ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ   作:オレの「自動追尾弾」

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第三十一話 なまけ者の唄

[再生エレキング、街を破壊しながら進行を開始しました!]

「やっぱり、エレキングが現れたか………!」

「怪獣を蘇らせるのが目的だったのか………」

 

メテオール研究所に向かう車中、ミライと美緒は備え付けられたモニターで再生エレキングが角から電撃を放って街を破壊しながら、進んでいく様子を見ていた。

 

「怪獣とメテオール研究所に、我々を分断するのが目的なのだろう………どちらを取っても連中にとって得になる………!!」

「僕たちは、早くメテオール研究所へ!」

「分かった!」

 

ミライの運転する『ラビットパンダ』とシャーリーの運転する『マットビハイクル』は、メテオール研究所に向けてスピードを上げた。

 

「………ところで、今更ながら何ですかこの車?」

「ZATのラビットパンダだそうです。」

 

美緒は自分とミライの乗る、丸っこいフォルムにピエロの鼻のような突き出たレーダー、異様に大きいリアウイングのゴテゴテした車―――ラビットパンダに、今更ながら疑問を口に出した。

 

「………シャーリー達の方に荷物を積んだ都合があるとはいえ、他になかったんですか?」

「直ぐに出せるのがこの2台だったそうで………」

「………はあ、まあ、贅沢は言いません………」

 

緊急事態とはいえ何とも言えない顔になる美緒。一方、後ろを走るマットビハイクルの中で、(あっちに乗らなくて良かった)と内心思うリーネであった。

ちなみに、フェニックスネストからメテオール研究所まで、車で約30分の距離である。

 

 

 

 

 

第三十一話 なまけ者の唄

 

月光怪獣 再生エレキング(N)

異次元怪異 ネウロイ(GX‐10)

宇宙工作員 ケイル

宇宙工作員 ケダム

登場

 

 

 

 

 

「カァーーーキャァーーーッ!!」

 

再生エレキング(N)は角を回転させて電撃を放ち、街中で爆炎が上がった!

 

「わぁ~!?」

「逃げろぉおおお!?」

 

避難の終えていない街の人々はパニックになり、我先にと逃げ出し始める。その様子を見たリュウが、全員に指令を出した。

 

「全員、エレキングを足止めしろ!!奴をこれ以上進ませるわけにはいかない!!」

「了解!」

 

リュウの命令を受け、ウィッチたちが先行して出撃した。

 

「あのエレキングもネウロイ怪獣であると推測できます。まずは体内のコアを探りましょう!」

「「「「はい!!」」」」

 

4人のウィッチが返事をしてエレキングに接近をする。エレキングはそれに気が付くとウィッチたちに三日月型の角から電撃『クレッセントサンダー』を放ってきた。

 

「きゃあッ!?」

「くっ………!!」

 

ウィッチたちは電撃を回避、あるいはシールドで防御をしたが、その威力に圧倒されていた。

 

「これじゃ近づけない………」

「どうすればいいんだ!?」

「カァーーーキャァーーーッ!!」

 

芳佳と直枝がエレキングの攻撃に戸惑っていると3機のガンマシンとスペリオルαがエレキングに接近をして光線を放つが、エレキングの身体をすり抜けてしまった。

 

「どういう事だ!?」

 

リュウとアスカが驚くが、エレキングはウィッチたちの方を見たかと思うとその口から火炎『ルナティックファイヤー』を吐き出してきた。

 

「うそっ!?」

「こいつ火吹いたぞ!?」

 

予想外の攻撃方法に驚くウィッチたちだったが何とか火炎を回避する。先ほどまで電撃で攻撃をしていたために、まさかこんな方法で反撃されると思っていなかった。

 

「あいつ、雷だけじゃないのかよ!?」

「とにかく距離を詰めないと!」

「カァーーーキャァーーーッ!!」

 

ひかりがそう言うが、エレキングは近づいてきたウィッチたちに向けて尻尾を鞭のようにしならせて叩きつけてきた。

 

「きゃあッ!?」

 

咄嵯に回避行動を取ったため直撃こそ免れたものの、その衝撃波によって吹き飛ばされてしまう。体制を立て直そうにもエレキングは再度『クレッセントサンダー』を放ってくる。

 

