ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ   作:オレの「自動追尾弾」

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第三十四話 魔の磁界域

「首尾はどうかしら、ジュモクコウ?」

 

次元城の第4エリア内、自身の屋敷で茶を飲んでいたコウメイは、背後の気配に声をかけた。ジュモクコウと呼ばれた者は、静かに報告をした。

 

『ジュモクカクから、既にガンマシンは出撃をしたと連絡がありました。アントラーには作戦通りファイヤーウインダムによる攻撃をするようです。ただ………』

「ただ?」

『ジュモクソウの話によれば、サンダーバード基地への入り口はフェニックスネストとは違う経路と承認システムのようで、侵入は困難とのことでした………ウィッチたちの情報は、あまり集まっていないようです………』

 

ジュモクコウの報告を聞いたコウメイは、茶の入った湯呑を置くとため息をついた。

 

「侵入が困難なら、どうにかして入る手段を探さないとねえ……おそらくはフェニックスネストにカギがあるわ。『例の件』と併せて、調査をするよう通達しておきなさい。」

『はっ!!』

 

コウメイの命を受けたジュモクコウは頭を下げると、その場から姿を消した。コウメイは窓から見える庭園を見ながら呟いた。

 

「………()()を手に入れることが出来れば、GUYSの戦力低下とこちらの戦力強化を図れるんだけど………まあ焦ることはないわねぇ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三十四話 魔の磁界域

 

磁力怪異獣 アントラー(N)

忍者超獣 ゲニンガマス

アースロポッドタイプビースト バンピーラ

破壊獣 モンスアーガー

宇宙忍者 バルタン星人(Ver.U-40)

巨大異星人 ゴドレイ星人

戦車怪獣 再生恐竜戦車

登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行ったな………」

 

サンダーバード基地の格納庫でガンマシンの発進をモニター越しに見送った芳佳たち。ストライカーユニットと銃火器の整備を終えたシャーリーが首にかけたタオルで汗を拭いていると、入り口からガラガラとカートを押してドルジュ一味が入って来た。

 

「はーい、おにぎりとお茶持ってきたよー!」

「腹が減っては戦はできなイカらな~!」

「おー、サンキュー!」

「あいつら、大分なじんできたな………」

 

エーリカたちにおにぎりを配るドルジュたちを見たシャーリーが呆れたように呟いた。芳佳もおにぎりを受け取って食べながら苦笑するしかなかった。ふと芳佳は、ドルジュに話しかけた。

 

「そういえば、ドルジュさんたちはエンペラ軍団に協力していたんですよね?」

「ん、ああ、まあな。元々アタシは管理国家のダダ星がイヤになって飛び出して、それからヤバイ仕事に手を染めてる内にいつの間にか裏社会で一目置かれるようになって、コイツらが舎弟になってなー………」

「そうですか………」

 

芳佳が相槌を打つと、ヴァルドスキーとジュリコが続けた。

 

「で、今回はエンペラ軍団からお声がかかって、怪獣集めたりネウロイの操作実験のデータ集めたりしてなー」

「あ、そー言えばアネゴは、何で今まで遅れてたんイカ?いかすか?」

「あー……実は次元転移の時に座標の設定がうまくいかなくて、他の次元とか言っちゃっててさー………平行次元の地球に降り立っちゃったんだよ………」

 

ドルジュが気まずそうに答えた。

 

「そんで赤いロケットみたいなロボットと青い車みたいなロボットに何故か「ダダ星人だ」って言って襲われたりしてさー………何とか逃げ切ったけど、それからこっちに来るまで時間がかかちゃって……」

「そ、そうだったんだ………」

 

芳佳は少し引きつった顔になった。今の状況も含めて、ドルジュが割と大変な目に遭っていたようだった。

芳佳たちが少し呆れた顔をしていると、格納庫にけたたましいアラート音が鳴り響いた。

 

[鳥取砂丘で、アントラーが動き出しました!至急出撃してください!!]

