ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ   作:オレの「自動追尾弾」

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第二話 魔女たちの消失

1939年、突如として世界に出没した『ネウロイ』と呼ばれる怪異により、人類は多くの国々を失った。

 

瘴気をまき散らし大地を腐らせ、金属を吸収するネウロイにより、人類は生まれ育った街を焼かれ、故郷を追われていった。

 

軍隊の通常兵器の効かないネウロイに唯一対抗できるのは、『魔法力』を持ち、『ストライカーユニット』で空を駆ける少女たち『ウィッチ』のみである。

 

1944年、ネウロイによって侵略されたガリアは同年、第501統合戦闘航空団『ストライクウィッチーズ』によって解放された。しかし翌1945年、ヴェネツィア上空に巨大なネウロイの巣が新たに出現しヴェネツィア公国は陥落、更に、隣国のロマーニャをも侵略の脅威にさらされてしまった。

 

この危機に対し、再び集結した第501統合戦闘航空団が防衛にあたり、ネウロイと日々戦いを繰り広げていた。

 

 

 

 

 

しかし―――

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

ババババババ……とエンジン音を響かせながら、一人のウィッチが空を飛んでいた。

 

緑色の軍服に赤く長い髪から灰色狼の耳を生やし、肩から機関銃を下げたそのウィッチは、眼下に広がる光景に、未だ信じられないといった風に見下ろしていた。

 

「こちら第501統合戦闘航空団、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ。現在ヴェネツィア上空に到着しました。」

 

インカムに向けて通信をするウィッチ―――名前をミーナと言うらしい。

通信した通り彼女と、彼女の指揮する通称『ストライクウィッチーズ』は現在、ネウロイに占領されたヴェネツィア上空に来ていた。

だが、そこには――――――

 

 

 

 

 

 

「報告の通り…………ネウロイの巣は、見当たりません………」

 

 

 

 

 

 

そこにあるはずの物、天をも突くほど巨大なネウロイの巣は存在せず、綺麗な青空が広がっていた………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

ヴェネツィアの巣が、こつ然と消えた。

 

数日前、501の基地に届いたこの一報に、ミーナを始めとした11人は衝撃を受けた。

 

最初は信じられなかった一同であったが、情報はそれだけではなかった。

 

ヴェネツィアの巣を監視していたロマーニャの海軍・空軍の所持する戦闘機12機と巡洋艦3隻が、巣の消失後に原因不明の墜落・沈没をしたのだというのだ。

 

司令本部はこれをネウロイの誘導作戦で、隠れていたネウロイの仕業であると断定、501のウィッチたちに、調査の命令が下ったのだ。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「………しっかしまあ、本当になくなっているのなぁー。」

「ホーント、綺麗さっぱりー!!」

 

眼下の荒廃した街並みを見ながら、赤い軍服の少女が、赤く長い髪とウサギの耳を風になびかせながら呟くと、隣を飛んでいた色黒の肌と黒いツインテールが特徴の少女がけらけらと笑って言う。

 

すると、その後方を飛んでいた緑の軍服に、茶色い髪を後ろで二つに結わき、両肩には大型の火器、首からはカメラをぶら下げた少女が、眉を吊り上げて叫んだ。

 

「気を抜くなイェーガー、ルッキーニ!どこにネウロイが潜んでいるか分からぬのだぞ!」

「しかしですねーバルクホルン大尉どの?今日はご覧の通りの快晴、雲も少ないし、隠れる場所なんてないですよー?」

「だからと言って!」

「おっこらーれたー♪」

 

バルクホルンは二人に怒鳴り散らすが、二人はそんな事どこ吹く風と聞き流し、ルッキーニはクルクルと回り出した。

 

「あり?」

 

その時、ルッキーニが下を見ると、地上に何か動くものを見つけた。

 

「ねえねえシャーリー。」

「ん?どーした?」

「あれ。」

 

シャーリーとバルクホルンがルッキーニの指を指した先を見ると、そこにはグレーと白を基調とした服を着た男性が、荒廃したヴェネツィアの町中を運河に沿って歩いているのが見えた。

 

「民間人か!?」

「何でこんな所に……?」

 

二人はその人物の存在を確認すると、ルッキーニを引き連れて降下していった。

近くまで降りて行くと、その人物が短い髪を金色に染めた男性であり、どこかのユニフォームのようなその服の背に「ASUKA」と白い字で描かれている事が分かった。

 

「アス……カ?」

「おーいアンター!」

「ん?」

 

シャーリーが声をかけると、ようやくその男性は彼女たちに気が付いたらしく、呆気に取られたようにこちらを見上げてきた。

 

「どーやってこんな所に入ったんだ?この辺りには、まだネウロイが潜んでいる可能性があるから、民間人の立ち入りは禁止のはずだぞ?」

「え?そーなのか?」

「そーなのかって………」

「いやー、悪い悪い。なんつうか、気付いたらこの場所にいたっていうか………」

「何を馬鹿な事を!!」

 

笑って頭を掻きながら言い訳をする男性にバルクホルンが怒鳴る。ルッキーニは男の周囲を回りながら、物珍しそうに見ていた。

 

「あー、こちらイェーガー。民間人らしき男性を保護した。年齢は30代、すぐに伝令所に―――」

 

シャーリーが通信機に向けて話していた、その時だ。

 

 

 

 

 

 

ザッバァァアアアアアアアアア

 

 

 

 

 

 

「!?」

「うぇ!?」

「な、なんだぁ~~~!?」

 

突然、運河の水面から水柱が上がり、驚く一同。

 

「あれは!?」

 

運河の水が降り注ぐ中、男は水柱の中に、巨大な何かがいる事に気が付いた。

 

「……は?」

 

水柱が収まり、その巨大な『ソレ』の姿を見たバルクホルンが、呆気に取られたように口を開いた。

男とルッキーニは目が点になり、シャーリーは思わず身を震わせる。

 

「な……………」

 

 

 

 

 

