今話のシャドウに関する考察は作者の思考と妄想の産物であり原作では一切関係ありません。
・・・原作では説明されていない部分のはず・・・です・・・よね?
そこから先のことを、よくは覚えていない。
そこにいた四人ともが、それぞれ違う“何か”を呼び出して、戦っていたこと。
その間、ずっと動く人形と話しあっていたことは覚えている。
・・・どうやらそちらの内容は覚えている様だ。書き出していけば思い出せるかもしれない。
『昔話をしようか、とある男の昔話だ。』人形が話す。
「昔話・・・?」忍者とヒーローを足して2で割ったような“何か”を従えたジライヤが返した。
『男は優しく、真面目であった。誰かが喜んでくれることをが嬉しく、不機嫌になることが悲しかった。』
『男は不器用で、口下手だった。男がすることは常にどこかにミスがあり、説明も言葉が足らなかった。』
『男は賢く、弱かった。小学校に入る前には、小学校4年程度の知識を持ち合わせていた。そのかわり、運動は男の弱点となった』
「・・・それがなんだ」黒く、大きく、雷を模した武器を握る“何か”を盾にするミカヅチが言った。
『故に、男は狙われた。話の合わず、弱い男は、恰好の獲物だった』
「・・・それって、いじめられたってこと?」頭部がアンテナとなっている女性のような“何か”が両手に持つヘッドマウントを被るヒミコが言った。
『その通り、男は虐められた。しかし、周囲は助けることをしなかった。男も周囲に言うことはしなかった。男は優しかった故に。』
「・・・男は優しすぎた、誰も傷つけたくなかった。」機械のようにも、少年のようにも見える“何か”に指示を与えながら、スクナが呟いた。
『その通り、ゆえに男は自らを傷つけた。男は辛かった。誰にも言えない痛みを抱え続けた』
「・・・」黙っているのは誰だったか、おそらく誰もが黙っていただろう。
『男は思いついた。〈辛いのは、自分に心があるからだ。心のない道具になろう。みんなのために動く、都合のいい道具に〉と。』
「・・・それが今の彼、灰原彩君ですね。」スクナは・・・否、直斗さんは結論付けた。
『その通り、
だから私がいる。』
・・・そうか、あの人形は、押し込まれ鬱屈した『灰原彩という人間』そのものなのか。
心の中に押し込んだ、人間であるという自己意識。
なるほど、先ほどの言葉の意味は分かった。
・・・しかし、その『灰原彩』とはだれなのか。
「っ完二君、花村先輩、りせさん。前線をお願いします!」
「おう!」
「よっしゃ!完二、コイツ行動自体は超単調だ、しっかり防ぎながら倒すぞ!」
「花村先輩わたしも行く!ヒミコ、戦闘モードオン!」
三人が動いたのを確認すると、直斗さんは駆け寄り、へたり込んでいた体を抱きしめながら言った。
「彩君・・・灰原彩君、よく聞いてください。あれはあなたの“シャドウ”。あなたがずっと抑圧し、目をそらし続けた自分自身。あなたが大嫌いなあなたです。」
つまり、あれは自分自身だと。
「それを踏まえて聞いてください。
・・・あなたはあなたです。他の誰でもない、たった一人しかいない僕の助手です。
代わりはないんです。
道具ではないんです。
機械じゃないんです。
僕の知る灰原彩は・・・
僕の相棒は、あなたしかいないんですよ!!」
代わりはない。
道具でも、機械でもない。
あなたしかいない。
それは、今まで一度も聞いたことがない言葉だった。
そして・・・多分、一番聞きたかった言葉でもあったのだと思う。
「・・・ははは」
思わず笑い声が漏れた。
おそらく、とは言わない。
間違いなく“俺”の声だ。
「・・・灰原君?」
そういいながら離れる直斗さんの肩を優しく掴む。
「直斗さん、一つ聞きます。
・・・俺に
そう聞くと直斗さんは少し悩むような顔をした後、合点がいったといわんばかりに微笑んで言った。
「いいえ、君に
「じゃあもう一つ」
そういって、一度切ってから、続ける。
「俺に、できることはありますか。」
それを聞いた探偵は、笑顔で返してくれた。
「僕の助手として、一緒に戦ってください。
・・・これからは、人として。」
自分が笑っているのが分かる。
灰原彩という“人間”が、ここで生まれたような気分だった。
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「・・・シャドウの動きが止まった?」
白鐘が後ろに行ったのを確認して、完二とりせと一緒にシャドウを抑えていると。不意にそのシャドウが止まった。
「花村先輩、ありがとうございました。」
警戒しながら距離をはかっていると、後ろから声が掛けられた。
「白鐘?もう終わったのか?灰原さんは?」
「彼ならあちらに。」
驚いて声をかけた白鐘に質問すると、指を指しながら返される。
指された方向に目を向けると、シャドウの目の前に灰原さんがいるじゃないか!