「お出でなすったか!!」

 

アントラー出現を聞いた一同はおにぎりをお茶で流し込み、ストライカーユニットに駆け出した。ストライカーを装備すると発進位置まで移動を開始した。

 

「アイハラ隊長とミサキ代行の許可は得ている。作戦通り、ウインダムでアントラーの磁力を無力化した後に、コアを破壊するぞ!発進!!」

「「「「了解!!」」」」

 

美緒の号令の下、芳佳、バルクホルン、直枝、リーネがカタパルトで発進をした。

発進を見届けたミーナは、サーニャに話しかけてきた。

 

「サーニャさん、これから私に着いてきてください。」

「え?あ、はい……?」

 

サーニャは小首を傾げつつも、素直についていった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「ガガガッ!!」

「ガガガガガガッ!!」

 

一方、熊本県を代表する阿蘇山の麓に出現したゲニンガマスが3体、市街地に向けて進撃をしていた。その進行方向から、ガンウィンガーが飛んできた。

 

「ゲニンガマスを確認!」

「相手は超獣だ、一気に決めるぞ!」

 

リュウが宣言をすると、けん制にビークバルカンを発砲する。ゲニンガマスは機関銃の着弾に足を止めると、上空のガンウィンガーを睨みつけた。

 

「ガガガァッ!!!」

 

ゲニンガマスたちは手裏剣を射出した。ガンウィンガーはそれをかわすとそのまま急上昇、旋回してウイングレッドブラスターを放った!

 

「ガガガッ!?」

 

3体のゲニンガマスはウイングレッドブラスターを食らい、爆発を起こした。だがすぐにゲニンガマスは立ち上がり、再び進軍を始めた。

 

「くっ……なんてタフさだ……!」

 

超獣であるが故のゲニンガマスのしぶとさに、リュウは思わずうめいた。と、その時だった。

 

「ガガガッ!!」

「ガガガガガガガガガッ!!」

 

ゲニンガマスが鳴き声を上げたかと思うと、なんとそれぞれが2体に分身して、ゲニンガマスは6体に増えてしまった!

 

「増えただと!?」

「ヤプールのいっていた、ガマスの分身能力か………!」

 

リュウとミライは、昨日ヤプールの言っていたゲニンガマスの能力を思い出してそれが目の前で起きたのだと理解をした。

 

「このままじゃあ、倍々ゲームでどんどんゲニンガマスが増えちまう!」

[隊長!各地のゲニンガマスが分身をしてます!]

 

エリーからの通信にリュウがモニターを確認すると、確かにあちこちのゲニンガマスが分身を始めていた。リュウが歯噛みをしていると、後部座席のミライが進言をした。

 

「リュウさん、僕が行きます!」

「すまない、頼んだ!!」

 

ミライはそう言って左腕を掲げると『メビウスブレス』が出現、金色の光に包まれてガンウィンガーから飛び出すと、ゲニンガマスの目の前にウルトラマンメビウスが降り立った!

 

「ガガガッ!!」

「ガガガガガガッ!!」

『セヤァッ!!』

 

6体のゲニンガマスが一斉に飛びかかってくると、メビウスは構えを取って迎え撃った!

 

「ガガッ!?」

 

先陣を切って突っ込んできたゲニンガマスの一体が剣を振りかざすが、メビウスはブレスから『メビュームブレード』を伸ばすと受け止め、逆に蹴り飛ばした。続いて左右同時に斬りかかった2体は、それぞれ刀身を躱すとブレードを横一閃に振るった。

 

「「ガアッ!?」」

 

2体が悲鳴を上げ仰向けに倒れると爆散、残った4体はメビウスを囲むように陣形を取ると、メビウスは警戒をして身構えた。

 

「やらせるかよッ!!」

 

そこにリュウがウイングレッドブラスターを放つと、ガマスの1体の後頭部に直撃し、ひるませることに成功した。それをメビウスは見逃さず、素早く接近すると、残る3体をブレードで切り裂いた!

 

「ガガッ………」「ガッ………」「ガガッ………」

 

斬られたゲニンガマスが倒れて爆散する。怯んでいた残り1体は自分だけになった事に一瞬驚くも、メビウスに向けて手裏剣を放つ。しかしメビウスはそれをブレードで弾き飛ばしてそのまま斬りかかる!

