ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ   作:オレの「自動追尾弾」

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第三話 ネウロイの脅威

神奈川県藤沢市の片瀬東浜海水浴場。

有名な観光地「江ノ島」が目の前に見え、サーファーたちが波に乗っているここの道路脇にバイクを停めた女性が、ペットボトルの水を片手に空を見上げていた。

 

彼女の名は『カザマ・マリナ』。かつて、リュウやミライたち7人でエンペラ星人を打ち破った『旧CREW GUYS』の一員であった。現在は除隊して入隊時に一時離れていたバイクレーサーの夢に向かって再び歩み出していた。

今日はたまの休日にと、小田原を目指してバイクを走らせており、今は一休み中であった。

 

「―――そーいえばミライくん、どうするのかな………?」

 

一昨日のニュースで再び現れた怪獣と戦ったのは知っているが、メビウスが休暇の延長で地球に留まるのかどうかまでは、流石に報道機関が知っているはずもない。本人に直接聞くのもなんだか気が引ける気がする為、連絡はしていない。

今度、リュウ辺りにでも聞いてみよう。そう考えてペットボトルをバッグにしまうと、ヘルメットを手に取った。

 

「なんだありゃあ!?」「オイ、空を見ろ!!」「鳥だ!?」「飛行機だ!?」

「ん?」

 

ふと、サーファーたちが空を指さして何処かで聞いた事のある言い回しで騒いでいる事に気が付いた。マリナも見上げると―――

 

 

 

「………いや、人だぞ!?」

「えええ!?」

 

長い金髪の女の子が、空から落ちていた………

人々が騒ぎたてる中、女の子は海面近くで体勢を立て直し、衝撃波で海水を弾いて上昇した。

 

「くう………ここはどこですの?ヴェネツィアではないようです………が………?」

 

そのまま空中で静止する少女だが、急に頭を押さえて前のめりに倒れ、そのまま頭から海に落ちてしまった。

 

「お、おい、落ちたぞ!?」「どうする………!?」

 

サーファーたちが戸惑う中、マリナは意を決し、海に駆けだした。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「ヴェネツィアの怪獣たちを操っていた奴が分かったって?」

 

一方その頃、GUYS基地内では、クルーたちがマイとエリーから話を聞いていた。

 

「と言っても、実際の黒幕なのかどうかは別に、何らかのかかわりを持っている可能性はある人物です。」

「で、それは誰なんですか?」

 

芳佳がそう聞くと、エリーは端末を操作してメインモニターにヴェネツィアに出現した怪獣の一体、黒い蛇腹状の身体に金色の角とトゲを持った怪獣の画像を映し出した。

 

「わ、これって映写機になっているんですか?」

「便利な世の中になったものだなあ。」

「おばあちゃんかよ……」

「………話を進めますよ?」

 

未知の科学に驚く3人に呆れつつ、エリーが話を進める。

 

「レジストコード『用心棒怪獣 ブラックキング』。この怪獣が過去に出現した記録が、ドキュメントMATにありました。」

「この怪獣は、当時地球に滞在していたウルトラマン2世を倒す為にその能力を研究したらしい宇宙人が、それに対抗出来るように調教したらしく、その宇宙人とコンビを組んで、ウルトラマンを一度倒しています。」

「帰ってきたウルトラマンを、ですか?」

「新マンを研究して立ち向かうとは………なかなか用意周到な奴ですねえ……」

 

マイが続けた説明に、驚きと関心の混じった声を出すカナタとコウジ。すると、リーネがエリーに聞く。

 

「え?この怪獣って、ウルトラマンさんを3人も倒したんですか?」

「「「いいえ、1人です。」」」

「え?でも、名前が全然違うし………あれ?」

 

リーネたちが不思議に思うのも、無理はない。

ブラックキングと戦った『ウルトラマンジャック』は、活躍していた当時から呼び名が一定されておらず、現在でも『帰ってきたウルトラマン』、『ウルトラマン2世』、『新マン』、『帰マン』と呼ばれ、『ジャック』という本名は地球人には知られていないのだ。今のように別々の名前が飛び交う事もよくある話である。

 

「……まあ、帰マンさんの名前については置いといて。」

「また違う名前が!?」

「とにかく、その宇宙人というのがこの、」

 

話を戻して、エリーがモニターを切り替えて黒い頭に赤い角と大きな赤い目を持ち、白い身体にはいくつもの赤い球体、手足や首元には白い毛を生やした宇宙人の情報が呼び出した。

 

「『暗殺宇宙人 ナックル星人』なんです。」

「暗殺とは、なんとも物騒な別名だな………」

「ブラックキングはナックル星人にしか飼育できない怪獣ですし、無関係とは言い切れませんね。」

「へえ~、詳しいですねミライさん。」

「え?い、いや、その…」

 

芳佳の質問に戸惑うミライ。すると、それをリュウがかぶせた。

 

「ミライは、大学で『怪獣学』ってのを勉強していたんだよ。」

「え?あ、そ、そうなんですよ!はい!」

「へー。」

「まあ、40年以上も怪獣が現れている世界なら、怪獣について学ぶ事もあるだろうなあ。」

 

軍でもネウロイについて学ぶ場を作るよう進言してみるか、と美緒が考える。苦笑いしていたGUYSクルーメンバーだが、不意に、リュウがミライを引っ張りだした。

 

(おい、しっかりしてくれよ!あいつらに、お前がメビウスだって言ってないんだから!)

