ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ   作:オレの「自動追尾弾」

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第二十七話 勇士の足跡

「ぶぅえ~~~っくしょん!!」

 

深夜の山中に、大きなくしゃみの声が響く。一斗缶の空き缶で燃える焚火だけでは暖を取るのにはいささか心もとないが、ないよりはマシだった。

 

「まったく、いつになったらこの星から脱出できんだよ………」

「食料も尽きそうだし、これはイカんぞ………」

 

焚火に当たっていたのは『マグマ星人ヴァルドスキー』と『イカルス星人ジュリコ』のコンビだった。

乗っていた宇宙船がネウロイに乗っ取られて脱出をしてから、関東にある山の中で隠れて過ごしていた。

 

「ドヤされるの覚悟でアネゴに信号送ったけど………いつまで待てばいいんだよ………」

「まあ、この星には監視の目が光ってるし、そう簡単に来るのは難しイカもなー………」

 

ボヤくヴァルドスキーに対して、ジュリコは半分諦めたようであった。ヴァルドスキーは懐から、大事にしていた小切手を取り出した。

 

「もはやエンペラ軍団は風前の灯火……早くしないと、この小切手が紙くずになっちまうぜ………」

「あ、小切手気をつけろよ?燃えたら水の泡になるから………」

 

ジュリコに注意されて、慌てて小切手を燃やさないように大事に懐に戻した。その時、ヴァルドスキーの腕に着けていた通信装置に反応があった。

 

「こ、この反応は!!」

「おお、やっと来たんじゃなイカ!?」

 

ヴァルドスキーとジュリコの声が弾む。しばらくすると、茂みの奥から何者かが現れた。それはボロボロのマントとターバンのようなマスクを着けて、右手にライフル銃を持った宇宙人であった。

 

「ったく、世話やかせんじゃないよ、お前たち!!」

「アネゴ~~~!!」

「姐さ~~~ん!!」

 

現れた宇宙人の名は『ハンター・D』―――かつて、コスモスのいた宇宙の遊星ジュランで、リドリアス達を連れ去った宇宙人であった………

 

 

 

 

 

第二十七話 勇士の足跡

 

サーベル暴君 マグマ星人ヴァルドスキー

異次元宇宙人 イカルス星人ジュリコ

ハンター・D

バド星人ボルター

宇宙怪人 ササヒラー・ビアンコ

変身怪人 ゼットン星人カウント

誘拐怪人 ケムール人アイチヨ

知略遊撃宇宙人 エンディール星人

岩力破壊参謀 ジオルゴン

登場

 

 

 

 

 

「ふわぁ~~~、気持ちよかったぁ♪」

 

フェニックスネストに案内されたひかりたちは、芳佳らと一緒にシャワーを浴びた。

5日近くサバイバルをしていたせいか全身が汗や砂埃まみれになっていたため、みんなスッキリした表情を浮かべていた。

ひかりたちがタオルで髪を拭いていると、マイが脱衣所に入ってきた。

 

「はいこれ、みんなの着替え。急だったからサイズ合うといいんだけど。」

「あ、ありがとうございます!」

 

マイは4人の着替えを持ってきていた。1人1人に手渡すと、彼女たちはTシャツに短パン姿になった。

 

「あ、ご飯も準備出来てるって。」

「すみません、何から何まで………」

 

マイに渡された『クマに注意』の標識が描かれたシャツを着たニパが、申し訳なさそうに礼を言う。移動をしながら、胸に桃のイラストとその右上に数字の「3」が書かれたシャツが、芳佳に話しかけてきた。

 

「あの、宮藤さんたちはヴェネツィアからこっちに来たんですよね?」

「あ、うん。あの時は、何が何だか分からなかったけどねー」

「そういえば、ヴェネツィアは怪獣だらけになってたんだっけ?」

 

意味が分からない英文が書かれたシャツを着たクルピンスキーも会話に加わってきた。

なお、その文は以下の通りである。

 

