魔法少女リリカルなのはVampire Blood ~真祖となった少女~ 作:アリヤ
『魔法戦記リリカルなのはmemories 〜幼馴染と聖王の末裔〜』が無事完結しましたため、こちらの執筆を開始しました。
プロローグを投稿してから一ヶ月も経過していませんが、待っていた方はお待たせいたしました~
それでは、どうぞ!!
第一話
四月――今日は私立聖祥大学付属小学校の入学式が行われ、今日から私立聖祥大学付属小学校の生徒として学校生活を送ることとなる。
既に体育館での入学式は終え、私は自分の教室で指定された席へと座っています。みんな幼稚園や保育園、幼馴染などからの友達と話している光景が見えていましたが、私は幼い頃から友達という人物はいないし、そもそも吸血鬼になったせいで公園にもいかなくなっていた。そのため、私は椅子の上でただ座っており、先生が来るをただじっと黒板を見つめながら待ちました。
ただ、さっきから一人だけ私へ向けて視線が感じられることに気になっていたが、今は特に気にしないことにした。気になっているのならば向こうから話しかけてくるだろうし、わざわざこちらから話しかける必要性がなかったからだ。
少しすると、この教室の担任――要するに私たちの担任の先生が教室に入ってきて、先生が教卓に立つと手を叩いて生徒たちを静かにさせた。それから担任の先生はプリントや教科書などを渡していき、連絡事項などを話していきました。
それらの事がすべて終わると、丁度チャイムが鳴り響き、今日はこれで終了だと先生が伝えてきました。それからは友達などと一緒に下校する生徒や、これは少数ですけど、新たにできた友達と一緒に下校する生徒もいたが、私はそのまま立ち上がって、誰かと一緒にという事はなく一人で下校することにした。
「あ、あの、高町さん」
「はい、なんですか?」
「あの……その……」
そう思って教室を出ようとしたが、誰かが私を呼び止める声が聞こえたため、私は足を止めて振り向きます。その人物は、先ほど私に視線を何度か向けていた人と同一人物で、藍色に近い髪にカチューシャを付けていた女の子だった。視線は感じたが、あまりその子の事を見ていなかったため、細かく容姿を見たのはこのときが初めてだ。
私としても視線を向けられていた理由を聞きたいという事から、彼女の話を聞くことに決めたが、私を呼び止めてから何も話そうとする気配はなかった。こんなところで時間を使うつもりなんてなかったため、私から話しかけることにしました。
「……あの、話がないのなら行きたいのですけど」
「まって!! 話そうとは思ってるのだけど、その……ここだと人がいるから」
とても話しにくい内容なのかと私は思ったが、正直どこへ行けば二人っきりになれるのかという事は入学したばかりだったため分からなかった。私としてもどこかへ移動したいところだが、どこへ行けばいいのか分からない状態で彼女と一緒に歩くのは、吸血鬼としても余りよろしくない。
私が真祖となってから、私を殺すためかヴァンパイアハンターみたいな人間が何度も私の前に現れては、その度に私は追い帰したり、殺したりすることもあった。街中ではどこにヴァンパイアハンターが隠れているのか分からないため、余り自由に歩くことはよろしくなかった。
とはいえ、ここで話すわけにもいかないとも思っていたため、どうしようかと私は考えていたが、突然と彼女が私の右耳へと近寄り、小声で話してきました。
「……ナノハ・
「っ!?」
思わず彼女から後ずさり、すぐさま警戒をする。しかしすぐに冷静に考え、こんな幼い彼女がヴァンパイアハンターなわけがないだろうと思い、そうなると残る可能性としては一つしか残ってなかった。
「……同種か」
「うん。夜の一族――月村すずか」
再度私の右耳に近付き、小声で彼女が誰なのかという事を告げてきた。
夜の一族――ノキア・エスティミナ・アンデュメイルが姿を消す前に手助けしてくれるだろうと言ってくれた一族。まさか、こんなところで会うとは私も思ってはなく、しかも同い年という事にも驚きだった。
余談だが、夜の一族はアンデュメイル家の吸血鬼と同じで特殊な吸血鬼の一族でもある。血を吸う行為はするらしいが、眷属を作らない一族でもああるため、真祖というものも存在しない。ならどうやって子孫を残しているのかというと、人間と同じ生殖行為をするだけで、これは人間、もしくは吸血鬼の真祖ならば誰でも構わないらしい。らしいというのは、これもまたノキア・エスティミナ・アンデュメイルに聞いた話だからだ。というか、私の吸血鬼の知識はノキア・エスティミナ・アンデュメイルから聞いた内容しか知らない。