(すいません。流石に、いきなりじゃあびっくりしちゃいますからね……)

「?二人で何の話ですか?」

「「いや、別に。」」

「「?」」

 

首を傾げる芳佳とリーネ。

 

「ナックル星人は、非常に狡猾で、尚且つ卑劣な宇宙人です。ネウロイをブラックキング同様に侵略目的で利用しようとしているのかもしれません……」

「ネウロイを利用するだと?だとしたら、奴らはネウロイをも操れるという事か?」

「……連中が何を送りだそうと関係ない。俺たちの肩に、人類の未来が掛かっているんだ。みんな、気を引き締めていくぞ!」

「「「「「G.I.G.!」」」」」

 

リュウの言葉に、5人は答える。だが、美緒たち3人は困惑していた。

 

「じ、じーあい……?」

「ああ、僕らの合言葉で、『分かりました。』って意味です。」

 

そうなんですか、と頷く芳佳とリーネ。その時、ディレクションルームの扉が開き、右手に細長いアタッシュケースを持ったサコミズが入ってきた。

 

「みんな、今すぐ江ノ島に向かってくれ。」

「江ノ島、ですか?」

 

突然の指令に首を傾げる一同。サコミズは神妙な面持ちでその疑問に答えた。

 

「先ほど通報があって、江ノ島でウィッチらしき女の子が出現、海に落ちて救助されたそうだ。」

「何だと!?」

 

それを聞いて美緒が声を上げ、芳佳とリーネは心配そうに顔を見合わせた。

 

話し合った結果、美緒たち3人にリュウ、ミライ、カナタの5人で、江ノ島のウィッチの元へガンローダーに予備のガンスピーダーを積んで向かう事となった。

 

しかし、ここで問題が一つ。

 

「………行く前にお前ら、下にズボンか何か履いてくれ。」

「?もう履いているが?」

「いや、でもそれパンツだし……」

「いや、ズボンだぞ。」

 

当たり前のように言う3人に、リュウが呆れながら頭を掻いた。

 

「お前らがそう言っても、俺らからしたらズボンには見えないんだよ……」

「え?そうなんですか?」

「異世界のカルチャーショックですね………」

「とにかく、お前らをそのまま出すわけにはいかない。何か履いてもらうしかないんだ。」

 

不思議そうに首を傾げる3人にリュウとカナタがそう言うと、マイがふっふっふと笑いだした。

 

「こんな事もあろうかと、私トウドウ、3人分のホットパンツを用意しておきました~!」

 

そう言ってマイが出したのは、白く両サイドに黒いラインが入った、3着のホットパンツであった。試しに3人が履いてみると、3人にピッタリのサイズだった。

 

「おお、なかなか良いな!」

「この丈なら、ストライカーを着けても邪魔になりませんね。」

「ありがとうございます、マイさん!」

「何の何の。異世界同士のドッキング、てね♪」

 

こうして問題も解決し、今度こそ出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三話 ネウロイの脅威

 

異次元怪異 ネウロイ(GX-02)

古代怪獣 ゴメス

サーベル暴君 マグマ星人

異次元宇宙人 イカルス星人

マケット怪獣 エレキミクラス

マケット怪獣 リムエレキング

登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

江ノ島の近くにある東浜海水浴場。

そこのライフセーバーが救助した人を休ませる目的の小屋に、2人の女性がいた。

1人はカザマ・マリナ。もう1人は、先ほど海に落ちた金髪の少女であった。

 

(この子、昨日のニュースで言っていた「ウィッチ」って女の子たちに特徴が似ているわね………)

 

タオルで女の子の髪を拭きながら、マリナはその装備と服装を見てそう思った。

 

「GUYSに連絡しておいたし、後は来るのを待つだけね。」

「う、ん………?」

 

その時、マリナの横の女の子が意識を戻したらしく、目をうっすらと開いた。

 

「………ここ、は?確かワタクシは、急に眩暈がして………」

「気を失って海に落ちて、救助されたのよ。はい、眼鏡。」

 

上半身を起こした少女に眼鏡を渡すマリナ。少女は慌てて眼鏡を受け取ってかけると、そのままの勢いで立ち上がった。

 

「も、申し訳ありません!ワタクシとした事が、飛行中に気を失ってしまうなんて………このペリーヌ・クロステルマン一生の不覚ですわ!!」

「え、いや、そんなに自分を責めないでも……」

 

ペリーヌと名乗るその少女が頭を下げるのを見て、マリナは彼女に聞いた。

 

「ひょっとしてなんだけれど、あなた、ウィッチっていうのかしら?」

「ふぇ?え、ええ、そうですけれど………?」

 

何でそんな当たり前のことを聞くのか?といった風に首を傾げるペリーヌ。それにマリナは答えた。

 

「あなたの仲間らしい人が、一昨日ネウロイっていう怪獣と戦ったそうなのよ。」

「ネウロイと!?」

「さっき連絡を入れたから、もうじき来ると思うわよ。」

 

マリナの言葉に、ペリーヌは少し戸惑いながらも、安堵の息を吐いた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「クソゥっ!何でオレ様がこんな下っ端みたいな事を!!」

 

一方その頃、小田原の山中を2人の宇宙人が歩いていた。

 

金色の長髪に銀の仮面のような顔、黒い身体と、左手には銀の鉤爪を着けているのは、かつてレッドギラス、ブラックギラスの双子怪獣を引連れて地球に攻め入った宇宙人の同種族、『サーベル暴君 マグマ星人』だ。

 

「そうカッカするんじゃなイカ。そんなんじゃあ、仕事も上手くイカないからなあ。」

 

もう1人は、ひび割れた青い体表に大きな耳、頭髪と髭を生やしたその星人は、かつて四次元空間に前線基地を建設し、そこからの神出鬼没な攻撃で侵略を目論んだ宇宙人の同種族『異次元宇宙人 イカルス星人』である。

 

「第一、戦力はネウロイで事足りるであろう。なのに、何故怪獣を集める必要がある!?」

「けど、ネウロイだけでは行動に限界がある訳だから、こうやって地道に探すしかないじゃなイカ。」

「お前があのバオーンとか言う怪獣を捕まえていれば、こんな事、しなくて良かったのだがな!」

 

酷いじゃなイカ!と反りかえるイカルス星人。すると、マグマ星人の鉤爪についた装置が反応を示し、高い電子音を鳴らし始めた。

 

「む?どうやらこの辺りのようだな。」

「そんじゃあ、とっととおっ始めるイカ。」

 

イカルス星人はそう言うと、先端にパラボラアンテナのような物が付いた銃を取り出し、山の斜面に向けて超音波光線を発射した。

 

 

 

 

 

その地中深くの洞窟に、眠る『モノ』がいた。

 

イカルス星人の放った光線は地面をすり抜けてそれに当たり『モノ』を刺激し始める。しばらくそれが続いたその時、そのモノが目を覚ました………

 

 

 

 

 

「どうやら、目を覚ましたようじゃなイカ。」

「そうだな。よし、四次元転移装置、作動!」

 

さらにマグマ星人が腕の装置を操作すると、洞窟内の空間が歪みだし、巨大な物体が出現した………!