「カァーーーキャァーーーッ!!」

「ぐぅ……ッ!?」

「なんてやつだ……!」

 

辛うじてシールドを展開して防いだものの、強力な電撃に近づくこともままならない。しかしその時、芳佳は先ほどネウロイが着地をした地点に穴が開いている事に気が付いた。

 

「あの穴は………?」

「え?」

 

ミーナとアスカも芳佳の報告からその穴に気が付いた。大きさ的に先ほどのネウロイが通るのに十分なサイズだ。

 

「これって……?」

「カァーーーキャァーーーッ!!」

 

ミーナは穴を見た後に、咆哮を上げて電撃を放つ再生エレキングを見た。

 

「もしかして………」

 

アスカはある可能性に気が付くとミーナに声をかけてスペリオルαを着陸させた。そして穴に近づくと、ミーナはアスカの元へ降りて行った。

 

「この穴の中、探れないか?」

「やってみるわ。」

 

ミーナは「空間認識」の魔法を発動させると、目の前の穴の中から何かを感じ取った。

 

「………やはり、地中に何かいますね………ちょうど今、エレキングの足元にいます。」

「てことは………」

 

アスカはエレキングを見ると、懐を探った。

 

「ミーナ隊長、みんなにエレキングから離れるように言っておいてくれ!」

「はい!」

 

ミーナが返事をして飛び立つと、アスカはリーフラッシャーを取り出し、穴に飛び込みつつ前に突き出した!

 

「みんな、エレキングから離れて!」

「え!?」

 

穴の中でひかりは放たれるのを後ろに、ミーナが通信を入れる。何事だろうと全員が疑問を抱いたその時、エレキングの動きが止まり藻掻くように暴れ始めた。

 

「カァーーーキャァーーー!?」

「なんだ!?」

 

突然苦しみ出したエレキングを見て誰もが困惑していたが、その時、地面が盛り上がりそこからウルトラマンダイナが姿を現した!

 

「ダイナ!?」

 

ダイナの登場に驚いて声を上げるエイラだが、ダイナが持ち上げていたものを見て更に驚いていた。

 

「キィイイイイイイイイイイイ!!」

「ネウロイ!?」

 

それは、月面でエレキングの角を強奪した大型アームを持ったネウロイであった!ネウロイはダイナに捕まってジタバタと藻掻いていたが、それと連動するようにエレキングも藻掻いていた。

 

「あれは………ネウロイとエレキングが連動しているのか?」

「あのエレキングは、ネウロイそのものが変異したわけではなかったのか………」

 

かつて再生エレキングは、ウルトラセブンに倒されたエレキングが月の光で再生したゾンビのような存在であった。この再生エレキング(N)もまた、エレキングの角にネウロイのコアが連動して復活をした幽霊のような存在だったのだ。エレキングの角と尻尾のパーツを持っていたため、ネウロイが変形をしたものと思われていたのだ。

 

「コアは、あのネウロイの中か!!」

 

直枝がネウロイのからくりに気付くと、ダイナは掴んでいたネウロイを投げ捨てた。エレキングはしばらくネウロイと似たような動きをしていたが、しばらくしてエレキングは腕を大きく動かした。

 

「カァーーーキャァーーー!!」

『ネウロイは任せたぜ!』

「はい!」「わかりました!!」

「俺たちはエレキングだ!」

「「G.I.G.!!」」

 

芳佳たちはすぐに返事をするとネウロイに向かって行き、リュウたちは再生エレキングと戦うダイナに援護を始めた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

その頃、メテオール研究所の前にまで来ていた。車から降りると、広い研究所を包み込むようにハニカム状のドーム型バリアで包まれていた。

 

「研究所にバリアが………?」

 

シャーリーがバリアに驚いていると、ミライのメモリーディスプレイにミサキ女史から通信が入った。

 

[研究所の周囲には、非常事態が発生した際にメテオールが外部に流出しないようにバリアが張っています。これから研究所のバリアの上から別のバリアを張って、内側のバリアを解除します。その間に、防護服に着替えてください。]

「G.I.G.!」

 

ミライがミサキに返答をすると、マットビハイクルに載せた防護服を取り出して美緒たちに手渡した。

 

「少し面倒だが、まあ、危険なメテオールだし、流出は怖いわな………」

「急いで着ましょう。」

 

