また来て三角   作:参号館

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サクヤとイタチ編
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画して、コマの威厳は地に落ち、イタチの頭の切れが昇りに上ったころ、

イタチはやっと、サクヤが『イタチとテンが同一人物』だと気付いていない事に、気付いた。

あのコマさんともあろう人がまさか気付いてないなんて事…と思っていたが

アカデミーの時、イタチのサインをこれ見よがしに逃しているところを思いだし、絶対分かって無いと確信した。

まだコマとサクヤが違う人物だった方が現実味がありそうであるが

しかし、イタチの脳に焼き付いている、透けるような白に見間違いは無かった。

 

「前から気になっていたんですが、そのコマって名前誰が付けたんですか?」

 

「…ダンゾウ。

私の父が狛犬と呼ばれててそこから着いた。」

 

それはそれは嫌そうに、説明された内容をまとめると

コマさんの父親は威厳の威の字もない人で、大口開けて笑うし、泣くし、しょうもない事で怒るし、拗ねる人で、

2代目火影の実子であり、顔がそっくりだった為、その顔でそれやられると里の威厳的にも困るので面で顔が隠れる暗部にぶっこんだら、3代目の言う事しか聞かないので『3代目の狛犬』なんて呼ばれていたらしい。

そしてその娘であるサクヤに同じ名前を付けたのがダンゾウである。

 

「何を考えてこの名を付けたのか分からんが、ダンゾウ許さん…。」

 

サクヤふつふつとダンゾウへの怒りを募らせている横で、イタチはあることに驚いていた

 

「(この人…女性だったのか…?!)」

 

『娘』サクヤは確かにそう発音した…

なんか最近先輩たちにサクヤとの様子を観察されているなとは思ったが…

そういう視線だったとは…

ガッテム!!と掌で顔を覆うイタチと

呪詛の様にダンゾウへの恨みつらみを呟くサクヤは木の葉の団子屋で浮いていた。

 

 

 

 

 

 

ハッキリ言って過去から現在に至るまで、サクヤはどう見たって少年であった。

身長が伸びてからも体の凹凸は目立つ程では無かったのでイタチが男だと勘違いするのは致し方ない事であった。

髪形は短髪、顔は2代目そっくりそのまま幼くした感じ、さらにはサザミの甥っ子なんて呼ばれていた。

リーチである。

これは避けようもない間違いであった。

 

「(まあ俺が勘違いしていたのも悪いが、コマさんもコマさんだ…女性然としてないのが悪い…)」

 

人はそれを逆恨みと言う。

 

 

任務終わり、大雨により橋が崩れ、木の葉のセーフティーハウスと言う名の洞窟で一夜を明かす事にした二人は、薪を焚いて衣服を乾かしていた。

つまらなそうに手甲を乾かす体は、確かに細いが、この年代の女性を思うと筋肉質すぎる気もしない事も無い。

炎に照らされたサクヤの髪は薄金色に輝く。

イタチに、不意打ちでも火傷を負わせたサクヤの火遁、で燃えた前髪は

元の通り、いや少し伸びすぎて目にかかっていた

邪魔ではないのかと髪に手を伸ばすと、思いの外それを受け入れられ、イタチはこれ幸いとワサワサと触る事にした。

 

「髪、伸びましたね

…伸ばさないんですか?」

 

「伸ばしても邪魔だし、特に髪形に拘ってないからなぁ…」

 

「そんなんだから甥っ子なんて呼ばれるんですよ。」

 

そしてイタチの様な被害者が生まれるのだ。

鬱陶しかったのか手は弾かれたが、警戒はされていないようで、そのまま手はポーチの中をまさぐり、装備の確認をする事にした様であった。

 

「俺も、初めて会ったときは男だと思ってました」

 

実はつい最近まで男だと思ってました。

なんて言った暁には卍固めを極められるので黙っていたが、話を聞いてるのか聞いてないのか生返事しか帰って来ない。

というか髪形が悪いんじゃないのか…?

