『俺たちのなれ初めは俺たちから話したい』などと宣った父を恨め。」

 

大方、今まで蔵をあさって出てきた封印術の類はこれを封印するために試行錯誤した痕だったのだろう

 

「サザミは使わないの?写輪眼。」

 

「過ぎたる力は滅びをもたらす。俺には必要ない力だ。」

 

言い切るサザミの顔は険しい

 

「前まで作間さんが管理していたが、作間さんが亡くなってからは俺が管理していた。

流石に姉さんにこれを守り切れるほどの力はないからな。

この眼は珍しい。誰とは言わんが狙う輩は多い。

これはお前が一人前になるまで、出来れば俺が死ぬまで俺が持つこととなるだろう。

俺が死んだと同時に俺の体はピンの力で塵も無く燃える契約となっている。

そうなった場合、次の契約者はお前、サクヤだ。」

 

「7歳の姪に話す内容じゃないよそれ。」

 

「7歳でも、お前はお前だ。契約更新と同時に巻物を燃やしたっていい。俺はお前にこの目を届けるまでが仕事だ。」

 

なら、今くれたっていいじゃないか

確かテンの話では都合の悪い事を捻じ曲げる力がこの目にはあるんじゃないのか?

そしたら母だって父だって死んだことにはならないはずだ

 

「俺はこれをサクヤに渡すつもりはなかった。

過ぎたる力は滅びをもたらす。サクヤが滅びるのは見たくなかった。だが俺は契約した身。これ以上は何も言わない。俺が死んだら、静かにこれを受け取ってくれ。」

 

私は頷くしかなかった。

このひとりの人間が渾身の力を籠めて土下座する姿を、私は見てられなかった。

 

 

 

 

「ところで私って超微妙にうちはの血が入ってるってことだよね」

 

「お前の写輪眼を見るに微弱なんてものじゃなさそうだがな。ッテ!!」

 

「夢を持たせろよ。んで、千手の血も入ってるんだよね?」

 

「お前のその2代目そっくりな顔を見て誰もが頷くだろうよ。ッタイ!!」

 

「だから希望を持たせてくれよ!!」

 

ああ、頭が痛い

パトラッシュ、僕もうなんだか眠いよ…

インドラとアシュラの血がこんな所で和合しているとはだれも思うまい

 

その後ピンポンと次の契約者として契約をして竹筒は渡せないが口寄せは結んだ

これでサザミが死んだら自動的にピンポンから私に万華鏡写輪眼(それももしかしたら“永遠の”が付く可能性があることに気付いた)が渡ることになる

 

過ぎたる力は滅びをもたらす

サザミの癖に良い事を言う

受け取った瞬間燃やしてやろう。

血縁関係上全然関係ないはずのサザミを巻き込んだバチだ

精々苦しむがいいフハハハハ

 

はぁ…

 

ねよ

 

 

 


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