“YO SOKONO MITI YUKU NIICHAN♪ NEECHAN♪

TSUKISUSUMU STYLE♪ KAKURITU♪ DOKURITU♪

ZIDAI NO HANKYOU♪ HITORI NO ZEKKYOU♪

KONO KAMESHAKAI NI UMARETA ORETATI WAKAMONO♪

SOREDEMO TAENUKU ORENO SPIRIT DEMERIT♪

KORETTE YUUJOU? AIJOU? KAME SANJOU♪ EYAーーー♪

KONO MUJUNNO NAKADE IKITERU BOKUTATINO IRADATI♪

YURUSENAKU YARUSENAKU KAMEDASUKE ZINSEI♪

SAA TATIAGARU NARA IMA♪ MITI SUSUMU NARA IMA♪

KORETTE JUNJOU? SEIJOU? KAME SANJOU♪ EYAーーー♪”

 

 

「はい、今までネウロイしか見た事なかったから、あんな光景は初めて見ました……」

「それはそうだろうなー、オレも、あんなデカい生き物見た事無かったぜ………」

 

左胸に『界』と書かれたオレンジ色のシャツを着た直枝も、芳佳に同意する。そして、全員が着替え終わった所で食堂に向かう。

 

「あの時は怪獣同士で戦いだしたり、ウルトラマンが現れたり、その後に別の世界に飛ばされて………」

「ちょっと聞いただけでも、訳が分からないですね………」

 

ヴェネツィアで怪獣軍団と戦い、更に『四次元怪獣 ブルトン』によってこの世界に飛ばされていた事を思い出しながら話す芳佳に、ひかりは困惑しながら相槌を打つ。

 

「そういえば、その怪獣のせいでロマーニャ海軍は壊滅させられたんだってねー」

「うん、ボクたちもその話は聞いたけど、501部隊も全員行方不明になったって言ってたよね……」

「あ、はい……私やリーネちゃん、それに坂本さんたちはこっちの地球に来たけれど、他の人たちとは離ればなれになってしまいまして……」

「それは、大変だったな……」

 

直枝が芳佳の話を聞いて顔を引きつらせている内に、食堂にたどり着くと、先に来ていたルッキーニとサーニャが声をかけてきた。

 

「あ、芳佳たちー!」

「何の話してたの?」

 

食堂でシチューやパン、サラダを配膳するのを手伝いながら、芳佳はひかりたちに話していた事を聞かれた。

 

「うん。ヴェネツィアからこっちの世界に飛ばされた時の話をしてたの。」

「あー、あん時かぁ………」

 

つい1ヶ月ほど前の話だというのに、もう遠い昔の出来事のように感じてしまう。懐かしむ様子のエーリカやシャーリー、エイラたちに、芳佳が周囲を見て話しかけてきた。

 

「あれ、ミライさんたちは?」

「先に指令室で、会議だそうだ。」

「そっかー………」

 

バルクホルンが答えると、ニパがエイラたちに話しかけた。

 

「そう言えば、イッルやサーニャはこことは更に別の世界に行ってたんだよね?」

「まあナー。」

「私たちは、ムサシさんの世界にある『遊星ジュラン』に飛ばされたの。」

「へぇ、どんなところだったの?」

 

ニパの質問に、サーニャとエイラは答える。

 

「うん、自然が豊かで、地球から連れて来られた怪獣達と共存をする研究をしていたの。」

「怪獣と共存!?」

「ああ、ムサシさんの世界では、そういう考えがあるみたいダ。」

 

席に着きながら驚く直枝にエイラが説明する。

 

「でも、そこにロボット……クレージーゴン・ジャイアントが現れて、ムサシさんと仲のいい怪獣が攫われちゃったの。」

「まだ1匹、リドリアスしか見つかってないから、心配ダナー」

「そうなんですね……」

 

サーニャやエイラが少し悲しそうな顔をしていたのを見て、ひかりも心配そうになった。

 

「それにしても、ミライさんたちがウルトラマンだったなんてね………」

「ああ、あれは驚いたなぁ………」

 

クルピンスキーのつぶやきに直枝もつづく。そこにニパが、素朴な疑問を口にした。

 