 

 

 

 

 

「キィィイイ……………!」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「ペリーヌ、無事で良かった………!」

「坂本少佐!宮藤さんたちも!」

 

ペリーヌが目を覚ましたおよそ20分後、東浜海水浴場に予備のガンスピーダーを積んだガンローダーで急行した美緒、芳佳、リーネたちは、ペリーヌの無事に喜んでいた。

 

「それでペリーヌさん、あの女の人が助けてくれたんですか?」

「ええ。カザマさんと言うのですが、お恥ずかしいながら、重いのにストライカーまで持っていただいて………」

 

一方、リュウとミライも、通報したのがマリナだと知って、久しぶりの再会に喜んでいた。

 

「じゃあミライ君、もうしばらくはこっちにいるんだ。」

「はい!芳佳ちゃんたちの仲間を探す為にも、あのネウロイや怪獣たちを操る何者かを突き止めるにも、ここに留まる必要があるとの判断です!」

「そっかあ。」

 

ミライたちと笑顔で話すマリナを見て、芳佳が疑問に思った。

 

「あの人、ミライさんたちと知り合いなのかなあ?」

「ああ、カザマさんだね。」

 

するとそれに、カナタが答えた。

 

「カザマ・マリナさん。アイハラ隊長や、当時隊長だったサコミズ総監と一緒にエンペラ星人っていう悪の宇宙人を倒した7人の1人なんだ。」

「そんなスゴイ人だったんですか!?」

「今はGUYSを除隊して夢に向けて頑張っているらしいけど、隊長たちとは、今でも強い絆で結ばれた仲間だって事は、確かだ。」

「仲間………」

 

仲間、その言葉を聞いた芳佳たちは、不安げに顔を曇らせた………

 

 

 

 

 

「―――では、ワタクシたち以外の皆さんの行方は…」

「ああ。ペリーヌが2日遅れてきた事を考えて別の時間か、あるいはこことは別の世界か………」

「そんな………」

 

少しして、浜辺で美緒からここが異世界である事、ヴェネツィアに出現した怪獣たちを操る何者かがいる事、今はGUYSに身を寄せている事を聞かされたペリーヌは、不安そうに口に手を当てた。

 

「………ですが、意外ですわ。少佐が異世界のチームに、協力をするなんて。」

 

芳佳やマリナらと談笑するリュウやミライたちを見ながら、ペリーヌが美緒に聞いた。

 

「私も最初は少し戸惑ったが、私たちがネウロイから人々を守っているように、彼らもあの怪獣たちから人々を守る立場にある。戦う相手は違えども、平和を願う心は同じと考え、彼らを信じてみようと思ったんだ。」

「平和を願う、心………」

 

美緒の考えを聞いて、ペリーヌは物思いに彼らを見た。

その時、リュウのメモリーディスプレイから甲高い通信音が鳴り響いた。

 

「アイハラだ。」

[隊長、小田原の山中で異常な異次元エネルギーを観測しました。怪獣の可能性があります。]

「分かった。マイとコウジはガンウィンガーとガンブースターで向かってくれ。エリー、ナビは任せたぞ。」

[G.I.G.!]

 

リュウが通信を切ると、丁度美緒とペリーヌが駆け寄ってきたのを見ると、リュウはミライたちに向き直った。

 

「これより、小田原に調査に向かう。怪獣やネウロイの可能性が高い、気を引き締めていくぞ!」

「「G.I.G.!」」

 

ミライとカナタが答える。まだこの返事に慣れない芳佳たちだが、ネウロイの可能性と聞いて顔を険しくする。リュウたちがガンローダーに向かうと、ペリーヌがふらふらと美緒に駆け寄った。

 

「少佐!ワタクシも出撃を………!」

「ペリーヌさん!」

「無茶です!まだ体調が万全じゃあないのに!」

 

救出時に軽傷であった芳佳とリーネならばともかく、ペリーヌは気絶した上、海に落ちた為体力が落ちてしまっていたのだ。それでもなお、ペリーヌは美緒に進言した。

 

「ワタクシなら大丈夫ですわ!だから………!」

「ペリーヌさん………」

「……出会ってばかりのあの方々を信用していないというのもありますが、これ以上の失態は―――!」

「見栄張って命落としちゃあ、元も子もねえだろーが。」

 

ペリーヌが言い終える前に、手にアタッシュケースを持ったリュウが歩いてきた。

 

「アイハラ隊長……」

「そんな状態じゃあ、飛んでも墜落する。そんなお前を、怪獣やネウロイの元へ向かわせる訳にはいかない。」

「俺も同感だな。万全じゃないやつを飛ばすのは、危険すぎるからな。」

「ッ………しかし!」

 

尚も食い下がらないペリーヌ。そんなペリーヌを見て、リュウはふ、と笑う

 

「そんな顔するな。何も『戦うな』とは言ってねえよ。」

「アイハラ隊長?」

 

美緒が疑問に思っていると、リュウはミライに声をかけた。

 

「ミライ、コイツと一緒にスピーダーで地上から現地に向かってくれ!」

「G.I.G.!」

「え…?」

 

リュウはそう言って、ミライにアタッシュケースを渡した。

 

「サコミズ総監から、念のためにって持たされたモンだ。大事に扱えよ。」

「はい!」

 

ミライは笑顔で答えると、未だに戸惑うペリーヌに歩いて行った。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

リュウたちよりひと足先に到着したガンウィンガーとガンブースターは、エネルギー観測地帯付近を旋回していた。

 

「この辺りから、短い時間だけとは言え四次元エネルギーが観測されたんですよね?」

「………その、はずなんだけど…?」

 

眼下の山を見下ろすコウジとマイであったが、今の時点では、異状は見当たらない。二人が不振に思っていたその時、山の中腹が陥没し、その穴から怪獣が出現した!

