【ネタ】転生特典はFateの投影だった   作:機巧

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エイプリールフールand三章CM「1日でサ終はまじ草生え散らかす」

アミッド・テアサナーレは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の【FGOgo】を除かなければならぬと決意した。

 

アミッドにはアニメというものがわからぬ。

 

アミッドは、【戦場の聖女】である。人を魔法、はたまたポーションを売ることで、人を癒し暮らして来た。それゆえ邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。

 

きょう未明アミッドは本拠地(ホーム)を出発し多少の面倒な区画を越え、街の中心部にやって来た。

 

アミッドには、最近、ダンジョンに潜ることがない。まとまった休暇もない。人を癒すだけで精一杯だ。というのも、ここのところ運び込まれるケガ人の多さは、例年の数倍にも至っていた。

アミッドは、それゆえ、この久しぶりの休日を楽しみなさいという同僚の意見に従い、はるばる市にやって来たのだ。

 

先ず、同僚に指示された品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。アミッド自身、「貴女は本拠地(ホーム)にいると否が応でも気を張っちゃうんだから、どっか行って来なさい」という同僚の言葉に今更ながら納得し、冬のつんと張り詰める朝の清涼な空気を吸って、すがすがしい気持ちを胸に抱いた。

 

アミッドには竹馬の友と言うほどのものでないが、いわゆる腐れ縁という言葉に当たる知人があった。ナァーザである。今は此のオラリオの街で、細々と主神と2人でポーション職人をしている。これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。

 

歩いているうちにアミッドは、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。まだ日が上がりきってはいないため、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、早朝のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。あまり周りを気にしないアミッドも、だんだん不安になって来た。

 

路で逢った若い二人組をつかまえて、何かあったのか、少しまえに此の周りに来たときは、早朝でも皆が売りの準備をして、まちは賑やかであった筈だが、と質問した。二人組は、首を振って答えなかったばかりか、なにやら手元を見ると一目散に駆けて行った。

 

 

しばらく歩いて白髪の少年に逢い、こんどはもっと、語勢を先程よりも強くして質問した。少年は答えなかった。アミッドは両手で少年の肩に手をおき、再び逃げ去れないようにしながら質問を重ねた。少年は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

 

「FGOGOは、人の心を壊します」

 

 どうやら、少年がいうには、そのFGOgoとやらが原因らしかった。巷で流行っているというFGOとやらと何か関係があるのか、と聞くと少年は肯定した。

 どうやら聞くと、そのFGOgoとやらは少年のファミリアが作ったものらしかった。アミッドが少年に詰め寄ろうとすると、少年は先を制するかの如く、静かに語り始めた。

 

「悪心を抱いている、と思われるかもしれませんが、誰もそんな、悪心を持って作ったわけではありませぬ」

「それは……どういう?」

 

少年がいうには、FGOgoとやらは元々、人々の心の安らぎと、娯楽の提供のために作られた物らしかった。だが、その娯楽を普通に楽しむはずが、神々が騒ぎ立てたことにより、オラリオ中を巻き込む大騒動に発展してしまったのだという。

 

 聞いて、アミッドは静かに激怒した。最初は善意で始まったものが、このように悪意に満ちた使われ方をするなど、到底許せるものではなかった。「呆れた物です。このまま捨て置けません」

 アミッドはある意味、単純な女であった。

 

 その静かに燃えるアミッドを見て、白髪の少年は、

 

「どうやら貴女はFGOgoに染まっていないご様子。この事態の解決に力を貸してはいただけませんか?」

 

対するアミッドの返答は決まりきっていた。

 

 

 

◾️

 

 

 

そうして、アミッドが連れてこられたのは、オンボロな教会であった。そこの一室で、対策会議とやらが行われているという。

 

そこで出会ったのは赤に近い髪の少年と、長い黒髪をツインテールに纏めた少女──おそらく彼らの主神だろう──だった。

 

彼らの状況を聞くと、相当にひどい状況であった。

 

始まりは今日の午前〇時。

FGOgoを今日配信すると決まったのが先週のこと。そこからサービス開始の今日の〇時までに専用の端末をかなりの数売っておいたらしい。だが、広まりすぎたのが仇となったのか、〇時になった瞬間、FGOgoを起動する者が多数いて、1人しかゲットできないシステムだと判明した時、鯖(なんで魚が会議に出てくるのだろうか?)を捕まえるための暴動が発生したらしいのだ。

 

慌てて一旦配信を止めようとしたものの、通信と位置情報を管理する親機が謎の仮面の冒険者AとLを名乗る2人組に奪われ、止められなくなってしまったらしい。

 

今午前5:30時現在、先にカプセルサーヴァントとやらを捕まえるために、妨害行為があちらこちらで多発。死傷者は出ていないものの、むしろ出ていない方がおかしい状態であるらしい。

 

しかも、今起きている騒動は夜中起きていた物好きのみの騒ぎであり、このまま昼になってしまうと、さらに人が増え死人が出るかもしれないという。その前に止めなければならないらしい。

 

 

 

勝利条件は2つ。

 

タイムリミットを過ぎる前に仮面の2人組の持つ親機を壊すこと。

もしくは通信している子機(個人が持つ端末ではなく中継機とやららしい)を全て壊し切ること。

 

 

 

後者の解決方法であると親機の周辺でのみ通信が残ってしまうが、親機は子機との通信が優先されているため、端末との通信機能はそこまで高くはなく、せいぜい50mといったところで、オラリオ中の騒動は一応は止められるということで、それでも一応は良いそうである。

 

そして、白髪の少年はアミッドと会った時、丁度子機を壊して回りつつ、敵の拠点を探し終えて、戻る最中であったという。

 

 

「私が潜入して、親機の魔道具を壊す」

「といっても、どうするんだい?」

「エミヤさん。どうやって……」

「これで気を引く」

「なっ……なんですかこれ……」

「スキルが進化したんだね。要は、立体映像って書いてあったヤツってことなのかい?」

「いや、ホログラムじゃないのだが、結果的にはそう思ってもらって構わない……3DSの立体視に近いのだが、うまく説明できないのでな」

 

 

そうして対策会議が進む中、アミッドは静かに決意を固めた。

仮面の冒険者AとL……首を洗ってまっていなさい!