「そう言えば、そもそもウルトラマンって何者なんだろう………?」

「うん、私たちもアイハラ隊長に聞いたんだけれど、地球から300万光年離れたM78星雲『光の国』から来た宇宙人で、全宇宙の平和を守る「宇宙警備隊」の隊員なんだって。」

「つまり、宇宙人だったのか………!!」

 

芳佳の説明に、直枝は思わず驚きの声を上げた。そこに、エーリカがパンを口にふくみながら話に入って来た。

 

「でも、それはミライさんやカイトの事だよねー?我夢さん、ガイアは違うみたいだし。」

「カイトって?」

「うん、今はいないけど、メビウスと同じ光の国のウルトラマンマックスなんだよ。」

 

パンを飲み込んで、エーリカは続けた。

 

「ガイアは別の世界の地球の意思が力を与えてくれた光の巨人で、他にアグルっていう海の巨人もいるんだよ。」

「そうなんだー」

 

エーリカの説明に、ニパは感心するようにうなずいた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

芳佳たちが食堂で食事をしているころ、フェニックスネストのディレクションルームでは、リュウやミライ、アスカ、我夢、ムサシ、そしてGUYSメンバーが集まっていた。

アスカや我夢、ムサシらが提出した映像データをこちらの機器で視聴できるように変換できたため、こちらの地球に来るまでの戦闘映像を確認しようという事になったのだ。

 

「まずはこの動画を見てくれ。」

 

スクリーンに映し出されたのは、遊星ジュランに現れた青白い球体状の生命体の映像だった。

 

「スフィア!!」

「やはり、これはスフィアなのか。」

 

アスカが球体―――スフィアの名前を大声で呼ぶと、ムサシは冷静に答えた。その後、スフィアは岩山と発電施設と合体して、岩の身体と金色に光る5つの目、背中から4本のコイルを生やした怪獣に変わった。

 

「この怪獣……スフィアが岩石と合体した『ネオダランビア』に似ている………!!」

 

アスカが驚いていると映像が一時停止され、アスカから提供された怪獣のデータから『超合成獣 ネオダランビア』の画像が呼び出されて、ジュランに現れたスフィア合成獣と比較された。

 

「発電施設を取り込んでいるため腕や背中に違いはありますが、この怪獣はネオダランビアの亜種と考えて良いと思われます。」

「あのスフィアは、グア軍団のワロガが連れてきたんだ………そして、惑星グルータスでアストロモンス・ギガを生み出したのも、スフィア………」

「まさか、グルータスの件もグア軍団が裏で手を引いていたのか!?」

「エンペラ軍団のスチール星人バトラーや、ヒッポリト星人ドン・マノウがグア軍団の一員だったということも踏まえれば………」

「連中は、エンペラ軍団の内部にまで入り込んでいたという事か……だとしたら、スフィアもその作戦の一つだったのか………」

 

映像を見ていたアスカの言葉に、我夢とムサシが答える。そこでリュウが、口を開いた。

 

「とりあえず、この怪獣は『サンダーダランビア』と仮称するが………おそらく目的は、エンペラ軍団の戦力を削る事だろうな。残党とはいえ、その力は侮れんからな。」

「じゃあ、僕たちにロボット軍団を差し向けたのも………」

「戦力を削ぐのを兼ねてのことだろうな………」

 

ミライの言葉にリュウが頷く。そこに、ムサシがしかし、と口を開いた。

 

「あのボルター提督たちが、このまま引き下がるとも思えない………エンペラ星人を倒したミライ君たちに、相当執着をしていたようだしね。」

「確かに……」

 

ムサシの言葉にミライやリュウもうなずく。エンペラ軍団がこの事で大人しくしているとは考えにくい。

 

「いずれにせよ、我々も警戒を強めなければいけませんな。」

「そうだな……」

 

リュウの結論に、一同は同意した。

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

同じ頃、砂漠の広がる惑星デルーマの岩山。

 

「うぐぇあッ………!!」

 

岩山の中へと続く洞窟の中から一人の宇宙人、長い金髪と金色のプロテクターを持った『暗黒星人 ババルウ星人』が放り出された。男は地面に叩きつけられ、砂まみれになってうめき声を上げる。