そこにいたのは、二本足で立ち、風船のように真っ赤な丸い頭部と6本の触手、青い目は右目が潰れており、突き出た丸い口を持っている………

 

 

 

 

 

「何ッッッじゃこりゃあーーーーーーーーー!?」

 

 

 

 

 

………早い話が、身の丈が60メートルもある、巨大なタコであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二話 魔女たちの消失

 

四次元怪獣 ブルトン

大ダコ怪獣 タガール

巨大魚怪獣 ゾアムルチ

宇宙怪獣 ベムラー

灼熱怪獣 ザンボラー

円盤生物 サタンモア

怪鳥円盤 リトルモア

超古代怪獣 ゴルザ

再生怪獣 サラマンドラ

用心棒怪獣 ブラックキング

登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャーリーたち3人が男性を発見し、巨大タコと遭遇する少し前、芳佳とリーネは、501副隊長である坂本美緒と共に訪れた巡洋艦内で生き残ったロマーニャ軍人たちの治療に当たっていた。

芳佳の固有魔法は『治癒能力』、即ち、傷を癒す力を持っているのだ。

 

「この人で最後ですか?」

「はい、ありがとうございます!」

「お疲れ様、芳佳ちゃん。」

 

芳佳の質問に、治療に当たっていた衛生兵が答える。リーネは芳佳にタオルを渡すと、芳佳はそれで汗を拭いた。

一方の美緒は、治療を受けた兵の中で比較的軽症で、話せる者に話を聞いていた。

 

「何があったか、憶えているか?」

「ええ………未だに信じられないし、信じてくれないと思いますが………」

「………分かった、信じよう。話してくれ。」

 

美緒に言われ、その兵士は話し始めた。

 

「……自分たちを襲ったのは、ネウロイではありません。」

「何だと?」

「………自分たちがヴェネツィアの上空を飛んでいたら、突然、街の地面から、赤く光るヒレを持った、巨大なトカゲのようなものが現れたのです。」

「トカゲ……?」

 

兵士の言葉に、美緒は聞き返す。後ろから芳佳たちも聞く中、兵士は続けた。

 

「そのトカゲが、こちらを睨んだと思ったら、次の瞬間、自分たちの乗っていたMC.202の翼が炎上し、墜落してしまったのです………」

「なんと………!?」

「あれは、あんな生き物、見た事がない………まるで悪魔だ……!!」

 

思い出してしまったのか、兵士は震えだしてしまった。美緒は兵士の手に自分の手を重ねると、気持ちを落ち着かせた。

その時、芳佳たちのいる部屋に兵士が慌ただしく入ってきた。

 

「失礼いたします!」

「ふえ!?」

「何だ騒々しい!けが人がいるのだぞ!」

「す、すみません………イェーガー大尉とバルクホルン大尉より入電!ヴェネツィアの運河で、交戦中とのことです!!」

「何だと!?」

 

兵士の言葉を美緒が聞き返し、芳佳とリーネは息をのむ。

 

「それで、ネウロイは?」

「い、いえ、交戦しているのはネウロイではないそうでして………」

「何?」

「じゃあ、シャーリーさんたちは何と戦っているのですか?」

「それが………」

 

芳佳の質問に対し、兵士は困惑した様子であったが、それに答えた。

 

 

 

 

 

「………『巨大な魚』、だそうです………」

「「「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………は?」」」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

芳佳たちが報告を受ける数分前―――

 

「キュィイィイィイィイィ………」

「タコ………か?」

「………タコだね。」

「な、何でタコ………なんかが………うぷっ」

 

突然現れた大タコに固まる4人。特に、タコが嫌いなシャーリーは、口に両手を当てて青ざめている。

 

「なんつうか、もう『怪獣』だな、こりゃあ………」

「カイジュウ?」

 

男が漏らした言葉を聞き返すルッキーニ。

彼女たちは知らない事であるが、このタコはある世界では『大ダコ怪獣 タガール』と言う名前で呼ばれており、かつて、『大ガニ怪獣 ガンザ』と戦って敗走した過去を持っていて、右目はその時、ガンザに潰されたのだ。

タガールは残った左目で周りを見わたしていると、ふと、目の前にいるシャーリーたち4人を見つけた。

 

「わ!こっち見た!?」

「ヤバくないか!?」

「キュィイィイィイィイィ!!」

 

そう叫んだ瞬間、タガールはその長い触手を鞭のようにしならせて一気に振りおろした!

すかさずバルクホルンは男性を抱えて飛び上がると、タガールの触手は3人のいた場所を大きく穿った。

 

「何という力だ!?」

「てか、君意外と力あるのな!?」

「固有魔法だ!」

 

思わず大声で叫ぶバルクホルン。3人は男性を離れた場所に降ろすと、タガールの方を見た。

 

「あのタコが何なのかは後回しだ!これ以上街を破壊させるな!」

「「了解!!」」

「え?お、おーい!!置いてくのかよー!?」

 

男の叫びを後ろに、3人は再度タガールに向かっていった。だがその時、運河の水面が爆ぜたかと思うと、青い身体と鋭い口を持った、巨大な魚のような怪獣が現れた!

 

「ウァァアアアアアオオオオオオオ!!」

「何!?」

「もう一匹!?」

「タコの次は鮭!?」

 

突然出現したもう一体の怪獣の出現に驚く3人。すると、ルッキーニが声を上げた。

 

「カルパッチョ何人分くらいかな~?」

「いや、食わないから!!」

「ウァァアアアアアアオオオオオオオオ!!」

「キュィイィイィイィイィ!!」

 

シャーリーが思わずツッコムなか、巨大魚はヒレから進化したような腕を回して、臨戦態勢に入った。

この巨大魚もある世界では『巨大魚怪獣 ゾアムルチ』と呼ばれる存在であり、かつては『宇宙調査員 メイツ星人』の用心棒のような役割で連れられたのだが、この個体はどうやらメイツ星人とは無関係のようだ。

タガールは悲しいような鳴き声を上げるゾアムルチに気付くと、触手を投げ縄の如く振りまわし、ゾアムルチに向かっていった。

 

「私らは眼中にないってか?」

「………もしかして、ロマーニャ海軍は、こいつらにやられたのか?」

 

バルクホルンがふと、思いついた事を呟く中、ゾアムルチはタガールを殴り始め、触手を三本程、口で引きちぎってしまった。

タガールはお返しとして口から大量の墨を吐きだし、ゾアムルチを真っ黒に染めていく。

だが、ゾアムルチは真っ黒になっただけで平然としており、タガールに向けて口を開くとそこから青い怪光線を発射、タガールの頭部に命中させ、爆発を起こした!