顔が綺麗だと言われる二代目に似てるんだし、多少なりとも髪に凝ったら女性に見えなくもない…

本人達に言ったらぶっ飛ばされるだけじゃ済まない事をイタチは思っていたが言わなければ知るはずもなく

 

「今度、簪あげるので、伸ばしてください」

「…。」

 

返事さえ帰って来なかった。

一応名前だけでも隊長であるイタチの言葉を無視して、ひいふうみいと数えているのは起爆符。

そんなに起爆符が大事か…

イタチの逆恨みは底を知らず

「(こ い つ … !!)」と写輪眼を発動させたところで、サクヤはイタチの様子に気づき慌てることとなる。

 

 

「ええっと…どうした?敵襲か?幻術か?」

 

今更慌てたところでもう遅い…

イタチは写輪眼で幻術を掛け揺さぶろうとするが、視線1つでそれは躱された

シレッと躱すので、イタチの頭に怒筋が一つ二つと増えていく

 

「コマさんは分かって無い。」

 

「へえ、さようですか。すみません。」

 

自分がどれだけ…どれだけ白い少年を追いかけるのが大変だったかとか、やっと自己紹介できた時の絶望とか…、あの日の少年の知識にどれだけ助けられたかとか…!!おぶるより、あの火遁の弁解してほしかっただとか!!知らないふりだと思ったらマジで分かって無かった事とか!!

イタチは、写輪眼で何度も何度も幻術や視線誘導をかけるが、それは序とばかりに菓子折りつけて帰され、それがまた怒りを誘う。

 

「テンって知ってます?」

 

「動物のテンなら多少は、知ってます…」

 

何も分かって無いサクヤは呑気に返事を返すが

イタチの頭の血の登りは天元突破していた

 

「あなたはどうせ忘れてるでしょうがね、俺貴方に…」

 

 

しかしその怒りは突如、鳴りを潜めることとなる。

今日の任務でチャクラを使い過ぎたのかひぃひぃ言っているサクヤに気付いた事もあるし、何より、秘密だと約束していた。

 

一つ

等価交換の期間はテンがアカデミーに入学するまで

 

二つ

どちらかの不利になる情報は渡さない

 

三つ

この関係は生涯口にしない事

 

イタチは母にも、父にも、弟にも、この関係を漏らしてはいなかった。

そしてサクヤは別れ際言っていた

 

「これからは他人だな。」

 

 

他人になったなら、そこからまた関係を作ればいい。

そう思っていた。

 

実際はそうも簡単では無かった。

サクヤの庇護下を出てから気付いたが、サクヤは身内に甘い。

そして外向けの顔が厚い。

 

初対面の人間には基本冷たいし、多少会話をするようになっても友人何て夢のまた夢だ。

周りはサクヤの優しさを知らないからか、こういうものだろうと接していたが、イタチの記憶には、あの不器用ながら優しくあろうとしたサクヤが常にいた。

暗部に入り、サクヤとも任務を組むようになり、そこそこ仲良くなれたと思っていた。

しかし以前の様になんでも話せるような関係かと言ったらそうとは言いづらい。

明確な何かかがそこにはあった。

だからイタチはそれを如何にかしたかったが

 

サクヤ自身がテン(イタチ)を探していなかった。

 

サクヤにとって、テン(イタチ)との関係はあそこで終わりだったのだ。

だから探す必要も、サインに気付く必要もなかった。

 

「いえ、やっぱり…何でもないです。」

 

興の削がれたイタチ様子にサクヤは正直に何言ってるのか分からんと口に出す。

 

「でしょうね。」

 

イタチの容赦ない肯定にサクヤは50の衝撃を受ける。

一応暗部の先輩であるはずなのだが作間といいサクヤといい、威厳はどこに置いてきたのであろう。

 

 

 

「…あの、取りあえず、話してみたら?結界と封印掛けてやるし、秘密にしといてやるからさ、ね?」

 

サクヤは残りのチャクラで結界と封印をかけ、隔離空間を作り出した。

写輪眼で見るそれは、サクヤのチャクラで満たされ、幾何学に織りなす結界と封印はまるで芸術品を見ているようだった。

 

こんな術、いったいどこから学ぶのだろうか

またこれもいつか、幻術の様に教えてくれるのだろうか

自分がこの術を発動したとして、こんなにも綺麗に出来るだろうか…

威厳こそないものの、その腕は一流である。

イタチはサクヤの才能を再確認した。

 

そしてサクヤは、それを何とも思っておらず、誰でもこれぐらいできるであろうと考えていた。

実際はサクヤの周りを構成する人たちがハードルを高くしているだけで、サクヤは天才と言うべき才能を持っている。

だから戦争の無い時分飛び級できたし、下忍初っ端から中忍班に組み込まれる成績を持っていたし、下忍から1年もたたず暗部に突っ込まれたのだが。

サクヤはそれら全て威光だと考えていた。

 