 

「ほれ、起きなさいな。」

「ぐおぅ………」

 

ババルウ星人の前髪を掴んで無理やり顔を上げさせるのは、頭頂に触角をもった細身の宇宙人『誘拐怪人 ケムール人』だった。その後ろからは2つに割れた禿げ頭に窪んだ眼のバド星人ボルターと、槍を思わせる尖った頭と手を持ち、四角いアンダーリムの眼鏡をかけて首から白いストールを下げた『宇宙怪人 ササヒラー』が姿を見せる。

 

「て、てめえボルター………それに、「鎌鼬のビアンコ」か………エンペラ軍団の三提督が、どういうつもりだ………っ」

「しらばっくれても意味はないぞ?貴様がゴンゴルド大佐にスフィアを売りつけたのは調べがついているんだ。」

「聞いたところによると、あのスフィアというのは別宇宙の生命体だそうですね~?どこでそんなものを仕入れたんですかな?」

 

ボルターとビアンコが倒れるババルウ星人に詰め寄る。ババルウ星人は冷や汗を流しながら、必死に逃げ道を探していた。

 

「ぐ……知らん!!俺はただスフィアを売るように頼まれて………!!」

「頼まれただと?誰にだ?」

「わ、わからん!ローブを着ていて、顔は見えなかった………!」

 

慌てたババルウ星人が答えるが、ボルターは眉をひそめた。

 

「顔はともかく………名前も聞いていないのか?」

「き、聞いたけど、多分偽名だ………で、でも!書面は交わしてある!!」

 

そう言ってババルウ星人が懐を探ると、1枚の書類を見せた。ボルターが奪い取ったその書面の下には、地面に突き刺した十字架のような赤い紋章が入っていた。

 

「!?これは、グア軍団の紋章………!?」

「なんと……!!」

 

2人は驚き、ボルターとビアンコはその書面を見つめると、ババルウ星人に目を向けた。

 

「これを見るに、お前も利用されただけのようだな………もういい。立ち去れ。」

「は、はぃい~~~!!」

 

解放されたババルウ星人は情けない声を上げながら、脱兎のごとく逃げ去っていった。それを見送ると、ボルターとビアンコは再び紋章に視線を落とした。

 

「まさか、グア軍団が再び動き出していたとはな………」

「あのお二方とカウントさんには、私から連絡しておきましょう。私は他のメンバーと共にグア軍団の調査と、今行っている計画を進めます。行きますよ、アイチヨさん。」

「御意にアリンス。」

 

アイチヨと呼ばれたケムール人は返事をすると、その場から消えていった。それを見送った後、ボルターは書類を握り潰した………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「―――そうか、グア軍団が………!」

 

どこかの惑星にある機械仕掛けのエンペラ軍団の基地。ビアンコから通信を受けた3人の宇宙人が、静かに驚いていた。

 

大きな一つ目で全身にトゲの生えた細身の宇宙人『知略遊撃宇宙人 エンディール星人』と、全身が岩石で出来た大柄な宇宙人『岩力破壊参謀 ジオルゴン』、エンペラ軍団闇の2大幹部と恐れられる2人であった。

 

「まさか、次元の彼方に消えた連中が我が軍に入り込んでいたとは………おかげで我らはせっかく準備した戦力が一気に減ってしまった………」

「ぐふっ!けどこれはチャンスでもあるぜ、エンディール!」

 

悩むエンディール星人と対照的に、ジオルゴンは楽し気に笑っていた。

 

「今、宇宙警備隊や地球人はグア軍団に目が向いて、俺たちに見向きもしてねーぞ?つまり、その間に暗殺や裏工作し放題って訳だ!!」

「それはそうだが………」

「今ビアンコが人選してる暗殺部隊が編制出来たら、直ぐに動くぞ!ぐふっ!連中が驚き絶望する顔が早く見たいぜぇ~~~!!」

 

笑いながらドスドスと足音を立てて部屋を出ていくジオルゴン。残されたエンディール星人はため息をつくと、椅子に深く座り込んだ。

 

「まったく、相変わらず単純なヤツだ………」

「エンディール様。」

 

