ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ   作:オレの「自動追尾弾」

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第三十話 禁断の力

次元城から帰還した翌日。

 

メテオール研究所で、アドベンチャーの理論を応用してウィッチたちを元の世界に帰還させる方法を研究する準備していた我夢は、トリヤマとマルに呼び出された。

 

「これは………!!」

 

メテオールの開発に知識を貸してほしいと、トリヤマから渡された資料に目を通した我夢は、驚いた顔をトリヤマに向けた。

 

「確かにこのメテオールが完成すれば、怪獣や宇宙人を無力化できる………でも、コレは危険ですよ!?」

「ああ、確かに危険だ………だが、わしだって出来れば戦わずに済む方法があるなら使いたいんじゃよ………」

 

トリヤマはいつになく真剣な表情で我夢に答える。我夢はその表情を見て、黙り込んでしまった。

 

「わしの孫とあまり歳の変わらないウィッチたちに、傷ついてほしくないんじゃよ……頼む………!!」

 

トリヤマとマルは、我夢に向けて深く頭を下げる。そんな2人の姿を見た我夢は、決意を固めた。

 

「………分かりました。このメテオール開発を手伝わせてもらいます。」

「ありがとう………!!」

 

我夢の返事を聞いて、トリヤマはその手を固く握った。

 

「総監の許可は得てはいるが、この件は完成間近になるまで他言無用で頼む。出来れば、この『ワイアール計画』は部外秘に進めたい。」

「分かりました………」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

それから数日後の13時過ぎ。

 

[さあ、各馬一斉にスタート!先頭はモンキーフェイス、次いでナンテコッタ、センセイニフラレタ、シャミセンマスター、シットジェラシー、ブルブルディー、ウアオー、ケーキトカツドン、遅れてヨッシャラッキーとなっております。]

 

川崎市にある昔ながらのラーメン屋『スミジロウ』、競馬中継がテレビで流れる店内に、2人の客がカウンター席に座っていた。

 

「ワイアール計画?」

「はい、GUYSメンバーにも極秘で進められている、メテオールの計画のようです。」

 

注文した大量の野菜のトッピングの上に麺を乗せながら、小太りの客は隣に座る背の高い男の話を聞く。男は同じく大量のトッピングが乗ったラーメンの野菜を食べる手を止めて、口を開いた。

 

「詳しい内容まではわかりませんでしたが、現在、メテオール研究所で開発が進められているようです。近い内にテストが行われるらしく、ウィッチ数名も護衛に当たるそうです。」

「ナルホドね。」

 

小太りの男は再び箸を動かし麺をすすり飲み込むと、男に話しかけた。

 

「それじゃあジュモクソウ、詳しい日程が分かったら連絡しなさい。」

「承知しました、コウメイ様。」

 

ジュモクソウと呼ばれた男は、その面長の顔を深々と下げると店の外へ出ていった。残されたコウメイはスープまで飲み干すと立ち上がり、レジへと歩いていった。

 

[あーっと!ここでヨッシャラッキーが出た!ヨッシャラッキー、モンキーフェイスに並んだ!ヨッシャラッキー、モンキーフェイスを抜いて今ゴールイン!ヨッシャラッキー!!]

 

コウメイが会計を済ませ店を出ると同時に、テレビの中の馬がレースを終えて歓声が上がっていた。

 

 

 

 

 

第三十話 禁断の力

 

異次元怪異 ネウロイ(GX‐10)

宇宙工作員 ケイル

宇宙工作員 ケダム

マケット怪獣 リムエレキング

登場

 

 

 

 

 

「ハルトマァアアアアアアンッ!!」

 

GUYSジャパン基地内に備え付けられた寮施設内、ストライクウィッチーズの1日は、ゲルトルート・バルクホルンの怒鳴り声で始まった。

 

「え!?な、何………!?」

「さあ?まあ、大体の予想はつきますけれど。」

 

