また来て三角   作:参号館

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「遅い!!」

 

アカデミーに隣接する火影邸に5代目火影の声が響く

自来也とサクラが綱手をどうどうと諌める。

 

「す…すいません…ナルトの奴が朝食という名のお昼を食べてまして…」

 

「あれ?エロ仙人?」

 

しかしナルトは綱手よりその隣で綱手をいさめる自来也の方が気になったようだ

これでは話が進まないとサクラは言葉を振る

 

「で…何なんですか話って…?」

 

「……うむ…

各地いたるところである情報が流れていてな

…その事についてだ。」

 

意味深に話を溜める綱手に呼ばれたばかりのサクラとナルトは頭の上にはてなを浮かべる

 

「情報?」

 

「何?何だってばよ?」

 

綱手はひといきの間をおいて答える

 

 

「大蛇丸が死んだ。

どうやら、うちはサスケがやったらしい。」

 

 

ナルトとサクラの時が止まる。

が、サクラより先に復活したナルトは、二人に確認するように言葉を出す。

 

「そ…それって…ホントか…!?」

 

「まず間違いない、確かな情報スジから聞いたからのォ」

 

「…じゃあ、もう…」

 

木の葉に帰ってくるのか

ナルトは二人にさらに詰め寄るが二人の顔は変わらず

そこで初めて、ナルトは他の可能性に気付いた。

 

 

「…どうやら

そうでは無いらしい…」

 

自来也の言葉が重くのしかかる

 

「どういうことだってばよ!?

なんで?!

もう大蛇丸はいねーのに

あいつは里に帰って来ねーんだ?」

 

 

「サスケの奴は復讐に取り憑かれとる。

サスケは兄であるうちはイタチを殺す為に、『暁』に近づく気だのォ

それに…あまりこれは信憑性が無いんだがのぉ…サクヤが任務中サスケに遭遇しておった。」

 

「サクヤねェちゃんが?!」

 

「ワシも詳しくは知らん。サクヤの口寄せ蝦蟇から蝦蟇に伝わりワシまで連絡が入っただけだ。」

 

「なら!!サクヤねぇちゃんにどこで見たか聞いて…!!」

 

ナルトは慌てるように扉に向かうが

自来也の声がナルトを止める。

 

「それが本人を呼び出そうにも、サクヤは今こやつに任務を詰め込まれておってのぉ…その、連絡が取りづらい」

 

『こやつ』綱手は気まずそうに眼をそらす

自来也は視線を綱手からナルトに戻した

 

「そん時は他の任務と重なって手は出せんかったと言っておったらしいが…

本当のところは知らん。

あ奴は昔から秘密主義でのぉ…こっち側にいるのは確かなんだが、中々尻尾を掴ませてはくれん奴でのぉ…

作間の目も、どこにあるのかワシでも「自来也!!」っとすまん。」

 

ナルト達は急に出てきた知らない名前に首を傾げるが綱手の眼力に圧され取りあえず話を先に進める事にした。

 

 

「…サクヤの情報によると、サスケは大蛇丸のアジトを巡って仲間を集めている。

サクヤが見たときは2人いたと聞く。迷いなく進んでおったそうだから、目的地があるのは確か、

とするとサスケは

小隊として一番動きやすい4マンセルを組んでいる、またはイタチの居場所をもう知っているか…

どちらにしろ何か目的があるのは確かだのォ」

 

なら…!!

 

「俺たちも小隊組んでさっさと行くってばよ!

まだ『暁狩り』の任務は継続中なんだろ」

 

「ああ…」

 

「ならサスケに会うために

もっと確立の高い『暁』のメンバーを探すってばよ!

つまり俺たちが狙うのは…」

 

 

―――

――

 

サスケは4人の目的を同じ方向に向けることに成功した。

香燐は元より

水月は刀集め

重吾は、君麻呂が命を賭けて守ったサスケと言う忍びの見極め

 

目的は違えど

同じ方向は向いた。

 

「今後、俺たちは4人で動く

そしてこれより我ら小隊は『蛇』と名乗る

もちろん蛇の目的は只一つ…」

 

 

 

 

『うちはイタチ』

 

 

 

 

 

 

「うちはイタチか…

さて、どうしたものか…」

 

方法が無いわけではない

『暗部』や『サクヤ』を使えば、イタチの居場所は分からずともイタチ、さらにサスケの行動範囲位は突きとめられるだろう。

しかし、それでは遅い。

サクヤの情報から予想するに、サスケはもう行動を起こし、イタチへの目星はついている。

サスケのいそうな場所を突き止めるのでは遅い。

 

