「……」
暗く色を失った重い空。太陽を遮り、すべて飲み込んでもまだ足りない。
大地には飽きられた人形達。
ある者は気を失い、ある者は虚ろに現実にしがみついている。
もはや立ち上がることも、助けを求めることもできない。冷たい地面に体温が奪われるように体から力が失われていく。
それは一瞬の出来事だった。
彼は言葉を失い、わが目を疑った。
彼の中でこの世のという音はなりをひそめ、時はその羽ばたきをやめた。
自分の呼吸、心臓の鼓動すら耳に障るような静寂の中で、やっと声をしぼりだした。
「……バイキンマーン!」
アンパンマン……
……誰、僕を呼ぶのは?
アンパンマン、戦うんだ……
戦う?
時間がないんだ……。
時間?
「!?」
アンパンマンは目を覚ました。
「夢? 夢か……」
体が強張っている。戦いが終わった直後のようだ。アンパンマンは呼吸を整えながらゆっくりと力を抜きながら周囲を見回した。
暗い部屋。まだ夜だ。
夢だったのだろうか?
暗闇の中か迫ってくるような声が今も頭の中で響いている。
「戦えって……?」
自分で口にして困惑した。一体何と戦えというのだろう?
「うっ!?」
体を動かすとズキンと左腕に痛みが走った。
「えっ!?」
アンパンマンは左腕を見てわが目を疑った。腕のスーツは破け、中の腕まで切り裂かれている。しかし、傷口から血が流れ入るわけでもなく、金属的な何かが鈍い光を放っていた。
「!?」
アンパンマンは慌てて目をこすり、よく見ると腕はもとに戻っていた。今は痛みすら感じない。
……? 夢?
眩暈に襲われている最中のように頭の中がクラクラする。
疲れているのかも……。
アンパンマンは逃げるようにベットの中に潜りこみ毛布の中、自分の左腕を何度も握りしめていた。
どれほどのあいだ気を失っていたのか、私には知るよしもなかった。
わかることはここが自分の知らない場所であること、知らない星であること、そして私以外誰もいないということだけだった。
星も消えるほどの時を過ごしながら、私は私の主を待った。なぜなら主が私を迎えにきてくれるものだと思っていたからだ。
しかし、主は現れなかった。
期待と希望は時を経る事に悲しみと失望に変り、悲しみと失望はやがて不満を生み、不満は怒りとして私の心に深く根を下ろした。
私は一人だった。私は孤独だったのだ。だから仲間を作ることにした。
幸いにして、私はこの世界に来てからというもの今まで存在しなかった自分の能力を自覚しはじめていた。それを利用して私はいくつかの生命を造り始めた。
何故、そのような力が私に備わったのかはわからない。だが、孤独な私にとってそれは何よりも救いであった。
どれほどか時が流れた。仲間も多くなり始めた頃、あの女が現れたのだ。
私と同様に姿こそ変わっていたがすぐに理解した。あの時の女だと。
私は喜びに打ち震えた。この世界で、あの世界の人間に出会えるなんて、私が造り出した生命以外の生命と出会えるなんて、私の知らないことを話せる存在と出会えるなんて!
女の記憶はあの時からそれほど時を経過していないようだった。私はかまわず女を向かい入れた。そして、この世界のことを教えた。
この世界で唯一同じ世界から来た存在。
同じ境遇、同じ敵、違いはそう、男と女。
私達は間もなくしてお互いに特別な感情を持つようになった。
私は女との間に生まれた感情と共に、うすれていた主への思いが蘇り始めた。
それから私達の研究は始まったのだ。
この世界から元の世界へ帰る方法、そして私を見捨てた主に復讐する方法を。