魔法少女リリカルなのはVampire Blood ~真祖となった少女~ 作:アリヤ
動物病院でフェレットを預けた後、私たちは塾に遅刻しそうになったため、急いで塾へと向かった。
その塾の授業中、私たちはフェレットをどうするかという事を塾で授業を受けている間に、紙で書いて伝達をしていた。正直言えば、このフェレットを飼うことになると、面倒なことに巻き込まれそうだというのは、夢で見たことからして察しがついていた。そのため、フェレットを私の家で飼う事だけは避けたいという気持ちではあったが、すずかもアリサも他の動物を飼っていることからして、必然的に私が飼うことになりそうだった。夢の事が気になって飼いたくないなんて言えるわけがないため、私は家族に聞いてみてからにするという最善な返し方を二人にしておいた。
フェレットの件はそこで終わり、塾が終わった後、私たちはそれぞれ自分の家へと帰った。家に帰って数十分して夕食となったが、そこで私は先ほどすずか達と話していたフェレットを飼っていいかについて話した。
「ねぇ、フェレット飼っていいかな?」
「フェレットか…… ところで、フェレットってなんだ?」
私の父親である高町士郎はフェレットがなんなのか分かってなく、思わず私たちはずっこけそうになった。
「イタチの仲間だよ」
「小さくて今とても人気がある動物なんだ」
お父さんにフェレットについて兄の高町恭也と姉の高町美由希の二人が教え、お父さんはそれを聞いて腕を組んでいた。
正直な事を言えば、フェレットを私の家で飼いたいとは思っていないため、飼うのを拒否してほしいという気持ちがあった。しかし、私の家族には動物を飼ってはいけないと言った理由はないため、飼うなと言われる可能性としては低いというのは分かっていた。しかし、そのわずかな可能性を信じたいという気持ちも私にはあった。誰だって何か大きな事件などに巻き込まれるのは嫌だろうし、私だって嫌だ。既に吸血鬼という事件に巻き込まれている身としてはこれ以上事件に巻き込まれたいと思うはずがなかった。
「まぁ、なのはがしっかり飼うというのなら、飼ってもいいわよ」
「っ!? うん、ありがとう!!」
本音と真逆の笑みを浮かべた顔をした。飼うことが決まってしまったことは仕方ないことだし、私は時の流れるままに任せることにした。
それから夕食が終わり、私は自分の部屋へと戻ってすぐにすずかとアリサにメールで、私の家でフェレットを飼うことになったという事を伝える。送ってから少しして二人から返信が着て、文面を見て少し胸が苦しくなった。最初から私はあのフェレットを飼いたいという気持ちはなかったため、よかったね、などの文章を見て辛かった。
二人からのメールを読み終わったあと、私は窓を開け、窓の近くにあった靴を履き、開けた窓から屋根に登った。ノキア・エスティミナ・アンデュメイルが亡くなった後も、家の屋根は今でも私の安らぎの場所であり、昔は一人になりたいときに来ていたが、今では吸血鬼の事などの問題を考えずに落ち着かせる場所へと変わっていた。
「やっぱり、ここは落ち着くな」
屋根に登った後、私は屋根に座って両腕を上に伸ばした。吸血鬼の特性がない私ではあるが、昼よりも夜の方が落ち着くというのは変わりがなかった。これはすずかも同じで、夜の方が気分が良くなるらしく、私もそれと同じような感じだった。
《――たすけて!?》
「ちっ、またですか」
そのまま後ろに倒れようとしようとした直後、またしても私の脳に直接伝えるように助けを求めてきて、それを聞いて思わず舌打ちをしてしまった。
このまま無視しようとも考えたが、これから何度も同じように助けを求め来られるほうが嫌だったため、私は屋根を飛んで道路へと着地し、フェレットが居る動物病院へと走った。
元々私は吸血鬼になる以前は運動が得意ではなかったのだけど、吸血鬼になってからは速く走れるようになっている。すずかは生まれた頃から吸血鬼だから走ることに対してさほど気にしていないが、元々人間だった私としてはまるでドーピングしているかのように考えてしまい、学校の徒競走などでは手加減をするようにしていた。すずかはそのことを知っていて別に気にすることではないと思っているが、私にとってはかなり気にすることだった。
こういう緊急時には吸血鬼として得た力を存分に使うようにはしているが、日常生活ではなるべく使わないように抑えている。とにかく私は、動物病院へと急ぐために、かなりの速さで走っていた。