 

「キュゥウ~~~………」

「タコが!?」

 

ルッキーニが叫んだ瞬間、タガールはあお向けで倒れこみ、そのまま爆発を起こしてしまった!

ゾアムルチは勝ち誇ったように雄叫びを上げると、新しい獲物―――シャーリーたち3人を見つけ、歩み寄って来た。

 

「こっち来たー!」

「くッ………こちらバルクホルン、現在ヴェネツィア東にて、ええと、巨大な、魚?と交戦中!至急応援を求む!!」

 

ゾアムルチの青い光線を避けながら両手にした機銃を掃射しつつ、通信をするバルクホルン。だが、帰って来た通信に言葉を失った。

 

[―――こちらハルトマン、………ごめん、こっちもネウロイじゃない敵が出て………]

[こっちもダ!アイツ、何て早さナンダ!?]

「―――何だと!?」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

バルクホルンの通信を聞いた芳佳たちは、困惑しながらも出撃していた。巨大な魚などという突拍子もない報告に頭を悩ませたが、とにかく、助けを求めている以上は出撃する必要があった。

しばらく飛んでいると、荒廃したヴェネツィアの街が見えてきた。

 

「間もなく、シャーリーたちの戦闘している区域が見えてくる。気を引き締めろ!」

「「はい!!」」

 

美緒の言葉に気を引き締める二人。だがその時、彼女たちの下にある海面が波打ったかと思うと、そこが爆発するようにして、何かが海中から現れた。

 

「何!?」

「ネウロイ!?それとも………!?」

 

突然の出来事に戸惑う三人であったが、そこにいたのはトゲとうろこに包まれた寸胴な直立体型の、トカゲのような巨大生物―――『宇宙怪獣 ベムラー』であった。

 

「ギャァアアアアアアアオオオオオ!!」

「な、何だこいつは!?」

 

今まで見た事のない生物の出現に、思わず声を上げる美緒。芳佳とリーネも、困惑した様子であった。そんな三人を気にする事なく、ベムラーは口から青白い熱線を吐きだし、眼下の街を炎に包んだ!

 

「街が!?」

「コイツ………二人とも!コイツが何者かは後回しだ!これ以上街を壊させるな!」

「「りょ、了解!!」」

 

若干戸惑ってはいるものの、街を破壊するベムラーを放っておく訳にはいかない。すぐに、地上へと上陸したベムラー目がけて降下していく。

だがその時、地面が爆発したかと思うと、そこから赤く光る角と背びれを持った、40メートルもあろう四足歩行のトカゲのような巨大生物―――とある次元世界では『灼熱怪獣 ザンボラー』と呼ばれている怪獣が、ベムラーの目の前に現れた!

 

「ギャオオオオオオオオオン!!」

「ギャァアアアアアアアオオオオオ!!」

「もう一体!?」

「赤いヒレのトカゲ………ロマーニャ空軍を襲ったのは、こいつか!!」

 

ザンボラーの姿を見た美緒が、その外見の特長から決定づけた。ザンボラーとベムラーは互いにその姿を確認すると、ザンボラーは雄たけびと共に背びれと角を赤く光らせる。瞬間、ベムラーの身体と周囲が炎につつまれ、ベムラーは悲鳴を上げる。

 

「きゃあっ!」

「この能力で墜落させたわけか!!」

 

ザンボラーの能力に驚きつつも、その力に納得をする。

ザンボラーは頭部と背中の赤い突起を発光させると同時に熱光線を放つのだが、それは瞬時に当たるために視認することは出来ず、相手を一気に炎上させてしまうのだ。

ベムラーは怒りの青色熱線をザンボラーに放つが、怒りのあまり狙いが定まっていないのか、街の被害を拡大してしまう。

 

「………行くぞ!これ以上奴らに暴れさせるな!!」

「「了解!!」」

 

暴れる二大怪獣に危機感を持った美緒は、二人に叫ぶ。

芳佳と美緒はベムラーの背に向けて機銃を掃射しながら突っ込んでいくと、ベムラーは魔力のこもった弾丸にダメージを受けると、怒ったように尻尾を振るう。二人はそれを避けると、旋回して銃を撃つ。

一方、リーネは対戦車ライフルの照準をザンボラーに合わせて引き金を引くが、その弾丸はザンボラーの手前で不自然に上昇し、その背びれに掠めることなく遠くに飛んで行ってしまった。

 

「そんな!?」

「何で狙いが………む?」

 

その時美緒は、平然とした表情をするザンボラーの周囲が、陽炎で揺らめいている事に気が付いた。

 

「周囲に陽炎が……まさか、あいつの体温はそれ程に高いというのか!?」

 

ザンボラーは、『灼熱怪獣』の異名に恥じない10万度という超高体温の持ち主なのである。その体温故に周囲の温度との差で空気の層が生じ、光線が屈折してライフルの狙いが外れてしまったのだ。

ある次元世界のアメリカ合衆国に出現したザンボラーの別個体も同様の能力を有しており、衛星レーザーを湾曲させる現象を起こしていた。

 

「こんな生物………今まで見た事ない………」

 

恐らく、先ほどベムラーが放った青色熱線が外れたのも、この現象によるものだろう。今までネウロイという人類の脅威と戦っていた彼女であったが、怪獣と言う未知の脅威に戸惑っていた。

再びザンボラーを狙うリーネ。今度は屈折の事を考えて、若干下の方を狙う。

 

ズドドドドドドォオン

「きゃあ!?」

「ギャオオオオオオオオオオオン!!」

「ギャァアアアアアアオオオオオオオオオオ!!」

 

しかしその時、上空から火の玉が降り注ぎ、ベムラーとザンボラーに直撃した!