驚いて部屋から飛び出した芳佳に対して、あくび交じりにペリーヌが呆れた様子で言った。芳佳やひかりが様子を見に行くと、エーリカとバルクホルンに与えられた部屋(ウィッチたちの部屋は、2人1部屋)の開かれたドアから中の様子を除いてみると、そこにはちゃんと片付いた一角と物であふれた一角で綺麗に分かれている光景があった。そして物であふれた方のベッドではだらしなく寝るエーリカを、バルクホルンが腕組みをして睨みつけているところだった。

 

「うわ、何あれ………」

「ハルトマンさん………」

「ん~もう……あと80分~…………」

 

物が散乱している部屋にひかりが引いていると、寝たままのエーリカがぼやいていた。どうやら起床時間になっても起きないエーリカを叩き起こそうとしていたらしい。しかし当の本人は一向に起きる気配がなく、バルクホルンは怒り心頭だ。

 

「お前という奴は………第一、なんだこの部屋は!?どうやったら1週間かそこいらでこんなに散らかるんだ!?」

「後70分~………」

「~~~きさまぁああ!!」

ゴォンッ

 

とうとう堪忍袋の緒が切れたのか、バルクホルンは拳を振り上げてエーリカの脳天に振り下ろされた。その光景を見ていた芳佳は顔を引きつられ、ひかりは思わず目を手で覆った。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「まったくコイツは!!」

「いた~い………」

 

頭にタンコブを作ったエーリカは、涙目で頭を撫でていた。ディレクションルームの朝のミーティングを待っていた時にそれを見ていたひかりとニパは、少し困ったような顔になっていた。

 

「なんだか、大変そうですね。」

「まあ、501(うち)じゃあいつもの事だから。」

 

ひかりの言葉に、シャーリーが笑いながら答える。それにバルクホルンがキッとシャーリーをにらんだ。

 

「いつもの事ではダメだろう!こちらで衣食住を世話してもらっている身であるのに、あんな風に汚しては示しがつくまい!」

「はいはい、わかったわかった。」

「まあまあ、そんなにカリカリしないでよ。」

 

シャーリーが適当にあしらうと、クルピンスキーも止めに入った。しかし、バルクホルンの目はクルピンスキーに向いた。

 

「元はといえば、誰のせいだと思っているんだ!?」

「え?ボク?」

 

突然矛先が自分に向いたので、クルピンスキーはキョトンとした表情になった。芳佳たちも一体なんのことかわからず、首を傾げた。

 

「どういう事ですか?」

「あー、私やトゥルーデは昔、第52戦闘航空団でクルピンスキーと一緒だったんだよねー」

「えっ、そうなんですか………」

 

エーリカの説明を聞いた芳佳が頷いていると、バルクホルンが溜息交じりに説明した。

 

「あの頃はまだハルトマンも真面目な性格だったが、コイツのせいでこのような性格となってしまったのだ………」

「ひどい言い草~」「まったくだね~」

「黙れ!!」

 

再び怒鳴られたエーリカとクルピンスキーだが、特に気にする様子もなくへらへらと笑っていた

ちょうどその時、ミーナと美緒が部屋に入って来て、朝のミーティングが始まった。

 

「今日は、メテオール研究所で我夢さん主導の実験があるそうです。我々からも護衛をお願いしたいとの事です。」

「今回はカナタ隊員が同行してくれることになっている。我々からはバルクホルンが責任者となって、数名を連れて行ってほしい。」

「護衛が必要な実験なんですか……?」

 

ミーナと美緒の説明を聞いて、思わずリーネが聞いた。それを聞いたミーナが苦笑交じりに答えた。

 

「まあ護衛は名目で、実験の見学でもしてくれとのことよ。」

「そうなんだ………」

「ふむ………」

 

ミーナと美緒の話を聞いて、腕を組んで考え込んだバルクホルンは、チラリとエーリカの方を見た。

 

「ハルトマン、行くぞ。」

「んな!?何でさ!?」

 

いきなり指名されて驚いたエーリカだが、バルクホルンは有無を言わさず言った。

 

