ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ   作:オレの「自動追尾弾」

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第十六話 必殺のフォーメーション

多々良島で、GUYSとエンペラ軍団の激闘が繰り広げられている頃、M78星雲『光の国』では―――

 

『タロウ兄さんが、行方不明………!?』

 

惑星グルータスから帰還したレオ兄弟と80は、宇宙警備隊本部でゾフィーから聞かされた事に驚きを隠せないでいた。

ダイナと3人のウィッチと共に地球へ向かった筈のタロウの行方が分からず、連絡も取れないという状況だというのだ。

 

『タロウ兄さんとダイナに、何かあったのか…!?』

『しかし、“トゥインクルウェイ”で向かったのであれば、地球にはそんなに時間をかけないで到着するハズなのでは?』

『確かに、ワープ中に襲う事は不可能………いや、待てよ………』

 

そこまで言いかけて、80はある可能性に気づく。

 

『確か、エンペラ軍団のロボット兵器「インペライザー」は、空間移動能力を持っていた筈では?』

『まさか!その能力で、トゥインクルウェイに侵入してきたのか!?』

『可能性はあり得る………だとしたら、タロウとダイナは今、別の次元にいる可能性が高いな………』

『一緒にいた、ウィッチの3人も心配だ………急いで捜索を………』

 

80の出した仮説に、レオとゾフィーが唸る。インペライザーはタロウですら苦戦した相手である。不意打ちであればなおさらである上、エンペラ星人が地球に降臨した際には、13機のインペライザーが兵士として送り込まれている。1機だけとは限らないだろう。

レオが捜索に乗り出そうとしたその時、4人のいる部屋に慌てて駆け込んだ戦士がいた。

 

『た、大変です!』

『ユリアン?どうしたんだ?』

 

入ってきたのは、80の幼馴染でもあるウルトラの女戦士『ユリアン』であった。ユリアンは息を整えると、ゾフィーに報告をした。

 

『大変です!治療中のウルトラマンヒカリが、………!!』

『何だと!?』

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

『―――ククク、マヌケなエンペラ軍団の連中め………そうやってウルトラマン共とつぶし合うがいい………』

 

同じ頃、多々良島の戦いをどこかで見る者がいた。そして、戦場にいるある者へテレパシーを送った。

 

《そのロボットを、ウルトラマンに破壊させるように誘導しろ!》

《了解した。》

『これで、エンペラ軍団の戦力は大分裂かれる………後はこの私が出れば、ウルトラマンは一網打尽よ………ふふふはははははははははははっ!』

 

異形の者は、高笑いをする。

 

 

 

 

 

彼の後ろには、物言わぬウルトラマンの銅像が、2つあった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第十六話 必殺のフォーメーション

 

ロボット大怪獣 クレージーゴンジャイアント

要塞ロボット ビームミサイルキング

バド星人ボルター

変身怪人 ゼットン星人カウント

宇宙超人 スチール星人バトラー

凶悪宇宙人 ザラブ星人

どくろ怪獣 レッドキング

超古代怪獣 ゴルザ

甲殻怪地底獣 ゾンネル

友好巨鳥 リドリアス

竜巻怪獣 シーゴラス

津波怪獣 シーモンス

強奪宇宙人 バンダ星人(エモラス・エニレプ)

登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャゴォォオオオオオオオオオ!!キャゴォォオオオオオオオオオ!!」

「シーゴラス、なおもクレージーゴンジャイアントに向かい前進!!」

 

多々良島に上陸し、クレージーゴンジャイアントに向かうシーゴラス。ロボット大怪獣を駆るボルターはそれに気づくと、右クローで掴んでいたバトラーを下した。

 

『ふん、怪獣ごときが楯突こうと言うのか!』

『先程の津波は、あの怪獣の超能力のようですね。捕まえて、我が軍の戦力にしましょう。』

 

ボルターに進言をするカウント。たった今見たシーゴラスの超能力は、即戦として欲しい程に強力であった。実際、ウルトラマンジャックもこの力で発生した津波を防いでエネルギー切れになっている。

 

『ナルホドな。適当に痛めつけて、とっ捕まえるとするか!』

 

ボルターもそれに賛同をすると、クレージーゴンのアームでシーゴラスを捕まえようとする。クレージーゴンに向かっていたシーゴラスは向かってくるアームに驚いたが、すんでの所でしゃがんで回避、腕が頭上に差し掛かった瞬間に、鼻先の角でかち上げた!