 

「ガガガガガガッ!!」

『!?』

 

しかし、ゲニンガマスは突然姿を消してしまい、不発に終わった。そして次の瞬間、メビウスの背後に出現したゲニンガマスは手にした剣で突き刺そうとした。

 

「ガガガッガガガッ!!」

「ッ!?」

 

メビウスは咄嗟に横に転がって回避をすると、体勢を立て直してメビュームシュートを発射した!

 

『セヤァアーーーッ!!』

「ガガァーーー………ッ!!」

 

直撃をしたゲニンガマスは仰向けに倒れて大爆発を起こして爆発を起こした。メビウスは立ち上がると、ガンウィンガーでレーダーを確認していたリュウと目を合わせた。

 

「ここのゲニンガマスは、これで全部だな。」

『今なら、鳥取のアントラーのところにまだ間に合う!』

「ああ!」

 

リュウが返事をすると、メビウスとガンウィンガーは鳥取砂丘にいる芳佳たちの救援に向かうべく飛び立った。

 

シュバッ

『!?』

 

しかしその時、飛び出したメビウスの足を細い糸が絡まったかと思うと、メビウスは後方に大きく引き戻され、地面に叩きつけられた!

 

『グァア………ッ!!』

「ミライ!?」

「ピュキュキュゥーーーッ!!」

 

ガンウィンガーからリュウが叫ぶと、メビウスは倒れたまま振り返った。その先にいたのは、赤い4つ目を光らせる、巨大な蜘蛛のような怪獣の姿があった。

 

「クモ!?」

『コイツ………スペースビーストか!!」

「ピュキュキュゥーーーッ!!」

 

その怪獣は、『アースロポッドタイプビースト バンピーラ』であった。バンピーラは口から吐き出してメビウスの足に絡ませた糸を引き寄せて、そのまま空中へと持ち上げると再度地面に叩きつけた!

 

『ガハッ……!』

「ピュキュキュゥーーーッ!!」

 

何度も地面へ投げつけられてダメージを負うメビウスに対し、バンピーラは楽しげに鳴き声を上げた。そのまま再度攻撃をしようとした。

 

「コイツ、ミライを放しやがれ!!」

 

それを見たリュウが怒鳴りつけると、ウイングレッドブラスターを放つ。光線はメビウスを縛る糸の中ほどに着弾し、焼き切った。

 

「ピュキュキュゥーーーッ!!」

 

自由の身となったメビウスは再び立ち上がって構えをとると、バンピーラは怒りに任せて突進してきた。メビウスは迎え撃つと、両手で組み合って押し合いとなる。

 

『グゥウ………!!』

「ピュキュキュゥーーーッ!!」

 

メビウスはバンピーラを押し返して突き放すと、今度は蹴り飛ばす。だがそれでもバンピーラは起き上がると、再び突撃を仕掛けてきた!

 

「アイツ、意外とタフだな………」

 

リュウが再びメビウスと衝突するバンピーラに呆れと困惑の混じった表情を浮かべていると、通信が入った。

 

[隊長、各地でウルトラマンが怪獣や宇宙人と戦闘を開始しました!]

「何だと!?」

 

エリーの報告を聞いて、リュウはモニターを確認した。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「ギシュゥウウーーーッ!!」

 

北海道で戦うダイナの目の前で、赤く尖った身体に青白く光る頭頂部を持った『破壊獣 モンスアーガー』が両手を叩くと、その手から火炎弾が発射される!ダイナが咄嗟に回避をすると、炎はそのまま真っ直ぐ飛んでいき、道路やビルに命中して爆発を起こした。

 

『ジュアッ……』

「ギシュゥウウーーーッ!!」

 

モンスアーガーはダイナが身構えたのを見ると、気合を入れるかのように吠えた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「フォオーーッ!!」

『フゥッ、ダァアッ!!』

 

東京郊外の山奥では、コロナモードにタイプチェンジしたコスモスが、コスモスの倍近くあるサイズで巨大なハサミを持ったバルタン星人(Ver.U-40)と対峙をしていた。

バルタン星人はハサミを開くと中から赤い光線を発射する!コスモスはそれをバリアで防ぐが、バルタン星人は追撃で急接近してハサミで殴打を行う!