「いい機会だ、その根性たたき直してやる!」

「そんな~!!」

「頑張ってね~」

「お前もだぞ、クルピンスキー!」

「うえぇ!?」

 

笑っていたクルピンスキーだが、突如自分も指名されたことに驚いて素っ頓狂な声を上げた。しかし、バルクホルンはそれを気に留めることなく話を続けた。

 

「では、このメンバーに決定とする。各自準備を整えておくように。以上解散!」

「ちょ、ちょっと待って!どうしてボクまで!?」

「問答無用!来い!!」

「いやぁああ!!」

 

結局、バルクホルンが嫌がるエーリカとクルピンスキーの首根っこを無理やり引っ張って、ディレクションルームを出て行った。その様子を見て、他のウィッチたちは呆れたような顔になり、ひかりたち三名は困惑したような顔になった。

 

「大丈夫かなぁ、あの二人……」

「少し不安だな………ペリーヌ、すまないが同行をお願いできるか?何かあったらすぐに知らせてくれ。」

「わ、わかりましたわ!」

 

美緒の要請に、ペリーヌはしっかりとした声で返事をすると、バルクホルン達を追って行った。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

次元城の大広間に、ズズズ~、という液体をすする音が響き渡った。

 

『………あ~、ほうじ茶うめー………』

『……あ、あのー、ジュダ様?』

 

ほうじ茶の入った湯呑を手に和むジュダに対して、ヅウォーカァ将軍が困惑した様子で声をかけた。ジュダは湯呑をテーブルに置くと、咳ばらいをして集まった七星将を見渡した。

 

『あー、すまんな。これから憂鬱な報告を聞かないといけないって考えたら、つい現実逃避してた………では、報告を聞こう。』

 

ジュダがそう言うと、ヅウォーカァ将軍は立ち上がって報告を始めた。

 

『………怪獣戦艦艦隊は実に8割近くが壊滅し、残ったものも修理が必要となっています。すぐに出せるのは数機のみです………しかし、別の場所でメンテナンス中だった新型怪獣戦艦は無事でしたので、こちらは発進が可能です。』

『それは朗報だな。』

『しかし、新型は最大の戦力である反面、小回りがききません。また、操艦できる人員も限られています。怪獣戦艦の数が揃うまでは、現状維持にとどめておくべきでしょう。』

『ふむ、確かにその通りだ。戦力の再編には時間がかかるだろうからな……』

 

ヅウォーカァ将軍の言葉にジュダが頷いた後、魔頭が報告を始めた。

 

「………再生怪獣軍団についてだが、あのレッドマンとやらとの戦闘によって結構な数が減ってしまった………ジェロニモン達はエネルギーを使い切って回復まで時間がかかる。現在、レッドマンは捜索中だが、残りの再生怪獣にも被害が出ている………」

『そうか……レッドマンの事は気付かなかったワシの責任でもある………引き続き捜索を続けてくれ。我が『ファイティング・ベム』を使っても構わん。』

 

そう言うと、ジュダはほうじ茶を飲み干し、急須を手に取ると再び注いだ。

 

『ふぅー………思った以上に被害が多いな………』

「ほっほっほっ♪ジュダ様、このコウメイ、良い情報をお持ちしてきましたわ。」

『む、そうなのか?』

「えぇ、実は地球人が新型のメテオールを開発中という情報をキャッチしましたの♪」

『ほう?』

 

コウメイの報告にジュダは興味深そうに目を細めた。コウメイは嬉々として続けた。

 

「なんでも、対異星人用の特殊兵器だとか……実験があるようだから、ワタシの『エージェント宇宙人部隊』がこれから向かう予定ですわ。」

『おお、準備がいいな。流石はコウメイだ!』

 

ジュダは感心したように言った。コウメイは得意げに笑うと、向かいの席に座るヤプールに声をかけた。

 

「それでねヤプールちゃん、お願いがあるんだけどね?ウルトラマンやGUYSが来たら厄介だから、ネウロイを一体貸してほしいのよぉ~♪」

『成程………私に囮を用意しろという事か。』

「話が早くて助かるわぁ~」

 

