魔法少女リリカルなのはVampire Blood ~真祖となった少女~ 作:アリヤ
あれから二年と数日後、私は吸血鬼だということを伏せながら生きていき、すずかと共に小学校も普通に通っていました。
この二年間同じ吸血鬼であるすずかを見ながら思ったことは、アンデュメイル家が血を吸うという衝動が一度もないという事が、どれだけありがたいことなのかという事を改めて思い知らされ、血を吸う必要がないというのは個人的にありがたいことだった。眷属の頃から血を吸う必要はなかったのだが、小学校みたいに人が集まるところで、血を吸いたいという衝動に駆られないというのは安心して生活ができ、輸血パックで何とか補っているすずかを隣で見ていたらとてもありがたいとも思ってしまった。
現在の時刻は午前八時半頃で、私が通っている私立聖祥大附属小学校へと行こうとしているところで、家の近くで立ちながらスクールバスを待っているところだった。私は夢の中で見たある出来事を着になり、バスが来るまで考えていた。
何の夢だったのかと言えば、はっきり言ってしまえば現実的にありえない夢に思えた。私が暮らしている海鳴市の公園のところで、真夜中になんだかよく分からない少年が、魔物に追いかけられているという光景だった。その少年は魔物に対抗し、封印みたいなのをしていたのだけど、結果的には魔物を逃がすこととなりその少年はその場に倒れ、誰かに助けを呼ぶような夢。夢にしてはあまりにも細かすぎて何かあるのではないかと思い、今もそのことを考えていた。
その場で待ち、夢のことについて考えてから数分後、バスが近づいてくる音が次第に大きくなり、バスの姿も見えてきました。バスが私が立っているところで止まり、バスのドアが開いたのを見て私は中へと入り、入ってすぐにバスの運転手に挨拶をして、バスの奥へと入っていった。
「なのは、こっちこっち」
奥に入ってすぐにすずかともう一人の友人を探そうとしていたが、その前にそのもう一人の友人が私を呼んでいる声が聞こえ、声を頼りにどこにいるのかを探すと、最後尾でその友人が手を振っている姿をすぐにみかけた。その隣にはすずかの姿もあり、笑顔でこちらを見ていました。
私はすぐにその二人の友人のところへと向かい、二人が真ん中を空けて、開けてくれたところに私は椅子を座った。
「おはようすずか、アリサ」
「おはようなのは」
「おはよう、なのはちゃん」
私はすずかともう一人の友人――アリサ・バニングスに挨拶をして、私が椅子に座ったことをバスの運転手が確認してからか、バスは動きだし、次々に私立聖祥大附属小学校の生徒を乗せていき、私たちは他愛無い会話をバスで繰り広げながら、私立聖祥大附属小学校へと向かっていった――
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「ところでさ、二人は将来どうするの?」
私立聖祥大付属小学校に着いて、自分たちの教室で午前中の授業を受けた後、昼食を食べに屋上へと向かい、屋上にある長椅子に三人で座って食べていると、アリサは先ほどの授業で会った将来の事についての話をしてきた。
授業中でも先生に将来の事を今から考えておくのもよいかもしれないとは言われたが、私はその質問に対してかなり悩んでいた。
すずかの姉――月村忍さんから吸血鬼の生活について前に詳しく聞かせてもらったのだけど、普通に昼でも日常生活ができる吸血鬼というのは世界の生活に溶け込むという事で、普通に仕事を就くものが多いらしい。これは普通の人間のように溶け込むだけではなく、世界の状況を仕事を通じて監視するという役目があるからだ。
吸血鬼というのはただ人間の血を吸って生きるだけではなく、世界情勢について監視するという役目を持っている。元々これは吸血鬼がヴァンパイアハンターなどによる生活を邪魔させないために、影響力がある会社に職を就いて、その国々の内部情勢などを知ることから始めたことだった。しかしそれがこの地球に拡大していき、今では世界を裏で監視する組織みたいなものになっていた。
ヴァンパイアハンターという、吸血鬼が裏で掌握していることに嫌っている者がいるけども、
ちなみに、すずかは将来の事はすでに決めてあるらしく、家の後を継ぐらしい。月村家は日本の政界に関わるほどの有名な会社であり、ヴァンパイアハンターはそれを嫌っているが、裏で日本を操っていると普通の人間からでも言われるほどだ。月村家は元々日本の情勢を把握するための中心的な一族で、すずかもその後を継ぐつもりでいた。そのため、次にすずかが言うだろうセリフが何か、私はすでに分かっていた。
「私は、家の跡継ぎかな? お姉ちゃんと共に仕事を支えることになるかと」
「まぁ、すずかはそうだろうね。あたしも家の後を継ぐことにはなるだろうけど……なのはは?」
「私は……」
正直言えば、まだ何をしているのかというのは、未だに想定すらできていなかった。