 

「ぅおおッ!?コイツ………!」

「キャゴォォオオオオオオオオオ!!」

 

シーゴラスが腕を弾いたことに驚くも、なおも追撃をせんと額から光線を発射させる。光線はシーゴラスの目前の地面を爆発させ、シーゴラスは驚いて仰向けに倒れてしまった。

その時、今までシーゴラスとクレージーゴンジャイアントの戦いを見ていたレッドキングとゴルザが、クレージーゴンに攻撃を仕掛けた。シーゴラスが自分たちの味方と判断したのだろう。レッドキングの投石とゴルザの超音波光線がクレージーゴンジャイアントを襲うが、真鍮色のボディには、傷一つつかない。お返しにと、クレージーゴンは額からの光線を発射し、2匹をけん制する。レッドキングとゴルザは足を止め、クレージーゴンジャイアントは3匹の怪獣を捕獲すべく4本の脚をせわしなく動かす。

 

ボゴンッ

『うぉおおお!?』

『なんとォオ!?』

 

しかし、ロボット大怪獣の足元に大きな岩が突き出ると、それを踏んでしまったがためにバランスを崩すクレージーゴンジャイアント。

 

「ギャァァアアアアウ!」

 

下手人はゾンネルであった。隙をついて地中に潜り、大きな甲羅を使ってつまづかせたのだ!

 

「今だ!やつの足を狙え!」

[G.I.G.!]

 

躓いてふら付くクレージーゴンジャイアントを見て、GUYSジャパン隊長アイハラ・リュウはこれを逃さない。2機のガンマシンはクレージーゴンジャイアントの足に狙いを定めた。

しかし、そのトリガーを引くより先に動くものがあった。シーゴラスだ。

 

「キャゴォォオオオオオオオオオ!!キャゴォォオオオオオオオオオオ!!」

 

シーゴラスは鼻先の角を振りかざして果敢にもクレージーゴンジャイアントに向かっていくと、バランスを崩した四本脚にめがけてタックルをかまし、クレージーゴンジャイアントは仰向けに倒れた。

 

「キャゴォォオオオオオオオオオ!キャゴォォオオオオオオオオオ!」

『コイツよくも!!』

 

雄叫びを上げてクレージーゴンジャイアントに乗り込もうとするシーゴラス。しかし、ザラブ星人のエネルギーバルカンとバトラーの稲妻状の赤い光線がシーゴラスを襲い、シーゴラスは爆発に倒れ込んでしまう。

 

「ギュウウ………」

「ピッギャァァアアアアアアオオオ!!」

「グォオオオオオオオオ!!」

 

倒れたシーゴラスと星人の間に割って入ってきたレッドキングとゴルザは、星人たちに向けて突っ込んでいった。

 

「あの2匹………?」

 

リュウは、シーゴラスを庇うゴルザとレッドキングを見て疑問に思った。

先程の2大星人との戦いを見る限りでは、よそ者の宇宙人を倒すのに全力を尽くし、倒れたザラブ星人を踏みつける等ぞんざいに扱っていたにも関わらず、倒れたシーゴラスを庇い、2大星人と戦っているのだ。

リュウが怪獣たちの行動に疑問を抱いているその時、通信が入った。

 

[リュウさん!]

「ミライ?」

 

通信の相手は、地上でムサシを介抱しながら、バトラーをけん制するミライと芳佳であった。

ミライはトライガーショットを構えながら、リュウに通信をする。

 

[ムサシさんが、シーゴラスについて伝えたい事があると……!]