そう言って笑うコウメイだが、当のヤプールは不満げだった。

 

『ふん、貴様の配下に任せればよい事ではないのか?』

『そうだな。或いはワロガの怪獣軍団でもよかろう?』

「イヤねぇ、ワタシのエージェント宇宙人部隊は偵察や破壊工作専門だから、ウルトラマンと真正面から戦えるほど戦闘が得意じゃないのよ。ワタシ自身、力はないけど知恵はあるタイプだし、それに……」

 

そこまで言うと、コウメイは笑みを浮かべた。

 

「それに、新入りのヤプールちゃんに、手柄を与えてあげたいじゃない?」

『何?』

「たとえ囮でも、ウルトラマン達にケガを負わせればそれで万々歳じゃないの?」

『ほぅ……』

 

コウメイの提案に、ヤプールは面白そうな顔をした。そして、しばらく考えるような仕草をした。

 

『……まぁ、それも一理あるな……いいだろう、その話、乗ってやろうではないか。』

「ありがとうねぇ~♪」

 

ニヤリと笑ったヤプールが言うと、コウメイは嬉しそうな顔をしてお辞儀をした。ジュダも満足気にうなずくと、2人に命じた。

 

『ではコウメイ、ヤプール、メテオール開発阻止と新型メテオールの破壊を命じる!』

『承知いたしました。ちょうど、コスモスに邪魔をされた『計画』を再会しようとしていたところだ。ついでにコウメイの作戦に付き合ってやろう。』

 

そう言うとヤプールは呼び出したコンソールを操作して、ネウロイを出撃させた。

 

『まずは下準備だ。月面の『ポイントEH』にネウロイを向かわせた。』

「じゃあ、そっちは任せたわよ。」

 

そう言ってコウメイも立ち上がると、2人は会議室を出て行った。

 

『月面の『ポイントEH』………狙いは、タロウが封印したアレか………』

 

残されたキングバルタンが小さく呟く。

 

 

 

 

 

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同時刻、フェニックスネストのディレクションルームでは、ミライたちが作業の傍ら話をしていた。内容は勿論、今日行われるメテオールの実験についてだった。

 

「それにしても、今回のメテオールって、どんなものなんでしょう?」

「なんでも補佐官の肝煎りらしいぞ?総監は知っていたけど、俺も詳しい事は聞いてないんだ。」

「そうなのか、意外と秘密主義なんだな。」

 

ミライの言葉にリュウが答える。それを聞いたアスカの感心したようにつぶやくと、ミーナから資料を受け取ったリュウが答えた。

 

「隊長の俺ですら「ワイアール計画」って計画名しか聞いてなくてな。詳しくは不明だ。」

 

リュウから「ワイアール計画」の名前を聞いて、ミライはふと疑問に思ったことを尋ねた。

 

「ワイアール、って………まさか、ワイアール星人のことですか!?」

「え?ワイアール星人………?」

 

ワイアール星人の名前を聞いてアスカとコウジが小首をかしげていると、エリーがコンソールを操作してアーカイブから植物がヒト型になったような宇宙人のデータを呼び出した。

 

「ドキュメントUG、レジストコード『生物X ワイアール星人』。特殊な液体を地球人に噴霧して、自信と同じ植物生物に変えて侵略しようとした宇宙人です。」

「ええっ!?そんな宇宙人いたんですか!?」

 

ワイアール星人の恐ろしい計画を聞いたミーナが顔を強張らせた。

 

「……ちょっと待ってくれ、それが今回のメテオールに関連しているとしたら………」

「生物を植物人間に変えてしまう代物ってことか!?」

 

アスカとリュウの推測を聞いて、一同の顔色が変わった。もしこれが事実なら、非常に危険なメテオールと言わざるを得ない。

 

「補佐官、なんつーモンを………!!」

(トゥルーデ達、大丈夫かしら………?)