リーネが上空を見上げると、そこには『空飛ぶ怪獣』と戦う2人のウィッチの姿があった。

 

「エイラ!?」

「サーニャちゃん!?」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「グヮヮアアアアアアア!!」

「クソ!何なんだコイツ!?」

「早い………!」

 

銀色の長髪に黒い狐の耳と尻尾を生やした少女、エイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉が悪態をつき、短い銀髪に黒猫の耳と尻尾を生やした少女、サーニャ・V・リトヴャク中尉がそのスピードに驚く。

彼女たちの目の前には、戦闘機を思わせるフォルムと鋭いくちばしを持った、巨大な怪鳥の姿があった。この怪鳥には『円盤生物 サタンモア』と言う名前があるのだが、彼女らがそれを知る術はない。

 

「グヮヮアアア!!」

「くっ………」

 

低い鳴き声を上げるサタンモアに怯む二人。すると、サタンモアは口から小型の『怪鳥円盤 リトルモア』を何匹も吐き出し、エイラたちを襲わせる!

 

「キキィイ!」「キキキィイ!!」

「こ、コイツラ………!!」

「エイラ下がって!!」

 

サーニャはエイラが下がったのを確認すると、肩に担いだフリーガーハマーをリトルモアの集まった辺りに向けて発射、十数体のリトルモアをまとめて仕留めた!

 

「グヮヮアアアアアア!!」

「っ!サーニャ!!」

 

サタンモアがひと鳴きした瞬間、エイラが叫ぶ。サーニャがすぐさま急上昇してその場を離脱すると、今までいた場所をサタンモアの目から発せられたレーザー光線が通過した。サーニャがぞっとしているのもつかの間、今度はリトルモアの集団が真っ直ぐにサーニャを狙う!

 

「サーニャに近づくナーーーーーー!!」

 

その時、機銃を乱射しながらエイラが突っ込んでいき、変則飛行するリトルモアもなんのそのと撃ち落とし、残りのリトルモアも静止した状態で全て狙い撃つ!

 

「大丈夫かサーニャ!?」

「う、うん、ありがとうエイラ。」

「グヮヮアアアアアアアアアア!!」

 

サーニャがエイラを安心させる中、サタンモアは怒りの声を上げて、口から炎を吐いた。二人はそれをかわすと、攻撃を仕掛ける。

 

「グヮヮアアアア!!」

「良し!行けそうダナ!」

「うん………!待って!あれは何!?」

「え!?」

 

エイラはサーニャが指差した方向を見ると、そこでは胸と頭を甲殻類のような殻で覆った青い怪獣が、運河にいるゾアムルチに向かって街を蹂躙している所であった。

 

「まだいたなんて………!」

「!あっちにも!?」

 

さらにエイラが見た方では、蛇腹状の黒い体表と金色の角と全身に生えたトゲを持った怪獣と、たてがみのような角と六角形の固そうな体表を持った怪獣が戦っていた!

 

「一体、このヴェネツィアで何が起こっているんだ!?」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「グォオオオオオオオオオオオオ!!」

「………!あれは『ゴルザ』!?」

 

一方その頃、バルクホルンによって建物の屋上に連れられた男性は、目の前の青い怪獣―――『超古代怪獣 ゴルザ』の姿に驚く。

何故“あの”ゴルザがここにいるのか?男性がそう考えていると、ゴルザはゾアムルチの姿を見つけると、全身のエネルギーを額に集め、超音波光線を放つ。

 

ドォオオン

「ウァァアアアアアアオオオオオオオオオ!!」

「んなあ!?」

「また増えた!?」

 

光線を受けたゾアムルチは右肩に光線を受けると、標的をゴルザに定めて光線を放つも、ゴルザはそれを受けてなお立っている。相当タフな怪獣のようだ。

ゴルザはお返しとばかりに殴りかかると、ゾアムルチは尻尾を打ち付ける。ゴルザはそれを掴むと、ゾアムルチをグルグルと振り回し、遠くまで投げてしまった。

 

「グォオオオオオオオオオオオ!!」

「何て力だ!!」

「お前といい勝負じゃないのか!?」

「冗談ではない!!」

 

勝ち誇って雄叫びを上げるゴルザを見たシャーリーの冗談に怒鳴るバルクホルン。

一方、投げ飛ばされたゾアムルチはというと、立ち上がったものの目を回した状態でふらふらとした足取りである。ようやく目を覚ましたのもつかの間、気付けば自分の目の前には二体の怪獣―――固い皮膚に覆われた『再生怪獣 サラマンドラ』と、真っ黒な『用心棒怪獣 ブラックキング』の姿があった!

 

「アアアアアアアアオオオオオオオオオオ!!」

「グオオオオオオオオ!!」

「ウァァアアアアアアオオオオオオオオオ!!」

 

「何て事ですの………!?」

「また増えた~!?」

 

サラマンドラとブラックキングの二体と対峙していたミーナと短い金髪にダックスフンドの耳と尻尾を持ったエーリカ・ハルトマン、そして長い金髪に眼鏡をかけ、黒猫の耳と尻尾を生やしたペリーヌ・クロステルマンの3人が、ゾアムルチに警戒していると、そこに意気揚々とゴルザが現れる。

 

「グォオオオオオオオオオ!!」

「アアアアアアアオオオオオオオオオオ!!」

「ウァァアアアアアアオオオオオオオオ!!」

「グオオオオオオオオ!!」

 

四大怪獣は二人には目もくれず、互いにけん制し合って戦闘を開始した。

 

「な、なんだか大変な事に………!」

「おーい、ミーナ!」

「あ、トゥルーデ。」

 

