いや、まあ…時代から考えて、管狐を使う結論に行き付くのはいいとして…
一番チョイスしちゃいけないとこをチョイスしている気がする…
まず、命の長さ的に九尾の白髪を使うのは妥当だと言えよう。
しかし、自分の命狙ってた獣と契約するなよ…
あと感情論で説明する奴に伝言頼むと大体本来の道筋外れるから気を付けた方がいいぞ…
だから、父と言う調整役が必要になってくるのだ。
サクヤは特段、仏教に興味がある訳でも、輪廻信望者でもない。
しかし、この世界には輪廻が存在する。
六道仙人の子供が、ナルトとサスケがいる限り存在する。
だから輪廻が存在する『常識』でサクヤは考えた。
とても都合がいい事に、二次創作において、輪廻転生と言うのは避けては通れない道である。
サクヤはオタクで腐っている。もちろん学生時、クフフフ笑う奴からウィキを辿って履修済みである。
サクヤは自分が『偶発的』な異世界転生者であることを自覚していた。
タダでは、そうホイホイ異世界からの転生者は生まれないと考えていたからだ。
さらにサクヤは2歳から前世分の記憶を持っている。
二次創作では良くある設定だが、現実的に考えてレアケースが過ぎる。
些か、特別視しすぎな気がしない事も無いが、そう思わざるをえない生まれであるのは確かだ。
誰(六道仙人若しくは神か何か)がやるにしても、他の世界から生き物を一匹持ってきて転生させるには、結構な
しかしこの狐、前回の話では仮称弟が異世界転生者で
更に今回の話では、異世界転生者という者は、結構生まれていると言う…
人の記憶を、魂を、個人的な理由で、身元不明の力を使って、違う世界に転生させたあげく
そんな大きなエネルギーを使って転生した転生者を、そのまま野放しとか…
目的が無いにしても、非効率がすぎる。
だから、サクヤは
それを仕掛けた誰かがいて
何かしら
その役割が父、作間だと考えていた。
サクヤは元々、父作間が何を考えて『目』を残したか、詳しくは分かっていなかった。
それも、直でも、口寄せでもなく、ご丁寧に
サクヤは自来也や、サザミから聞いた範囲では『良い様に力を使ってくれ』と言う意味だと勝手に判断していたし、何ならこれは開かずの金庫だからこそ効力を発揮する、物だと思っていた。
が、管狐の『等価交換』の言葉によってその考えは吹っ飛んだ。
さらに蝦蟇仙人の父の
同じ常識を持った…まるでサクヤがもう一人いるような…
もしかして、作間が転生した弟だった可能性まで考えていた。
それも無駄になったが。
噂の真の目当主の魂が、今もナルトの輪廻に組み込まれ転生しているとなると、話は変わってくる。
ナルトの輪廻に組み込まれた、当主の転生に合わせて転生させれば、エネルギーは少なくて済む。
そして多少(親戚や、親子などの)齟齬は有れど、同じ時代に生まれてくる。
更に自分が調整役として真の目に入るよう持っていけば後から生まれてくる転生者の白狐への道は開け、話は終わる。
父が、当主の転生体だった場合
母のお腹にいる時一度顔を見せに行ったのも
ピンポンを貰いに行ったのも
サザミに、ピンポンの契約を半端に継がせたのも
全て、サクヤに『同じ常識を持った異世界転生者』の可能性を与えるためだった。
と言う事になるが、
しかしそこまで当主(転生体)が生きていればでの話しである。
サクヤの父は、サクヤが白狐を知る前に亡くなっている。
その本当の目的は分からず仕舞いである。
何にせよ、当人は死んでいるから考察するだけ無駄。
という結論に落ち着いたサクヤは他の問題に目を付ける。
当主が、本当にただ、『仲間を探していた』だけなのであれば、他の転生者でもよかったはず。
何か、この常識(原作知識)を持った人がやりそうな目的でもないと、ここまで大がかりな仕掛けはしないし、サキや、サザミは亡くなった意味が無い。
「(自意識過剰な気もしないが、ここまでおぜん立てされたら、エクスカリバーも抜くしかないのか…
やはり、父は穢土転生させる必要があるな…。)」
サクヤの物騒なやることリストがまた一つ増えた。
「よし。
親父も殴る。」
―――
――
シカマルの暗号解読は難航していた。
暗号部でヒントを貰おうとするも、里の暗号ではないため情報は手に入らず。綱手様にも、カカシ先生にも、聞いても答えが出てこないばかりか、ナルトの心理的問題も抱えることとなってしまったのだ。
しかし、それも紅先生のおかげで持ち直したようだし、さあ、やっと解読と思われたが、それは迷路の入口だった。
暗号解読がここまで時間のかかるものだと知らなかった故、シカマルとしてはサクヤが恋しくなるのも必然である。
「サクヤが居やぁ今頃ヒントの一つや二つ出て来るのに…
そう思うとホントあの人って万能だよな…」
居ない人を憂いても仕方がない。
そう思ってナルトをせかすが
「そんなのサクヤ姉ちゃんに聞いてくれってばよー!!サクヤ姉ちゃん暗号解くのが趣味だろー!