動物病院へと着くと、これと言って変わりがなかったが、周りの雰囲気がなにか変っていることに気付く。一体何が起こっているのか私には理解できず、ヴァンパイアハンターでもこんな大きなことをした人間は今まで見たことがない。とりあえず、いつでも何が起こってもいいように、私は警戒をしながら動物病院を見ていた。
その数十秒後、突然動物病院の壁が壊れ、そこから魔物みたいな生物がフェレットを追いかけていた。即座に私は自分の左手の爪で右手の人差し指を切り、あの魔物がいつでも来てもいいように構える。フェレットは襲い掛かってくる魔物から何度も避けていたが、魔物の方が私の姿を見た直後、フェレットから私へと襲い掛かろうとした。
「あ、あぶないっ!!」
かなりの速さで私に近付いてきて、それを見ていたフェレットは私に逃げるようにと言ってきます。しかし私はフェレットの言う事を聞かず、人差し指から出血していた血を操って私の前に血で壁を作り、魔物はその壁に衝突してきた。
「くっ、なんていう力っ!?」
思った以上に力が強く、吸血鬼の力のおかげで何とか耐えられるほどではあったが、これ以上の力が加えられたらきついほどだった。
しかし、これだけで終わるわけがなかった、魔物は直進するのをやめたが、すぐに飛び上がり、私を上から押し潰そうとしてきた。私はそのまま血で作った壁を上に向けて防ぐことにするが、重力も加えられているのでこのままいけば押し潰されることは私でも分かった。
ならばこの状態でどうにかすればいい。そう考えた私は両手で血の壁を持っていたが、左手だけでなんとか踏ん張るようにした。片手だけだとさらに耐えられなくなるというのは分かっていたが、どうしても片手を自由にさせておく必要があり、その手が空いた右手で血を使った刀を作り、そしてその件を壁を突き破って魔物にぶっ刺した。これくらいで倒れるとは思っていないが、この状況は何とかなると思い、案の定魔物は血でできた刀に刺されたことによって、私から一旦離れていった。
「とにかく何とかなったけど、状況はあまり変わっていないか……」
「あの……ちょっといいですか?」
私がどうやってあの魔物を倒すべきか考えていると、すっかり忘れかけていたフェレットに話しかけられた。
魔物の反応を伺いつつも、私はフェレットに視線を送り、要件について聞いた。
「……なに、余り今話しかけないで――」
「あの魔物を簡単に倒せる方法があります」
私は魔物の倒し方を考えていたため、フェレットの言葉を軽く聞き流すつもりでいたが、魔物を倒せる方法があると言われ、思わずフェレットの方に顔を向けた。
しかし、時間を与えてくれるわけがなく、魔物は私たちの方へと突っ込んできた。すぐに気付いた私はすぐさまフェレットを抱えて上へと跳び、道路に着地します。一旦魔物から距離を取るために私は動物病院から離れていき、その間にもフェレットに倒せる方法について聞くことにした。
「それで、あの魔物をどうやって倒せるの?」
「あなたには素質があります」
「素質?」
「はい。魔法の素質です。とにかくこれを」
フェレットに言われ、紅い小さな球体渡された。一体これがなんなのか分からないけども、魔法と聞いても私はさほど驚かなかったし、逆に今までの出来事について理解できたというくらいだ。魔法については知っていたけども、この世界には存在しないと言われていたため、今までの夢や脳内に直接伝えるようなことが魔法だと推測できなかった。
それにしても、魔法にも素質というのはやはりあるらしく、まさか自分に魔法の素質があるとは思いもしていなかったから驚いた。とにかく、突然紅い小さな球体を渡されたところで何をすればいいのか分からない私は、フェレットにどうすればいいのかを聞いた。
「それで、これでなにをすれば」
「僕の言葉に続けて、同じ言葉を言ってください」
「……それでいいのね」
「はい。それではいきます!!」
私は足を止め、そしてフェレットが言った言葉に続いて同じ言葉を言った――
「我、使命を受けし者なり」
「我、使命を受けし者なり」
「契約のもと、その力を解き放て」
「契約のもと、その力を解き放て」
「風は空に、星は天に」
「風は空に、星は天に」
「そして不屈の心は」
「そして不屈の心は」
「「この胸に。この手に魔法を」」
「「レイジングハート、セットアップ――っ!!」」