 

「グゴォオウ!グゴォオウ!シャッシャーーー!」

「!あれは!?」

 

全長10メートルと小柄ながら、太い筋肉質な体にフック型の短い角とぼさぼさの眉毛と髪が生えた頭部を持ち、先端にとげが生えた尻尾と青いうろこに覆われ、背中を覆う甲羅がある怪獣を見て、マイが声を上げた。

 

丁度その時、美緒たち3人とガンローダーが現場に到着し、地上ではガンスピーダーからミライとペリーヌが降りていた。

 

「随分と、ちっちゃい怪獣ですねえ………」

「気ぃ抜くなよ。小さくても、人には十分驚異的だ。」

[隊長、あれは『ゴメス』です!]

「ごめす?」

 

エリーからの通信に、リュウがそれを聞き返した。

 

[アウト・オブ・ドキュメントに記録がある古代怪獣です。最初の防衛チームである『科学特捜隊』設立以前に出現した怪獣で、学名はゴメテウス。一見爬虫類に見えますが、新生代第三期頃の原始哺乳類で変温動物なんです。当時出現した際には―――]

[エリー、その話、今じゃなきゃダメ?]

「………流石はテッペイさんの従兄妹というか、何と言うか………」

 

怪獣について熱く語るエリーに呆れる一同。そんな事をゴメスが構う訳がなく、市街地に向けて走って行く。

 

「このままじゃあ、ゴメスが市街地に出ちまう!迎え撃つんだ!」

「待って下さい!あの怪獣、何か様子が可笑しくないですか!?」

「何?」

 

芳佳に言われて、リュウはゴメスを見た。ゴメスは何度か後ろを見ており、時折躓きながら走るその様は慌てているようで、何かに怯えているようにも見えた。

 

「グゴォオウ!グゴォオウ!シャッシャーーー!」

「何かに追われているのか……?」

 

美緒がそう呟いた時、ガンウィンガーのレーダーが、ゴメスの出てきた穴から移動する巨大な金属反応を感知し、警報音を鳴らした。

 

「金属反応?それもかなり大きい………?」

「移動している……?まさか!?」

 

リュウが叫んだその時、山の穴のすぐ隣が爆ぜ、そこから巨大な影が現れた!

 

「キィィイイイイイイイイイ!!」

「ネウロイ!?」

 

そう、出現したのは全長50メートル級の、陸戦型ネウロイだった!

節足動物を思わせる6本の細長い脚に自動車のような身体、先端の左右には回転するねじれた四角錐型のドリルが、イノシシの牙の如く鎮座している。

ネウロイは上体を起こしてひと鳴きすると、ゴメス目がけて走りだしたではないか。

 

「キィィイイイイイイイイ!!」

「グォオオオウ!!」

「あの怪獣、ネウロイに追われている…!」

 

リュウたちは気付いた。恐らくはあの地底を進むネウロイが、冬眠していたゴメスの住処に現れ、ゴメスを起こしてしまったのだ。

 

「あの、どうしますアイハラ隊長?」

「あの怪獣は、ネウロイの被害者みたいなものだからなあ………」

 

リーネと美緒が、ゴメスに同情するように聞く。リュウはため息を一つつくと、通信回線を開いた。

 

「……仕方ねえ。マイ、確かガンウィンガーに、怪獣用の麻酔弾が搭載してあったな?」

「はい。でも、非常用で1発だけですよ?」

「十分だ。ミライ!方法は任せる。ネウロイを足止めしろ!」

「G.I.G.!」

「ネウロイとゴメスの距離が十分に開いたら、ゴメスに麻酔弾を撃ち込む。その後、電磁ネットでゴメスを元の山奥に帰す。美緒、その後、ネウロイは任せたぞ!」

「了解した!」

 

リュウは全員にそう伝えると、気合いを入れるべく息を吸った。

 

「GUYS, SALLY GO!!」

「「「G.I.G.!!!」

 

作戦開始だ。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「でも、足止めってどうするのですか?」

 

ゴメスが逃げ行くのを横目に森を進むミライと、アタッシュケースを持つペリーヌ。

 

「このケースの中の物を使うんですの?それでしたら…」

「それもあるけれど、その前に動きを止めてもらうから、それからだね。」

「止めてもらう………?」

 

ペリーヌが首を傾げていると、ミライはベルトに着いたケースを開き、中から緑色のカプセルを取り出した。

 

「リュウさん、マケット怪獣の使用許可を。」

[成程な。メテオール、解禁!]