 

リュウが頭を抱え、ミーナは内心不安そうにしていた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

さて、リュウたちの思いなどつゆ知らない一同は、メテオール研究所にやって来ていた。実験用の部屋に向かう最中、興味深そうに周囲を見ていた。

 

「あまりきょろきょろしないでくださいね?一応機密施設なのですから。」

「すみません………どれも珍しいものだったから………」

「まぁ気持ちはわかりますけどね……」

 

申し訳なさそうにしているペリーヌに、案内をしていたマルは苦笑いしながらフォローを入れた。

 

「しかし、色々な物があるな………」

「この研究所には、過去の防衛チームが回収した、宇宙人の兵器や宇宙船の残骸を解析して得られた技術を元に作られた研究設備もあるんですよ。」

「GUYSの以前から、そんな部隊が?」

「ええ。」

 

マルは説明をしながら、壁に掛けられた歴代の防衛チームのエンブレムに目を向けた。

 

「『科学特捜隊(SSSP(スリーエスピー))』をはじめ『ウルトラ警備隊(UG)』、『MAT(マット)』、『TAC(タック)』、『ZAT(ザット)』、『MAC(マック)』、『UGM(ユージーエム)』、この他にも、試験的に導入された『UMA(ユーマ)』に『W.I.N.R.(ウィナー)』、『ウルトラフォース』が、この地球を守って来たんです。」

 

マルの説明を聞いて頷くクルピンスキー。その時、エーリカが大声を上げた。

 

「うわ!?何あれ!?」

「おいハルトマン!何を騒いで……!?」

 

エーリカを注意しようと振り向いたバルクホルンだったが、彼女の視線を追って絶句した。

 

そこには日本刀が、彼女たち的に言えば扶桑刀が台に鎮座されていた。しかし、その大きさは非常に巨大であり、恐らくは刃渡りが25メートルはあるだろう。ウルトラマンが持ったら、ちょうど良さそうなサイズ感だ。

 

「なっ!?………何だ、あの刀は………!?」

「大きい………!?」

「いや、それ以上に………何だこの気迫は………!?」

 

ただ置かれているというのに、刀から発せられる『気迫』に圧倒される一同。それに気づいたマルが、慌てて説明を始めた。

 

「『星斬丸』………宇宙最強と言われる剣豪『ザムシャー』の刀です。」

「宇宙に剣豪が………!?」

 

マルの説明を聞いて驚きを隠せないバルクホルン。そんな彼女に、マルが説明を続ける。

 

「はい、元々はウルトラマンヒカリに戦いを挑みに地球に来たんですが、止めに入ったメビウスの強さを認めて地球を去ったんです。でもその後、エンペラ星人との最終決戦に駆けつけて来てくれたのですが、エンペラ星人の攻撃から我々を守るために………」

「………!!」

「その後、残された星斬丸はヒカリがエンペラ星人に傷を負わせた後、このメテオール研究所で保管されています………」

「そ、そうだったのか………」

 

マルが悲しそうな顔をしながら語ると、バルクホルンも複雑な表情を浮かべながら返事をした。

 

(あの刀の気迫は、そのザムシャーの物………死してなおこれ程なんて、ザムシャーとは一体どんな人物なのだ……!?)

「お待たせしました。こちらの部屋になります。」

 

研究員の1人がマルたちを呼びに来ると、バルクホルンたちもそれに続いた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

メテオール研究所で実験が始まろうとしていた頃、フェニックスネスト内ではアラートが鳴り響いていた。

 

「GUYSスペーシーより入電、月面にネウロイが出現しました!」

「ネウロイが!?」

 

ミーナが驚きの声を上げると、モニターの画像が変わって月面の様子が映った。

画面の中にいたのは、流線型のボディに四本爪の巨大なアームを持った30m級のネウロイだった。ネウロイはGUYSスペーシーの攻撃をものともせずに突き進んでいた。

 

「何が目的だ………?」

 

美緒が呟くと、エリーがある事に気が付いた。

 

「あのままネウロイが進行したら、『ポイントEH』に到達します。」

「ポイントEH?」

 