「『暁』の身柄を一人でも拘束してしまえば

後はイビキさんが情報を聞き出してくれると思うんですけど」

 

サクラが口を開くが、そういう問題ではないのだ

 

「確かに各小隊には、可能であれば『暁」の身柄を拘束し連行するように命じてはいるが…」

 

「奴らはそう簡単に口を割るような連中じゃないし…

今までやり合った連中の能力を見れば危なすぎて

とてもじゃないが拘束なんて考えられなかった。」

 

「カカシ先生…」

 

戸口に背を持たれ腕を組むカカシは、そのいつもと同じ寝ぼけたような目をサクラとナルトに向ける

 

「不死身の奴らの時

チャクラが少なかったとしても、あのサクヤが躊躇なく、初めから、全力で、心臓を狙っていた。

俺は暗部にいたときサクヤと何度も組んでいたから分るが

サクヤは生け捕りのプロだ。

情報を持って帰るのが仕事な暗部でその力は重宝されたし、その経験が多い分鍛え上げられている。

そのサクヤが初めから生け捕りを諦めた相手だ、早々口を割らないし、況してや捕まってもくれない。」

 

綱手は、サクヤの話をカカシや、暗部、シカク、様々な人から聞いていた。

アスマが妹の様に可愛がっていたのも。

その力が過去、3代目の為に振るわれていたのも。

3代目が表なら、サクヤは日向に居ながら、裏のダンゾウと同じ立ち位置にいた。

これがどれだけ難しいかは自分が火影になってよく分かった。

表の火影が日の当たる所にいるのは、

裏のダンゾウが土の中に居るのは、そうすることが一番動きやすいからだ。

闇に乗じて獲物を取る獣が夜に行動するのは道理

しかし、サクヤは夜行性の獣が昼間に行動しているようなもの。

それは大きなハンデになるだろう。

だがサクヤはそのハンデがあってなお、ダンゾウと『作間の目』を巡って狸と狐の化かし合いが出来る。

実力は折り紙つき

 

その実力を持ってしても

カカシ率いるアスマ小隊から生け捕りの選択肢を奪わせた。

それだけ脅威だということ

 

「じゃあどうするんだってばよ!!」

 

ナルトの声で目の前に話しが戻される綱手

 

「ま、イタチ本人と当たるまで根気よく探すしかないんじゃない?」

 

「サスケと会うためにイタチを追うか

だが…イタチを探し当てたところでどうする?」

 

「サスケの情報を持っているサクヤを呼び戻すにしろ、1小隊じゃどうにもならないですね。」

 

「どういうことだってばよ?」

 

「イタチを倒せばサスケ君の目的は消える

つまり、イタチは拘束するしかない。

だからもっと大人数で隊を組み、動くしかないってことですよね」

 

「その通り…

ただ、大人数と言っても二小隊一チームが望ましいね

拘束すべき対数が少数…

つまり2~3人の場合

こちらが3小隊以上になると相手に見つかりやすいし、命令系統が混乱し逆に機動力が低下するからね」

 

「それに、拘束は殺すよりはるかにテクニックがいるからのォ

隊の連携を考えれば任務をこれまである程度共にしてきた者を選抜した方がよいのォ」

 

「そう思って今回の任務に適した忍び達をここに呼んであります」

 

 

 

 

 

綱手はサクヤに嫌われていることを自覚している

しかし、里を思ってくれているのは解かるので、いっそのことその頭脳と顔と血筋を使って大名や、ご意見番の相手をさせようと画策したが

言うことを聞かない、いらん情報ばっか上げてくる、会議に出ない。

しかも、会議に出ないくせに会議内容はいつの間にか知っているのだから世話がない

 

しかしその実力は折り紙つきだ。

 

任務は殆ど成功して帰ってくるので任務を押し付けるしかサクヤを有効利用できる手が無いのが現状だ。

アスマの時、カカシに押されてサクヤとナルトを同じ任務に充ててしまったが、綱手はサクヤをナルトと共に行動させるつもりはなかった。

ナルト(九尾の人柱力)はサクヤにとって鬼門だ。

親を九尾に殺されているし、作間の目(写輪眼)を持っている。

かつてのうちはでは無いが九尾を操られては困る

カカシの助言で九尾チャクラをサクヤに与えてしまったのは愚策だったか…いや、しかしあの場であれを如何にかできるのは、サザミに似て結界、封印に詳しいサクヤぐらいだった。

 

完全にこっちとは言いづらいものの

黒ではないサクヤの立ち位置は、やはり日向に居ながら、限りなくダンゾウ達のいる裏だ。


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