頭を抱えるエンディール星人に、カウントが話しかけた。

 

「私の方でも、怪獣の調整をいたします。幸い、切り札はまだ残されていますからな……」

「うむ、頼んだぞカウントよ……今はお前たち三提督が頼りだ。」

「は。」

 

カウントは短く返答をすると、通信機を取り出してスイッチを入れた。通信機の画面に映るのは、薄い膜に包まれた、黒い巨大生物であった。

 

「ゼットンよ早く育て………」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「えーと、長い首で四足歩行、頭に2本、鼻先に1本の角、それと大きな背びれ………」

 

夕食を終えたウィッチたちは、ミライやエリーと共にサンダーバード基地のディレクションルームに来ていた。ひかりたちが遭遇したという怪獣がアーカイブドキュメントに記録がないか調べようと芳佳が提案し、操作に詳しいエリーに協力を仰いだのだ。

 

「外見と能力から推測するに、ひかりちゃんたちが遭遇したのはこの怪獣だと思われます。」

 

そう言ってエリーがエンターキーを弾くと、メインモニターが表示された。

 

「わあ、これ映写機なんだ!?」

(芳佳ちゃんたちも同じ反応してたなー………)

 

ひかりたちが未知の技術に驚くと、ミライはその反応を懐かしんだ。メインモニターには、長い首に頭と鼻先の3本角、大きな背びれを持った四足歩行怪獣のデータが映っていた。

 

「ああ!コイツだよコイツ!」

「間違いない。あの時ネウロイと一緒に現れたのは、この怪獣だ。」

 

その怪獣を見た直枝とクルピンスキーも同意した。彼女たちがこの世界に来る切っ掛けとなった怪獣のデータを、エリーが読み上げた。

 

「ドキュメントMAT、レジストコード『古代怪獣 キングザウルス三世』。角からの光線と突進、そしてバリアを張る能力を持っており、ウルトラマンも一度は敗れてしまう実力を持っています。」

「そんなに強いんだ……」

 

ひかりが思わずつぶやいていると、ニパがキングザウルス三世の画像を見ながら言った。

 

「これが三世なら、私たちの世界に現れたのは一世かな?」

「あ、そうかもね。」

「いえ、一説によれば一世と二世は姿の似た別の怪獣だそうです。」

「じゃあ三世なのかな?」

「でも私たちの世界に他のはいないから一世でも………」

「けど、改造ベロクロン二世は三世じゃなくて二世だし、ロベルガー2世もロベルガーとは別で………」

 

ニパの一言を切っ掛けに「あの怪獣は何世か談義」が始まる一同。そんな中、ミライがふと思ったことを口に出した。

 

「その怪獣、どこから来たんだ……?」

「え?」

「どこからって………地面から?」

「それはそうなんだろうけど………」

 

ミライの呟きにひかりが答えるが、ミライは真剣な顔をしていた。

 

「ヴェネツィアに現れた怪獣達は、ナックル星人たちが連れてきたものだ。だけど、キングザウルス三世は同じように連れ込まれたのか?」

「連れ込まれたって………もしそうじゃないとすれば………」

「私たちの世界に、元から住んでいた………!?」

 

ミライの仮説に、ひかりたちは顔を見合わせた。確かにそれならば辻妻が合うかもしれない。だがそうなると、新たな疑問も湧いてくる。

 

「でも、今まで私たちの世界に怪獣なんて出きませんでしたよ?何で今になって………!?」

「可能性があるとすれば、ネウロイが原因かな……?」

「ネウロイが?」

 

クルピンスキーの呟きに芳佳が聞き返した。

 

「ああ。元々怪獣がいたけれど、そこにネウロイが現れて住処を追われて他所に追いやられて眠りについていた………」

「それをグア軍団が、ネウロイを使って無理やり叩き起こして連れ出した………」

「ありえる話ですね………」

 

ミライの言葉の芳佳が頷く。喩えるならば怪獣が在来種で、ネウロイが外来種という感じだろうか。

 

「だとしたら、ネウロイはどこから………?」

「それこそ異次元か、宇宙、かな………?」

 