全員はヘルメットを被ると、それぞれ渡された白い防護服を着込んでいった。全員が防護服を着たのを確認したミライはフェニックスネストに再度通信を入れると、バリアの張られた地点から5メートル離れた場所からバリアが発生した。

 

[それでは、これより内側のバリアを外部から解除します。くれぐれもご注意ください。]

「G.I.G.!」

 

ミライがそう答えると、内部のバリアが解除された。ミライたちはそれを確認すると、門を開いて内部に入り込んだ。

 

研究所の入り口に入ると、各通路には隔壁が封鎖されており、しんと静まり返っていた。

 

「静かだな………」

「実験場は地下のようですね。」

「通路は、メモリーディスプレイをキーにして開くことができるはずです。急ぎましょう。」

 

ミライがそう言って先陣を切り、シャーリーが殿(しんがり)になって先に進む。地下に向かう通路を確認すると、その先には大きな扉があった。ミライはメモリーディスプレイを操作パネルにかざすと、電子音と共にロックが外れる音が響き、轟音と共に扉が上にスライドして開いていく。

 

「実験場はこの先です。」

「了解。」

「………」

 

ミライに言われて前に進む。先ほど、『ワイアール』という計画名から『ワイアール星人』について聞いていたリーネとシャーリーは不安ながらも意を決し、ゆっくりと中へと入っていった。

扉の向こうは照明で明るくなっていたが、廊下には白衣を着た研究員が何人もいたのだが………

 

「あ~~~………」

「うへへ~~~………」

 

………皆、顔に黒い斑点を作り、廊下に座ったり寝転がったりして、漫画を読んだりしてだらけていた。

 

「な………」

「こ、これは一体………!?」

 

あまりの状況に呆気に取られていると、ミライが一番近くにいた研究員に話しかけた。

 

「だ、大丈夫ですか?何があったんですか!?」

「あん?」

「こ、ここでメテオールの実験があるって聞いていますけど…?」

「ああ、あったんだけどなぁ、オレはもうやめたんだよぉ。」

「ええ?」

「ここんとこずっと働き詰めだったしさぁ………もうやる気ないんだわぁ………」

 

研究員の男はダルそうな声でそう言うと、そのままゴロリと仰向けになった。他の研究員も似たような状態であったため、美緒もシャーリーも呆気に取られていた。

 

「ど、どうなってんだ、これ……?」

「わからない………けど、この先の実験場に行けば何かわかるかも……」

「そ、そうだね!行ってみよ!」

 

ミライの言葉を聞いて、3人はさらに奥へと進んで行った。進んで行く道中にも、その場に寝転がったり座ったりしてだらけている研究員が何人もいた。

ミライたちが唖然としながら進んでいると、目的の実験室まで来た。

 

コンピューターが並び、入り口の反対側の壁にはめられた大きな窓の向こうの部屋には、中央に緑色の結晶体の入ったカプセルが設置された部屋が見えており、その部屋もまた、他と同様に研究者たちがだらけきっていた。その中にはトリヤマやマル、カナタ、それにバルクホルンとペリーヌ、クルピンスキーたちの姿があった。

 

「!?ペリーヌ!!」

「バルクホルンさん!!」

 

倒れたペリーヌとバルクホルンに美緒とリーネが声をかけると、2人は顔を起こして顔をこちらに向けてきた。その顔は他のものと同様に黒い斑点が出来ていた。

 

「しょ、少佐………!!」

 

美緒の顔を確認したペリーヌとバルクホルンは慌てて立ち上がろうとしたが………

 

「………や~めた。」

「ええ!?」

「なんだか、起き上がるのも面倒ですわ………」

「もう少し寝てよ~」

 

直ぐに横になって、普段からは想像もつかないような事を言い出す始末であった。

 

「お、おい!私は夢でも見てるのか!?今、バルクホルンとペリーヌとは思えないような事言ったぞ!?」

「坂本少佐の前なのに、ペリーヌさんがあんなダラけるなんて………」

「これは一体………!?」

 

ペリーヌとバルクホルンの言動に美緒たちは困惑する。アーカイブ・ドキュメントの記録とは異なる状況に疑問を抱いていると、机の陰からミライたちを呼ぶ声が聞こえた。

 

「み、ミライ君………」

「我夢さん!!」

 