 

『フッ!』

 

しかしコスモスは素早い動きで回避すると、素早く背後を取ると同時に手刀を放つ!

 

「フォオォッ!?」

『フッ!タァッ!!ダリャアァッ!!』

「フォオオオッ!?」

 

更に続けて連続パンチを放ち、最後に回し蹴りを叩き込むと、バルタン星人は倒れて転げまわった!

 

「フォッ……」

 

しかし、倒れると思った瞬間、バルタン星人の姿が煙のように消えてしまった。

 

「フワーッハッハッハッハー!」

『!?』

 

声の聞こえた方を振り向くと、コスモスの背後にバルタン星人が立っていた!バルタン星人は腕のハサミを振りかざすと、コスモスに向けて振り下ろした!

 

『グァッ………!』

 

コスモスは咄嵯に避けるも、バルタン星人の猛攻に徐々に追い詰められていく。

 

「フワァーッ!」

『!?』

 

そして次の攻撃が繰り出された時、咄嗟にコスモスは身を屈めて回避をすると、バルタン星人は勢い余って地面を大きく穿った。

 

『フゥウ……』

「ホァ………』

 

コスモスはバルタン星人から距離を取ると、両者は睨み合った。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「ビシュシュシュシュシュシュ!!」

 

大阪の港では、巻貝のような頭部と湾曲した腕を持ち、顔には縦に3つ並んだ緑色の目のようなものを点滅させる『巨大異星人 ゴドレイ星人』が、胸の発光部から放つ光線で周囲を破壊していた!

ガイアは破壊活動を行うゴドレイ星人の後ろから近づくと、背中に向かってキックを放った。

 

「ビシュシュシュシュシュシュ!!」

『デュワッ!!』

 

不意打ちを受けて前につんのめるゴドレイ星人。ガイアはその隙を逃さずに両腕を掴むと、ジャイアントスイングで投げ飛ばした!

 

「ビシュシュシュシュシュシュ!!」

『グゥッ!?』

 

だが、すぐに起き上がったゴドレイ星人は両腕を交差させると、両腕から眩い光を発する。ガイアはその光に思わず両腕で目を覆った。その隙を狙って、ゴドレイ星人は胸から光線を放ち、ガイアに命中させる!

 

『グゥッ……!』

 

光線を受けて倒れるガイアに、ゴドレイ星人は容赦なく追撃を行う。起き上がろうとするところに蹴りを浴びせ、倒れたところを殴りつける。

 

「ビシュシュシュシュシュシュ!!」

『ウゥッ!?』

 

ゴドレイ星人は腕を振りかざしてガイアに殴りかかろうとするが、そこにガンブースターからの攻撃を受けて頭部で小さく爆発を起こした。

 

「ビシュシュシュシュシュシュ!!」

 

ゴドレイ星人はガンブースターに攻撃をしようとしたが、立ち上がったガイアがそれを阻止し、掴むとそのままバックドロップを決める!

 

「ビシュシュシュシュシュシュ!?」

 

地面に叩きつけられたゴドレイ星人は頭への衝撃でフラフラであった。ガイアは星人と距離を取り、構えを取った。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「これは………!」

 

各地の戦いの様子を一通り確認したリュウが息をのんだ。フジサワ博士の読み通り、鳥取砂丘のアントラーの元へウルトラマンを向かわせない作戦であることが直ぐに理解できた。

 

「ピュキュキュゥーーーッ!!」

『セヤァッ!!』

 

出来る事ならアントラーと戦っているだろうウィッチたちの元に向かいたかったが、目の前でバンピーラと戦うメビウスを放っておく事もできない。リュウは操縦桿を握る手に力を入れると、バンピーラに向けてビークバルカンを放った。

 

「ここは、美緒たちの作戦に賭けるしかない………!」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「キュコォーォウ!!」