大体こんな一大事に…どこに行ったんだってばよぉ!!」
「そんなん俺が知りてぇわ!!」
と二人で居ない人に当たり散らす始末。
暗号部のシホに宥められ、二人は気付くところを片っ端から上げていくことになった。
「何か少しでも気になることがあったら、言ってみて下さい…
いきなり暗号を解読しろだなんて、言いませんから。」
落ち着いたシホの声にナルトは正気に戻って考える
「……
見た時から気になってる事はあっけど…」
「なんだ?」
シカマルはやっと議論が出来ると、ナルトを促す。
しかし、それは議論にはならなかった。
「うん…
何で数字のばっかの中に、一文字だけカタカナが入ってんのかと思ってさ?」
「は?」
「カタカナ?」
暗号を解くカギはごく簡単であった。
『癖字』と言う、古今東西ミスリードに良く使われるトリックである。
数字だけでいうと『2.3.4.5.7.8.9』が人によっては『己(乙).ろ.↑.ち.ク(り).日.タ』に読めるのである。
今回は、逆であった。
「自来也様は、カタカナの『タ』を書く時、手癖で一画目を短く書く癖があって
1画目のオシリに3画目がくっついてしまう。
それに2画目が丸くなるから…」
暗号班のシホによって、紙の上で説明されて行くのを見て、『なるほど』とナルトとシカマルは納得をする。
「ぶっちゃけそれが、自来也様とうずまき君との共通のカギだったんですよ!」
暗号を解くカギがやっと現れ、嬉しそうなシホに対して、ナルトとシカマルはまたも言い合いを始めていた。
「なんでそんな大事な事、気付いた時点でさっさと言わねーんだ?」
「だって『タ』って分かったからって、それが何だってばよ?」
ナルトの言葉にシカマルはカチンとくるが、目を瞑り、おでこに指を当てて落ち着いて考える。
今サクヤはいない。
サクヤの助言がもらえないなら、取りあえずサクヤの様に思考するべきだ。
ナルトの言葉にいちいち突っかかっている時間は無い。
『人が関わる場合、物事には常に感情と言う物が付き添う。誰かの思考をトレースするなら感情を第一に考えて、そのうえで、相手がどういう状況で育ってきたか、こういう時どうするかなどの環境を添えると分かりやすい。
まあ、時々諸々ぶっ飛んで考える奴もいるが。』
父であるシカクの言葉を思いだしサクヤを思いうかべ、盤上に駒を並べる。
サクヤならどう考える?
サクヤならどう答えを出す?
サクヤなら…
サクヤなら…
目を開けたシカマルは、
全然、何も、思いつかなかった。
里の頭脳とも言われるシカクの言葉を持ってして、何の解決にもならなかった。
そもそも、サクヤの思考をトレースすること自体が無理難題である。
シカマルの思考は、100手先まで読めても、理路整然としていて、『これだから、こうである。』と簡潔に出来ていた。
しかし、サクヤの思考はどう考えても、理路整然としてはいなかった。
シカク曰く『諸々ぶっ飛んで考える奴』が、サクヤであった。
「…『タ』って分かっても…何も進歩は――」
しかし、暗号を書き残したのは伝説の三忍自来也。
シカマルがトレースするべきはサクヤでは無く、自来也である。
それなら、簡単である。
自来也は『エロ』で出来ている。
「…いや、アレだ!
例えばお前の言っていた本だ!」
シカマルのIQは冴えわたり、カカシのムッツリもしっかり公開され、色々人としての尊厳を無くし、ナルトの自来也によって育まれたスルー力も活躍し、解かれた暗号を見て、シカマルは達成感に浸っていた。
「(サクヤの力を使わなくても、解けるときは解けるもんだな…)」
サクヤが居ればここまでの時間を使わず答えに行き付く事は確かであったが
自分たちで行き付いた答えにシカマルは満足していた。
また一つ、サクヤに追いついたような、そんな気がしていた。
『ほんものはいない』と言う暗号の答えはその後、フサカクの『分からん』によって無に帰る。
色々こねくり回してこんな長くなってるけど
結論:真の目当主はサクヤに用があった
それの表向きの伝達方法を狐に一任してたせいで情報の齟齬が生まれた。
って事です。
ナルトって絶対自来也にスルー力を鍛え上げられたと思うんだよね…。
と44巻読んでて思った。