机の陰で横になっていた我夢にミライが駆け寄った。机にもたれかかる我夢も同様に顔に黒い斑点が出来てはいたが、比較的軽症のようだ。

 

「大丈夫ですか!?」

「なんとかね………あのメテオールの影響で、起き上がるのもめんどくさいけど………まさか、ここまで強力だったとは………」

「あのメテオールは何なのだ?ワイアール星人とは関係がないのか?」

 

美緒が我夢に問いかけた。我夢は手にした資料をミライに渡した。

 

「詳しくはこの資料を見て。早い話、あのワイアールはワイアール星人とは無関係だよ。」

「何だと?」

 

美緒は怪訝な顔になる。ミライは我夢から渡された『【極秘】ワイアール計画』と表紙に書かれた資料をめくった。

 

「『YR(ワイアール)』、正式名称『YAMETARANS(ヤメタランス) RADIOACTIVITY(レディオアクティビティ)』………ヤメタランスだって!?」

「知っているんですか?」

 

ヤメタランスの名前を見たミライが、思わず大声を上げた。

 

「かなり厄介な怪獣と聞いています。僕もジャック兄さんから、悪い怪獣じゃないけれど出来ればもう会いたくないと話を聞きました。」

 

ミライの話を聞いて、シャーリーはメビウスが先輩ウルトラマンの話を聞いている様子を想像した。何故か、酒場でウイスキーの入ったグラスを片手に話している様子であったが。

 

「ドキュメントMATに記録が残る、『宇宙怪人 ササヒラー』が地球侵略のために送り込んだ『なまけ怪獣 ヤメタランス』のなまけ放射能を発生させる物質………ヤメタランスの出現地点に残っていた皮膚片を回収し精製したが、制御ができないため厳重に封印されていた………」

 

ミライが書類を読み上げる。リーネがメモリーディスプレイを操作してアーカイブ・ドキュメントからヤメタランスのデータを呼び出すと、やる気のなさそうな顔で耳が大きい怪獣が表示された。

 

「これがヤメタランス………」

「何だか、見た目と肩書きから一切脅威を感じないのだが………」

「なまけ放射能は、周囲の生物からやる気を奪い、なまけ者にしてしまうエネルギーであり、制御が出来れば怪獣や宇宙人にのみ効果が出るように調整し、無力化が期待できる………」

「人をなまけ者に………!?」

 

説明を聞いた美緒が、周囲の様子を見た。確かに、今目の前にいる研究員やペリーヌたちのだらけきっている姿を見て納得できた。

 

「……なるほど、それでこんな状況な訳か………」

「あのペリーヌさんたちですら、なまけ者になっちゃうなんて………」

 

メテオール『ヤメタランス・レディオアクティビティ』の効果に呆れ以上に恐怖を感じるリーネとシャーリー。すると、話を聞いた美緒が口を開いた。

 

「もしかしたら、ソイツは史上最強の怪獣かもしれないな。」

「史上最強の怪獣!?」

 

美緒の発言に思わず聞き返すリーネ。しかし、美緒は至極真面目な表情で続けた。

 

「みんななまけ者になってしまったら、誰もヤメタランスを止められないからな!」

「………た、確かに………」

「現状を見る限り、ワイアール星人よりもヤバいな………」

 

美緒が頷きながら言う言葉にシャーリーが呆れた顔で周囲を見ながら感想を述べた。

 

「……と、とにかく、今はあのメテオールを何とかしないと!カプセルの蓋を閉じれば、なまけ放射能が止まってみんな元に戻るはずだから………」

「あれー、みんなどうしたの?」

 

ミライがメテオールの開閉スイッチに向かおうとしたその時、その場に相応しくない間延びした声が聞こえてきた。全員の視線が集まる先にいたのは、キョトンとした表情のエーリカ・ハルトマンであった。その顔には黒い斑点が出来てはいたが、他の者とは違い特に問題なさそうだ。

 

「ハルトマン?」

「お前………大丈夫なのか!?」

「うん、トゥルーデたちは何だかだらけちゃったけどねー。みんなどうしたの?」

 

心配する美緒とバルクホルンの言葉に対し、いつも通りの態度で答えるエーリカ。一同は疑問に思い首をかしげるが、そこでリーネがエーリカに聞いた。

 