 

各地で戦闘が繰り広げられている頃、鳥取砂丘で高らかにアントラーが鳴き声を上げながら、街に向かって進行をしていた。そんなアントラーの元に美緒、芳佳、バルクホルン、直枝、リーネの5人のウィッチたちが駆けつけた。

 

「アントラーを確認!」

「私と宮藤でアントラーを誘き寄せる!その隙に磁力の範囲外から、リーネが狙撃をしてくれ!隙をついてウインダムを呼び出す!」

「分かりました!」

「いくぞ!」

「「「「了解!」」」」

 

美緒の指示に芳佳たちが返答をした次の瞬間、ウィッチたちに気が付いたアントラーの光線が放たれた。ウィッチたちが間一髪回避すると、散開して攻撃態勢に入る。

 

「攻撃開始!!」

「はい!」

 

美緒の号令で芳佳は機関銃の銃口をアントラーに向けて引き金を引いた。着弾した弾丸はアントラーの体表で爆発を起こし、進行を止めることに成功した。

 

「キュコォーォウ!!」

 

アントラーはひと鳴きすると口から虹色の磁力光線を発射した。

 

「離れろ!磁力光線が来るぞ!!」

 

美緒が咄嗟に指示を飛ばすと、芳佳たちはアントラーから距離を取って磁力光線の影響下から脱した。

 

「アントラーの磁力光線の範囲はおよそ2㎞………ここまで離れれば磁力の影響を受けないが………」

 

バルクホルンはそう呟くと、アントラーは頭部を分離させてウィッチたちに向かい飛行してくる!

 

「やはり分離してきたか!」

 

飛翔してくるアントラーの頭部から光線が発射されるも、ウィッチたちは回避に成功する。しかし、アントラーは胴体から光線を放ってくる。光線を回避しながら、美緒が指示を飛ばした。

 

「私とバルクホルンは頭に向かう!宮藤と管野は胴体を頼む!」

「「「了解!!」」」

 

美緒とバルクホルンは空を飛翔し、アントラーの頭部へと接近する。芳佳たちも胴体に向かうと、胴体の方は収納していたドリルを展開させると回転を開始、さらにそこからビームを発射してきた!かつて、同じくドリルを有していたネウロイGX-02も使用した、広範囲攻撃だ!

 

「うわ!?コイツ……!?」

「直枝さん!」

 

ドリルからのビームに驚きながらも、直枝の前に芳佳が飛ぶと障壁で防いでくれた。

 

「すまない!助かったぜ!」

「いえ!」

「今、胴体の攻撃は上に向いているな…下に回りこむぞ!」

「はい!」

 

芳佳が返事をすると、2人はビームを掻い潜って胴体の下側へ回った。胴体はその動きに一瞬出遅れてしまい、その間に2人はビームの嵐から脱出に成功、背後に回って背中に銃弾を叩き込んだ!

 

「キュコォーォウ!!」

「効いてる!」

 

背中から火花を散らして悶える胴体。分離していては不利だと思ったのか、頭部が胴体の元に飛来し、合体を果たす。

 

「キュコォーォウ!!………?」

 

合体したアントラーは芳佳と直枝に向かおうとするが、急な合体だったせいなのか頭が前後逆になっていた事に数歩進んでから気が付いた。慌てて戻ろうとしていると、上空からのリーネの放った弾丸がアントラーの右顎に命中、折れて地面に落下した!

 

「キュコォーォウ!!」

 

悲鳴を上げるアントラーは足を止めて悶える。美緒はそれを見て好機と見たのか、芳佳に指示を飛ばした。

 

「メテオール解禁!」

「はい!」

 

芳佳は返答をするとメモリーディスプレイとマケット怪獣のカードリッジを取り出すとセット、アントラーに向けて発射した。

 

《REALISE.》

「ガァアアアーーー!ガァアアアーーー!!」

 

アントラーの目の前に、トサカが赤く左腕に赤い銃が装備された『ファイヤーウインダム』が現れて鳴き声を上げ対峙した。

 

「キュコォーォウ!!」

「ウインダム、お願い!」

「ガァアアアーーー!!」

 

アントラーは折れた上あごの再生途中ながらファイヤーウインダムを確認して威嚇するようにひと鳴きする。ファイヤーウインダムは左腕の銃口をアントラーに向けると、銃口から火炎放射を放った!