芳佳の呟きにひかりが返すと、クルピンスキーが笑って答えた。

 

「面白い話だね?ネウロイは宇宙怪獣かい?」

「あくまで、可能性の話だけどね………」

「けどそれが本当なら、オレたちの世界にはまだ怪獣がたくさん眠ってるっていうのか……!?」

 

ミライが苦笑しながら言うと、直江が信じられないという風に言う。だが、おそらくはここで話し合っても結論など出ないだろう。

 

「………それじゃあもう遅いし、今日はこの辺にしておこうか。」

「そうだな。オレたちもそろそろ寝ないと……」

「うん………」

「じゃあ、部屋に案内するね………」

 

ともかく今は、戦いの事を忘れて休もう。ウィッチたちはエリーに連れられて、ディレクションルームを後にした。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

翌日、ストライカーの格納庫でシャーリーは、ひかりたち4人のストライカーを診ていた。

 

「どうですか、シャーリーさん?

「うーん、応急処置をした状態でわりと無茶な飛行したせいか、あちこちガタがきてるなぁ……」

「すいません……」

 

申し訳なさそうに頭を下げるひかりたち。昨日の戦いの際に応急処置のみで飛んだため、各所に不具合が出ているようだった。

 

「いくつかの部品は交換が必要だし、それに私らのストライカーの整備もしないと………」

「この数を一人では難しいだろうね………」

 

格納庫に並ぶ501部隊のストライカーを見ながら呟くクルピンスキー。現状で整備が出来るメンバーも少なく、何よりも交換用の部品もこの世界で手に入れるのは不可能に近い。

どうしたものかと考えていると、格納庫の入り口からガヤガヤと騒がしい声が聞こえてきた。不思議に思った一同が入り口の方を見ると、そこには作業服を着た男女が十数名、格納庫に入ってくる様子だった。それぞれ手には工具箱や、大小の部品が入ったカートを押していた。

 

「何だ?」

「おーい、お前らー!」

 

何事か首をかしげていると、先頭を歩いていた短髪で活発そうな若い女性(シャーリーと同じくらいの年齢だろうか)が手を振りながら駆け寄ってきた。

 

「サコミズ総監とアライソ班長からストライカーの整備チームを任された、GUYS整備班のヒナタだ。よろしく頼むぜ!」

「整備チーム?」

 

ヒナタと名乗った女性の言葉にシャーリーが反応する。

 

「ああ、ストライカー整備するには人手が足りないだろうって、整備班から何人かチーム組んで派遣することになったんだよ。アライソ班長から何回か整備の仕方も教わってマニュアル化してあるし、代用できそうなパーツも一通りそろえてあるぜ。」

「おお、それはありがたいな!!」

 

ヒナタが右手の親指で指した先の部品を見てシャーリーが声を弾ませる。ヒナタは整備士たちに指示を飛ばすと、それぞれストライカーの整備に取り掛かった。

 

「………」

 

クルピンスキーはその様子を見ながら、何か考え事をしているようだった。

 

「ん?どうかしたのかクルピンスキー?」

 

そんな彼女に気付いた直枝が話しかけると、彼女は少し不思議そうな顔をした。

 

「いや、そのアライソって人だけどさ、何者なのかなって思って………」

「え、何者って……?」

 

クルピンスキーの疑問に直枝が聞き返す。それを聞いていたシャーリーが話に入って来た。

 

「ああ、宮藤やミライさんに聞いたんだけど、一番最初の防衛チームの『科学特捜隊』のころから、メカの整備に関わって来た超ベテランらしいぞ。」

「へぇ、そんなベテランなのか。」

 

直枝が納得したように相槌を打つ。しかしクルピンスキーは、それでも疑問は解決していない顔をしていた。

 

「けれど、いくらそんなベテランでも異世界のストライカーまで整備できるものかな?」

「あ、確かに……」

「言われてみれば………?」

 

クルピンスキーの意見を聞いて、ひかりと直枝も同意を示す。

 

「仮に宮藤さんたちのストライカーを整備していたからだとしても、それを誰かに教えたり出来るレベルまで、メカニックの技術を習得するのは簡単なことじゃないと思うけど……」