エリーの呟きに芳佳が聞いた。エリーはアーカイブのデータを呼び出して、説明をした。

 

「かつて、ウルトラマンタロウが『再生エレキング』の角を封印した場所です。」

「エレキングの角を?」

「ピュ~………」

 

サーニャが聞き返すと、彼女の腕に抱かれていたリムエレキングが自分の角を隠すようにうずくまった。

 

「そうか、エレキング(E()LEKING)の角(H()ORN)が封印されているから、EHか………」

「ネウロイ、間もなく『ポイントEH』に到達!!」

 

美緒が納得したように言うと同時に、エリーが報告をする。ネウロイの進行方向には紙垂のついた注連縄が巻かれた巨大な岩があり、それが『ポイントEH』であった。ネウロイはアームを回転させながら岩に突っ込むと、岩を破壊してその下の地面も掘り始めた!

 

「岩が!?」

 

美緒が叫んだ時、ネウロイが先端を持ち上げ飛び立った。そのネウロイの先端には、三日月型の角、エレキングの角が生えていた。

 

「狙いは、エレキングの角か!!」

 

ネウロイの狙いに気付いたリュウが叫ぶと、ネウロイはその場から飛び上がり、その場から姿を消した。一同が驚いていると、再度アラートが鳴り響いた。見ると、地球の上空約3万メートル付近に次元エネルギーが発生を知らせるものであり、ネウロイが出現していた。

 

「このままだと、1時間以内にネウロイが東京に到達します!」

「くっ、メテオールの実験が行われるという時に………!!」

 

コンソールで軌道計算をしたエリーの報告に美緒が思わず呟くと、それを聞いたリュウははっとした。

 

「アイハラ隊長、迎撃の準備を………!」

「………いや、タイミングが良すぎる。」

「え?」

 

リュウの言葉に首を傾げるミーナだったが、リュウは備え付けられた通信機を手に持って回線を開いた。

 

「こちらフェニックスネスト、メテオール研究所、応答せよ!」

 

リュウが通信を入れるが、通信機のスピーカーからはザーッと言う雑音しか聞こえてこなかった。

 

「通信が妨害されている………!!」

「何ですって!?」

「じゃあ、ネウロイで攻撃をしつつ、メテオールを!?」

 

ミライが驚愕の声を上げると、リュウは肯定の意味で頷いた。ネウロイによる破壊行為と地球側の戦力になるメテオールの開発阻止、それを同時に行うつもりなのだ。

 

「ミライ、美緒たちと一緒にメテオール研究所に向かってくれ!」

「G.I.G.!」

「ミーナ、ネウロイを頼む!」

「ええ!」

 

ミーナが力強く返事をすると、ミライは美緒やシャーリー、リーネたちと共に格納庫へと向かった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

一方、メテオール研究所では「ワイアール」の実験が始まろうとしていた。

我夢やトリヤマ、ウィッチたちがいるコンピューターが並んだ観測室の目の前には厚い特殊ガラスが張られた大窓があり、その先の白くだだっ広い部屋の中央には、「ワイアール」の入った銀色の円柱型カプセルが設置されていた。

 

「あの中にメテオールが?」

「はい。とても危険な効果を持っているため、厳重に保管されています。」

 

ペリーヌの問いに我夢が答えた。

 

「本来は宇宙人が侵略のために持ち込んだものなので、地球人に影響がないように調節するのが、今回の実験です。」

「なるほど。」

 

我夢の解説に、ペリーヌが納得したように言った。トリヤマはそんな二人の会話を聞きながら、自分の推し進めてきた「ワイアール」を見つめていた。

 

(これが成功すれば、グア軍団にも対抗できる力となるはずだ………!)