 

「キュコォーォウ!!」

 

アントラーは火炎を浴びて苦しむように鳴き声を上げながら後退をするが、ファイヤーウインダムは攻撃の手を緩めない。火炎で炙られて怯んだアントラーを見て、美緒は眼帯を外しながら指示を飛ばした。

 

「今なら磁力も出せない!頭部はあの小さな角、胴体は胸のあたりにコアがあるはずだ!一気に叩くぞ!」

「はい!!」

 

美緒の指示を聞いた芳佳は、アントラーに向かっていった。

 

ドォンッ

「ガァアアアーーーッ!?」

「!?」「何!?」

 

しかしその時、ファイヤーウインダムの背中に光線が飛んでくると爆発を起こし、火炎放射を中断されてしまった!何事かと思い周囲を見渡すと、数十メートル離れた場所から怪獣が砂の中から顔を出していた!

 

「ギュォオーーーォオウ!!」

「怪獣が砂の中に潜ませていたのか!!」

 

砂漠から現れた怪獣に驚いていると、怪獣はウィッチに向けて目から光線を放ってきた!

 

「くっ!!」

《BANISH.》

「しまった、制限時間か………!!」

「ギュォオーーーォオウ!!」

 

光線から回避をしていると、制限時間の1分が経過してしまいファイヤーウインダムが霧散してしまう。アントラーは熱せられたボディを冷却しているのか、装甲の隙間から煙を吐きながら動きを停止しているが、その隙に怪獣が砂漠のなかからはい出て来てきて、その全貌が露わとなった。

それは、巨大な戦車に怪獣が乗るように合体したような怪獣………『戦車怪獣 恐竜戦車』だ!

 

「………え、何あれ?」

「ギュォオーーーォオウ!!」

 

恐竜戦車の奇抜な出で立ちに唖然とする芳佳。恐竜戦車は体を持ち上げて威嚇するようにひと鳴きをすると、その腹に『目玉』が付いているのを見た。

 

「あの目玉は………」

「確か、再生怪獣のものだったはず………!!」

 

恐竜戦車に付いている目玉が、エイラたちの報告にあった再生怪獣の目印であり弱点である事を思い出し、恐竜戦車が再生怪獣である事に気が付いた。そこを狙えば倒せるかもしれない、そう思った芳佳だが、恐竜戦車は『伏せ』をした姿勢に戻ってしまい、目玉が怪獣と戦車の間に隠れてしまった。

 

「あれじゃあ目玉を狙えない………!!」

「意外な利点が………」

「ギュォオーーーォオウ!!」

 

恐竜戦車の再生怪獣としての利点に呆れと感心の入り混じった感情になる一同。恐竜戦車はキャタピラを唸らせながら前進をすると、戦車に搭載された三連主砲が火を噴いてウィッチたちを狙ってきた!

 

「うわ!?」

「きゃあ!?」

「ギュォオーーーォオウ!!」

 

ウィッチたちは恐竜戦車の砲撃に驚きながらも、何とか回避していく。恐竜戦車は冷却をしているアントラーに狙いを変えたかと思うと、アントラーに向けて戦車砲を発射した!

 

「キュコォーォウ!!」

「何!?」

「何でアントラーを………!?」

 

恐竜戦車がアントラーを攻撃した事に驚くウィッチたち。しかし、砲弾を受けたアントラーは熱せられたボディが急速に冷却されて行き、再び立ち上がって鳴き声を上げた!