「そういえばハルトマンさん、さっきまでどこに?」

「あ、うん。ちょうど良かったよ。こっち来て。」

「え?」

 

ミライの手を引き、エーリカはミライを連れて部屋から出ようとする。何がなんだか分からないミライたちであったが、連れていかれた先の空き部屋に縛られたケダムとケイルを見て驚いた。

 

「こいつらは………!?」

「こいつら、実験を邪魔しに来たんだよ。トゥルーデ達みたいになまけ者になっちゃってさ~。私でもあのメテオールのカプセルを閉めれたんだけど、元に戻った途端に暴れ出すと思ったから、先に縛っとこうと思ってさ。」

「なるほどな……」

 

エーリカの説明を聞いて納得をするミライ。しかし、よく見るとまだ数名縛られていないことに気が付いた。

 

「まだ縛ってないのもいるからさ、縛るの手伝ってよ。」

「あ、はい………」

 

こうして、ミライたちは残ったケダムたちを縛り上げるのを手伝うのであった。

 

「……(なぜハルトマンに、なまけ放射能が効いてないんだ………?)」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

『ダァアアーーーッ!!』

「カァーーーキャァーーー!!」

 

同じ頃、ダイナと再生エレキング(N)、芳佳とミーナたちウィッチとネウロイGX-10の戦いが続いていた。

 

ミーナと芳佳がネウロイのアームの攻撃を回避し光線を障壁で防御していると、エレキングは接近してくるダイナに電撃を放ってくるが、ダイナはものともせずに突き進んで行きエレキングの顔面に右拳を叩き込んだ!

 

「カァーーーキャァーーー!!」

 

エレキングは数歩下がるが踏み止まると、その長い尻尾『スパークテイル』を振るってダイナに打ち付ける!ダイナはそれを受け止めるが、そこにエレキングは接近をして手の甲に生えたかぎ爪『スタンネイル』で切りかかって来た!

 

『グァアア………!!』

「アイツ、ケルビム並みに隙がないぞ………!!」

 

後退りするダイナを見たリュウが思わず口を開いた。

中距離には電撃『クレッセントサンダー』と火炎『ルナティックファイヤー』、近距離には尻尾『スパークテイル』、そして至近距離にはかぎ爪『スタンネイル』、と、再生エレキング(N)は距離を選ばない怪獣だったのだ。

戦慄するリュウであったが、そこにフェニックスネストからの通信が入った。

 

[隊長、エレキングの角を狙ってください!]

「角を?」

[ドキュメントZATの記録によれば、再生エレキングは角が本体なんです。そこを狙えば倒せるはずです!]

「よし分かった!」

 

エリーの提案を聞き、早速実行に移すリュウ。ガンウィンガーの『ウイングレッドブラスター』で再生エレキングの角に攻撃をした!

 

「カァーーーキャァーーー!!」

 

再生エレキングは角への攻撃におののくが、直ぐにガンウィンガーを睨むと電撃を放つ!

何とか回避をするが、エレキングは攻撃の手を緩めない。その背後からダイナが近づいて、羽交い締めにして止めようとした。エレキングの放った電撃は空を切り、その隙を突いてダイナはストロングタイプにチェンジしながら、エレキングを投げ飛ばした!

 

『ダァアアッ!!』

「カァーーーキャァーーー!!」

 

投げ飛ばされたエレキングが地面に倒れると、ダイナはその長い尻尾を掴みグルングルンと激しく振り回す。

 

『デヤァアアアアアア!!!!』

「カァーーーキャァーーー!?」

 

激しい『バルカンスイング』の回転による遠心力を利用して、そのまま豪快に放り投げる!その先には飛行していたネウロイがいて、危うくぶつかりそうになってニアミス、寸前で避けていた。

 

「カァーーーキャァーーー!!」

「キィイイイイイイイイイイイ!?」

「あ、危なっ………!?」

『下がっててみんな!!』

 

危うくエレキングに当たりそうになった直枝が冷や汗をかいていると、ダイナが一同にテレパシーを送る。ダイナは空高く飛んで行ったエレキングを睨むと、拳を作った両手を胸の前で合わせると、大きく腕を回す。すると、巨人の胸の前に赤いエネルギーが集まり、赤い球体となった。

 

『フウウウウウ………デヤァアッ!!』

 

