ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ 作:オレの「自動追尾弾」
「な、何これ―――」
「引き寄せられ――――――――」
「宮藤、逃げるん――――――」
「ば、バルクホルンさん!?」
ヴェネツィアの町に、突如として出現した奇妙な物体が放った光が私たちを包み込み、光の向こう側へと強く引き寄せられる。
「エイ、ラ―――」
気を失う寸前、私―――エイラ・イルマタル・ユーティライネン―――の方へと手を伸ばす、サーニャの姿が見えた―――
☆★☆★☆★
「う………ん………?」
どれだけの時間、気を失っていたのだろうか、消毒液のにおいが鼻を刺激して、私は目を覚ました。
「ここ、は………?」
「キュウ~?」
起き上がってみると、何処かの医務室のようであった。
だけど、見渡すと見た事のない機械や薬品、後はベッドに付き添う赤いトゲトゲの体を持った、ブサイク顔の珍獣が1匹いるだけだった。
「………………」
「………………」
珍獣と目が会ってしまった。
何故か何処からともなくモクギョの『ポクポク……』という音が聞こえてきた気がする。
「うわああああああああああああああああああああああああああ!!!???」
「キュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!???」
驚きのあまり同時に叫ぶ私と珍獣。その拍子に思わず仰け反ってしまい、そのまま後ろ向きにベッドから落ちてしまった。
「アイタ!?」
「キュ~?」
転がって仰向けになってしまった私を、赤い珍獣が心配そうに見下ろしてきた。そんな風に心配されると、驚いてしまって申し訳なくなってしまう……
その時、ウィイン、といったような音と共にドアが開いたようだ。
「どうかしたのか?ああ、君、起きたの。」
倒れた私の顔を覗き込んできたのは、ボサボサの髪に無精ヒゲを生やし、眼鏡をかけた男だった。白衣を着ているところを見ると医師のようにも見えるが、なんだかウサン臭い。
「あー、ハイ。大丈夫です。」
「おー、あんだけ廊下に聞こえるくらい叫んでたし、元気そうで何よりだ。」
医師の手を借りて起き上がる。どうやら、ワタシの叫び声は廊下まで聞こえていたらしい。ハズカシイ………
「申し遅れたけれど、俺はここで医者をしている、カワヤ・ノボルだ。」
「あー……初めまして、エイラ・イルマタル・ユーティライネンです。エート、カワヤさん、ここドコですか?何でワタシ、ここに?」
「ここは、『遊星ジュラン』の研究施設。君は数時間前に、突然空から落ちてきたんだよ。」
「じ、ジュラン?何ソレ?」
思わず私が聞き返すと、再度ドアが開き、私の一番知っている顔が入ってきた。
「エイラ、起きたの?」
「サーニャ!!」
入ってきたサーニャを見て、思わず声を上げてしまった。すると、先程の珍獣がぴょこぴょことサーニャに近づいていく。
「キュ~」
「ミーニン、エイラを見ていてくれたの?ありがとう。」
「み、ミーニン?」
サーニャがミーニンと呼ぶその珍獣は、サーニャにほめられて嬉しそうな声を出す。いや、別に、羨ましいとか、そんなんじゃないけど。
「うん、この遊星に着いたとき、リドリアスと一緒に私たちを助けてくれたの。」
「リド、リアス………?」
また知らない名前が出てきた。少し混乱していると、カワヤ先生が話しかけてきた。
「簡単な診療をしてから、外に出てみると良い。たぶん、君も驚くと思うよ。」
ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ外伝
コスモス・ビギンズ
BEGINSⅡ 出会いの
「………ナンダ、コレ………?」
診察を終えた私が外に出ると、信じられない光景が広がっていた。
「クャアアーーーーー!」
「プィーユ!プィーユ!」
「ギュウィーーー!!」
頭上を、馬鹿でかい鳥が鳴き声を上げながら通り過ぎた。その行く先の湖畔では、ヴェネツィアで見たような50mはあろう巨大生物たちが何匹か戯れていた。
頭や首を固い甲羅で覆った奴は、湖の畔で水遊びをしている。
トゲトゲした赤く固そうな体表の4足歩行の者は、対照的に青くつるつるした身体の者にじゃれ付かれている。
三角形の頭の細い4足歩行のやつは、岩場でじっと縮こまっていた。
「な、何だよ、ココ………?」
「あ、カワヤさん、その子起きたんですか。」
私が唖然としていると、青い服を着た男性が振り返ってこちらに来た。
「ムサシさん。」
「こんにちは、僕は春野ムサシ。ここで怪獣たちの世話を手伝っているんだ。」
「カイジュウの、世話を………?」
ムサシと名乗った男性の自己紹介を聞いて、更に訳が分からなくなる。『カイジュウ』って、あのデカい生物の事だよな?アレの世話ってなんだよ?