 

「キュコォーォウ!!」

「冷却弾か!!」

「マズいぞ………アントラーの磁力が復活しちまう!!」

 

並び立って威嚇する二体の巨大生物。その様子を見て、美緒はあくまでも冷静に状況を判断すると、ウィッチたちに指示を出した。

 

「総員、あの2体と距離を取れ!」

「坂本さん!!」

「問題ない。こちらの作戦はまだ続行中だ。」

「え?」

 

芳佳たちは美緒の言葉に疑問を持つが、指示に従ってアントラーと恐竜戦車から距離を取った。アントラーと恐竜戦車はそれを追ってくるが、バルクホルンは美緒の飛行ルートが2匹をおびき寄せているようにも見えた。

 

「まさか、コイツらを誘っているのか?でも何故……?」

「……よし、この辺りまで来れば………」

「え?」

 

美緒は何かを呟くと、ある程度距離を保ったままアントラーと恐竜戦車の方を見て通信機のスイッチを入れた。

 

「こちら坂本、アントラーと恐竜戦車を例のポイントまで誘いました。」

[了解。こちらでも確認をしたわ。『裁きの雷』の準備もできているわ。]

 

通信機の先でフジサワ博士が答えると同時に、アントラーと恐竜戦車がウィッチたちに狙いを定めてきた。

 

瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「!?」」」」

「キュコォーォウ!?」

「ギュォオーーーォオウ!?」

 

アントラーと恐竜戦車の頭上から巨大な光線が降り注ぐと、その巨体を熱線が包み込んだ!

 

「な、何だあれは………!?」

「これが本来の作戦………『裁きの雷』だ。」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「『裁きの雷』………正しくは『ソルレンズ・レーザー』。」

 

フェニックスネストのディレクション・ルームで、フジサワ博士が説明をしていた。

 

「大気圏外の重力偏向盤の設定を調整して重力レンズを生成、それに太陽光を通すことで高熱ビームとして地上に放つ………先日、ダイナがデスフェイサーを倒した『シャイニングジャッジ』をヒントに生み出した、メテオールよ。」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「ファイヤーウインダムを使った『火あぶり作戦』は、この作戦の隠れ蓑だったんだ。この作戦は私とミーナ、アイハラ隊長にしか伝えられていなかったんだ。」

「そうだったのか………!!」

 

美緒とフジサワ博士の説明に納得をする直枝。その間にアントラーと恐竜戦車は高熱ビームに焼かれ、恐竜戦車は爆発に散ってしまい、その衝撃でアントラーは吹き飛ばされて高熱ビームから意図せず脱出した。

 

「キュコォー………」

 

脱出をしたものの、アントラーは全身が真っ赤に熱せられており、更に高熱と冷却を短時間で繰り返したせいで金属疲労を起こしたのかボディが崩れ始めていた!

 

「今度こそとどめを刺すぞ!!」

「「「「はい!!」」」」

 

美緒の指示に返事をすると、光線が止まったのを確認してからアントラーに向けて飛んで行った。アントラーはウィッチを確認するもボディがボロボロになっていて攻撃もままならず、上げた右腕がボロっと崩れ落ちてしまう。

その隙にウィッチたちの銃撃を受けて顎も両方とも撃ち落とされてしまった!そして、ウィッチたちの銃弾が同時にコアを直撃し、破壊された!

 

「キュコォーォ………!!」

パリィイン

 

コアを破壊されてついにアントラーは砕け散ったのであった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「アントラー、完全破壊を確認!」

 

ディレクション・ルームにエリーの報告が響くと、トリヤマやマルが安堵した表情を浮かべた。

 

「よ、良かった~………一時はどうなるかと………」

[こちらリュウ、メビウスが怪獣を撃破した。]

[ダイナもモンスアーガー撃破を確認。]

[ガイアとコスモスも、宇宙人を撃破しました!]

 

次々に通信が来ると、指令室では歓声が上がった。

 

「これで一安心ですね!!」

「ああ!」

 

トリヤマたちは嬉しそうにするが、フジサワ博士は険しい顔をしていた。

 

「いいえ、まだよ。」

「え?」

 

博士の言葉にトリヤマたちはキョトンとするが、その時、ディレクション・ルームのドアが開き、ミーナとサーニャが入って来た。

 

「あれ、ミーナ隊長?」

 

2人とも使い魔を発現させており、サーニャは魔導針を展開させていた。2人は指令室内を見渡したかと思うと、部屋の隅を凝視した。

 

「いました、あそこです!」

「ええ!」

 

サーニャの指さした先を、ミーナは銃を引き抜き、引き金を引いた。

 

「うわあ!?」

「いきなり何を!?」

 

ミーナがいきなり発砲をした事に驚くトリヤマとマル。しかし、着弾した辺りの空間が歪んだかと思うと、全身の渦巻き模様と赤い逆三角形の単眼と黄色い双眼を持った2体の異星人が現れた!