「何だと?」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

2大星人と2代怪獣が戦い、クレージーゴンジャイアントが起き上がろうともがく中、森のほうに避難したミライと芳佳、美緒、ムサシは、リュウに通信をしていた。

 

「さっき……エネルギーが尽きる寸前に………あのロボットの中を透視したんだ………」

 

疲労で息を乱しながら、ムサシは話す。

 

「シーゴラスは、かつてと同じように、シーモンスを追ってこの島に来たんだ……」

「何だって…!?」

[しかし、シーモンスの姿は西イリアン諸島で確認されていない………まさか!?]

 

言いかけて、リュウは気が付いた。あのロボット大怪獣は、エンペラ軍団が戦力になる怪獣を捕獲するためのものだ。と言うことは………

 

[シーモンスは、クレージーゴンジャイアントの中に!?]

[何だって……!?]

「そうか!それでシーゴラスはクレージーゴンに……!」

 

ここで、シーゴラス出現の理由に行き着いた一同。怪獣同士であるが故に、理解ができたのだろう、おそらくはレッドキングとゴルザもそれを察し、シーゴラスに協力をしているのだ。

 

「だとしたら、なおさらクレージーゴンの中にいる怪獣を助けないと………」

 

そう芳佳が言ったそのとき、倒れていたクレージーゴンジャイアントが、長い右腕を器用に使い、腰を回して起き上がった!

 

『あー、びっくりした。改善の余地ありだな、こりゃ。』

「そんな………!」

 

起き上がったクレージーゴンジャイアントを見上げ、驚きの表情になる芳佳。自由に動ける状態では、リドリアスとシーモンスを救い出すのは困難だ。

どうすればいいのか芳佳が悩んでいると、エニレプとエモラスが駆けてきた。

 

「オイメビウス!クレージーゴンの腹のシャッターを狙うんや!」

「え?」

「設計上、シャッターの装甲は他に比べて薄くなっとんねん!シャッター壊して中に入りゃ、こっちのモンや!」

「でも、クレージーゴンを壊したら……?」

 

エモラスの提案に、芳佳が聞き返す。2人はクレージーゴンジャイアントの回収が目的で地球に来たはずだ。その目的を破壊する事に、彼女は戸惑いを覚えたのだ。

しかし、エニレプは口角を吊り上げ、

 

「なあに、壊れたらまた直せばええ!けど、なるべく壊す範囲は小さめで頼むわ!」

「……!そういう事なら!」

 

エニレプに笑い返すミライ。しかし、あのシャッターを破壊するにしても、問題はクレージーゴンジャイアント自慢の長い右アームと重火器だ。仮にそれらを掻い潜ったとしても、内部のリドリアスとシーモンスに傷をつけないようにしなければならない。

どうしようかと考えていると、通信機からリュウの指示が飛んで来た。

 

[美緒、ストライカーを装着して来てくれ!腹のシャッターを斬り裂いてやるんだ!!]

「しかし、アイハラ隊長……?」

[策がある。お前の烈風斬なら、あのシャッターだけを斬れるだろう?]

 

リュウからの提案に少し戸惑うも、美緒はムサシをミライと芳佳に任せ、ペリーヌとバルクホルンを同行させ、自分たちのストライカーのもとに向かった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「ピッギャァァアアアアアアアアオオッ!」

「グォォオオオオオオ!!」

『ええい、小賢しい怪獣どもがぁ!!』

 

バトラーの破壊光線とザラブ星人のエネルギーバルカンが、レッドキングとゴルザに迫る。2体は接近を試みるが、2人の攻撃に阻まれて近づけない。

 

「キャゴォォオオオオオオオオオ!キャゴォォオオオオオオオオオ!」

「グォオーーー!ギャァァアアアアウ!」

『貴様もうっとうしい!!』

 

一方のシーゴラスとゾンネルも、クレージーゴンジャイアントの巨大な腕から繰り出される攻撃に躊躇し、近づけないでいた。その時、クレージーゴンジャイアントはその巨大な右腕でシーゴラスを掴み持ち上げると、地面に叩きつけてしまった!