「あの、ヒビノさん?」

 

開いた場所でネウロイを見上げるミライは通信を切ると、そのカプセルをメモリーディスプレイのコネクタに接続し、ネウロイとゴメスの間を目がけ引き金を引いた。

 

《REALISE.》

「な!?」

 

同時に緑色の眩い光が放たれ螺旋を描くと、ネウロイの前に茶色い大きな顔と長短2対の角を持った怪獣が降り立った。

 

「グワォオォオォオオ!グワォオォオォオオ!!」

「キィイイ!?」

「か、怪獣!?」

「バカな!?」

[安心しろ。ミクラスは敵じゃねえよ。]

 

出現した怪獣―――『マケット怪獣 エレキミクラス』に驚くウィッチ一同であったが、リュウの言葉に警戒を若干ゆるめた。

 

「ミクラス?」

[マケット怪獣は、GUYS総本部にある怪獣のデータを元に、姿や能力を再現した怪獣です。カプセルに封入されたナノマシンと、フェニックスネストから転送される―――]

「ようするに、怪獣の偽物を作りだすモノなんですよ!」

「な、ナルホド……」

 

エリーが、長い上に専門用語が乱立する説明をしそうになったので、カナタが簡潔に説明した。そうこうしていると、ミクラスは突進してくるネウロイに掴みかかり、その進行を止めた。

 

「キィィイイイイイイ………!」

「グワォオォオォオオ!!」

「ミクラス、今だ!」

 

ミライが叫ぶと、ミクラスは身体から電撃を放出、ネウロイの身体を火花が走って、装甲の所々が弾け飛ぶ!

一方、ネウロイが足止めされているのに気付かないのか、ゴメスはネウロイから1,500メートルほど先まで走っていた。

 

「グゴォオウ!グゴォオウ!シャッシャーーー!」

「あれ位離れれば十分だ!『ネコだまし作戦』、GO!」

「「「………じ、G.I.G.!」」」

 

相変わらずネーミングセンスが微妙だなあ…と思いつつも、返事をする3人。ガンローダーとガンブースターからゴメスに向かってビームが発射される。が、ゴメスの目の前でビームは互いにぶつかり、爆発時の音と閃光で驚くゴメス。

 

「グォっ!?」

「今だ!麻酔弾、発射!!」

 

驚いて一瞬動きが停まったのを見て、マイはすかさず麻酔弾を発射、見事ゴメスの背中に命中した!

 

「グォオオウ………」

「閃光と爆煙で相手の隙を作り、そこを突く連携攻撃………ネコだましとは、上手く言ったモノだな。」

 

うつ伏せに倒れて眠りだすゴメス。見事な連携プレーを見て、舌を巻く美緒。ほどなくして、ガンウィンガーとガンローダーが機体下部から電磁ネットを射出すると、ゴメスは空中に浮かび空輸が始まった。

 

「こちらも行くぞ!あの怪獣に続け!」

「了解!」

「ミクラスですよ、坂本さん!」

 

芳佳がツッコむ中、ミクラスが相手をする陸戦型ネウロイに向かう3人。一方、地上のペリーヌは、ミライがアタッシュケースの中から取り出した大型の光線銃を受け取った。

 

「これは……?」

「ええと、『スパイダーショット改』、と言うらしいです。」

「らしいって……」

「とにかく、これならネウロイに十分通用するはずです。」

「……分かりましたわ!」

 

ペリーヌはスパイダーショット改を構えると、ネウロイに向けて引き金を引く。すると銃口から赤い光線が発射され、ネウロイの右足を撃ち抜いた!

 

「やった!」

「ペリーヌさんスゴイ!」

「あまり強い反動はありませんでしたわね………これなら!」

 

苦しむネウロイに勝機を感じたペリーヌは、再度スパイダーショットを構える。

 

 

 

「キィィイイイイイイイイイイイイイイ!!」

バシュッ

「何!?」

 

 

 

だがその時、ネウロイの背中の装甲が2枚になって後ろに跳ね上がり、その下からF字の両翼とV字形パーツが付いたアンテナを生やした、小型の球体ネウロイが無数に放たれた!

 

「何だコイツら!?」

「ネウロイの“子機”だ!まさか放ってくるとは…!」

ビーッ

「グワォオォオオ!?」

「ミクラス!!」

 

子機たちはミクラスを取り囲むと、球体の中心から赤いビームを放ってミクラスを拭き飛ばし、ネウロイを自由にする!ちょうどその時、メテオール使用期限である1分を切り、ミクラスは霧散する。

 

「ミクラスが!!」

「キィイイ!!」

 

ミクラスの消滅に声を上げる芳佳であったが、子機が迫りビームを放つ。芳かは障壁でそれを防ぐと、機関銃で撃ち落とす。

 

「子機を何とかしなければ、ネウロイ本体に近づけん!!」

 

子機がリーネや美緒に迫る中、十数の子機がガンウィンガーたちとゴメスに向かって飛び立っていく!

 

「ヤロウ…何が何でもゴメスをやる気か!!」

「隊長はゴメスを!喰らえ!アルタードブレイザー!!」

 

コウジはガンブースターの2門のビーム砲で子機を破壊するが、何体か砲撃をすり抜けてゴメスを捕獲する2機にビームを浴びせる!

 

「ウオオ!?」

 

ガンローダーがビームを喰らってしまい、電磁ネットが解除されて落下するゴメス。子機はゴメスに群がるが、ガンウィンガーとガンローダーが近づけまいと応戦する。

 

「こーなりゃ、ブリンガーファンでまとめて吹き飛ばす!」

「しかし隊長、ダメージがあるこんな状態でメテオールを使ったら………!」

「俺がとっつぁんにドヤされる、それだけだ!」

「……G.I.G.!」

 

カナタがそう答えると、リュウは叫んだ。

 

「メテオール、解禁!!」

「バーミッション・トゥ・シフト、マニューバ!!」

 

宣言と同時にガンローダーはマニューバモードに移行、ファンタム・アビエイションでネウロイに接近すると、両翼に装備されたブリンガーファンを起動させた。

 

「ブリンガーファン、ターン・オン!!」

ゴォオウッ

「!?」

 

巨大な二対の竜巻により子機は吹き飛ばされる!ネウロイが驚くのもつかの間、今度は自身がブリンガーファンの竜巻に捕まり、今にも吹き飛ばされそうになる!

 

「良し!このまま一気に――――――」

 

 

 

 

 

ズドムッ

 

 

 

 

 

「「「「『!!?』」」」」

「何!?」

 

皆がこのままハッチを破壊できると思った瞬間、突如としてガンローダーの右翼に光線が直撃してファンが急停止、黒い煙を上げながら高度を落として行く!