 

今回の実験にトリヤマは並々ならぬ意気込みを見せており、彼は自ら「ワイアール」を起動させる装置の前に立って操作をしていた。

 

「トリヤマ補佐官、準備ができました。」

「うむ。」

 

研究員に促されると、トリヤマはキーボードを操作して、スイッチにかけられたカバーを開けた。

 

「このワイアールが、宇宙人の侵略から人類を守る盾となる事を………!」

「それは困るな。」

 

トリヤマが言いかけたその時だった。突然扉が開かれ、銀色の顔と青い目を持ち、手に光線銃を構えた『宇宙工作員 ケダム』が、何人も現れた!

 

「なっ!?」

「宇宙人!?一体どこから!?」

「こいつら、グア軍団の!?」

 

突如として現れたグア軍団の刺客たちに、その場にいた全員が驚いた。出入口はケダムに塞がれてしまっており、逃げる事はできそうもなかった。

 

「これは……まさか、『ワイアール』を狙って!?」

「その通りだ。」

 

バルクホルンの推測に、ケダムの後ろから1人の影が現れた。背中まである黒髪をサイドアップにして、その金色の鋭い目の少女、ケイルだった。

 

「君は………」

「まさか、お前とまた会う羽目になろうとはな………」

 

ケイルの姿を見たクルピンスキーが驚いている中、トリヤマは咄嗟にスイッチのカバーを閉じてロックをかけた。

 

「こ、このメテオールは渡さんぞ!」

「ふん、ならば力ずくで奪わせてもらう!」

 

言うなりケイルは手で合図をすると、ケダム達は一斉に銃を構えた。

 

「うわ!?」

「じゅ、銃を撃つと危ないぞ!?この研究所には、危険なメテオールの研究もされている!それに引火したら、お前らもろとも吹っ飛ぶぞ!!」

『!?』

 

咄嗟にマルが叫ぶと、ケダムたちは動揺して動きを止めた。その瞬間、バルクホルンが使い魔を発現させて、力いっぱいケダムの1人の顔面を殴りつけた!

 

『ぐぎゃあ!!』

 

殴られたケダムが悲鳴を上げて吹き飛び、他の者の足元に転がった。

 

「な、何をしている!爆発する危険があるなら、接近戦で対処しろ!」

『は、はい!』

 

ケイルが怒鳴りつけると、残りのケダム達が慌てて銃を放り出し警棒やナイフを取り出して襲い掛かってきた。ケダム達は訓練された兵士であり、非戦闘員の研究員達では相手にならなかった。

 

「このぉッ!!」

 

咄嗟にペリーヌが障壁を張って研究員を庇い、ケダムのナイフを防いだ。その隙に、エーリカが横からタックルを喰らわせると、2人ほどまとめて突き飛ばした。我夢やカナタも出入口付近のケダムを殴って気絶させていくが、相手は複数人おり、しかも訓練を受けたプロの兵士であるため、なかなか突破できなかった。

 

「こいつら………!!」

 

我夢が歯噛みをしているその時、トリヤマがその場にあった椅子をケダムに向けて勢い良く押し出すと、椅子は床を走ってケダムに直撃をした!

 

『うお!?』

 

当たったケダムは持っていた警棒を取り落とすと、トリヤマは落ちた警棒を拾って構えた。

 

「きえぇえええええええええいッ!!」

 

トリヤマは奇声を張り上げると、目の前にいたケダムの頭を殴りつけて昏倒させた。さらに別のケダムに向かって行くと、小手や突き、胴に次々と打ち付けてなぎ倒していく!

 

「ほ、補佐官………!!」

「強かったんだ………」

 

トリヤマの意外な強さに、我夢やエーリカが驚いていた。その間にも、バルクホルンがケダムの1人を蹴り飛ばし、ケイルに迫った。

 

「くらえ!!」

「ぬぅ!?」

 

ケイルは手にグローブを装着すると、バルクホルンの拳を受け止める。そのままバルクホルンは左手で再度殴りかかるが、ケイルは難なく避けてしまった。

 

「力任せか、甘いな。」

 

ケイルはバルクホルンの手を掴むと、背負い投げの要領でバルクホルンを投げ飛ばす。バルクホルンは空中で姿勢を整えて着地し、振り向き様にケイルに蹴りかかった!だがケイルは素早く後ろに下がって避けると、バルクホルンの足を掴んで投げた!