「……まさか、同級生だとは思ってなかった」
「私もだよ。教室に来て高町さんが新たな真祖だとは思ってなかった」
「やはり、そういうのって気配でわかるものなの?」
「有名な一族はね。でも、今回はそれだけじゃなくて、高町さんの兄と私の姉が知り合いだから、余計驚いちゃって」
月村という名字に聞き覚えがあるなと私は思ったが、月村さん――いや、すずかのおかげでその理由がようやく分かった。
私の兄――高町恭也は月村忍という女性と付き合っている。その月村忍というのは多分すずかの姉で、すずかとしても私がアンデュメイルの真祖だとは思いもしなかったのだろう。世の中は広いようで狭いという言葉があるが、正直こういう偶然が起こると納得してしまうくらいだった。
「ねぇ、月村さん、すずかって呼んでもいいかな? すずかの姉もこれから話すことにはなりそうだし、名前で呼んだ方が分かりやすいから」
「全然構わないよ。私もなのはちゃんって呼んでもいいかな?」
「こっちも構わないよ。それじゃあ、これからいろいろとよろしくね」
生まれて初めての友達が今ここで出来ましたが、正直すずかと友達になったおかげで入学する前の不安は多少無くなっていた。すずかとの付き合いとしては友達としても、吸血鬼としても仲良くやっていきたいと私は思った。
「それじゃあ、一緒に帰ろっか?」
「うん。これからもよろしくね、すずか」
それから私とすずかの二人は、一緒に下校することとなり、一緒に学校を出て行きました――
学校を出て、それぞれの家へと帰りつつも、私は一度周りに人が少ないことを確認してから、すずかに頼んでおきたいことを今のうちに話しておくことにしました。
「ねぇすずか、ちょっといいかな?」
「ん? どうしたのなのはちゃん?」
「吸血鬼についての事なんだけど、私が眷属だったころからあまり詳しく聞いていないんだ。だから、吸血鬼についての事などをいろいろと教えてくれるとうれしいかなって」
「え? 先代のノキア・エスティミナ・アンデュメイルに聞いていなかったの!?」
「最低限度のことぐらいしか。私、ノキア・エスティミナ・アンデュメイルが最後に姿を消すまで、自分が吸血鬼だという事を受け入れられなかったから――」
すずかはノキア・エスティミナ・アンデュメイルから吸血鬼についてあまり聞かされていないことに驚いていた。まぁ、新たに真祖になる眷属に対して、吸血鬼についての事を教えていなかったのは、普通に考えておかしいことなんだろうというのは私でも何となく分かっていた。というより、ノキア・エスティミナ・アンデュメイルが元々放任主義だったせいでもあるような気もしているし、そうでなければ夜の一族に頼れなんて言わないだろうとも私は思った。
「……分かった。吸血鬼については私が教えてあげるね」
「ありがとう。今日友達になったばかりだというのに頼んでばかりで」
「別に気にしてないよ。私も、友達ができないのかなと心配していたから」
そういえば、視線を感じていたために何度かすずかの方に振り向いていたが、誰かと話しているような光景は一度もなかった。もう一人誰とも話していない女の子が居たけども、今はその子の事は良いとしても、すずかが私と同じで一人で、私と同じように友達ができるのかと心配していたのだろう。結果的には私と友達になることができ、私もすずかも安心はしていたのかもしれない。
「話を変えるけど、すずかの家ってどこ? ずっと一緒の方向というわけじゃないし」
「えっとね――」
話を変え、私がすずかの家を聞こうとしてすずかがその受け応えをしようとした刹那、何者かの気配を感じ取った。すずかもその気配に気づいたようで、すぐに笑顔な表情が消えて真面目な顔へと変わります。
「なのはちゃん……この気配ってもしかして」
「多分、ヴァンパイアハンターでしょうね」
ヴァンパイアハンター――吸血鬼狩りとも言われている奴らの事を指し、その名の通り私たち吸血鬼を狙っている奴らの事だ。
気配を隠しきれていないあたりからそれほど強いヴァンパイアハンターではないと私は推測しますが、どの方向から攻め込んでくるのかは把握できていないため、どこから来てもいいように備えておきます。
「すずかは後ろを頼む。私は前を見張っておくから」
「分かった。というか、今気づいたけどこれって」
「人払い……