サラマンドラがゾアムルチにラリアットをかまし、ブラックキングとゴルザが組み合っているのを見ている事しか出来ないでいると、ゴルザを追ってきたらしいバルクホルンらが、ミーナたちと合流する。

 

「何なの……この生物たちは……?」

「カイジュウ………」

「え?」

 

思わずミーナの口から出た言葉に答えるかのように、シャーリーが呟いた。

 

「さっき助けた男が、そう言っていた。あれは、『カイジュウ』だって。」

「カイジュウ………」

 

今まで見た事のない生物『カイジュウ』の名前を復唱するエーリカ。するとその時、ゴルザの右フックを受けたブラックキングが、自分たちの上空にいる5人のウィッチに気が付いた。

 

「グォオオオオオオ!!」

「こっち見た!?」

 

こちらを睨むブラックキングの目はネウロイにはない『狂気』に満ちており、歴戦のミーナたちでさえ恐怖を覚える。ブラックキングは口に赤いエネルギーを蓄積させていき―――

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

この怪獣軍団の戦闘を、遥か上空で見ている者たちがいた。

 

「ふん、宇宙警備隊の目の届かない異世界を選んではみたものの、この世界ではデータを取るのに少しもの足りないな………」

 

暗い部屋の中、円卓の中央に映し出した映像を、手足や胸に毛を生やして頭頂部に短い赤い角を持った細身の影が、椅子にふんぞり返りながら鼻を鳴らす。

 

「しかし、あのウィッチとか言う地球人の小娘らは、怪獣どもと戦うのに十分な力を持っているようですよ?」

「だが、それでも微々たるものじゃなイカ。」

「同感だな。」

 

その細身の影に、丸い身体の影が言うが、それを大きな耳を持った影と尖った耳に金髪の影が馬鹿にしたように返す。すると、大きなくちばしと四本の触角を持った影が立ちあがり、細身の影に進言した。

 

「おい、これ以上やっても時間の無駄だ!とっととあの小娘どもを始末させろ!」

「そう慌てるな。ブラックキング!その小娘どもに一発―――」

「待て!あれは何だ!?」

「「「「!?」」」」

 

だがその時、金髪の影が鉤爪を着けた左手を掲げて叫ぶ。投影された映像には、ヴェネツィアの街に光があふれ、『銀色の巨人』が現れた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

ブラックキングが口から光線を放とうとしたその時、

 

ズンッ

 

「グゥウウ………?」

「え………?」

「い、今のって………?」

 

突然、ヴェネツィアの街に地響きが起こる。ウィッチや怪獣たちが戸惑っているその時、ルッキーニは街の中に巨大な人影が立っている事に気が付いた。

 

「何アレ!?」

 

それは、身長が50メートルの巨人だった。

銀色の身体に赤と青のラインを走らせ、胸には青く光るランプを中央に持った金色のプロテクターを着け、額には白く輝くクリスタルがある。

 

「巨人!?」

「また、新たな敵か!?」

「けど、何か今までのカイジュウとは違う感じがするぞ…」

 

巨人の登場に、バルクホルンは警戒するが、シャーリーは巨人の出す雰囲気に、今までの怪獣にはない『何か』に気が付く。

 

「アアアアアアアアオオオオオオオオオオン!!」

「グォオオオオオオ!!」

「ウァァアアアアアアアオオオオオオオオオオオオ!!」

「ギャオオオオオオオオオオン!!」

 

怪獣軍団は一斉に巨人に向けて駆けだす。遠くの方からはベムラーやザンボラー、上空からはサタンモアまでも駆けつける。巨人はそれに怯むことなく、ゆっくりと、それでいて堂々と歩み出す。

先手を打ったのはゾアムルチとサタンモアだ。それぞれ目と口から光線を発射するが、巨人はそれを腕で払いのけてしまう。ならばと、今度はサラマンドラが殴りかかると左腕でガード、右腕で殴り倒し、さらに近づいてきたブラックキングに蹴りをお見舞いする。

巨人と怪獣たちの激しい戦いに唖然とする6人。すると、3体の怪獣を追ってきたらしい

芳佳たちが飛んできた。

 

「ミーナ!」

「ペリーヌさーん!」

「少佐!」

「バルクホルンさん、これは一体……!?」

「わ、私にも、何が何だか………!?」

 

今まさに、サタンモアの突進をかわした巨人を見て問う芳佳であったが、彼女たちにも答えられない。

 

『ぐわああああああ!!』

 

その時、サラマンドラが鼻から放ったミサイル弾を受けて怯んだ巨人にベムラーの青色熱線とゴルザの超音波光線が直撃し、止めとばかりにザンボラーが熱線を放ち巨人を追い詰める。

それを見た美緒が、おかしい事に気付く。

 

「………おかしい。あいつらがあんな連携をするなんて………?」

「そ、そう言えばそうダナ…今まで戦っていたのに………」

「まるで、誰かに指示を受けているかのようだわ………」

「まさか、あいつらを操る何者かがいるというのか!?」

 

シャーリーが驚きの声を上げる。すぐさまサーニャが頭に魔導針を出現させて索敵を行う。

一方の巨人は立ち上がると、胸の前で腕を交差させ、斜めに広げる。すると、額のクリスタルが赤く光り、巨人の身体は真っ赤な身体にシルバーのラインが入り、先ほどより筋肉質な姿になった!

 

「変わった!?」

「真っ赤になっちゃった!?」

 

変化した巨人に驚く芳佳たち。怪獣たちも一瞬驚くが、ゾアムルチが真っ先に突っ込んでいくのを見て、それに続くように走り出した。

 

『デヤアアアアアアアア!!』

バギッ

「ウァァアアアオオオオオオオ!?」

 

ゾアムルチの平手打ちを弾いた巨人は左手を赤く光らせて殴ると、ゾアムルチは派手に吹き飛ぶ。次いで、ゴルザとサラマンドラが向かっていくが、パンチとキックで応戦、突っ込んできたサタンモアもくちばしを掴んで止めてしまった。

 

「何か、さっきより強くなってないか!?」

「ああ、力が上がったようだ…」

「強い………!」

 

パワーの上がった巨人に感嘆の声を上げる一同。怪獣たちが一斉に襲いかかろうとしたその時、巨人は掴んでいたサタンモアを大きく振りまわし始め、怪獣たちはうかつに近づけなくなってしまう。

 

「キュゥウ~~………」

 

三半規管がマヒしだしたのか、苦しそうな声を上げるサタンモア。巨人は遠心力で十分に勢いが付いたと判断すると、サタンモアを投げ飛ばした!