「うーん……」

 

5人が考えてみるが、答えがでることはない。そうしていると、ヒナタが呼びかけてきた。

 

「おーい、ちょっと聞きたいことあんだけどー?」

「あ、はーい。」

「……とにかく、今はストライカーの整備が出来ることを喜ぼう。後でアライソさん本人に聞くのも手だと思うしね。」

 

クルピンスキーはそう言うと、自分の愛機へと向かっていった。他のメンバーもそれに続き、ストライカーの調整に戻ることにした。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

光の国の丘の上に、50mのウルトラマンよりも大きな十字架型の慰霊碑が立っていた。

 

『………』

 

大柄なウルトラ戦士・ゴライアンは、慰霊碑に刻まれたザージ、ドリュー、カラレス、フレアの名前を、悲しそうな目で見つめていた。その背中を見つけた3人の戦士が、静かに歩み寄って来た。

 

『ゴライアン………』

『………ゾフィーか。』

『随分と、懐かしいヤツが帰って来たって聞いてよ。』

『メロスに、アキュラもか………』

 

振り返った先にいた3人、ゾフィー、メロス、アキュラの顔を見ながら、ゴライアンは懐かしそうな顔をしていた。

 

『……スターマーク、似合ってんじゃねーか。アキュラも、防衛隊長になったんだって?』

『お久しぶりです、ゴライアンさん。今までどこに………?』

 

アキュラはゴライアンに聞くが、ゴライアンは俯きながらも答えた。

 

『………宇宙中を飛んでいた。フレアたちが死んで、ベリアルのやったことが信じられなくて、何が正しいのかわからなくなってから、ずっとな……』

『そうだったのか……』

『ゴライアン、ゼアスとナイスを助けてくれてありがとう。』

『別に礼はいらねーよ。偶然遭遇して、助けられただけだからな……』

 

ゾフィーの言葉に対して、ゴライアンは顔を上げずに答えたが、ゾフィーは彼の肩に手を置いて言った。

 

『それでもだ、感謝するぞ。』

『……ああ。』

『ゴライアンさん、宇宙警備隊に戻って来てください。あなたがいれば……』

 

アキュラはそこまで言うが、ゴライアンは空の彼方に浮かぶ立方体の牢獄を見上げた。

 

『………ここに来ると、嫌でもあの人を思い出しちまう………』

『ゴライアン………』

『……すまねえな、お前らの気持ちには応えられねぇ……』

 

3人はゴライアンが去った後、しばらく黙り込んでいた。

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「じゃあ我夢さんは、メテオール研究所に?」

「はい。我夢さんの知恵を借りたいとか………」

 

同じ頃、ミライやムサシ、アスカが談笑しながらディレクションルームに入ると、ミーナと芳佳、サーニャの前でエイラが神妙な面持ちで立っていた。

 

「え、みんなどうしたの?」

「あ、はい。エイラさんから話があるって………」

 

ミライが芳佳に事情を聞くと、ミーナがエイラに問いかけた。

 

「それでエイラさん、話があるって言っていたけど……」

「実は、この先のワタシたちの運勢を占ったんダ………」

「占い?」

「はい、エイラは占いが得意なんです。」

 

アスカの疑問にサーニャが答える。エイラはちらりとサーニャを見ると、話をつづけた。

 

「それで占いの結果なんだケド………宮藤、ひかり、ミーナ隊長………それにサーニャ………」

「え?」

 

名前を呼ばれたミーナたちは、思わず顔を見合わせる。それを見て、エイラはさらに言葉を続けた。

 

「この4人に………」

 

 

 

 

 

「人生最大級の恋愛が待ち受けているんダーーーーーーーーーッ!!」

 

 

 

 

 

「………はい?」

 

エイラが告げた内容に、全員の反応が一瞬遅れた。

 

「れ、恋愛って………」

「それだけなの?」

 

キョトンと呆気に取られて問い返す二人。しかし、エイラは真剣そのものの顔で話を続ける。

 