アンデュメイル家は今までも自由に動き回るが、これと言ってどこかの国を監視するわけでもない。アンデュメイル家は吸血鬼の中で力を一番持っている一族であるため、吸血鬼の最終兵器とヴァンパイアハンターから言われるほどでもあり、月村家とアンデュメイル家は世代が何度も変わろうと互いに仲が良いため、同族の吸血鬼からも月村家のジョーカーと言われているらしい。アンデュメイル家の真祖となったばかりで、吸血鬼としては浅い私からすれば、あまり実感がわかないのだけど。
また、アンデュメイル家は基本的自由に動き回れるので、これと言って何かに仕事を就く必要もなかった。というより、緊急事態の時とかのために、なるべく職を就くことをしないようにと他の吸血鬼の一族から言われているほどで、ノキア・エスティミナ・アンデュメイルも何も職に就かず、自由に暮らして金の仕送りは月村家から貰っていたらしい。とはいえ、何も職に就かずにただのんびりと暮らしていくのは個人的に嫌だというか、堕落しそうな気もしたので、生活に関しては自分で何とかやりくりしたいという気持ちがあった。職に就くなというのはそれほど強制をしているわけでもないから、私は職を就くつもりで何をするのか今現在考えているところだった。
「……まだ、考えてるところかな? 時間を掛けて考えようかなと思ってる」
「そっか。まぁ、それもいいと思うわよ。夢が今からあるというのは少ないわけだし」
「アリサちゃんの言うとおりね。夢が決まっていても他の仕事も目に入れておくというのは私たちもありなのかもしれない」
「ま、時間はたくさんあるんだから、私たちも今目指している将来以外に目を通しておこうかな?」
すずかとアリサの二人は私の言葉を聞いてからなのか、自分たちが考えていた将来以外の事も考えてみようかなと思い始めていた。
それから少しして昼休みの時間が終わる頃であり、私たちはすでに食べ終わっていた弁当を片付けて教室へと戻って行った――
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学校が終わり、すずかとアリサの二人と共に下校し、夢で見た海鳴市の公園を歩いて三人で塾へと向かっていた。本来この公園は塾へと行く道ではないのだけど、アリサが塾への近道だという事でこの公園を歩いて塾へと向かうことになったわけだ。
私はこの公園に入ってから夢の事を思い出し、どうしてかそのことが気になってしまった。逆にその夢で何か巻き込まれてしまうのではないかと、余計な考えをしてしまったから、何事も起こらず取りすぎることを内心望んでいた。
「あ、こっちこっち。ここを通ると塾への近道なんだ」
「へぇ~そうなの?」
「…………」
公園でも周りに木々が立っている通りを通ることとなり、私は尚更不安になった。しかも夢で見たところとほとんど似ていたため、このまま何事も起こらず通り過ぎることを祈りつつ、私はアリサの後を追うように歩いて行った。
《……助けて》
「っ!?」
夢で聞いた声と同じ声――それが私の頭を直接響かせるように伝わってきた。思わずその声を聞いて足を止めてしまい、足を止めた私を見て、すずかとアリサの二人は私へと振り返ってきた。
「なのは? どうしたの?」
「……ねぇ、なにか今聞こえなかった?」
念のため私はすずかとアリサにも聞こえたのかと確認するために、二人に確認をとることにした。二人は私が何を言っているのか理解できていないのか、思わず首をかしげていました。
「別に……」
「なにも、聞こえてないけど?」
「……気のせいなのかな?」
「……? とにかく、行くわよ」
二人に聞こえてこなかったという事は気のせいなんだろうと思い、忍さんから魔法について多少聞かされたことをこの時の私は忘れていました。アリサが塾に遅れるかもしれないと思ったのか、とにかく先へ進もうとして、私も後に続こうとしたその時だった――
《助けてっ!!》
「っ!?」
「ちょ、なのは!?」
声を二度も聞いて気のせいじゃないと思った私は、思わず声が響いてきただろうという方向へと走っていた。吸血鬼になって、こういう厄介ごとはなるべく避ける様にしていたのだけど、私の性格の聖なのか、助けを求めている人を放置することができず、あまり思考もせずに走り出してしまったのだろう。
そして走り続けること数十秒後、私は夢で見たフェレットの姿がその場に倒れて怪我をしているところが見え、思わずそのフェレットに駆け寄った。すずかとアリサも後に続くように来て、フェレットが怪我をしている姿を見て二人とも驚いていた。
「な、なのは、そのフェレット――」
「うん、怪我をしてるみたい」
「と、とにかく動物病院に連れて行こう!! 一回家に連絡して近くに動物病院がどこにあるか聞いてみるね!!」
すずかは家で猫を大量に飼っているため、動物病院がどこにあるのか把握しているのだろうと思い、家へと連絡を取った。すずかは事情を説明して、近くに動物病院をすずかの家族――月村家に聞き、それから少しすると動物病院がどこにあるのか聞くことができたからなのか、すずかは電話を切って私とアリサの方へと体を向けてきた。
「これから先にあるらしい」
「よし、とりあえずそこへ向かおう!!」
私たちはフェレットの怪我を治すために、塾による前にすずかが聞いた動物病院へと向かった――