 

「キュウ~~~」

「ウァァアオオオオ………」

 

丁度その時、先ほど吹き飛ばされたゾアムルチが起き上った。しかし、そこに向かって投げ飛ばされたサタンモアが飛んできた。

 

グザッ

「ギャウウウウウウウウウ!?」

「グ!?グヮヮアアアア!?」

 

案の定、ゾアムルチのわき腹にサタンモアの鋭いくちばしが突き刺さり、悲鳴を上げるゾアムルチ。サタンモアも必死になって抜こうとするが、結構深く刺さっているのか、まったく抜ける気配がない。

ゾアムルチが痛みに暴れていると瓦礫に躓いてしまう。その先には戸惑ってたじろぐザンボラーの姿が………

 

ジュウウウウウウウウウ

「ギャウウウウウウウウウ!?!?!?」

「ギャオオオオオオオオオオン!?」

「うわあ~、カワイソー………」

 

泣きっ面に蜂と言わんばかりにザンボラーの上に倒れこみ、その熱でさらに苦しむゾアムルチ。ザンボラーもゾアムルチとサタンモアの重さで苦しんでいるその様子に、ルッキーニが思わず同情する。

サラマンドラとブラックキングをパンチで退けた巨人は、団子状態で苦しむ3匹を見て、好機と判断した。

 

『フウウウ………』

「!何か始める気ですわ!」

 

巨人は拳を作った両手を胸の前で合わせると、大きく腕を回す。すると、巨人の胸の前に赤いエネルギーが集まり、赤い球体となった。

 

『フウウウウウ………デヤァアッ!!』

ドォオオン

「「「ギギャァアアアアアアアア………!!!」」」

 

巨人はそれをパンチで打ち出し、それは3匹の怪獣に直撃し、哀れ3大怪獣は、大爆発の中に消えてしまった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

「バカな!?3匹まとめてだと!?」

「あ、………圧倒的じゃなイカ、あのウルトラマン!!」

 

円卓で傍観していた影たちは、巨人の出現にざわついていた。細身の影は悔しげに拳に力を入れる。

 

「おい『ナックル』!どうする気だ!?」

「ええい、やむを得ん!!『アレ』を出すぞ!!」

 

ナックルと呼ばれたその影が立ちあがってそう言うと、円卓の一同はピタリと黙る。

 

「あのウルトラマンを地球人の小娘諸共、何処ぞと知らぬ異世界に飛ばしてしまえ!!」

「おお、それはいい!怪獣を回収でき次第―――」

「そんな時間はない!怪獣はまた後で集めればいい事だ!!早く奴を解き放つのだぁ!!」

 

ナックルがそう叫ぶと、背後に控えていたガイコツのような怪人が機器を操作する。その瞬間、部屋全体が大きく揺れた。中央の映像が切り替わり、何かのハッチが開き、そこから『ソレ』が出てきたと思うと、ふ、と姿を消してしまった………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「な、何と言う強力な力だ………!!」

「あのカイジュウたちを倒したって事は、あの巨人は、我々の味方なのか………?」

 

たった今3大怪獣を葬った巨人の技に驚くウィッチたち。残った4体の怪獣が吠える中、巨人が胸の前で腕を交差させて開くと、先ほどの銀に赤と青のラインが入った姿に戻った。その時、巨人は何かに気付いたのか、街の一角を見た。

 

「?どうしたんだろう………?」

「……!?何か来ます!!」

「何だと!?」

 

サーニャが叫んだ瞬間、巨人が見ていた辺りの空間が歪みだして、元に戻った瞬間、そこには奇妙な『モノ』があった。

50メートルほどのフジツボか火山のような突起をいくつも生やし、上半分は青灰色、下半分は赤い色をした鉱物のような見た目であるが、時折ぶるぶる震える。

その物体の出現に全員が戸惑っていると、物体の突起から細長いアンテナのようなものが出てきたかと思うと、その先端がフラッシュのように光った。

 

「うわぁッ!?」

「眩しい!!」

「何だ、この光は―――!?」

 

その光は辺り一面を包み込み、全員は思わず目をつぶる。

 

「な、何これ―――」

「引き寄せられ――――――――」

「宮藤、逃げるん――――――」

「ば、バルクホルンさん!?」

 

バルクホルンが芳佳に叫んだ瞬間、側にいたシャーリーとルッキーニともども、バルクホルンは首にさげていたカメラを残して消えてしまった!

 

「そんな……バルクホルンさん………!」

「芳佳ちゃん――――――」

 

カメラを受け止めた芳佳が茫然としている間もなく、光は芳佳とリーネ、いや、ウィッチたちや怪獣、巨人を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

光が消えた時には、ウィッチや巨人たち、そして、あの奇妙な物体の姿はなかった………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「―――以上の内容で、間違いないですね?」

 

ミサキの言葉に、美緒と芳佳、リーネが頷く。

 

ここはGUYS ジャパン基地内の会議室。現在、芳佳たち3人の聴取をしたミサキやトリヤマにマル、そしてサコミズらは、聴取内容を確認していた。

 

「しかし、一部を除いて信じられない事ばかりで………」

「ですが、彼女たちの話では1939年にあのネウロイが出現したとありますが、そのような記録は残っておらず、昨日の出現が初めての物です。対して、彼女たちの世界に怪獣はいままで出現した記録もないと言います。」

 

訝しげに言うトリヤマにミサキがそう返す。それに、とサコミズが続ける。

 