「……あー、エイラ・イルマタル・ユーティライネンです。あの……」
「クャアアーーーーー!」
私が茫然としていると、さっき通り過ぎた鳥がこっちに向かってきて、私たちの目の前に降り立ち、その際の地響きで倒れそうになった。
「うわああ!?」
「リドリアス!」
サーニャがそう言って、青い鳥に手を振った。どうやら、この鳥みたいなのがさっき言っていた『リドリアス』のようだ。
「こいつが、落ちてきた君たちを助けてくれたんだよ。リドリアスがいなかったら、君ら2人とも地面に叩きつけられていたんだぞ?」
「そ、そうだったのか………アリガトウな、リドリアス。」
「クァア~♪」
戸惑いながらも、リドリアスにお礼を言う。リドリアスは嬉しいのか、頭を下して妙に甘えた感じの声を出していた。
「……なあ、本当にここって何なんだ?」
「さっきも言ったが、ここは地球外の『遊星ジュラン』。怪獣と人間の共存を研究しているんだ。」
「ち、地球外の遊星!?」
「………リドリアスが空から落ちてきた君たちをキャッチしたことを考えると、恐らく地球から転移をしてきたと思う………」
「そんな………!?」
ムサシさんの説明を聞いても信じられなかった。ここが地球外で、しかも怪獣の保護をしているなんて………
「こんな、地球外の星に行くなんてスオムスどころかカールスラントでも………!?」
「……2人の話を聞いた限りだと、2人はこことは違う世界から来た可能性が大きいね。」
「違う世界って………」
「………今はまだ、整理がつかないだろう。暫く休むといい。」
カワヤ先生にそう言われて、私たちは小さく頷いた。
☆★☆★☆★
しばらくして、ムサシさんの案内で周囲を見渡せる高原に来た私たちは、草原に腰かけて眼下の怪獣たちを見下ろしていた。
「じゃあ、ここでは怪獣たちを保護して、人間との共存の研究を……?」
「うん。みんなここでの生活に慣れはじめているし、共存の道も見えてきているんだ。」
ムサシさんは、遠くで水浴びをする怪獣―――『ゴルメデ』と呼んでいた―――を見ながら話していた。
縮こまっているテールダスはこっちに引っ越してから体調が悪かったらしいけど、最近良くなったらしい。ゴルメデとリドリアスも以前は天敵同士だったそうだが、こちらに移り住む前から仲は良いそうだ。
怪獣たちの事を話すムサシさんは、本当に楽しそうな顔をしていた。
「他の星に人が住んで、怪獣と共存する計画が進んでるって………」
「私たちの世界じゃあ、夢物語ダナー………」
サーニャと私が口に出すと、ムサシさんは笑いかけてきた。
「………実現するまでは、いつも夢物語だったんだよ。まあ、これは僕も受け売りなんだけどね。」
「………」
ムサシさんのその言葉に、私とサーニャは聞き入っていた。
「……前向きなんですね、ムサシさんって。」
「そんな事ないよ。何度も挫けて失敗して、それでも諦めないで、ようやくここまで来たんだよ。」
ムサシさんは懐かしむようにそう話す。
「グォオーーー!ギャァァアアアアウ!」
「ん?」「……?」
その時、遠くから怪獣の鳴き声が聞こえた。鳴き声の方を見てみれば、山みたいに尖った大きな甲羅を持った、青い体表の牙を生やした四足歩行の怪獣がいた。
「ムサシさん、あの怪獣は…?」
「見た事のない怪獣だ………ジュランにあんな怪獣はいないはず………?」
「何ダッテ?」
「グォオーーー!ギャァァアアアアウ!」
ムサシさんも怪獣に驚いていると、その怪獣は鳴き声を上げながら周囲の様子をうかがっている様子だった。
「あの怪獣………怯えている……」
「え………?」
「見ず知らずの場所にきて、戸惑っているのか………」
怪獣の様子を見たムサシさんが、推測を立てた。怪獣を何匹も見てきた彼ならではの観察眼だろう。
その時、怪獣に気づいたらしいモグルドンとボルギルスが怪獣に近づいてきた。
「ギュウィーーー!!」
「プィーユ!プィーユ!」
「グォオーーー!ギャァァアアアアウ!」
「ボルギルスたちが………」
「話し合う気カ…?」
2匹にあの怪獣を攻撃する気配はなく、説得を試みようとしている事が伺えた。その時、サーニャが使い魔の黒猫の耳と尻尾を出し、そして頭部に光る魔力針を頭部に展開させると、声を上げた。
「!?何かいる……ッ!!」
「え!?」
サーニャが声を上げたその時、空中に巨大な『光の網』が現れて、あの怪獣諸ともボルギルスとモグルドンを捕えてしまった!
「何!?」
「ボルギルス!モグルドン!」
ムサシさんが叫んだその時、怪獣たちの後ろの空間が歪み、そこから怪獣よりも大きな影が現れた。
「ロボット!?」
「ゴンに似てる………?」
凸型のボディと頭部と持ち、右腕が異様に長い4本爪のアームで、対照的に左腕は極端に短いバズーカ砲になったシオマネキを思わせるフォルムを持ち、背中から伸びた2機の砲門、腹部にはシャッターのある、1本の太い軸で繋がった4本脚のくすんだ真鍮色のロボットが、左腕のバズーカ砲から繋がったネットを巻き取って捕まった3匹を宙吊りにしてしまった!
