【ネタ】転生特典はFateの投影だった   作:機巧

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二章2話「アニオリってさ、当たり外れ多すぎ」

 

 

 

その1週間は、ヴェルフにとって転換点とも呼べるものであった。

 

ヴェルフはダンジョンに同行する仲間、ベルとエミヤとリリを見つつも、少し前のことを思い出す。

 

ヴェルフがベル達とパーティを組むことになった理由は単純だ。

ヴェルフはベルに鍛治の専属契約を結ぶことを提案し、ベルがそれを承諾することになり、それによりヴェルフがレベル2になるまでパーティに入ることとなったのだ。

 

なぜヴェルフがレベル1の、それも戦闘にかんしては無名ファミリアのベルと専属契約を結ぶことになったのか。

 

それは「Fgo」というアニメが大きく関係していた。

 

 

◾︎

 

 

クロッゾの魔剣。

それは、エルフでは忌み名として、それ以外の種族でも、ほとんどのものが知っている魔剣である。

 

その魔剣から放たれる魔法は──

曰く、エルフの森を焼き尽くした。

曰く、盆地を湖に変えた。

曰く、一撃で怪物を灰燼へきした。

そして。

曰く、本物(オリジナル)の魔法を超えている。

 

こんな途方も無い空想のような実話がクロッゾの魔剣にはつきまとう。

そのような魔剣を打てる理由は初代のクロッゾが、とある精霊を助けた時、恩を感じた精霊に血を与えられたこと起因するという。

 

【魔剣血統(クロッゾ・ブラッド)】。

それが、ヴェルフの持つスキルの名だ。

クロッゾ家の一族にのみ、Lvに関係なく発現し、魔剣限定だがオラリオ最高の鍛冶師を超えるほどの一品を作り出す事が出来るスキル。

ヴェルフはそのクロッゾという()鍛治師の家系に生まれた。

 

だが。

元、と言った通り、今現在、クロッゾで魔剣を打てるものは存在しない。

 

唯一、──ヴェルフを除いては。

 

とある時代のことだ。

クロッゾの一族は、王国に魔剣を売り込みに行き、そして戦争によって精霊の住処を焼き払ってしまった。

それが精霊の怒りに触れ一族は魔剣を打てなくなってしまった、──はずだった。

 

だが、なんの因果か、そのスキルはヴェルフに宿った。

それを知った一族の者は、ヴェルフに魔剣を打たせようとしたが、ヴェルフはそれに反対して出奔し、今に至る。

ヴェルフが魔剣を打たない理由は一族がどうのとか、クロッゾの魔剣がどうのとか、そういうことは関係ない。

 

たが、ヴェルフは許せないのだ。使い手を置き去りにして逝ってしまう、【魔剣】が。

「剣は使い手と共に成長してこそ」。それがヴェルフの信念だ。

それもわからず、親族も、オラリオでさえも、【クロッゾの魔剣】だけを求めるものしかいなかった。

 

 

───嗚呼。

 

 

レベル2に。

一人前の鍛治師になれば、何かが変わるのだろうか。【クロッゾの魔剣】ではなく、【ヴェルフの剣】を求めてくれるものが現れるのだろうか。

 

そんなことを考えていた折、今オラリオで人気のアニメとやらに鍛治師が出ていると聞いて、何とは無しに見に行ったのだ。

 

 

 

 

 

2章、ローマの地において主人公が召喚した鍛治師のサーヴァント。

 

その言葉が。

鍛治に生き、鍛治に死んだ男の言葉が強く、しかし確かにヴェルフの心を撃ちぬいた。

 

 

『刀なんぞ 所詮人斬り包丁。

どんだけ魂込めて打とうが コイツは変わらねェ。だが、だからといって俺達ゃ槌を止める訳にはいかねェ。おまんま食いっぱぐれちまう。

いやいやそれだけじゃねえ、俺達鍛治師の作るもんは武器だ。だからこそ、打って打って打ちまくらなきゃならねぇ』

 

『……鉄じゃねぇよ? ──てめえの魂だ』

 

『鉄を叩きながら、てめえの魂を叩きあげろ、優しく清廉な人になれ、美しく生きろ。

お前らがちったあマシになりゃ、それに応えて剣(コイツ)を少しはマシに使ってくれる奴が集まってくるだろうよ』

 

 

なんだか、周りの喧騒が遠く聞こえた。全ての音が遠ざかり、心が静まっていた。まるで、セピア色の世界にいるような、そんな感覚を覚える。

そんな中、ヴェルフはその男の言葉だけが鮮明に聞こえる。

 

 

『刀ってのはただ切れ味がいいやつがいい刀というわけじゃねぇ。使い手が切りたいものだけを切れるか、つーのが重要だ。触れたもの何もかも切っちまうようじゃ、【名刀】とは呼べねぇ……そりゃ、ただの【妖刀】だ。つまりはだな、敵を切ることじゃなく、使い手が守りたいもの守れるかという方が重要ということだ。守ることができりゃ、どんなボンクラ刀で、すぐに折れちまったとしても、一端(いっぱし)の刀なんだよ』