 

「操縦不能ーーー!!」

「馬鹿な!?どこからの攻撃だ!?」

「アイハラ隊長!!」

 

落ちていくガンローダーに向かおうとする美緒だが、彼女に向けても、まるで無数の針のような光線が狙い、行く手を阻む。

 

ビーーーッ

「くぅッ……!」

「芳佳ちゃん!!」

 

光線に苦しむウィッチとガンマシンたち。恐らくは、生い茂った木々の間辺りだろうか?地上の何処からかではあるのだが、狙撃手の詳しい位置が分からない。

ミライとペリーヌが地上で美緒たちを心配していると、

 

「ああ惜しい!もうチョイ右だ!」

「難しい注文するんじゃなイカ!チョコマカ動いて狙いずらイカ!!」

「「ん?」」

 

ふと右の方を見ると、木の間から2人の声がする。見れば、美緒たちを見上げるマグマ星人とイカルス星人の姿があった。イカルス星人は狙いを定めると、その大きな耳から無数の細い『アロー光線』を放つ。

 

「あの2人は!?」

「きっと、ヴェネツィアの怪獣を操っていた宇宙人の仲間です!」

 

そう確信すると、ミライは腰の銃『トライガーショット』を抜き、光線を放つ。弾が2人の近くに着弾するとイカルス星人が驚きのあまり転び、マグマ星人はようやく自分たちが見つかった事に気が付いた。

 

「見つかった!」

「ええい、お前が狙いやすい場所を探すなんて言うから!!」

「お、俺のせイカ!?」

「マグマ星人にイカルス星人!あのネウロイはお前たちの仕業か!!」

 

ミライが叫ぶと、マグマ星人はふんと鼻息を吐き、イカルス星人は起き上って、尻についた砂を払い落した。

 

「バレては仕方なイカ………イカにも。我々は地球侵略とウルトラ兄弟抹殺の為に結成された『宇宙人連盟』の一員だイカ!」

「あのネウロイを使って怪獣を捕獲しようとしていたのだが、とんだ邪魔が入っちまったぜ!!」

「何ですって!?」

 

マグマ星人たちの企みにペリーヌが叫ぶ。マグマ星人は右手に長い刃渡りのマグマサーベルを出現させ、切っ先を2人に向けた。

 

「これ以上邪魔をされては困るのでな。ここで消えてもらうぞ、ウル―――――――」

 

バギィイッ

 

「のわッ!?」

「何事イカ!?」

「「!!」」

 

マグマ星人が飛びかかろうとした瞬間、マグマサーベルと左手の鉤爪が爆発し、鉤爪がマグマ星人の腕から離れて火花を散らす!

 

「今のは…!?」

「大丈夫かミライ!?」

「リュウさん!!」

 

そこには、頭や頬から血をにじませ、手にトライガーショットと構えたリュウとカナタの姿があった。援軍の登場に驚くイカルス星人であったが、マグマ星人はそれ以上に、鉤爪に装着された装置の損傷に慌てていた。

 

「マズイ!コントロール装置が!!」

「何だと!?」

「その装置で、ネウロイを操っていたのか!」

「キ、キィイイイイイイイイイイイイ!!!」

「!?」

 

2人が慌てているその時、ネウロイは一瞬身を震わせると、ドリルを高速回転させ、その赤い部分を光らせて何条ものビームを発射し、地上を薙ぎ払った!

 

「操っていた状態から解放された今、ネウロイは手当たり次第に攻撃をする!オレ様たちにももう止められん!」

「マグマ、もうあのちっこい怪獣は諦めて、逃げるイカ!」

「そうしよう、覚えてろよ地球人ども!!」

「あ、コラ!」

 

カナタが止めようとしたが、マグマ星人とイカルス星人は一瞬の光と共に消えてしまった。

 

「キィィイイイイイイイイイイイイイイ!!」

バシュッ

「キャア!?」

「リーネちゃん!」

「このままでは、みんなもゴメスも……!」

「リュウさん、カナタ君、ペリーヌさんをお願いします!」

「ヒビノさん!?」

 

ミライは2人にそう言うと、ネウロイに向けて走り出す。ペリーヌが困惑したように声をかけるが、ミライの姿は森の木々の中に消えていった……

一方、ガンマシンとウィッチたちは、上空で子機や本体のビームを避けていた。

 

「これでは埒が明かん!本体のコアを探す!」

 

美緒は右目の眼帯を外し、固有魔法の『魔眼』でネウロイの身体を透視して、コアを探し出す。子機にはコアが存在せず、本体の意思で動く分身のような存在である。そのため、本体のコアを破壊すれば、子機も同時に消滅するのだ。

 

「む………?」

 

その時、ふと視界に入った木の影で、ある人物がいるのに気付いた。“彼”は左手を高く掲げると、強い光が包み込み、巨大な姿へと変わったのだ。

 

(あれは………!!?)

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

同じ頃、ペリーヌたちと別れたミライは、木々の間からネウロイを睨んだ。そして左腕を構えて『メビウスブレス』を現わすと中央のクリスタルサークルを高速回転させ、腕を高く掲げた。

 

「メビウゥゥゥウウウウウウスッ!!!」

 

叫ぶのと同時に彼の身体を金色の光が包み込み、ミライは本来の姿―――ウルトラマンメビウスへと変貌し、ネウロイの目の前に立ちふさがった!

 

「ウルトラマン、メビウス!」

「来てくれたんだ!」

 

芳佳とリーネが歓喜の声を上げる中、美緒は驚愕の顔で固まっていた。

 

(………まさか、彼が………!!??)