倒れたシーゴラスは、そびえ立つクレージーゴンジャイアントを見上げ、自分の妻、シーモンスを諦めかけた。しかしその時、上空を飛ぶガンウィンガーと美緒たち3人のウィッチの姿が目に入った。

 

[美緒、ガンウィンガーの後ろに着いてろ。ヤツを引き付けるから、そうしたらシャッターを斬り裂け!]

「了解!」

[後はそこから2人が内部に潜入し、怪獣2体を救出と同時に、クレージーゴンジャイアントを破壊しろ!!]

「「了解!!」

 

リュウの指示に3人が返答をする。ガンウィンガー達に気づいたのか、クレージーゴンジャイアントは向きを変えて肩のバズーカを構えた。

 

『邪魔をするな地球人!』

 

ボルターが叫ぶと同時に、クレージーゴンの肩と左腕のバズーカが火を噴く!

ガンウィンガーは機首のビークバルカンで相殺し、さらにクレージーゴンに近づいていく。

 

「アイハラ隊長は、いったい何を………?」

「!?まさか、リュウさんは………!?」

 

ムサシは突っ込んでいくガンウィンガーに疑問を持つが、ミライはリュウのしようとしている事に気が付いた。

ガンウィンガーはクレージーゴンジャイアントの腕を掻い潜り、その懐まで接近した!

 

『特攻か!?』

『地球人め、『カミカゼ』のつもりですか……!?』

 

2人の提督が、ガンウィンガーの行動に驚いたその時、ガンウィンガーはクレージーゴンの目前で機首を上げ、急旋回をした!

 

『何!?』

[今だ美緒!!]

「烈ッ風ぅう斬ッ!!」

斬!!

『ぅおおお!?』

 

急旋回したガンウィンガーに驚く暇もなく、クレージーゴンジャイアントの腹部に美緒が烈風斬を叩き込み、シャッターを斬り裂いて人が通るのに十分な切れ込みを開いた!

 

『バカなぁあ!?』

「土壇場で『フォーメーション・ヤマト』を決行するなんて………アイハラ隊長も、本当にムチャクチャだなぁ……!」

 

『フォーメーション・ヤマト』

ジャックナイフ・フライトという攻撃法を応用した二機一組で行うフォーメーションで、 先行機が相手の注意を惹きつけ、その隙に後続機が懐深くに飛び込んで攻撃すると言う戦法である。

1980年代に防衛チーム「UGM」で編み出され、考案者である『矢的 猛』隊員―――一般には知られていないが、ウルトラマン80その人である―――の名前から、その名前が付けられている。

 

烈風斬でシャッターを斬り開けた美緒はひねりこみの要領で離脱すると、切り裂かれたシャッターへペリーヌとバルクホルンがクレージーゴン内部へ侵入した。入ってすぐにリドリアスの入ったカプセルが目に飛び込んできたので2人は驚くが、すぐに気を引き締めて自分の役目をこなす。

 

「大尉!リドリアスとシーモンスは、わたくしが!」

「おう!!」

『あ、コラ!中で暴れるなぁッ!!』

 

ボルターの叫びもむなしく、バルクホルンは内部から機関銃を乱射してシャッター付近の機械を破壊し、ペリーヌはリドリアスの入ったカプセルを調べる。すると、リドリアスのカプセルの陰に隠れて見えなかったが、後ろ側に、シーゴラスに似た顔つきでたてがみがなく、丸みをおびて鼻先の角が短い4足歩行怪獣の入ったカプセルがあった。

 

「シーモンスを発見!」

 

ペリーヌは報告をすると、右手を装置に向けた。

 

「髪が乱れるけど……言っている場合ではありませんわね!!」

 

すると、彼女の周囲にバチバチと電流が走り出し………

 

「トネールッ!!」

バリバリバリバリバリバリッ

『ぐおおおおおおおおお!?』

 

彼女の固有魔法『電撃』が発揮され、周囲の機械はショートして壊されていく!