 

 

ヴェルフは言葉にならないような、でも確かに喉元に。心臓からこみあげるものを感じていた。それが何かはヴェルフには分からなかったが、居ても立っても居られない、そんな気持ちにヴェルフは襲われたのだった。

 

 

『オレが目指す究極の一刀ってのはな、肉やら骨やらを断つ刃じゃねえ。

ンなものはなんでもできるンだよ。斧でも包丁でもな。

刀に生涯をささげるって人間がな、その程度のモンで満足していい筈がねぇ。

なんで、オレが求めたものは怨恨の清算――縁を切り、定めを切り、業を切る名刀だ』

 

 

 

 

 

 

…………………………

………………

…………

……

 

 

 

 

 

いつのまにか。

自分でも気づかないうちに、ヴェルフはオラリオの隅に移動していた。無意識のうちに放浪していたようだった。

近くにあった手頃な石に腰掛けながら、ヴェルフは物思いに浸る。

 

レベルがどうのとかそういうことじゃない。ただ、自分が変わっていなかっただけだ。

 

──レベル2になったら。

──クロッゾじゃなかったら。

──一人前の鍛治師になったら。

 

そんなことを言って、自分の理想を他人にだけ押し付けて。自分は変わろうとしていなかった。

 

 

武器はいつか終わるものだ。

どれだけ大事に扱おうと、どれだけ手入れしようと。いつかは毀れ、散ってゆく。

──魔剣も同じだ。

ただ、持ち主に寄り添うことのできない魔剣が、ヴェルフにとってとても許せなかった。

 

──それは何故だったのか。

それは。

寄り添って【守る】ことができなかったからなのではないのか。

 

そして、自分がちっとはましになれば、ましに使ってくれる人が現れる、と彼は言った。

つまり。自分は魔剣が折れるから嫌だとか、そういうことを言って、考えもしていなかったのだ。

それは──

 

 

そこで。

ヴェルフはあるものを見た。いや、強制的に目に惹きつけられた。

 

「……つまりね、君はランクアップに必要な上位の経験値は溜まっているのだけど、そもそもの下位の経験値が足りてないわけ……本当なら、こんなことないはずなんだけどね……」

「つまり、普通にダンジョン潜ればいいということか、ヘスティア神」

 

何やら教会の前で話し合いをしている2人──ではなく、ちょうど帰ってきたところの、白毛の少年だ。

 

ニコッと屈託のない笑顔で笑う少年の胴体には、自分の作った軽鎧があった。

 

「ははっ」

思わず笑いが漏れる。レベル2になってないとか、そんなの関係ないじゃないか。魔剣でなくとも俺の鎧を買ってくれる奴がいる。

 

「おい!」

思わず声をかけてしまう。そして、その少年──ベルと幾分か話した後、ヴェルフはこう切り出した。

 

 

 

「──オレを、お前の専属鍛治師にしてくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

──決して折れない魔剣をいつかお前に作ってやる。

 

 

 

 

 

◾︎◾︎

 

 

 

 

 

 

地中海のある島に古き神が現れたとのことだが、「英霊の上位である神霊が地上へ来るなんて……現代ならともかく、この時代は神々が降りてくる前……万が一にもありえないぞ……神霊の現界なんてものはほぼ不可能だ!」的なことを(長々と)いうDr.ロマン。

 

だが、確認しておこうと、地中海へ行き、海路を使って帰路ということになる一行。

普通のサーヴァント反応ではないものが、島について確認される。

 

 

「おいおい……神ってなんなんだ……誰なんだよお!」

「…………(真顔)」

「ぶつぶつぶつ……」

「はっ、きっとただの噂だよ……」

「……ふふっ」

 

 

 

 

 

女神ステンノ登場。

 

 

「「「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!?」」」

「ふふっ」

「「「「ステンノおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」」」

「抜け駆けしやがったあいつ!」

「あっちにいるわ!」

「「「ステンノおおおおおおおおおお……何処だ……そこか」」」

「とっちめろ」

「御用だ御用だ!」

「「「ステンノおおおおおおおおおお!」」」

「おまわりさんこっちです」

「おい、エウリュアレ、お前の姉貴どういうことだ!」

「し、知らないわよ!」

「「「おい何処にいるうううううううううう!」」」

「ダマシタナ!」

「あり得ない」

「クソが……」

「「「ステンノおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」

「ねぇ、アスフィー、なんか拘束する系の魔道具持ってない?」

「持ってません」

「アイズたん、みんな〜! …………ステンノをとっちめろ」

「落ち着けロキ」

「「「ステンノちゃん、出ておいで。今ならちょっと痛い思いをするだけで済むよ?」」」

「おい、てめーらウルセェ!」

 

 

 

 

 

 