アミッドは強く拳を握りしめ、敵の拠点へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死闘は混迷を極めた。

既に死人が出ぬよう、人の身に余りあると言われた精神力を多大に使い、疲労は極限に達していた。

膝を何度もつきそうになったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。ままならぬ事である。アミッドは、わが身に鞭打ち、再び戦い続けることを決意した。タイムリミットまでには、まだ十分の時が在る。ぶるんと両腕を大きく振って、人の波に逆らい、矢の如く走り出た。

私は、倒れるだろう。倒れる為に走るのだ。まだ見ぬオラリオ住人を救う為に走るのだ。仮面の冒険者の邪智を打ち破る為に走るのだ。

走らなければならぬ。そうして、私は倒れる。

 

連日人を癒してきたアミッドは、つらかった。幾度か、立ちどまりそうになった。えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら走った。

少しも疑わず、静かに期待してくれている人があるのだ。私は、信じられている。私の命なぞは、問題ではない。死んでお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ! アミッド!

ああ、陽が昇る。ずんずん昇る。待ってくれ、ティアンケヒト様よ。

 

 

アミッドが心で主神に願ったその時だった。近くのオラリオの外壁から緑色の煙が昇っていく。それは、勝利したときにあげると言っていた狼煙だった。

 

 

そしてその壁から降りてくる戦友たち。アミッド達は自然と一箇所に集まった。

そして、人知れずオラリオの危機を救った勇者たちは互いのボロボロの姿を見て、皆一様に破顔した。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

今日は、いつもの放送日ではないものの、バベルの外壁には光が映し出されていた。

自然と集まる人や神達。様々な会話をしていた。

 

「FGO GOは、ウラノスによってサービス停止にされたらしいぞ」

「まじかよ」

「ウラノスくそだな」

「なんでも騒ぎを起こしすぎたからだとか」

「誰だ、そいつ!」

「ふざけんなよ」

 

 

そして、青色の画面が、動き出す。

 

 

 

 

 

『三章、開幕』

 

映し出される剣を持った2人の顔。

 

『二つの時代を越え、物語は新たなる航海へ』

 

二人は剣を振り回し、その真名を解放する。知った顔の登場に、つい先週別れたばかりの顔に皆湧き立つ。

 

 

「ネロぉおおおおおおぉおおおおおおまおお」

「ここにカリギュラの二世登場」

「「「ねろおおおおおおおおおおおおお」」」

「まるでカリギュラのバーゲンセールだな」

 

あちらこちらで歓声が上がる。

 

「というか青い方の人誰?」

「フェイトgoの顔さんだよ」

「あぁ、アプリのアイコンの…………二つの時代って言ったけど、出番あった?」

「ない」

 

 

 

 

 

 

 

『それは封鎖された有限の海』

 

映し出されるは、蒼き海。映し出されるは、前回登場した気がする紫色の髪を持つ神を肩に乗せる大男。

そしてその大男とマシュの前に、さらに巨大な巌の如き漢が対峙する。

 

 

「誰だよ!」

「「「ステンノまたやりやがったなぁ!!!!」」」

「ふざけるな、ふざけるな、バカやろー!」

 

 

 

 

 

 

 

『立ち塞がる最強の英雄を前に、海賊達は無限の海(ゆめ)を目指し続ける』

 

そうして最後にピンク色髪を持つ海賊女を映し出して、CMは終了した。

 

 

 

「また追いかけられないように遠くから見てたのは正解みたいね、エウ」

「…………」

「なんで目をそらすの?」

 

 

 

 

 

 

 

『Fate/grand order 第三特異点 封鎖終局四海オケアノス まもなく放送開始』

 

 

「三章きたぁーーーっ!これでかつる!」

「やったー!」

「三章楽しみだなぁ!」

「「「「「「「「「「それな!」」」」」」」」」」

 

 

熱気は暫く落ち着くことはなかったという。

 

 

 

 

 

 

●おまけ

 

「なんか三章開始時にバランス調整入るらしいぞ」

「まじか」

「まさか難しくなる方じゃないよな」

 

「また孔明やん……使えないからマナプリにしよう」

「出ただけマシやろ……捨てるならくれよ」

「ほらよ」

 

「FGO……恐ろしいものだな」

「つまるところ、人間の愚かさということさ」

 

「1日で配信終了するなんてなぁ」

「うん、起きているべきだったね」

「あの朝、アイズが部屋で縛りつけられてたそうだけど……」

「えっ?怪我とかあったの?」

「いや、ただ縛りつけられてただけみたい」

「どうせリヴェリア様とかに抜け出そうとしてたところを見つかったんじゃない?」

 

「アスフィー団長、そんな怪我してどうしたんですか?」

「少し色々ありまして」

 

「リヴェリア、なんでそんなボロボロなんだい?」

「アイズが寝ぼけて迷宮に行こうとしたのでな、止めようとしたまでだ」

 

「爆死」

「親の顔よりも見た優雅」

 

 

「あ、そういえばなんだけど。種火周回で金種火出たぜ!」

「コラ画像やめろ」

 




後書き
バビロニアアニメ終わりましたね。多分ダンまち版絶対魔獣戦線(作中作)を別に上げていくかもです。

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