ダイナは胸の前に生成された『ガルネイトボンバー』を両拳で撃ち出すと、ネウロイを巻き込んでエレキングは爆発四散し、ネウロイもコアを撃ち抜かれ跡形もなく消滅した。

 

「やった!!」

 

空高くで爆発したエレキングを見て歓喜の声を上げる芳佳。ダイナはエレキングの爆発を見届けると、空高く飛び立って行った。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「よし、これで最後だな。」

「あー………もう反抗するのも面倒だからやーめた………」

 

ケダムを全員縛り、最後にケイルを縛った。ケイルは縛られる事に抵抗すらしていなかった。

 

「ここまで無抵抗とは………」

「ヤメタランスを送り込まれたら、こうやって侵略されちゃうんですね………」

 

美緒とリーネが改めてヤメタランスの恐ろしさを実感する。シャーリーとリーネに見張りを頼むと、ミライたちはメテオールの開閉スイッチの元に向かい、そのスイッチを押した。

カプセルの蓋が閉まって『ヤメタランス・レディオアクティビティ』が収納されると、なまけ放射能の流出が止まり、やる気をなくしていた者たちの顔から斑点が消えて、立ち上がり始めていた。

 

「あれ、急にやる気が出てきたぞ!」

「うーむ、今まで何を………さ、坂本少佐!?」

 

起き上がったバルクホルンやペリーヌが美緒たちに気が付くと、ペリーヌは慌てて立ち上がるが、そこでペリーヌは先ほどまでの自分の行いを思い出し、顔を真っ赤にした。

 

「わ、わたくしはさっきまで何を………!!」

「お、落ち着けペリーヌ………」

 

涙目になって頭を抱えるペリーヌを、美緒が慰める。それをミライと我夢は苦笑しながら見て、エーリカはやる気のなさそうにあくびをしていた。

 

「まあ、何はともあれ一件落着………」

「ミライさん!!」

「大変です!!さっきの宇宙人が………」

 

ミライがホッと胸をなでおろしたその時、シャーリーとリーネが駆け込んで来た。ミライたちは2人から告げられたことを聞くと、信じられない様子で先ほどの部屋に向かうが、そこには縛ったはずのケダムたちとケイルの姿がなかった。

 

「な、何で………!?」

「見張っていたんですけど、ほんの一瞬で姿が消えてしまって………!!」

「どういう事だ………!?」

「逃げられた………!?」

 

ミライたちは宇宙工作員たちが消えた事に愕然としていた………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

数時間後、ミライたちはフェニックスネストに帰還してきていた。

 

「そっちはそっちで、大変でしたね………」

「こっちとは別ベクトルみたいだけどな………」

 

ミライやシャーリーから、メテオール研究所での出来事を聞いていたひかりと直枝は、少し呆れたように呟いた。ちらりと部屋の隅を見れば、頭を抱えて項垂れるバルクホルンと、顔を両手で覆ってさめざめと泣くペリーヌの姿があった。

 

「まさか、あのような醜態を晒してしまうなんて………」

「坂本少佐の前で何と無様な姿を………ペリーヌ・クロステルマン一生の不覚ですわ………!!」

「ペリーヌさん………」

「ま、まあ、あのなまけ放射能はウルトラマンにも有効ですし………」

 

美緒たちの前でだらけた醜態を晒してしまった事を嘆くペリーヌとバルクホルンを、リーネとサーニャが慰めようと声をかけるが、ペリーヌとバルクホルンには届いていないようだった。

 

「ヤメタランス自身敵意も悪意もない大人しい怪獣で、ササヒラーの被害者なんですよね………」

「地味に厄介だな………」

「ウルトラマンを倒すのに、暴力なんていらないんダナー………」

 

直枝とエイラも、ヤメタランスの脅威に頭を悩ませるのであった。トリヤマ補佐官肝煎りの『ヤメタランス・レディオアクティビティ』は今回の事件から危険性が問題視され、計画の永久凍結とメテオールの破棄を決定された。

補佐官はひどく落ち込んではいたが、ミライたちの知る所ではなかった。

 

「しかし、宇宙工作員たちに逃げられたのは、少し痛いな………」

「それに、どこから今回の計画が漏れてしまったんだ………?」

 

そこでリュウとアスカが疑問を口に出した。そこに、美緒も加わる。

 