そんな騒動が起こっている間も物語は進む。

せっかく来たので、褒美をくれるといいつつも、昔ならメデューサをけしかけたとかいうステンノ。

 

女神の祝福を求め、一行は洞窟の中へ。

だが、どうやら嵌められたようで、洞窟の奥には幻想種がいた。

 

 

「「「「「ろくな女神じゃねぇな」」」」」

「「「「まったく、神ってやつは」」」」

「あんた達、その神ってやつじゃなかったっけ?」

 

 

 

 

 

 

 

倒して戻ると、エリザベートとタマモキャットがいた。現界するときに二人も連れてきたとのことだ。

 

 

「マシュたちは……なんの成果も! 得られませんでした!」

「というかなんでエリザ二回目でてきてんの?」

 

 

 

 

 

 

 

そこでカリギュラ襲撃。なんとか下し、ステンノから本当の褒美として、連合首都の位置を知る一行。

 

 

「「「確保─────っ!」」」

「金曜日、17時17分。FGO勝手に出演した罪で尋問する」

「ちょ……ちょっと待って……?」

「ネタは上がってるんだ! さぁ、吐け!」

「わ、私は……」

「さぁ、さぁっ!!」

「私は……エウリュアレよっ‼︎‼︎」

 

「「…………へ?」」

 

「恨むわよ……ステンノ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしている間に、一行はもうすぐ凱旋となる。だが、

ガリアを制圧したのに、敵性存在がかなりいる。これは優れた軍団がいるとの証左であると予想していたところに、スパルタのレオニダスが現れる。

なんとか食らいつき、凱旋する一行。

 

 

「すごい人だかりの中よくマシュを守りきった!」

「偉い!」

「我らがフジマル世界一イイ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで情報が入る。特別遠征軍がローマへの帰途中に連合に足止めされているとの事で助けに向かい。荊軻と呂布と合流する。

 

そして、レフ視点。新たなサーヴァントを呼び、ネロの抹殺を申し付けるのだった……!

 

 

 

「レフめ……余計なことしやがって……」

「おい、なんか気になるところで止めんなや」

「いや、これはむしろステンノを問い詰めるチャンスなのでは?」

「……で、私はいつ解放されるのかしら?」

「うん。お前のねぇちゃん捕まえたら解放するよ。捕まえたらね」

「…………ぁ…………」

 

 

 

●おまけ

 

「ガチャ更新遅えんだよお!!」

「ようやくピックアップ変わったか……」

「ピックアップ情報と……次回イベント情報?」

「「「イベントだと?」」」

「何やらハロウィンイベントみたいだ……」

「おお……」

「バーナーは……エリちゃん?」

「……何回も出てくるな……」

「何度も出てきて恥ずかしくないのかな?」

 

「姉さんは次会ったらコロスわ」

「落ち着きなさい」

「でも! ヘファイストス!」

 

「出演するための献金……一体何ヴァリスなんだ……」

 

「ベルさんが最近疲れているようなんですけど」

「さぁ、なんでだろうな」

 

「え、明日の予告になんか征服王とかいう文字出てませんでした?」

「あぁ」

「「きゃああああああああああっ!」」

 

「星4配布だとおおおおおおお!!」

「え……うっそだー……ほんとじゃねえか!」

 

「爆死」

「うん。お前はよくやったよ。で、何が出たんだ?」

「確定枠優雅たれ」

 

「なんというか、ものすごいことになったな」

「……制度の見直しが必要ですかね……神様……」

「うん。ボクもあんなになるとはね……」

 

 

 

 

●おまけのおまけ。

 

ダンジョン探索中。

 

「避けてみせるがいい」

「ヴォッ!?」

 

アルマジロ型のモンスター、ハードアーマードは対峙した赤銅色の髪を持つ少年から、剣が飛んでくるのが見え、とっさに避けた。

 

遠くでその剣が地面に落ちた、からんという音が聞こえる前に、その少年は再び剣を投げた。

今度は、その剣は3本。

しかも、それはただの剣ではなかった。その剣は、炎や氷、雷といった魔法を纏っている。

 

そういった【魔法】の力を持つ剣はこの階層にいる冒険者程度の放ったものでも、自らを致命傷に追い込むことを本能で知る怪物はそれを避ける。

だが、安全と思って逃げ込んだ場所にはすでにその剣を放った少年がいた。

 

「これで終わりだ」

 

そうして、モンスターは黒白の双剣で叩き切られた。

 

 

 

 

その戦闘を後ろから見ていたヴェルフとリリは。

 

「「……は?」」と声を合わせて言った。

 

 

 

 

 




エミヤ覚醒……だと?

本日の一曲。
【集いし英雄〜Battle 1〜】
おそらくこの作品を見ている人は飽きるほど聞いたと思われる。なので説明は省かせていただきます。初期はのろのろとした動きの鯖とこの曲をよく聞いたものです。

す、少し遅れてしまってごめんなさいと思ってなんかないんだから!申し訳ないとかも、思ってなんかないんだからね!

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