「ギュウィーーー!!ギュウィーーー!!」
「プィーユ!プィーユ!」
「グォオーーー!ギャァァアアアアウ!」
「アイツ、ボルギルスたちを連れていくつもりか!」
ロボットの目的にすぐに気づく。急いでストライカーを取りに行こうとしたが、その時、上空からリドリアスがロボットに向けてドロップキックをお見舞いした。
「クャアアーーー!!」
「リドリアス!!」
「オイ、危ないゾ!!」
思わずなおも攻撃を続けるリドリアスに声を荒げてしまった。しかしロボットは腰の部分を180度反時計回りに180度回転させると、その長い右アームでリドリアスを捕えてしまった!
「クャアアーーー!!」
「リドリアス!!」
「エイラ、早くストライカーを!!」
サーニャに言われて、私とサーニャはストライカーを取りに走りだす。間に合うかどうかは分からないが、何もしないよりはマシだ。しかし、ロボットは下半身からロケット噴射をして、直ぐに飛び立とうとしていた。
「!?マズイ!!」
「やめろおおおおおおおお!!」
ムサシさんが悲痛な叫びを上げたその時、空の彼方から金色の光がロボット目掛けて飛んできて、背中に直撃をして爆発が起きた!
「え!?」
「今のは………!?」
爆発でロボットはロケット噴射を中断して地響きと同時に着地をする。揺れる網の中と右アームで怪獣たちが悲鳴を上げる中、ロボットの目の前に巨大な赤い人影が現れた。
「あれって……!?」
「ヴェネツィアに現れた巨人に似ている……!?」
そこにいたのは、赤い身体に黒と銀のラインを走らせ、金色の釣り目を持った巨人だった。
「ウルトラマンジャスティス!!」
「ジャスティス………?」
『ジュァッ!!』
ムサシさんがその巨人をそう呼ぶと、巨人―――ジャスティスはロボットに向けて構えを取った。しかしロボットは捕えた怪獣たちを前に突き出した。
『…!?』
「アイツ、怪獣を楯に………!!」
ジャスティスは怪獣を楯にされて迂闊に手出しできないようだった。しかしジャスティスは飛び上がったかと思うと、高速で飛んでロボットの背後に回ると、全身を金色に発光させて腕を突き出すと、金色の光線を発射、ロボットの後頭部で爆発が起きた!
ロボットは慌てたように後ろを振り向くが、ジャスティスは素早い動きでロボットをほんろうする。
「上手い!あの腕じゃあ、一方向にしか怪獣を向けられない!」
ジャスティスの攻撃を見てムサシさんが歓声を上げた。ロボットはあちこちから煙をあげ始め、動きが鈍くなってきている。今ならリドリアスたちを助けられるとふんだジャスティスは一気にロボットと距離を詰めた。
ドシュッ
『グアァッ!?』
「え!?」
しかし、ジャスティスに向けて放たれた光線が直撃し、地面に墜落してしまった。
「何ダ!?」
驚いていると、ジャスティスの背後にボロボロのマントとターバンみたいなマスクを着けて、右手にライフル銃を持った巨人が現れた。
「誰だ!?」
『……我が名は『ハンター・D』。』
「ハンター・D?」
ハンター・Dと名乗った宇宙人は左腕に付けた装置を操作すると、ロボットの頭上の空間が歪み、ロボットはそこに吸い込まれるようにして消えていった。
「しまった!リドリアスが………!!」
『ヌゥウ………』
ロボットが消えたのと同時にジャスティスが起き上がると、ハンター・Dに向けて右拳を突き出すようにして光線を発射、ハンター・Dは咄嗟に躱すが、向き直った時にはジャスティスは目の前まで来ており、その顔に右拳を叩き込んだ!
『グアッ………!!』
ハンター・Dは数歩下がって、打たれた頬に手を当てた。
『チッ、ダメだ………ウルトラマンは強い………!!』
ハンター・Dはそう言い残すと、先ほどのロボットと同様に歪んだ空間の中に消えてしまった………
『………!』
「逃げられた………!!」
「そんな………!」
ロボットとそれを操るハンター・Dに逃げられて、私たちは呆然と立ちすくんでしまった………!
to be continued...
外伝三部作の中編です。今回はエイラ視点。
ヴェネツィアから遊星ジュランまで飛ばされた2人。寝起きでミーニンはインパクトありすぎてキツいw
ゾンネルとクレージーゴン・ジャイアント登場。多々良島篇で判明したムサシ達との因縁も判明です。
ジャスティス、そして謎の宇宙人ハンター・D登場。正体は謎ですが、後に本編にも登場予定です。
では、よいお年を。