「えっちょ、灰原さん!?」
「待って花村センパイ、様子が変だよ!」
慌てて呼び止めようとすると、いつの間にか戦闘モードをオフにして観察していたーー戦闘モードでも観察はできるけどいろいろ難しいらしいーーりせちーからストップがかかった。
それを聞いて様子を見ていると、急にシャドウから煙が噴き出し、元の状態に戻った。
「シャドウが戻った!?どうなってんだ!!?」
「もともと暴走しきってなかったんですよ。」
「そういや・・・昔話とか、他のシャドウはしなかったな。」
完二と白鐘の会話を聞いて一人ごちる。
昔話なんて他のシャドウはしなかった。せいぜい自分の欲望を吐き出しまくってただけだ。
「当たり前でしょう。」
「うお、あのシャドウ生きてやがる」
「そりゃ生きてますよ、倒されてませんからね」
シャドウが驚いた完二に呆れたように言う、確かにこれはさっきまでの灰原さんのシャドウとおんなじだ。
「暴走しきってないのが当たり前って・・・どういうこと?」
「シャドウとは、本来抑圧された“感情”でしかない。
“感情”だけじゃ情報量が足りない、だからその“感情”を誇張して、視聴者の無意識までかき集めて自分自身の前に現れる。そうしないと人としての像を作れないからね。」
りせちーの質問に、灰原さんのシャドウが懇切丁寧に返す。意外といいやつなのか?
「だけど、私は違う。抑圧したものが大きすぎた、“俺”が抑え込んだのは、人間であるという
「だから、“君”は暴走しきらなかった。人としての像を作れる情報量があったから、誇張する必要がなかったから。」
「・・・誇張ってのは、変な風に膨らませるやつだろ?なんでそれがしていないと暴走しないんだ?」
二人の灰原さんの会話に完二が質問する。確かに、それがどうしてもとに戻ることに繋がるんだ?
「「「完全否定されないから。」」」
その答えは二人の灰原さんと、白鐘が揃って答えた。
「・・・直斗さん、分かってたんだ。」
「そうですね、彩君。
僕はあの事件のあと、シャドウの意味について考えました。行きついたのが“シャドウは抑圧された自分を受け入れてほしいから現れる”という結論です。」
確かに、それは分かるかもしれない。
俺らのシャドウは、受け入れられた時が、一番嬉しそうだった。
「逆に言えば、受け入れられるために現れるんです。それが否定されると・・・」
「シャドウにはそれ以外にない、だから存在が完全否定される。八つ当たりもしたくなるってもんだね。」
白鐘の言葉に本物の灰原さんがこたえる。っていうか、灰原さん口調変わってね?
「その点、“君”は違う、“君”は俺が抑えたまま育った別人格。体がないだけで、俺とほとんど変わらないんでしょ?なら、否定されても、“君”が残るだけだ。」
「そういうこと」
・・・二人の灰原さんの会話でなんとなくわかった、気がする
俺たちのシャドウと違って、灰原さんのシャドウはもはや違う人間なんだ。
「・・・さて、そろそろ喋り疲れたかな。ねえ“俺”」
「・・・あぁ、終わりにしようか。“君”の」
灰原さんのシャドウと灰原さんが声をかけあうと。お互いに右手を出して握りしめた。
「俺は人間、灰原彩だ。
君も人間、灰原彩だ。
ゆえに・・・
『お前は、俺だ』。」
「・・・分かりづらい。けど、うん。その通り。」
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俺の人間宣言を聞き入れ、俺のシャドウは光に包まれた。
その光が一層大きくなると。先ほどの巨大な人形ーー俺の暴走シャドウ、だったらしいーーとよく似た人形が現れた。
球体関節は同じ、しかしその和服は白が基調に、傘が藍色の唐傘になっており、顔の般若面が外れていた。その顔は長い髪に隠れて見えなくなっている。
『我は汝、汝は我』
静かな男の声が聞こえる。その声は、この人形・・・俺のペルソナからの声だと、なぜか確信した。
『我は人より生まれ、道具より生まれ直せし生命“カラカサ”なり。
・・・自分が人間だということ、もう二度と忘れないでね。』
もう一人の自分からの最後のエールに答えるように言う。
「こんな生まれ方、忘れられるわけがないよ、カラカサ。」
ステータス
名前:灰原彩
武器:棒(木の棒やら如意棒やら。P5のスカルと違い攻撃力は最低クラスだがクリティカルが頻発する。)
ペルソナ:カラカサ
アルカナ:刑死者
耐性:物理
弱点:光 闇
パラメータ:運が高め、力が低め、それ以外は平均的
スキル:マカジャマ
プリンパ
デビルタッチ
バルザック
ポイズマ
エイジング
ソウルブレイク
バステ成功率UP
解説:唐傘お化け。捨てられた唐傘が意思を持って付喪神に変貌したもの。人を襲うとされているが、どう襲うのかは明確にされていない。
特徴:攻撃手段は通常攻撃(低攻撃力高命中高確率クリティカル)のみ、状態異常投げまくるマン。弱点は光・闇が絶対に命中する隠し補正があること。