また来て三角   作:参号館

94 / 135
91

昔々

六道仙人も死んで、まだ間もない頃

と言っても命の尽きが無い尾獣感覚での、間もない時間になるので、人間感覚的には途轍もなく時間が経った頃

九尾と言う9本の尾を持つ狐がおりました。

 

 

九尾は『パワーこそ力、尾獣は尾の数だけ強い』と思っていたので、同じ尾獣の仲間である、一尾をとても馬鹿にしてました。

ある日、九尾があまりにも馬鹿にするので、ついに一尾がキレ

どちらが強いか、取っ組み合いで勝負をすることにしました。

 

2匹が喧嘩をする事を聞き、他の尾獣は焦ります。

六道仙人に皆仲良くするよう言われていたからです。

こんな事をしたら空にいる六道仙人が黙ってない。今すぐやめるように二匹を説得しますが、二匹は聞く耳を持ちませんでした。

 

そうして明日(みょうじつ)始まった喧嘩は、決着が中々付かず

三日三晩が経ち、天から落っこちてきた落雷によって、引き分けに終わりました。

その時の落雷で、九尾の毛が一部灰になり、近くの竹やぶに潜んでいた死に掛けの子狐に降りかかり、それは白狐と呼ばれる妖怪になります。

 

最初はとても小さかった白狐は、竹藪に潜み、そこに隠れる小動物を食べて、生きていました。

小山程の大きさになった頃、白狐は、ある子供に会います。

その子供はとても

 

おいしそうでした。

 

美味しそうな匂いに、柔かそうな肉、軟骨はコリコリとおいしそうで、骨の髄まですすれそうでした。

しかし、一番おいしそうなのは、その魂でした。

面白い事に、この齢10もいかなそうな子供が、100年生きたような熟成した魂を持っている。

その魂は器と比べてあべこべで、其れがまた美味しそうな香りを引き立て

多少妙でも構わない、今すぐこいつを喰ろうてやりたい。そう、思わせます。

 

駄菓子菓子待て、

この生き物はいわば幼体、基本生き物は大きく成長する。

成長したら肉が増える。更に、魂ももっと熟成される…

 

そう考えた白狐は少年と共に、旅に出ることを決意します。

 

 

 

旅をして幾星霜

少年は様々な場所を巡っては、誰かを探しているようでした。

 

「のう、おんしは、誰を探しとるんや?」

 

あくる日、思い切って聞いてみた白狐ですがその答えは、要領を経ない答えでした。

 

「…俺は、仲間を探してるんだ。」

 

その仲間は誰でもいいわけではないようで、人間と話をしては、違ったと肩を落とす姿が続きます。

まだ少年を食べるには幼く、体積もそんなに増えていないので、白狐はその少年の探し人を暇つぶしに手伝う事にします。

 

「人手は増やすべきや。一人で探したってしゃあない。人海戦術は人間の十八番やろ?」

 

白狐の助言にそれもそうか、と納得した少年は仲間を増やします。

増やして、増えた仲間はまた仲間を呼び、何時しか『真の目』と呼ばれるようになります。

 

 

時も経ち、成長した少年は真の目の当主になっていました。

しかし、真の目を作ったものの、探し人には会えていませんでした。

 

もしかしたら、自分が生きている内に会えないのかもしれない。そう思った真の目当主は、妖怪であり、寿命が存在しない白狐に頼みごとをします。

 

自分の魂と体をあげるから、探し人を見つけてくれないか?

 

白狐はその話に飛びつきます。

何故なら、当初食べる予定だった少年は大きくなるにつれて、その命は洗練されて行き、白狐では到底かなわない相手になっていたからです。

 

真の目当主は自分の命を使って白狐と約束をします。

遙か先の未来、白狐を訪ねてきた者に名前を聞き、当主の真名と同じ姓を名乗った者に、本当を伝えよと。

 

しかし、白狐はその人生の中で一瞬だった日々に、常に付きまとう探し人が好きではありませんでした。

なので、同じ姓を名乗った者には、嘘を教えよう。

そう、考えたのですが、

その時が来て、白狐は大きなシッペ返しを喰らいます。

 

当主の真名が嘘だったのです。

 

 

魂を喰らうにはやらないといけない事が1つあります。

真名を知る事です。

真名を知って、食べることでその魂は白狐に食べられるのです。

もし真名が嘘となれば、ただ、その者のチャクラが残るだけ

それでは只、動物を喰らうのと変わりありません。

当主の魂はもう、輪廻の歯車に戻ってしまっていたのです。

 

偽名と知った白狐は、当主を恨みます。

自分は約束を果たしたと言うのに、あいつは嘘を吐いたと。

しかし、それと同時に、とても悲しく思いました。

当主にとって、自分は特別だと思っていたからです。

 

 

白狐は、当主を食べたいとは思ってはいましたが、嫌いなわけではありませんでした。

長い旅路の中で白狐は、当主を助け、助けられ、共に道を歩み、家族の様に大切に思うようになっていました。

寧ろ好きだからこそ、当主の魂とずっと共にいれる、食べると言う方法を望んでいて

だから真名で縛り、魂を喰らう大義名分が出来ることが嬉しかったのです。

それ程、信頼されていると思ったのです。

 

しかし、その真名が嘘となればその信頼は崩壊します。

白狐はただ、いたずらに、当主を喰らっただけだった。

信じていた魂も名も無く、あとにはその事実が残るだけでした。

 

 

 

 

 

 

狐から語られる真実は、多くは無かったが、短くもなかった。

殆どが前回のままの話だったのは確かで、サクヤの知らない、話されなかった事実もあった。

あの下手な説明はどこへやら、朗々と語られる物語に何時しかサクヤは引き込まれ

サクヤは頷きと、視線以外のコンタクトを取れず話は終わった。

 

初め在った狐への疑心は薄れていた。

腰に据えていた管狐がいつの間にか外に出てサクヤの後ろで『わかるわ~』『いい話でした…』『…ズズッ。』など言っていたがサクヤには気にはならなかった。

其れよりも大事なことを確認しないとならなかったからだ。

 

「じゃあ、お前は初代の前世は、偽名と、姉がいたことしか、知らないんだな?」

 

「ああ、ワシは前世の事はそれしか知らん。」

 

「初代とした約束は、これで終わりか?」

 

「ああ、終わりや。あとは初代の残した、残りのチャクラを消費して、死ぬ時を待つだけや。今まで、何時現れるか分からんかったから、当主のチャクラを節約して、寝て過ごしてきたが、それともおさらばや、いっその事旅にでも出るかの。ガハハハハ!!」

 

話し終えた白狐は、約束を果たしたからか、どこか、すっきりした顔であった。

が、しかし。サクヤの表情は晴れてはいなかった。

 

 

 

「ところで、当主はその探し人に何を求めてたんだ?」

 

 

 

そう、当主の『人を探していた目的』が未だ分かっていない。

当主の目的が何か、世界を救えだとか、凄い力を手に入れろとか、とんでもない事だった場合

サクヤはこんな忙しいときに、こんなくんだりまで来た、面倒臭い性格をした白狐を、御断りして追い返さなければならない。

それはとても疲れる事であろう…。

しかし、白狐から零れた言葉はサクヤの予想に反していた。

 

 

 

 

「いや、知らん。」

 

 

 

 

 

 

どうするよ…

藪をつついたら中身空っぽだったんだけど…

 

とんでもなく昔から探されてきた当主には悪いが

全然目的が見えてこないこの話に、サクヤは人選ミスじゃね?と思い始めていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。