 

「あの巨人は!?」

「光の国からの使者、ウルトラマンメビウスだ!」

「ウルトラマン………?」

 

一方、始めてみるメビウスの巨大な姿を見上げて驚くペリーヌ。ヴェネツィアで見た巨人(ダイナ)とはまた違う姿であるが、リュウからの説明を受けて、味方なのかと考えた。

 

『セヤァアッ!!』

「キィイイイイイイイ!!」

 

メビウスが構えると、ネウロイは半数以上の子機を向かわせビームを放つ。メビウスがジャンプをすると、放たれたビームは地面を爆発させ、メビウスは子機ごとネウロイを飛び蹴りで吹き飛ばす!

 

「キィイイイイイ………!」

 

ネウロイは損傷した先端部分を修復すると、左右のドリルを回転させ、高速で突進する。そのドリルを、メビウスに突き刺すつもりなのだ。

メビウスは正面にメビウスディフェンサークルを発生させてドリルを防ぐと、ドリルとの摩擦で火花が散る。

 

「ミ………メビウス!」

『グゥウウ………』

 

リュウが叫ぶが、メビウスはチラリとガンウィンガーとガンブースターの方を見た。

リュウは気付いた。子機は先ほどのキックでほとんどの数が減り数機しか残っておらず、ネウロイ本体もメビウスに集中している。ゴメスを運ぶなら、今がチャンスだ。

 

「マイ、コウジ、もう一度電磁ネットでゴメスを!」

「「G.I.G.!」」

 

リュウの号令でガンウィンガーとガンブースターが再び電磁ネットでゴメスを捕まえると、そのまま元いた山を目指し上昇する。ネウロイの子機が気付いたらしく、数機追いかける。

 

「させん!!」

ザンッ

「「「キィイ………!!」」」

 

だが、それを美緒が一太刀で一掃すると、ゴメスを連れたガンマシンはすでに遠くへ行ってしまった。

 

「キィィイイイイイイイイーーー!!!」

 

ネウロイはメビウスから飛び退き、方向を転換してゴメスを追おうとするが、メビウスが後部を押さえつけて行く手を阻んだ。

メビウスを倒さねばゴメスを追えない、そう判断したのか、ネウロイは再度子機を放つべくハッチを開くと、その勢いでメビウスは後ろに倒れこんでしまった。

 

「メビウスを援護だ!」

「了解!!」

 

ネウロイのドリルとビームを寝た姿勢のまま避けるメビウスを見てリュウが叫ぶと、芳佳とリーネは銃撃で子機の数を減らし、美緒がネウロイに近づき、その刀『烈風丸』で装甲を斬り裂く!

メビウスは右手に炎のエネルギーを溜めると、ネウロイをその拳『メビウスパンチ』で殴りつけて怯ませる。ネウロイは再度ハッチを開いて子機を放つと、子機たちはメビウスにビームを放ち、ネウロイから遠ざける。

 

「俺たちも行くぞ!!」

「G.I.G.!!」

「ワタクシも!」

 

リュウとカナタはトライガーショットのグリップガードを上げて銃身の長いロングショット形態に変形させ、ペリーヌはスパイダーショット改を構え、メビウスに群がる子機に向けて引き金を引いた。

 

「キィィイイイイイイイイーーーーーーーー!!」

「ヤロウ、次々と……!!」

 

再び多くの子機を放つネウロイ。その時、コアの位置を探っていた美緒が、ついにその位置を捕捉した。

 

「コアを見つけた!」

「本当か!?」

「ああ、だが厄介だ。コアは機体後部、あの子機を放つハッチの真下だ………」

「何だと!?」

 

そう、コアの位置は、子機を放つハッチの下、二重の装甲の下という厳重な防御力な上に、開いても子機を放つ、厄介な場所だ。

 

「チャンスがあるとすれば、子機を放った瞬間、ですね………」

「かなり危険ですね……」

「ガンウィンガーがいれば、開いた時にスペシウム弾頭弾でふっ飛ばせるんだが……」

 

ネウロイの後部、ハッチ下のコアの辺りに照準を合わせながら、カナタとリーネは呟いた。

それを聞いていたのか、メビウスは子機のビームに苦戦しながらも左腕を構える。すると、メビウスブレスから金色の刃―――『メビュームブレード』が伸びた。

 

「剣だと!?」

「あんな物まで持っているんだ………」

 

接近戦や光線技だけではなく武器をも持っている事にウィッチたちが驚く。メビウスがブレードを振るい子機を一掃すると、ネウロイは両のドリルを回転させ、メビウスに突っ込んでいく!

 

『セヤァア!!』

バギッ

「キィィイイイイイイイイイ!!」

 

その時ネウロイがこちらに進行方向を変え、ドリルを高速回転させて地面を穿ちながら突進してきた!

 

「ペリーヌさぁぁあーーーーーんッ!!」

「宮藤さん!?」

 

放たれようとした瞬間、芳佳が両手を広げてペリーヌに向けて突っ込んできた!

丁度その時、子機からビームが放たれ、爆発が起こり、リュウたちやメビウスの表情がこわばる!

誰もが2人の命が失われたと思ったその時、カナタは爆炎の中に何かを見つけた。

 

「隊長!!」

「!?」

 

「はぁあああああああああ!!!」

「芳佳ちゃん!ペリーヌさん!」

 

炎の中から現れたのは、障壁を張り、ペリーヌを肩車した芳佳だ!乗っているペリーヌは一瞬戸惑うも、目の前にネウロイが見えるとスパイダーショットを構えた。

 

「合体した!」

「合体………って言うのか、アレ?」

 

今、ネウロイのドリルビームを掻い潜って先端部分に一発当てた芳佳とペリーヌを見て、そんなのアリかよと言いたげにリュウが漏らす。

その時、ネウロイは再び子機を出すためにハッチを開く。今がチャンスだ、そう思ったのはメビウスだ。メビウスはメビュームブレードを斜めに構えると飛び上がり、きりもみ回転をしながらネウロイに向けて頭から突っ込んでいくと、「燕返し」を思わせるV字の軌道を描き、両のハッチを斬り捨てた!

