仮想世界の探偵『助手』   作:潤々

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再出発~もしくは突発的解散~

「それなら、俺も一緒に行って良いか?」

ジライヤが自分を指さしながら言った。「俺もアルンに用があるんだ。」

「良いですよ、同じ条件でなら。」

「おう。」

わずかな会話の後に、新たに三人を加えてアルンへと飛び立つ・・・前に、キリトの周りを小さな光が飛び回り始めた。

「パパ、浮気はだめですって言いましたよね・・・」

「ちょっユイ、出てきたr「「「「パパ?」」」」・・あ~・・・」

飛び回り始めた小さな光ーーよく見れば、それは人の形をしていたーーは、キリトの顔の前で止まると、キリトと会話を始め、そこで出てきた言葉にヒミコ、スクナ、ジライヤの三人と声をそろえた。花をモチーフにしたようなワンピースと二対四枚の羽根を持つ、長い髪の小さな妖精が、頬を膨らませていた。

キリトは、少女について説明をし始めた。

曰く、自分は初回購入組だが、最近まで別のゲームをしていた。

曰く、彼女はその際に配布されたナビゲーションピクシー・・・つまり、助言用のキャラクターである。

曰く、彼女はその中でも特別製である。

事情を説明したキリトは素早く話を切り替えて空へと飛び立った。

「・・・それにしても」キリトを追いながら探偵がひとりごちる「彼のナビゲーションピクシーだけが特別な仕様であることなんてあり得るのでしょうか。」

「絶対何かあるよな・・・」探偵の独り言をとらえたのは、ジライヤだった「実は運営側の人間とか?」

「いやぁ、ないんじゃない?」ヒミコも会話に入る「それでグランドクエストクリアしたら出来レースじゃん。」

「一度出来レースを行う、という可能性もあります。」探偵は考察する。「そうすることでクリアできることを証明するのかもしれません。」

「そうだとしたら、どうするんですか?もしそうなら迂闊に話できませんよ。」

 今直斗さんがやっていることは、『ALOがSAO帰還者の意識昏睡と関係があるのかの調査』と言い換えることが出来る。つまり、ALOに何かしらの問題があると決めつけているようなものなのだ。ソレを運営の人間が放置するとは考えにくい。

「・・・アルンに着けば別れます」問いかけに探偵は答える「今はたどり着くことを考えましょう。到着後、改めて作戦会議を行います。時間にも限りがありますし。」

「私は時間大丈夫・・・」そこまで行ったところで、ヒミコの顔が曇った「じゃないや、午後から撮影があるんだった。」

「やはり、ですか。」スクナはいつもと変わらない声で言った。どうやらあらかじめ考えていたことらしい「どうしますか?ここでログアウトしますか?」

「いや、大丈夫!」ヒミコは返した「明日はお昼まで寝れるから、アルンまでは一緒に行くよ!」

「無理はしないでくださいよ」スクナはそういうと、先行するスプリガンとシルフのの後を追っていった。

「みんな!」キリトがこちらに聞こえるよう叫んだ「あっちに村がある!一旦休憩しよう!」

「分かりました!」スクナが大声をあげる。

「あれ?」しかし、それにヒミコが、首を傾げた。「アルンの周りに村なんてあったっけ」

 その声に合わせて、マップーー要するに世界地図、ただしズームや町の検索が可能ーーを使い周辺を調べると、奇妙なことが起こっていた。

「・・・ん?」ソレに疑問を抱いて数秒、ソレが意味することにすぐに気付き、叫んだ。「先輩!あの町・・・

 

 

マップに表示がない!町じゃない何かです!」

 

 

 その叫びに反応したのかーーもしくはすでに入っていたキリトとリーファを標的としたのかーー町の地面を食い破るように巨大な口が現れた。

 その口は町--後から考えれば、あれは疑似餌のようなものだったのだろうーーごと二人を食い破り、そのまま地面から本体が現れた。

 ワーム。牙を持った巨大なミミズと言えばいいのだろうか。ソレは口ーー胴体と口しかないがーーをこちらに向けた。

 「戦闘準備!」探偵の言葉に弾かれたように武器を持つ「二人のことは後です!まずは危険の排除を!」

「おっけ!」「おう!」「分かりました!」

ヒミコ、ジライヤに続くようにワームを倒さんと駆け出した。

 

 考える疾風、ジライヤの戦闘はそう感じさせるものだった

 両手に一本ずつ持たれた苦無ーー短剣カテゴリの『コウガナイフ』という武器らしいーーを器用に扱い、連続でダメージを与え、即座に距離を取り反撃を食らわず避けきる。そうやってヘイトを集めて、他が攻撃を行いやすくする。他のプレイヤーに目標が変われば、一気に距離を詰め切って連撃を叩き込む。仲間の位置や、敵の頭の向き等を常に把握し、どう動けばいいかを常に考えて動く、手練れの戦闘だった。

 しかもそのすべての行動が速い、スクナさんの移動速度を超えた、まさに風というべき高速移動で、その全てを行っている。

 ジライヤとスクナ、二人のスピードに翻弄されたワームは、

「「ツクモくん!」(さん)!」

振り下ろされたハルバードを躱せずに、ポリゴンまで粉砕された。

 

「・・・さて」粉砕を見届けてからジライヤが尋ねる「どうする?あの二人いなくなっちまったけど。」

「仕方ありません」探偵は答えた「二人には悪いですが、このまま行きましょう。」

探偵の提案に否を言う者はおらず、アルンへの道ーー空路ーーを進み始める。

 

「あれってどうなるんだろ」空を飛んでいる間に、ヒミコが誰ともいわずに尋ねた「さっきのワーム、飲み込まれたら即ゲームオーバー?」

「・・・どうやら、別空間に飛ばされるらしいですよ。」答えたのは探偵だった、ALOに何かしらのヒントがあると知ったのち、具体的には車に乗ってから、タブレットを用いて情報を集めていたらしい「ニブルヘイム、でしたか。地下の極寒世界のようですね。」

「・・・魔神型の巣窟ですね。ハイプレイヤーでも攻略に人数を必要とするエリアです。全域ダンジョンみたいなもんなんで・・・まあ、実質ゲームオーバーですね。」

「うーあー」先輩に続けて言った内容に、ヒミコは言葉を失ったようだ。

「すぎちまったことは仕方ねぇさ」ジライヤが笑顔でーー無理をした、という言葉が前につくがーー言った「もうすぐアルンだ。行こうぜ」

言いながら加速するニンジャに追いつくように、二人と共に速度を上げた。

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