クレージーゴンジャイアントの異常は外部からでも分かるほどであり、ボディのあちこちから火が出るほどであった!

 

「………ギュゥウ……?」

「クュゥウ………」

 

すると、電撃のショックなのか2匹の怪獣が目を覚まし、カプセルを角やクチバシで攻撃し始めると、カプセルにひびが入る。ほどなくしてカプセルは破壊され破片が飛び散るが、ペリーヌは障壁を張って身を守った。

 

「クャアアーーー!」

「キャァァアアアアアアゴォオッ!!」

 

2大怪獣はひと鳴きすると、若干ふらつきながらもバルクホルンによって大きく穴の開いたシャッターから外に飛び出した。

 

「クャアアーーー!」

「リドリアス!」

「シーモンスも無事だったか!」

「キャゴォォオオオオオオオオオオ!!」

「キャァァアアアアアアゴォオッ!!」

 

リドリアスとシーモンスの姿を見て喜ぶ芳佳たち。シーゴラスも、シーモンスに駆け寄って再会に涙した。

 

『し、しまったぁあーーー!』

「もう人質はいねぇ!ドッキングだ!」

[[G.I.G.!]]

 

ペリーヌとバルクホルンが脱出したのを確認し、リュウの指示にカナタたちが応えると、ガンウィンガーとガンローダーが再度ドッキングしてガンフェニックスに、更にガンブースター下部の翼とエンジンがスライドし、尾翼を畳んだガンローダーを挟むように合体。ガンフェニックス強化合体形態『ガンフェニックスストライカー』となった!

 

「喰らえぇ!バリアントスマッシャァアアーーー!!」

バッシュゥウッ

 

ガンフェニックスストライカーの全砲門からの砲撃「バリアントスマッシャー」が炸裂し、クレージーゴンジャイアントは爆発を起こして仰向けに倒れる!

 

『何ぃい!?』

『だ、脱出を………!?バトラー!』

『え………!?』

 

慌てて脱出をしたボルターとカウントだが、その時、レッドキング達を相手にしていたバトラーにクレージーゴンの右腕が迫っていた!カウントが慌てて声を出すがすでに遅く、バトラーは右腕の下敷きになってしまった………!

 

『がっ………ぁ………』

『バ、バトラー………!!』

「オノレぇ………ビームミサイルキング!!」

 

ボルターが叫ぶと、空の彼方から赤いロボット・ビームミサイルキングが飛来、ボルターは空中で飛び乗ると、目を輝かせた要塞ロボットが地面に降り立った!

 

『貴様ら、生きては帰さんぞ!!』

「ボルターさん、ここは頼みますよ。」

 

あなたと違って私は非力ですからね、と言い残して、カウントは煙のように消え去った。

ボルターの叫びと同時に、ビームミサイルキングの全身から光線とミサイルが放たれる!ザラブ星人も一緒になって攻撃を再開し、あたりに爆炎が吹き上がった!

 

「芳佳ちゃんはここに!」

「ミライさん!」

 

ミライは芳佳にムサシを頼むと左腕を構え「メビウスブレス」を出現させる。そして中央のクリスタルに手をやって回転させると、左腕を高く掲げて叫んだ!

 

「メビウゥウーーース!!」

 

掲げると同時にミライを金色の光が包み込み、彼をウルトラマンメビウスの姿へと変える!

 

「あれが、ウルトラマンメビウスか………!」

『セヤァッ!!』

 

初めてメビウスを見るバルクホルンが、感嘆の声を上げる。

メビウスはザラブ星人とビームミサイルキングに向かって構えると、2体に向かって行く!

 

『なめるなぁっ!』

 

ボルターはビームミサイルキングの両腕からビームを放って応戦するが、メビウスは軽々と避けて接近、その赤いボディにパンチを叩き込んだ!