正直甘く見ていたのかもしれない。吸血鬼が二人いるから攻めてこないだろうという錯覚をしていたのが、すべての失敗だったと今更気付いた。
こうなってしまった以上は、逃げるよりも迎え撃つ方が良さそうだと判断し、そして私は左手の爪で自分の右手に切り傷を付けます。
アンデュメイル家の再生能力は他の吸血鬼とさほど変わりないが、自分の意志で再生させないようにすることができる。どうして使えなさそうな力があるのかというと、アンデュメイル家の真祖と眷属が使える能力に関係があった。
私は、自分で切った傷からあふれてきた血を
「……やっぱり、アンデュメイル家の真祖なんだね」
「もしかして、あまり信じられてなかった?」
「うん。力を見るまでは本当かどうか正確に分からなかったから」
「そっか……っ!? くるっ!!」
一気に私達へと近づいてくる気配を感じ、私の目の前まで気配が感じられると、突然と何者かがその場に現れ、私に向けて切り刻もうとした。だが気配で大体の位置を把握していたため、私はそれに合わせる様に先ほど血で作成した刀で防ぎます。
「ちっ、仕留め損なったか」
「アンデュメイル家がそう簡単に仕留められると思っていることが、私には分からないねっ!!」
普通この光景を見て、誰だって私の方が押しきられてしまうだろうと思われるが、私は吸血鬼であるため、本気を出せば人間程度の力なんてどうとでもなった。
私はそのまま押し切り、押し切ったことによってバランスを崩したヴァンパイアハンターの右腕を切断するように切り込んだ。腕はそのまま地面へと落ち、当のヴァンパイアハンターは何が起こったのかすぐに理解できていないようだった。
「あ……あああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああ゛あ゛あ゛ああああ゛あ゛あ゛あ゛ああああああ゛あ゛ああああ゛あ゛あ゛あ゛あああああ゛あ゛あ゛っ!!!!」
ようやく状況が把握できたのか、自分の右腕が無くなっていることに気付いたようだ。それから私の姿を見て恐怖をしたのかそのまま地面へと座れこみ、後ろへと下がっていた。
「……こんなのがヴァンパイアハンターなんてね。あまりにもあっけない」
「ひぃっ!!」
「もうなんもしないよ。逃げるならさっさと逃げて。まだ私たちを殺そうとするのならば本気で行くけど」
その言葉を聞いて、ヴァンパイアハンターは人払いを解除させて、目の前の人物は私たちから逃げていくのだった。
居なくなったのを確認して、私は血で作成した刀を解除させ、蒸発させていった。出血し続けてさせていた傷も回復能力で治し、残るのは私が切ったヴァンパイアハンターの腕だけだった。
「なのはちゃん……すごい」
「あんなの、ヴァンパイアハンターでも雑魚だよ。私を殺そうとする何も策を考えていない雑魚共が自殺しにきてるようなものだよ。なんども同じような雑魚に遭遇したこともあったし」
「やっぱり、アンデュメイル家の真祖だから?」
「そうだと思う。夜の一族もヴァンパイアハンターからは有名だろうと思うけども、やはり吸血鬼の弱点を何一つ持っていないアンデュメイル家はヴァンパイアハンターとしても警戒しているのだと思う。寿命になるまで死ぬことはないという事を信じられないのだろうね」
「そっか……なのはちゃんは強いね」
「強くなんかないよ。私は唯の臆病だから――」
私は今では吸血鬼だという事を受け入れることはできたが、今回のようにヴァンパイアハンターが逃げてくればいいが、逃げないでさらに襲い掛かってくるときもあるため、その時は殺さなければならない。すでに何人か人を殺めることがあるが、人を殺めることには未だに慣れず、その度に胸が苦しくなってしまう。ヴァンパイアハンターでも強敵に会うことはあるだろうし、そのようなヴァンパイアハンター達を殺める必要が出てくるのは分かっているため、人を殺すことを躊躇っている場合ではないが、どうしても躊躇ってしまう。だからこそ私は臆病で、人を殺めることに怯えて怖がっているのだから――
「それじゃあ、私たちがこんなところいると面倒だから行こうか」
「そうだね。帰ろうか」
幸いにも返り血は浴びることはなかったため、私たちは腕をそのままにして帰っていくことにした。
余談だが、帰った後の夕方のニュースにて、腕が落ちていたという不思議な事件が報じられたりしたのですけども、私は知らんぷりをしていました。
なのははすずかのことを「すずかちゃん」ではなく「すずか」で呼んでいるのは仕様です。