 

 

イタチはこんなしょうもない話にこの技術を使うのもどうかと一瞬冷静になるが

良く考えたら昔したあの取引は、イタチにとって今、方々にばれたら立場がやばくなるものであった。

あの取引は、いわばイタチが自分の欲に溺れ、一族を売ったようなものだ。

幼き日のサクヤがそこまで頭を回してたかは定かでは無いが、ある意味あの制限は必要であったのだ。

あのままサクヤと、イタチの思惑通りなし崩しに取引を続けていたら、うちはの諸々は全てサクヤから木の葉に筒抜け、自分にスパイの話しが来る前に一族皆殺しも有りえた。

 

ココで話すべきではない事なのかもしれない。

しかし、チャンスはもう今しかなかった。

これを逃せば、サクヤは何も聞かず『明確なる何か』を保ち続け、イタチの監視と言う任務を遂行し、成し遂げるであろう。

それでは、ダメだった。

サクヤの優しさに、柔さに付け込むのは今しかない。

 

イタチはいい加減動物のテンから離れられないサクヤに声をかける。

 

 

「あの、取りあえず動物のテンから離れて下さい。」

 

「はい。」

 

何を想像していたのか分からないが、潔く離れられたようだ。

 

「で、その、昔の話になるのですが。木の葉の西にある遺跡、覚えていますか?」

 

「え?ああ、知ってるよ。よく行ったよ。まあ遺跡巡り好きだから、西と言わず東西南北里外まで行ってたけど」

 

「それは…気になりますが置いておいて。…そこでうちはの少年に会いませんでした?」

 

その言葉にサクヤは一瞬動揺するが、すぐ表情を繕った。

サクヤが何を考えたか分かるからこそ、その動揺を感じ取れたが、自分が何の情報もなしにサクヤに相対していたらその動揺は感じ取れなかっただろう。

それ程一瞬であった。

そして繕った面の下にはいつでもイタチの口をつぐめるよう考えているのが分かった。

 

緊張が走る

イタチは、極冷静にその言葉を口にする。

 

「それ、俺です。」

 

「…は?」

 

「ですから、それ、俺なんです。」

 

「はああああああああああああ?!」

 

 

結界と封印をかけていてよかった。

もし、この場が戦場であったら、森中に声が響き渡り、敵にすぐ見つかっただろう。

『あ』の口から脱せないサクヤの様子にイタチは色んな意味で胸がすいた

 

「その、やはり、気付いてなかったようですね…一応何度か接点はあったんですけど…

これからは他人だと言われていたので俺も言い出しにくくて…すみません。」

 

イタチの言葉に正気に戻ったのか、サクヤはハッと目の前に焦点を合わせるが、その眼はイタチと合う事は無かった。

 

「こちらこそ、あのテン君だとは気付かず数々の無礼すみませんでした。おかげで元気にやっております。あの情報は一生よそには喋りませんし、出しません。変な取引を持ちかけて ま こ と に、申し訳ありませんでした。」

 

所謂土下座である。

 

「いえ、あの、そういうことがしたかったんじゃっ

頭をあげて下さい!!謝るのは俺の方なんです!!寧ろ感謝してるんです!!」

 

思わぬ謝罪にイタチはあせる

しかし、サクヤは感謝の意味を分かっていなかった。

 

「私なんかした?」

 

「しました。」

 

 

心当たりがないのか腕を組んで考えるサクヤにイタチはそろそろと近づいて肩に手をかける。

やはり、男性では無かったな。

細すぎる。

 

「俺に、知識という盾と、幻術という剣と、…何にも代えがたい愛情をくれました。」

 

 

おでことおでこがこつんと当たりイタチは目を瞑った。

いつか追いつこうとしたその人は、遠いようで近かった。

最初からこうすればよかった気がしない事も無いが、遠回りしてよかったとも思う。

動揺しているのか要領を得ない返事にイタチはサクヤと再度目を合わせる。

 

「あの、辞めてくださりません?めっちゃ怒ってるのは心底理解したので。」

 

かけた幻術はことごとく退けられた。

疲れたようにイタチに返事をするサクヤ

イタチは久しぶりに笑った気がした。

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