「あの『ストライカーユニット』のメカニズムも、我々の見た事もない物ばかりです。大まかな技術は大戦中の物だそうですが、エンジンのエネルギー系統が不明とのことでした。そして、宮藤さんの持っていたカメラに残っていたフィルムには、怪獣や、彼女たちの言う「巨人」の写真が残っていましたし。」

 

サコミズはファイルから何枚かの写真を見せた。芳佳の持っていたカメラのフィルムを現像したものだ。そこには、ザンボラーやブラックキングと言った怪獣軍団や、巨人の姿が写っていた。

 

「これらの怪獣は、総本部のアーカイブに記録が残っていました。そして、最後に現れたという、この怪獣。」

「へ?………これも、怪獣なのかね?」

「これが、生き物だというのか?」

 

最後の一枚に写された突起の生えた物体が怪獣、つまり生き物である事に驚く美緒たち。ミサキは続けた。

 

「はい。ドキュメントSSSPに記録が残っていました。レジストコードは『四次元怪獣 ブルトン』。四次元を操る怪獣です。」

「四次元を………?」

 

怪獣―――ブルトンの別名を聞き、美緒たちはある事に行きついた。

 

「じゃ、じゃあ、私たちがここに来ちゃったのは、このブルトンのせい、と言う事ですか?」

「はい、宮藤さんたちがアイハラ隊長に保護された時や、ネウロイという怪獣やベムラーが出現する際に四次元エネルギーが観測された事を考えると、今回、ネウロイの『巣』をヴェネツィアから消し去ったのと同一人物である事が考えられます。」

「まさか………じゃあ、バルクホルンさんたちは………!?」

 

リーネの言葉を聞いたサコミズたちは、暗い面持ちになった。

 

「………君の仲間たちは、現在捜索を行ってはいるものの、まだ見つかっては……」

「………そう、か……」

 

残念そうな顔をする3人。すると突然、トリヤマが咳払いをした。

 

「あー、そこでなのだが、我々GUYSジャパンから、君たちに提案がある。」

「提案………」

「ですか……?」

 

トリヤマの発言に、3人は首を傾げる。

 

「君たちの仲間が見つかるまでの間、我らCREW GUYSジャパンに協力をしてはくれないかね?」

「え……?」

「ブルトンを操る者がネウロイを送り込んだとしたら、今後も怪獣だけではなく、ネウロイが出現する可能性もある。だから、こちらとしても対ネウロイ防衛チームである君たちの協力があると大いに助かるんだ。」

 

トリヤマに捕捉するようにサコミズが言うが、3人は突然の申し出に戸惑っている様子だった。

 

「もちろん、それまでの間の衣食住は保障するし、君たちを元いた世界に戻す術も探そう。どうだい?」

「え、そんな………悪いですよ………」

「気にする事はない。怪獣や宇宙人とネウロイという若干の違いはあれど、私たちと君たちは、互いに『地球防衛』の道を歩む者同士と言える。共に助け合って、人々を守ることが出来るはずだ。」

 

サコミズのその言葉を聞いた3人ははっとした顔になる。すると、突然美緒が高笑いし始めた。

 

「はっはっはっはっは!いやあ、総監殿には参りましたなあ!」

「それじゃあ…」

「はい!私たちに出来る事があるのなら!」

「ネウロイたちが来るのであれば、私たちが!!」

 

3人の快い返事に、決まりだな、とサコミズは手を差し伸べた。

 

「では坂本少佐、これから、よろしくお願いします。」

「ええ、こちらこそ。」

 

美緒はその手を握り返し、芳佳たちは笑い合った。

 

 

 

ふと、マルは写真に写った巨人に目が停まった。

 

「それにしても、このウルトラマンは、何者なのでしょうかねえ?」

「案外、坂本少佐同様に異世界から来たウルトラマンなのかもしれんぞ?」

 

トリヤマたちの話を聞いた芳佳が、首を傾げた。

 

「ウルトラ………マン………?」

「え?………ああ、そう言えば、君たちは知らないんだったね。」

 

一瞬、何故芳佳がその名前を知らないのか分からなかったサコミズたちであったが、3人がウルトラマンや怪獣のいない異世界から来た事に気付いた。

 

「この世界では、この巨人は『ウルトラマン』と呼ばれているんだ。」

「何だと?」

「ですが、このような姿のウルトラマンは、今までこの地球上で確認はされていません。」

 

サコミズとミサキがそう説明すると、今度はリーネが質問した。

 

「じゃあ、昨日のあの巨人も……」

「メビウスの事だね。彼は2年前に現れた、最も新しく確認されたウルトラマンだ。」

「そのウルトラマンとやらは、何者なのですか?」

 

今度は美緒が質問した。

 

「ウルトラマンは、地球から300万光年離れたM78星雲『光の国』から来た宇宙人なんだ。その星には、全宇宙の平和を守る「宇宙警備隊」の本部があって、彼らはそこに所属する戦士たちで、たびたび侵略者や怪獣の危機に瀕した地球を救ってくれたんだ。」

「そんなすごい人たちだったんだ………」

 

サコミズの話を聞き入る3人。

 

(………あ、ウルトラマンと言えば………)

 

その時ふと、芳佳はある人物の事を思い出した。

 

(昨日の戦いの後、あの場所に戻ったらいなかったけれど、ミライさん、どうしているかなあ………?)