「い、いや、人生最大級なんダゾ!?ダリラガーンダゴズバーンなんダゾ!?」

「お、落ち着いてエイラさん………何を言っているのかわからないわ………」

 

動揺するエイラを落ち着かせようと、ミーナが声をかける。しかしエイラは熱弁をつづけた。

 

「だから!人生の転機になるくらいの大恋愛が、これから近い内に起こるんだっテ!」

「そ、そうは言ってもねぇ……」

 

何やら興奮気味にまくし立てるエイラに、ミライと芳佳が困り果てた表情を浮かべ、アスカとムサシは呆れた顔になっていた………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

地球の衛星軌道上、白地に黒い縞模様が入った、楕円の下部分が平らになったような形状の円盤が浮かんでいた。

 

「まったく、なんてザマだい!!」

「「面目ねえ………」」

 

その中で、ハンター・Dがヴァルドスキーとジュリコに怒鳴っていた。

 

「アタシも異次元から帰ってくるのに戸惑ってたけど、その間にウルトラマンにボロ負けとは………」

「け、けど、あの時は2人もいて………」

「言い訳すんな!!」

「ひえっ………」

 

言い訳をしようとするヴァルドスキーにぴしゃりと言い放つハンター・D。そのままため息をつくと、背後に置いてあった愛用のライフルを手に取って、各部を調整し始めた。

 

「お前ら、地球に戻るよ。」

「ええ!?せっかく脱出出来たのに!?」

「そ、その心境やイカに!?」

 

驚く二人の前で、ハンター・Dはライフルを肩で担いでニヤリと笑った。

 

「子分どもが痛い目合って、黙っているワケにはいかないからねェ………いっちょ仕返ししてやろうってのさ!!」

 

 

 

 

 

「このハンター・Dこと、『ドルジュ』様がね!!」

 

 

 

 

つづく




第二十七話です。
今回はひかりたちにこれまでの話をする形で進む、総集編っぽいお話。

・忘れかけていたヴァルドスキーとジュリコのコンビ、そしてハンター・Dの再登場。ハンター・Dがヴァルドスキーの言っていたアネゴだったというまさかの事実でした。

・ひかりたちのダサT。実はある法則でチョイスしています。ちなみに伯爵のは某ラップの冒頭部分w

・スフィアの出所からグア軍団の暗躍が表に。サンダーダランビアはここで命名されましたが、リュウさんらしいネーミングセンス感も醸し出してます。

・戦力を削がれながらも密かに活動を続けるエンペラ軍団。三提督最後の1人ササヒラー・ビアンコも登場。異名が鎌鼬な理由はもちろんウル忍からですが、服装は『るろうに剣心』の武田 観柳(※香○さん成分皆無の初登場時)をイメージ。

・エンディール星人とジオルゴンの2大幹部登場。エンディール星人は十七話でシルエットだけ登場していましたね。そしてカウントの切り札はもちろんゼットン。登場をお楽しみに。

・キングザウルス三世からネウロイはどこから来たのか問題。ちょっとこの辺はオリジナル設定入るかと思います。ちなみに、今作では一世、二世、三世はトゲアリトゲナシトゲトゲ的なよく似た怪獣、という感じ。

・漫画『ウルトラマン THE FIRST』から整備士ヒナタ登場。そしてアライソさんの謎。今後の展開をお楽しみに。

・ゴライアンとゾフィーたちの再会。今作ではメロスとも旧知の仲です。

・エイラの占いはこの先、とんでもないトラブルの切っ掛けになると思います。

・ハンター・Dの本名は『ドルジュ』。元ネタはタイムボカンシリーズ『ヤッターマン』のドロンジョ様と『怪盗きらめきマン』のルージュから。
 最初に姐御肌キャラとその子分2人って決めた時に「タイムボカンの三悪じゃん」って気づいて、そこから三悪を由来にしようと名付けました。
 同じようにヴァルドスキーは『オタスケマン』のドワルスキー(ヴァルドスキー→ドヴァルスキー→ドワルスキー)、ジュリコは『ヤットデタマン』のコケマツことジュリー・コケマツが元ネタです。

では、次回をお楽しみに。
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