暗部に入って1年
暗部の仕事のおかげで無駄に雑用が上手くなった気がする…げっそりとしていると
最近根から火影直轄暗部に移動してきたテンゾウ先輩に話しかけられる
「コマ、今日の動き、なかなか良かったよ。もしよかったらこの後とか暇ある?ご飯でも食べながら反省会とかどう?」
「あースミマセン。私眠いんで帰って寝ます。さいなら」
最近任務終わりにテンゾウ先輩にめっちゃ話しかけられるわけは
暗部には珍しい子供だから、と言うのもあるがダンゾウの手先の可能性も捨てられない。
テンゾウ先輩とは年が近いのもあって良く組ませられる
私のオールマイティーは相変わらず健在で、体術が少し劣るものの幻術と忍術はそこそこ、暗部にいるおかげか、新しい術を覚えたりと手が増えてきている
そのおかげで雑務が増えるわけだが
いっその事感知タイプの技覚えようかな…とか思い始めてる時点でなんか、人間やめてる感じがしたのでちょっとそこには手を出していない
只先輩たちの「感知は持ってねえのかー」という視線は頂いているのでそこそこ慣れたら何かしらの感知系統は入れることになりそうだ
最近『伝書鳩のサクヤ』は
『火影の狛犬』に変わった
相変わらず微妙な二つ名だが何故狛犬…
私一人しかいないんだけど…
なんだかなー
と名前をもらった時から思っていたがこれは現況の元凶、ポンに聞いた方がいいだろう
なにせ一番最初にコマの名を付けたのはポンだからだ
「んで、コマって何?」
「ガハハ!おまえそんな事で悩んでいたのカ!!愛いのう!!ういのう!!」
「悩んではない。ただあんまりにも呼ばれるせいで…私ってそんな忠実なる下僕に見えるのかなと…これからもうちょっと、態度替えないとやばいかなとか…思っただけ」
段々と小さくなる声に、ポンは反比例して大きく笑う
やめろ、笑うな!!
サザミに気付かれるだろう!!
なんとか押し黙らせたポンは何故か父の話を始めた
「ヒヒッ作間はな、それはそれは親父さんにそっくりだったんダ。
生まれた頃は二代目に似てても大人と子供、そこそこ見分けがつくってもんだガ、大人になるにつれてナ…、2代目にあまりにも似すぎてて、ナ……
その頃には2代目も亡くなっていたんだが、あんまりにも似すぎてテ、とゆうかそのまま二代目の顔で、大笑いしたり、鼻の下伸ばしたり、泣きべそかくもんだからチョっと威厳がナ…」
「ああ、父さんって威厳の威の字も無い人だもんね…」
泣いて笑って怒ってと感情が良く出る父を思い出す
「んで、まあ2代目の現身もそれじゃあヤバイってことデ、面で顔が隠れる暗部に配属になったんダ。まあ、作間は『ぜってーダンゾウの奴2代目に顔向けできねえ何かしてる…』とかぼやいてたガ。まあそこであいつの暗部名がコマだっタ。」
「え、待って嫌な予感してきた…」
痛む頭に眉間をグリグリと親指で押す
「ま、大方お前の予想通リ、着いた二つ名が『火影の狛犬』。火影直轄部隊っちゅーのもあるが、ダンゾウとは相いれなさすぎてナ、火影のゆう事しか聞かねえからそう呼ばれとっタ。」
「私、全然関係ないじゃあああああああんんん!!」
思わず叫んでしまった私は
下で何かやってたのかサザミの「うるせ―――!!静かにしろボケ!!」という声で我に返るが良く考えてみても、どう考えてみても全然私と関係なかった
「ワシも聞いたときゃぁ驚いたが
親の七光りも、ここまで来るとあきれて笑うしかないわナ!
ガハハハハハハ!!」
ガハガハと笑うポンに私は何も言えず
私はどこまで父と、2代目と同じ扱いをされるのかとこの先に絶望した
「サザミがいっとったわ、暗部名決める時ダンゾウが決めたっと!」
もうこれ以上あの名前を聞きたくなくなった。