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

『―――成程。異世界のウィッチと呼ばれる少女たちに謎の怪異『ネウロイ』、そして、怪獣を操る謎の存在、か………』

 

同じ頃、ウルトラマンメビウスはテレパシーで遠く離れたM78星雲と連絡を取っていた。

相手は、真っ赤な『ブラザーズマント』をたなびかせ、その下に見える胸には6対の勲章『スターマーク』、肩には3対の『ウルトラブレスター』を持ったウルトラマン―――『宇宙警備隊』隊長にして『ウルトラ兄弟』長男、ゾフィーである。

 

『メビウス、君は以前、異世界のウルトラマンと共に戦ったと言っていたな?』

『はい。彼女たちの写真にはその内の一人、『ダイナ』の姿がありました。ですが、恐らくそのダイナは、「僕の知らないダイナ」だと思います。』

『平行世界のウルトラマン、と言う訳か………』

 

そう、芳佳たちを助けたウルトラマンは、かつて異世界でメビウスと共に『闇の影法師』の陰謀を阻止し横浜の街を守った戦士、ウルトラマンダイナだったのだ。

だがメビウスが言った通り、以前共に戦ったダイナとは『別のダイナ』である可能性は十分にある。

 

『………実は、それと関係しているかは分からないが、ネオスと21から、怪獣墓場で不審な動きがあったという報告を受けている。』

『怪獣墓場で!?』

 

怪獣墓場とは、死んだ怪獣たちの魂が行きつく最終地点であり、そこは無数の怪獣たちの霊が眠る神聖な場所なのだ。

過去に何度かその場所が原因で騒動が起きる事があったものの、基本的にそこに入れる者は限られているのだが………

 

『他にも、チャックたちが宇宙各地でエンペラ軍団の残党が集結しているという情報を聞き、先ほど調査に向かった所だ。』

『そんな………まさか、今回の事も!?』

『確証はないが、何らかの関係性があるかもしれない………メビウス、予定通り君の休暇は本日を持って終了。早速で悪いが、今から新しい任務に就いて欲しい。』

『え………?』

 

心配するメビウスであったが、ゾフィーから突然の命令に一瞬戸惑った。

 

『では、任務を伝えよう。君はそのまま地球に滞在し、第501統合戦闘航空団『ストライクウィッチーズ』の残り8人を探し出し、無事に元いた世界に送り届けるのだ。』

『!ゾフィー兄さん………!』

『同時に、ネウロイや怪獣たちを操る黒幕をつきとめて欲しい。やってくれるね?』

『はい!もちろんです!!』

 

ゾフィーの指令に、メビウスは力強く答えた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

翌朝、ディレクションルームに集まったCREW GUYSメンバーたちは、アイハラ・リュウ隊長の隣に立つ3人の少女たちに注目していた。

 

「と言う訳で、今日から俺たちGUYSジャパンと共に戦う仲間が、増える事になった。」

「坂本 美緒だ。ここではあまり意味を成さないらしいが、階級は少佐だ。よろしく頼む。」

「あ、宮藤 芳佳軍曹です!よろしくお願いします!」

「リネット・ビショップ曹長です。よろしくお願いします。」

 

リュウに紹介され、3人が自己紹介をする。

 

「3人は、他の仲間を探す間だけの一時的な入隊、という扱いとして、総監が話を通してくれている。こう見えてかなりの実力者だ。って、言わなくても一昨日一緒に戦ったお前らなら承知の上だろうな。」

「ええ、一昨日は助かりましたからね。」

「よろしくね~、3人とも♪」

「はい!よろしくお願いします!」

 

カナタやマイが挨拶をする。するとディレクションルームのドアが開き、アタッシュケースを持ったトリヤマとマルが入って来た。

 

「アイハラ隊長、用意が出来ましたよー!」

「ああ、すいませんね、補佐官。」

「気にするな。どの道必要になるのだからな。」

 

リュウがトリヤマから受け取ったケースを開くと、そこには『4つ』のメモリーディスプレイが入っていた。

 

「これって……」

「皆さんも、同じものを持っていましたよね?」

「メモリーディスプレイだ。通信の他に、過去に出現した怪獣たちの記録を呼び出す等、色々出来ると同時に、GUYSの一員である証でもある。」

「これを、私たちに?」

 

リュウが説明すると、美緒が尋ねた。

 

「一昨日みたいに、いちいち外部スピーカーを使う訳にはいかないし、持っていた方が便利だからな。使い方は、後でエリーにでも聞いてくれ。」

「…あれ?でもこれ、4つありますよ?」

 

物珍しそうに見る芳佳たちの後ろから、コウジが気付いたらしくリュウに聞く。すると、リュウはイタズラっぽく口の端を釣り上げた。

 

「ああ、それはな―――」

 

 

 

 

 

「すいません、遅れました!!」

 

リュウが言おうとした時、ドアが再び開いて、誰かが駆けこんできた。

 

「………え?み、ミライさん!?」

 

それは、GUYSの制服に身を包んだミライであった。リュウは呆れながらも、アタッシュケースに入ったメモリーディスプレイの内、右端の物を手に取る。その背面には、炎のシンボルが描かれていた。

 

「全く、何やってたんだよ?」

「すいません、少し内装が変わっていて、迷子に………」

「ええと、何でミライさんが………?」

 

リュウはメモリーディスプレイをミライに手渡すと、その肩を持って全員の方を向いた。

 

「あー、言い忘れていたが、今日は美緒たち以外に、もう一人増える事になっていたんだ。」

「今日からGUYSに復帰する事になった、ヒビノ・ミライです。よろしくお願いします!!」

 

「………え?」

「えええええーーーーーーーーー!?」

 

ディレクションルームに、芳佳の声が響き渡った。

 

つづく




大怪獣バトル!な第二話です(笑)
「ウルトラマンの世界にネウロイが現れた」前回とは逆で、「ネウロイしか出現しなかった世界に怪獣が現れる」という内容に決めたら、結構な数の怪獣が出る事に………タガールにサタンモア、ゴルザとかなりカオスな面子ですが、これでも減らした方です(減らす前はバンピーラやゲルカドンとかいたし…ゾアムルチはA版みたいな扱いと思ってください…)
ザンボラーの現象は、パワード版ザンボラーがレーザーを捻じ曲がった現象から思いつきました。

芳佳たちGUYSに協力、そしてミライが復帰した所で今回はここまで。次回からは、はぐれた8人がどうしているか、と言う感じになります。

最後に、前回のネウロイの元ネタですが、『ウルトラマン』より科学特捜隊の宇宙ビートルでした。

では、また次回。
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