 

「ハッチが砕けた!」

「美緒!再生される前にコアを!!」

「「「「了解!!」」」」

「俺たちは、奴の脚を狙って動きを封じるぞ!」

「G.I.G.!」

 

リュウとカナタはトライガーショットを放って脚の関節を砕き、ドリルビームの隙間からリーネがライフルで美緒が指したコアの周囲の装甲を剥がす。数発命中したその時、破壊された装甲の中から赤く光るコアが露出した。

 

「コアを確認!!」

「ペリーヌさん!!」

「ええ!」

 

ペリーヌは芳佳に応えると、スパイダーショットの狙いを定め、引き金を引いた!

 

カチン

「!?エネルギー切れ!?」

「ええ!?」

 

だが、その銃口からエネルギー弾が発射される事はなく、乾いた金属音が響いた。

ネウロイは頭上の2人に気付くと、左右のドリルからビームを放つ!

 

「烈ッ風斬ッ!!」

ドォオンッ

「キィイ!?」

「メビウス!!」

 

だが、そのビームは美緒が放った『烈風斬』に相殺されてしまう。ネウロイは再生途中のハッチを閉じて何とかコアを守ろうとするが、すかさずメビウスが背後から押さえつけ、阻止する。

 

「キィィイイイイイイイイイイイ!!」

「メビウス!!」

『………!』

 

メビウスは、無言で頷く。自分が押さえつけている内に、コアを破壊しろと言うのが分かった。

ペリーヌは頷き返すと、ネコの耳と尻尾を出し、身体に電流を纏わせる。

 

「ペリーヌさん!!」

「ええ!」

 

ペリーヌは芳佳の機関銃とスパイダーショットを交換すると、装甲が再生しかけているコア周辺を狙い、電流を纏った銃弾を撃つ!

 

「このぉおおおおおおおおおおおおお!!!」

ピシィイッ

「キィィイイイ――――――」

『!!』

 

弾丸はコアに辺りヒビが入る!ヒビが徐々に広がるのと同調して、ネウロイの動きが弱くなり地面に倒れこむ。

 

「キィィイイイイイイイイ………!!」

パリィイン

 

最後のそのひと鳴きが断末魔となり、ネウロイは砕け散った………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「ゴメスは無事、元いた山の中に返しました。今は、安定して睡眠をしています。」

「そうか。」

 

その日の夕方、フェニックスネストに戻った一同は、エリーからの報告を受けていた。

 

「全く、ネウロイのせいとは言え、迷惑な怪獣でしたわねえ。」

「ま、グースカ寝てるだけなら、寝かせといてやれ。」

 

リュウの言葉に頷くペリーヌ。その時、

 

「ピュウ!」

「キャァッ!?」

「ええ!?」

 

突然、体長40センチメートル程の黒い角と長い尻尾を持った、黄色地に黒い縞模様の小型怪獣が現れて、ペリーヌの頭にしがみ付いた。

 

「リム!」

「な、何なんですのコレ~!?」

「わ~、カワイイですよ~!」

「ひょっとして、さっきのミクラスと同じ?」

「マケット怪獣の『リムエレキング』ですよ。」

 

リムエレキングはかつて、ミクラスに電気能力を付加させるためにドキュメントUGに記録が残る『宇宙怪獣 エレキング』の能力を抽出しようとした際に、高エネルギー分子ミストを生成する粒子加速器の故障と、更にミクラスが過去にエレキングの記録を拒絶したため実体化した小型エレキングだ。現在はGUYSのマスコットとして採用されており、マケット怪獣活動限界時間の1分だけしか活動できないとはいえ、その特殊な出現の仕方故に基地内のあちこちに出現しているのだ。

 

「もう!いきなりレディの頭にしがみ付くなんて、失礼でしてよ?」

「ピュウ~………」

「ペリーヌさん、この子も反省しているみたいですし………」

「だったら、何で尻尾の先端を押しつけてきますの?」

 

「あの、ペリーヌさんって、さっき電撃放ってましたよね?」

「エサと間違えてなきゃ良いんだがな………」

 

リムを頭から引っぺがしたペリーヌを見ながら、ミライとリュウが小声でそんな心配をする。そんな中、美緒はミライを怪訝そうに見ていた。

 

(彼が……ミライ隊員が、あのメビウス……)

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

エーリカ・ハルトマンは、顔に日の光を感じて目を覚ました。身を起こすと、どうやら自分はどこかの湖畔にいるらしかった。近くには、自分の銃とストライカーユニットがある。

 

「………あれ、私………?」

「気が付いたかい?」

 

周りを見わたしていると、湖を背に20台前半くらいの男性が近づきながら声をかけてきた。

 

「………誰?」

「僕?そうだな………」

 

男性は少し考えると、こう名乗った。

 

 

 

 

 

「……『トウマ・カイト』とでも呼んでくれ。」

 

 

 

 

 

つづく




第3話です。

ペリーヌが気絶して墜落した理由は、次回判明する予定です。

ウィッチたちに何か履かせるなら、なるべく丈の短い物をと思いホットパンツを選出。ドッキングはいわずもがな。

ゴメス登場。記念すべき『ウルトラQ』第1話登場の怪獣ですが、最近は大怪獣バトル等で出番が多い(S)の方ではなくオリジナルの方です。最初考えた時はテレスドンの予定でしたが、体長10メートルと小柄なので、ネウロイに追わせるのに適任と思いました。

GX-02は陸戦型で、子機も発射するタイプ。モデルはそれぞれ『タロウ』より地底戦車ベルミダーⅡ世と偵察ヘリドラゴン。子機の出るハッチのギミックは、ケムラーの甲羅が元ネタ。

スパイダーショット改。マルス133とどっちにしようか迷ったけれど、「メテオールショットの試作機」という位置づけで考えたため、元々多機能なスパイダーショットにしました。今後も活躍する予定です。

ラストに登場した『トウマ・カイト』は、最強最速の彼なのか……?

では、また次回。
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