 

『ぬぅうんっ』

ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ

『ッ………!?』

 

後退したビームミサイルキングを庇うように、今度はザラブ星人が前に出た。メビウスは咄嗟に攻撃しようとしたが、ザラブ星人が両手をかざして破壊音波を発したため、メビウスは頭を押さえて苦しみ始めた!

 

「きゃあッ!」

「何だ、この音は………!?」

 

美緒たちウィッチも破壊音波の影響を受け、近づくことがままならない。ガンフェニックスストライカーにも不調が出ているのか、期待が安定しないでいた。

怪獣たちも苦しむ中、ザラブ星人は破壊音波を発し続けながら背後に立つビームミサイルキングに振り返った。

 

『さあ提督!今のうちに……』

『………そ、そう思うのなら…………』

『え?』

 

しかし、当のビームミサイルキングは動かず、ボルターの苦しそうな声が聞こえた。

 

『その音波を止めろ………!何でこっちにまで影響の出る範囲で音出してんだよッ!?』

『……あ、すいません………』

 

ボルターに言われて、ようやくザラブ星人は音波の範囲を間違えていたことに気が付いた。

芳佳がズッコケる中、ザラブ星人は音波を止めてメビウスに向き直った。しかし、メビウスは音波の消えるこの時を勿論待っており、急接近して眉間に右ストレートをお見舞いし、ザラブ星人は倒れて後頭部を強打してしまう。

 

『あの阿呆が………』

 

ボルターは後頭部を押さえて悶えるザラブ星人にあきれるが、メビウスに両腕の光線銃や胸からビームを、両肩、両足からミサイルを放つが、メビウスは『メビウスディフェンサークル』で防御をする。しかし、ビームミサイルキングはその隙に背中の『ジャイアントミサイル』の発射体制に入り、メビウスに狙いを定めていた!

 

「!?メビウス!!」

『!?』

『遅いわぁッ!!』

 

気が付いたバルクホルンが叫ぶが、8発のミサイルはメビウスに向け放たれようとしていた!ガンフェニックスストライカーと美緒たちは先ほどの破壊音波の影響でうまく動けず、メビウスは防御が間に合わない!

 

ゴォオオオオオオオオオオッ

『!?』

 

だがその時、突然竜巻がビームミサイルキングを襲い体制を崩してしまう!放たれたミサイルはメビウスの頭上を通過し、空中で爆発を起こした!

 

「キャゴォォオオオオオオオオオ!!」

「キャァァアアアアアアゴォオッ!!」

 

何事かと思っていると、シーゴラス・シーモンス夫妻が大きく人ひと鳴きをする。

見れば、2匹の角が稲光の如く光っている。2匹は力を合わせて竜巻を起こす超能力を発揮し、ビームミサイルキングを攻撃したのだ!

 

『しまった!メビウスに気を取られて………』

「ピッギャァァアアアアアアアアオオッ!」

「グォオオオオオオオオオオオオッ!!」

「グォオーーー!ギャァァアアアアウ!」

 

ボルターが自分の失態に嘆く暇もなく、レッドキングの投石とゴルザの超音波光線、そしてゾンネルの火炎弾が矢継ぎ早に放たれ、ビームミサイルキングの周囲を炎が包む!

 

『うおおおおおおおお!?』

『て、提督………!』

「クャアアーーー!!」

ゲシッ

『ぐぇっ!?』

 

慌てて起き上がり、ビームミサイルキングを援護しようとしたザラブ星人だが、上空からリドリアスが踏みつけるようにけりを入れて再度倒れこむ!

怪獣たちの援護で混乱に陥った2人を見て、アイハラ・坂本両隊長は指示を飛ばした。

 

「今だ!一気に攻め込むぞ!!

「「了解!!!」」

 

ペリーヌとバルクホルンは応えると、3大怪獣の攻撃の隙間を縫って銃弾を浴びせ、ビームミサイルキングの赤い装甲を剥がすほどのダメージを与えた!さらに、美緒が放った『烈風斬』が起き上がったザラブ星人の額に当たり、左から右への斜めの傷をつけた!

