ディス●バリーチャンネルみたく、副音声付きで読んでみてください。
サパンナではちょっぴり名の知れたハンター。
太陽ぺっぱーだ。
今日は現地ガイドのジープ(なんか四角くて、屋根がない車)に乗り込んで、彼女の奔放な日常を覗きに行こう。
よく晴れた昼下がり、ぺっぱーのナワバリである、チョンガマコン川近くの岩場に一羽のウサギが現れた。
ウサギはとにかくすばしっこくてそれにタフだ。
捕まえることは簡単じゃないが、味も栄養も満点。さながら野生の一本満足バーと言えるだろう。
ウサギが川に近付く間に、ハンターの牙はもうすぐそこまで迫っていた。太陽ぺっぱーの登場である。
「普段、こういう『目』を鍛えている者でなければ、草むらに潜むぺっぱーを見つけることは、難しいでしょう。」
(サパンナ区ガイド 真中のん)
「弱肉強食の世界で生きるあのウサギでさえ、ぺっぱーの接近に気づけないのです。」
草むらが不気味に蠢いた。我々が何でもない枯れ草だと思っていたそれが、太陽ぺっぱーの服の模様であり、尻尾であり、靡く(なびく)ペッパーベージュの髪だったのだ。
ウサギが一目散に駆け出す。が、遅すぎた。一瞬の出来事だ。
もう一度見てみよう。
ウサギがノールックで走り出す。ぺっぱーも飛び出す。
ぺっぱーがウサギに追いついた。ウサギの首に噛み付いて、そのまま別の草むらになだれ込んだ。
洗練された動きに、それを可能とする四肢の筋肉。
一秒にも満たないVTRの中に、ハンターの美学が収められた。
「前足の爪は私が切ってます。じゃないと走る時に割れちゃって、痛いからね。それよりも見て!すごい腕の筋肉と、キバ!うわぁ。すごい…。ペッパーって、もうちょっとアイドルらしくした方が良いって思わない?」
見事、朝食を手に入れたぺっぱーは、満足そうに巣穴に戻っていった。焼いて食べるのか、はたまた生でペロリと行くのかは、想像に任せるとしよう。
サパンナの日が傾き、空は薄暗い青紫色へと変わっていく。
ジープにはサパンナを快適にドライブする為の便利な道具がたくさん入っている。
非常食はもちろん、きれいな水のタンク、野営用の寝袋、テント、懐中電灯、虫除けスプレー、クッション、ガソリンランプ、フライパン、そして、マシンガン。
虫刺されから、密猟者の襲撃にも対処できる。
我々はぺっぱーのナワバリ近くに小さなキャンプを完成させ、道具の中で一番高価な望遠カメラを三脚で固定した。
「これでよしと!運が良かったら今夜中にまた見れるかも?ぺっぱーってごはんの時以外は基本寝てるからね…。」
ライオンは群れで行動する動物だが、ぺっぱーはライオンでは無いので1人でこの巣穴に住んでいる。その分ナワバリに侵入する者には敏感だ。
我々が夕食の準備に取り掛かろうとする頃、カメラに何かの影が映った。オスのハイエナだ。かなり大きい。双眼鏡を覗くガイドの表情に、緊張が走る。
彼女が異変を察知して飛び出してきた。しばらくはお互いに体を大きく見せたり、唸ったりしている。
どうやら、侵入者はぺっぱーのナワバリを狙っているようだ。彼女の威嚇にも怯まずに牙を剥く。この素敵な岩場を、なんとしても我が物にするつもりだ。
鳴き声がサパンナの草原に響いた。
「あー。」
ぺっぱーがすくみ、逃げるようにハイエナに背を向けた。
その瞬間、敗者が決まった。ぺっぱーだった。
「もー!ぺっぱーのいくじなし!って思うでしょ?でもこうするのが正解。もしも戦って足とか、牙とかケガしたら、もうサパンナで生きていくのはムリだから。」
ハイエナは新しい住処を歩き回っている。
我々の落胆を他所に、小高い岩の上に座って満足そうにしている。
「がうーーーーー!!」
その時だ。信じられないことに、去ったはずのぺっぱーが岩場に戻ってきた。
そして右手に持った槍で、ハイエナをひと突き。
あれだけ歴然だった立場が、一瞬で逆転した。敗者は勝者になり、侵入者は夕飯になってしまった。
あっという間の出来事だったが、これは決して珍しいことではない。嗅覚を鈍くする慢心は、サパンナで生き残る為には捨てなければならないのだ。
ウサギを捕まえた時と同じく、太陽ぺっぱーは抜け目無いハンターとして私達の前にあり続けてくれた。
「まぁでも、槍はちょっと卑怯かもね…。」
「じゃあぺっぱー連れてくるね、ハイエナなんて食べたら病気になっちゃう。おーい!」
「のん!見ろ!敵やっつけた!」
「見てたよー、でもハイエナは持ってかないからね!」
「なんでだ!うまそうだぞ?」
「え、絶対うまくないよ…。ほら、ジャパリまんあるからもう戻ろ?」
「うほ!ジャパリまん好きー!」
サパンナの有能なハンター。
太陽ぺっぱーの休日は終わりを告げた。
揺れる後部座席でガイドの肩に寄り添うぺっぱー。その天使のような寝顔は、彼女が人間の女の子であり、そしてプリパラアイドルであるという事を我々に思い出させてくれる。
明日からまた、パラ宿での活動が始まる。
ハンターとアイドルの2つの姿で、これからも見る人に笑顔を与え続けるだろう。
素晴らしい充足感を胸に、我々は夜のサパンナを後にした。
ペッパーはわりと人間離れしているところがあるので、休日のスタイルもバリバリ野性的だったりするのかななんて、妄想してみました。
ジープを運転しているのは保護団体のオッサン、助手席にはアニマルドクターのオッサン、そして後部座席にガイドののんが乗っています。ちりは虫とか嫌いそうだからついてきません。ウサチャ…。