 

「がっ!」

「トゥルーデ!!」

 

飛ばされたバルクホルンを見て、エーリカが激昂した。そのまま飛びかかろうとしたその時、背後でトリヤマが振り下ろした警棒が、ワイアールの起動スイッチの保護カバーに当たって、割れると同時にスイッチを押してしまった。

 

「あ………」

「え………?」

 

スイッチが押されると、実験場の中央に設置されたカプセルの上半分が上にスライドし、中に収まっていたものが露となって、緑色の光があふれ出した。

 

「こ、これは………!?」

 

その光を見た一同が驚き、中には思わず後ずさりする者もいた。やがてその光に全員が照らされて――――

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

ネウロイの到達予測地点にガンフェニックスとガッツイーグルαスペリオル、ミーナを筆頭に芳佳、ひかり、直枝、エイラが到着をした。

 

「来ます!」

 

固有魔法の「空間認識」でネウロイが来た事を察知したミーナが叫ぶ。見上げた先には先ほどのネウロイが地面に向けて降下してきており、徐々にスピードを落とすと方向転換をしてこちらへ向かってきた。

 

「あいつ、形状が変わってるゾ………!?」

 

エイラが指摘した通り、ネウロイの後部は尻尾のように長くなっており、まるで腕の生えた蛇のようになっていた。ネウロイは尻尾をうねらせながら地面に向かうと、落下の衝撃と直後に起きた爆発で衝撃波が走った。

 

「何!?」

「どうなってんダ!?」

 

予想外の攻撃にウィッチ達は戸惑うが、そのとき、粉塵の中から巨大な

怪獣が現れた!

 

「カァーーーキャァーーーッ!!」

 

三日月型の黒い角を持った頭と長い首、やや前傾姿勢の黄色い身体に黒い縞模様を持っているが、よく見ればネウロイ特有のハニカム状の装甲になっており、赤く発行している箇所も確認できる。長い尻尾と手の甲に2本のかぎ爪を持った手を振りまわしながら、その怪獣―――『月光怪獣 再生エレキング(N)』は、甲高い鳴き声を上げた!

 

「なんて事だ………再生エレキングが復活しちまった!!」

 

鳴き声を上げる再生エレキングを前に、思わずリュウが叫んだ。

 

「再生エレキングが復活………」

「………なんだか、おかしな言葉ですね?」

「………うん、言ってから俺も変だなって思った。」

 

 

 

 

 

つづく




第三十話です。

・序盤は何やら企むトリピー。今回はこの『ワイアール計画』にまつわるお話。

・ラーメン屋で流れてた競馬、競走馬名はヨッシャラッキーとナンテコッタ以外は某猿顔の一般市民こと岸祐二さん関連になってますw店名とラーメンは言わずもがなw

・スト魔では見慣れたバルクホルンとエーリカのやり取り。今回の話書く際に、このシーンは割と早く書けました。

・ジュダも割と苦労している感じ。レッドマンは今でも大暴れ中w

・コウメイは割と他人と協力できるタイプ。敵味方関係なく、こういうタイプは必要と思いました。

・まさかの星斬丸登場。最終決戦の後どうしたのか考えて、メテオール研究所で保管されている設定にしました。

・ネウロイGX-09は、『ダイナ』よりガッツマリンがモチーフ。あのアームを展開した形態がかっこよくて好き。
 今回の目的は再生エレキングの角。ポイントEHの岩はタロウらしい日本文化風にしてみました。

・メテオール研究所を襲う宇宙工作員部隊。意外と強い補佐官はやる時はやる彼らしい一面。

・今回、「再生エレキング復活」というちょっとおかしな日本語がやりたくて、再生エレキングをチョイスしました。
 再生エレキングなんだけど、首が長くてやや前傾姿勢、手の甲の2本爪なのは、『マックス』の「放電竜 エレキング」が元ネタ。

では、次回をお楽しみに。
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