「分からないことがもう1つ、何故ハルトマンは、なまけ放射能の影響を受けなかったのだ?」

「あ、そうだった。」

 

美緒の言葉にシャーリーが思い返す。研究所内でなまけ者になっていなかったのは、エーリカただ1人であった。それを聞いたシャーリーが相槌を打つと、そこにリーネが答えた。

 

「実は私も気になって、ヤメタランスの記録を調べたら特記事項があったんです。ヤメタランスが出現した当時、なまけ放射能で防衛チームMATの隊員がなまけ者になる中、一般の子供がMATの装備を持ってヤメタランスを止めようとしたそうです。」

「子供が?」

「もしや、ハルトマンはその子供と同様に、何か特異体質なのか?」

 

美緒はリーネの話を聞いて、更に首を傾げた。その可能性を考えた美緒だったが、リーネは苦笑しながら答えた。

 

「その男の子、普段から学校をサボるなまけ者だったそうです。」

「「「え?」」」

「当時の隊員曰く、「なまける事をなまけて、働き者になった」、という事らしくて………」

 

リーネの説明を聞き、落ち込んでいたペリーヌとバルクホルンも顔を上げた。そこに芳佳が口を開いた。

 

「それってつまり、ハルトマンさんが普段だらしないから、なまけ者と判断されてなまけ放射能が逆に作用したって事?」

「うん………」

「って、元凶のクルピンスキーですらなまけていたのに、あいつは逆に作用したのかよ………」

 

リーネの説明を聞いたシャーリーが顔を引きつらせた。

 

「ま、まさか………」

 

それを聞いたバルクホルンは、この場にエーリカがいない事に気が付いた。まさかと思いペリーヌと共にその場を飛び出すと、エーリカの部屋まで走り出した。

 

「ハルトマン!」

 

部屋を開けると、そこにはいつものように散らかった部屋で寝るエーリカの姿があった………

 

「くぁ~~………」

「「…………」」

 

それを見たバルクホルンとペリーヌは呆気に取られるが、着いてきた美緒は苦笑気味に2人の肩を叩いた。

 

「………まあ、ハルトマンはなまけすぎだが、お前らは働きすぎなくらいだ。あれくらいなまけても、バチは当たらないだろう。」

 

美緒のフォローを受けた2人は拳を握りしめるが、直ぐに肩を落として一言。

 

「「………怒るのやーめた。」」

 

お後がよろしいようで。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「も、申し訳ございませんコウメイ様………まさかあのような事になろうとは………」

「いいえ、貴女の責任ではないわよ。今回はメテオールの詳細を知らなかった私の失態でもあるもの。」

 

 

次元城に帰還をしたケイルとケダムたちは、コウメイの前で深く頭を下げていた。コウメイは笑って許すものの、隣のヤプールは不満そうであった。

 

『ふん!私に手伝わせておいて、この様かッ!!』

「ヤプール……!」

「よしなさい。」

 

ケイルがヤプールに突っかかろうとするのを、コウメイが止めた。ヤプールは背中を向けると、その場から去ろうと歩き出した。

 

『ここからは私の番だ。調整をしたネウロイで、おもしろい物が出来たのでな………』

 

それだけ言うと、ヤプールは笑いながら何処かに消えていった………

 

 

 

 

 

つづく




第三十一話です。

・今回の話は、「ヤメタランスのせいでエーリカとバルクホルンの立場が普段と逆になる話」を考えたのがきっかけでした。

・再生エレキング(N)はこれまでのネウロイ怪獣と違って、ネウロイに操られている形。書いている内にケルビムみたいにオールラウンダーな怪獣になって意外に強敵になってましたね。

・なまけ放射能放つメテオールだから「ヤメタランス・レディオアクティビティ」にしよう→略したら「YR」だな→ワイアール星人でミスリードにしよう、と、こんな感じで展開を決めました。一応、前回『ポイントEH』でヒントを出していました。
 酒場でウイスキーを飲むジャックは言わずもがな。

・別にそんなつもりはなかったんだけど、ケイルはすっかりポンコツ属性が板についちゃいましたね。急に消えたり、ワイアールの情報が漏れた理由はいずれ。

・終わってみたら、今回はシリアスとギャグが入り混じって少し変な話になっちゃいましたね。次回はヤプールの企みになります。

では、また次回。
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