また来て三角   作:参号館

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サクヤとの再会はあっけなかった。

というか、大体サクヤとの再会はあっけない気がする。

幼少然り、アカデミー然り、暗部然り。

 

だからまた、どうせ再会もあっけないのだろう、そう思っていたので

本当に、その間抜け面を見た時、思わず声が漏れ出てしまったぐらいであった。

 

砂と火の国境線で、大きい砂嵐が去ったと思ったら現れたその白は、一つに括られ、陽炎に霞み、やはり切り取ったように白かった。

人をおちょくったような喋り方をするのは変わらず、黒い暗部衣装に包まれていた。

 

見せかけの戦闘の後、サクヤがセーフポイントにしている洞窟によびだされ、目くらましと幻術を掛けて待っていたイタチは

虚ろ眼で、イタチに付いているポンの声を頼りに、手探りで洞窟を歩いてくる姿を捕えた。

 

 

「(……なんでこの人は、こんなに馬鹿……無防備なんだ。)」

 

取りあえず、在らぬ方を探っている手を握って、目くらましを解いてやると、サクヤは「ひっ」と漏れ出た声と同時に3mほど後ずさった。

そしてイタチを目に捉えると、叫びとも、呻きとも言い難い声を出してイタチが握った手を拭う。

 

「酷いな。」

 

「なんで手を握る必要があるんだよ。おかげで心臓止まるかと思ったわ。」

 

親切心からやった行動だったが、

逆に恐怖心をあおってしまったようだ。

そして、イタチはあることに気付く。

 

サクヤと目線が近い。

 

洞窟の斜平のせいかとも思ったが、それはイタチの野営スポットについても同じであった。

あの見上げていた透ける白は、隣にいた。

 

 

イタチは、どこまでも停滞している世界にいた。

暁と言う組織で、護衛、暗殺、戦争、薄暗い事を請け負ってきていた。

自分の身長を気にすることが無かった。

成長を、気にするものが居なかったし、イタチ自身、見込むことが無かった。

 

サクヤからサスケの様子や里の事、木の葉の仲間たちの事を聞く度、イタチは停滞していたことを実感する。

うちはマダラという時間の流れを持たない者と、共にいたと言うのもあるかもしれない。だが、サクヤと並んで気付いた。

自分もまた、時を確実に歩んでおり、進んでいるのだと。

 

 

 

 

ベース地点で、イタチはサソリの機嫌を損ねて手に入れた双剣を、サクヤに放る。

危なげなく受け取ったサクヤはイタチに訝しげな視線を向けた。

 

「なにこれ?」

 

「双剣だ。」

 

そんな事は分かっている。

サクヤには、それを受け取ってもらわなければならなかった。

これを逃したら、サクヤに年単位で会わないだろうことは分かっていた。

その頃にはサクヤの身長を追い抜かしているだろうことも。

 

「この間敵の忍びから奪ってな、名のある双剣らしいから取っといたんだ。

俺は剣は使わないし、サクヤにやる。」

 

え…いらないんですけど…と言う顔をにらんで黙らせる。

嘘を吐いてまで渡す必要があっただろうか?

いや、嘘を吐かなきゃサクヤは受け取らなかっただろう

無償の施しに疑心を向ける人である。

『タダより高いものは無い。』サクヤは良くそう口にしていた。

等価交換もそれに準ずる。

悪魔と契約するのは嫌だが、自分が悪魔の立場なのも好きではないらしい。

 

 

(チャクラ)を籠めて膝に打ち付けた剣は、あっけなく折れた。

え…これ…安物過ぎないか…?

サクヤの財布の悲鳴に、イタチは頬をかいてごまかすが、そう簡単に誤魔化されてはくれなかった。

 

 

だがイタチの目的は叶いそうだ。

イタチは等価交換をモットウにするサクヤに一つ、明らかな貸しを作らなければならなかった。

そのためのブラフであったがそれは妙な方向に進み、しかしてイタチの思惑通りに進んだ。

 

イタチは、サクヤにいかようにしても、うちはの集会所の場所を伝える必要があった。

サクヤなら、イタチとは違った視点から、石碑の真実へたどり着けると信じていたからだ。

しかし、サクヤならば

うちはの集会所を教えた時点で、イタチの思惑にも気付いて「だから私を巻き込むなよ!!」とブチ切れられることは必須だった。

その前にお布施を渡して、黙らす(気を逸らす)必要があった。

序に言うならば、サクヤが未だ、自分のチャクラの濃縮還元具合を分かって無い方が、イタチ的には驚きであったが、まあそれは置いておく。

 

 

 

「この借り、いつか返す。それまで大事に持っておけ。」

 

この借りは、必ず、返してもらう。

でもそれは『今』でも、『イタチ』でも無かった。

 




イタチが死なない…
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