 

『がぁあッ………おのれぇ………!!』

「メテオール解禁!!」

 

すかさず、リュウの号令の元ガンフェニックスストライカーは金色の粒子に包まれた『マニューバモード』へと移行、全体に金色の粒子がチャージされていく。

それを見たメビウスも左腕のブレスに手をやり、両腕をまっすぐに伸ばした。そして、ゆっくりと真上に伸ばすと、胸の前で十字に構え―――

 

 

 

 

 

「『インビンシブルフェニックス』、ディスチャァアアアアジッ!!!」

ゴウッ

『セヤァアアアーーーッ!!』

バシュッ

 

『『!?』』

 

メビウスの『メビュームシュート』と、ガンフェニックストライカーのシルエット状のエネルギー波、ガンフェニックスストライカーの必殺技である『インビンシブルフェニックス』が放たれ、まっすぐにビームミサイルキングとザラブ星人に吸い込まれるように叩き込まれた!

 

『い、いかん!』

 

ボルターは咄嗟に背中を向け、背中のジャイアントミサイルポッドにメビュームシュートを当てた。しかしザラブ星人はインビンシブルフェニックスをまともに受けてしまい、爆発四散してしまった!

 

「やったか!?」

[隊長、それやってないフラグ………]

 

リュウの言葉に思わず突っ込みを入れるマイ。だが彼女の言う通り、ビームミサイルキングは背中のポッドと左腕を失い、各所から火花を散らしながらも立っていた。

 

『くッ……オレとしたことが、油断していたか………!』

 

苦し気なボルターの声が、ノイズ交じりで外部スピーカーから聞こえる。メビウスのカラータイマーが点滅をし始め、怪獣たちが唸り声をあげる。メテオールの使用時間が過ぎてクルーズモードに戻ったガンフェニックスストライカーとウィッチたちも集まり、既にボルターの勝ち目はなかった。

 

「きゃぁあーーーッ!?」

『!?』

 

しかしその時、聞き覚えのある少女の悲鳴が聞こえた!

振り向くとそこには、クレージーゴンジャイアントのアームの下敷きになったはずのバトラーが、左手にエイラとサーニャを掴んで立っているではないか!

 

「エイラ!サーニャ!」

『おっと、動くなよ?こいつらがどうなってもいいのかぁ?』

「くそー、離せヨー!!」

 

エイラが叫びながらもがくが、バトラーは離す筈がない。

バトラーの卑劣な行為に対し、真っ先に異見を唱えたのはボルターであった。

 

『バトラー!貴様、誇り高きエンペラ軍団の一員が、何という卑怯な事を……!』

『喧しい!エンペラの家来ごときが、この俺に異見するんじゃあない!!』

『何!?』

「あいつ………エンペラ軍団じゃないのか………?」

 

バトラーの叫びに、一同は静まり返る。今までエンペラ軍団の一員と思っていたバトラーが、あのような事を言うなんて…………?

 

『“あのお方”が蘇ったならばエンペラの残党など木端も同然!貴様らは、我らの宇宙支配の為の礎となるのだぁー!』

『貴様………!』

 

高らかに宣言をするバトラーに怒りが込みあがるボルター。メビウスたちは人質がいるために手が出せない上、エネルギーも残りわずかであった。

 

『当初の目的も果たせた!後は手負いのボルターと貴様らを始末して―――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドウッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『がッ………!?』

『!?』

「なんだ!?」

 

その時、バトラーの左ひじに銀色の光線が直撃し、衝撃と痛みでバトラーは2人を放してしまう!メビウスは咄嗟に飛び込んで2人をキャッチすると、離れた地面に下ろして、光線の飛んで来た方を見上げた。

 

「あれは………!?」

 

見上げた先から飛んで来た『それ』は、片膝を着く形で着地をすると、立ち上がってその姿を見せた。

 

青い体に、銀色の尖った『耳』にカラータイマーの横の「スターマーク」と肩の突起、右腕に『ナイトブレス』を光らせた青い巨人―――

 

 

 

 

 

「ウルトラマンヒカリ!!」

「セリザワ隊長!!」

 

その青い巨人、ウルトラマンヒカリの姿を見たテッペイとリュウが、その名を叫んだ。

 

『ば、バカな………!?』

 

バトラーが戸惑う中、ヒカリは右腕のナイトブレスから光剣『ナイトビームブレード』を伸ばすと、バトラーに向けて駆け出す!

 

『デヤァアアーーーッ!!』

斬ッ!

『が………!?』

 

そして、すれ違い様にバトラーに一太刀浴びせ、袈裟懸けに両断した!

 

『がぁあああッ………!?……、……ダ………さまぁあ………!!』

ドォオオンッ

 

斬られたバトラーは断末魔と共に崩れ落ち、そのまま爆発の中に消えた………

 

「すごい………!」

「何という腕前だ………!」

 

一太刀でバトラーを下した光の腕前に心を奪われる一同。すでにヒカリのカラータイマーは赤く点滅している中、ペリーヌははっ、と我に返った。

 

「ボルターは!?」

「え!?」

 

ペリーヌの叫びにようやく気付いたが、振り返った先にいるはずの赤い要塞ロボットの姿は、既にどこにもなかった。

 

「逃げたか………!」

 

リュウが歯を食いしばる中、メビウスとヒカリは金と銀の光の粒子となって、その姿を消した。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「ファイターEXⅡ、アドベンチャー輸送形態に入りました。」

 

エリアルベースⅡのオペレーションルーム。敦子とジョジーが、コンソールを操作しながら報告をする。モニターの向こうでは、竜が森湖の畔に鎮座した『アドベンチャーⅡ』カイトの駆るXIGファイターEXⅡに吊り上げられており、湖の上空でガイアとアグルが向かい合って浮遊していた。

 

「いよいよだね、ミーナ。」

「ええ。美緒たち、無事かしら………?」

 

アドベンチャー内のシートに座るミーナとエーリカが、そのような話をしていた。アドベンチャーは内部のシステムなどは未完成ながらも、装甲などは次元移動に耐えられると判断されたため、2人用のシートとストライカーや研究資料等をしまうスペースを設ける等の改装を施されていた。

 

『チャンスは一度きりだ。頼むぞ、藤宮。』

『ああ、こっちの世界は俺とXIGに任せておけ。』

 

ガイアとアグル―――我夢と藤宮は短く会話をした。

我夢はワームホールを開けると同時に、カイトたちと共に次元を超えて行くつもりでいた。自分の持つ『アドベンチャー』の理論を活用し、11人のウィッチをもとの次元に返す研究をしようと考えての決断であった。

 

『行くぞ我夢!』

『ああ!』

 

2人は頷きあうと、額に赤と青のエネルギーを集める。溜まったエネルギーは鞭のようにしなりながら天を突き、2人は『フォトンエッジ』を互いに撃ち合う!放たれた光線は空中で衝突し、激突したエネルギーは合わさって天に上る!

すると、強大なエネルギーによって閉じかけていた『次元の穴』がこじ開けられ、空中にぱっくりとその口を大きく開けた!

 

「成功だ!」

『今だ!』

 

カイトは開いた穴に飛び込むと、ガイアはアグルの方を見て頷き、自分もそれに続いた。

ガイアが次元の穴に飛び込んだ瞬間、次元の穴は再び閉じたのであった。

 

『頼んだぞ、我夢………』

 

 

 

 

 

つづく




第十六話です。

実は、シーモンスはクレージーゴンジャイアントの中にいたというオチ。
フォーメーション・ヤマトはカッコよくて好きだけど、三篇連続で決め手が腹部への一撃でちょっと反省。

バトラーは実はエンペラ軍団ではありませんでした。彼の言う“あのお方”の正体とは、はてさて?

ラストでは、ガイア達の共同作戦。『ガイア』第25話、26話の再現です。次回、いよいよ合流となります。

では次回、『鋼鉄の進撃』にてお会いしましょう。

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