 

『ギ、ギギ~!?』

「うわあ!?」

「う、宇宙人!?」

 

現れた異星人たちを見て叫ぶトリヤマたちだが、ミーナたちは特に驚いていなかった。

 

「フジサワ博士の読み通り、グア軍団の宇宙人が侵入していたのね!」

「何だと!?」

「我々の情報が漏れていたのか!!」

 

トリヤマとマルが驚くが、同時に『ヤメタランス・レディオアクティビティ』の事がバレていた理由も理解した。フジサワ博士はメモリーディスプレイで宇宙人のデータを確認した。

 

「『ドキュメント・パラレル』、EYESの項目に記録確認。レジストコード『異次元人 ギギ』。異次元からの侵略者ね。」

『くっ、まさか、我々に気付いていたのか………!』

『ジュモクソウ!』

 

ジュモクソウと呼ばれた双眼のギギ・ツインアイ撃たれた箇所の傷を押さえながら、隣のギギ・デルタアイに肩を借りて立ち上がった。

 

「まあね。侵入してきたのは、みんなが次元城から脱出した時かしらね?表向きの『火あぶり作戦』をみんなの前で発表したら、見事に対策取られて確信したワケだけど。」

『おのれ………!』

『ジュモクソウ、ここは引くしか………』

『だがジュモクカク、ここで引いてはコウメイ様に面目が立たぬ………!』

 

ジュモクカクというらしいギギ・デルタアイが心配そうに言うが、ジュモクソウは焦りで冷静な判断が出来なくなっているようだった。

 

「さて、観念してお縄についてくれれば、命までは取らないわよ?傷の手当ても必要でしょうし……」

『くっ………!』

 

フジサワ博士はそう提案をするが、その時、ミーナたちとギギの間の空間が歪み、更にもう一体の青いX字の目を持ったギギ・クロスアイが現れた!

 

「な!?」

『ジュ、ジュモクコウ!?』

『ジュモクソウ、ジュモクカク!今すぐ帰還するぞ!』

『だが!』

『コウメイ様の命令だ!!』

『『!!』』

 

なおも食い下がるジュモクソウであったが、ジュモクコウからコウメイの名前が出ると黙り込んだ。ジュモクコウは、ミーナたちに向き直った。

 

『今日の所は引く。だが忘れるな?我らグア軍団は、貴様らを見ている事をな………』

 

ジュモクコウはそう言うと、ジュモクソウ、ジュモクカクと共に消えて行った。

 

「撤退したか………」

「まさか、グア軍団のスパイが潜入していたとは………」

 

マルの言葉に、トリヤマが悔しそうな顔をしていた。

 

「グア軍団、油断ならないわね………!」

「はい………!」

 

グア軍団の脅威に改めて戦慄するミーナとサーニャであった………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

『も、申し訳ございません………コウメイ様………』

 

次元城に帰還したジュモクカクは、ジュダや七星将の集まる前でコウメイに土下座をしていた。ジュモクソウは怪我の治療のためにこの場にはいない。コウメイは少し残念そうな顔をしていたが、ジュモクカクに話しかけた。

 

「いいえ、あなたたちの命が無事なら何よりだわ。それよりも、『アレ』の事は分かったかしら?」

『は、はい!データの解析はできておりますが、使う為にはまたあそこに直接向かう必要が………』

「分かったわ。そっちはまたゆっくり策を練りましょう。今はジュモクソウ共々、体を休めるといいわ。」

『は、はい!勿体なきお言葉………!!』

 

コウメイがそう言うと、ジュモクコウと共にジュモクカクは姿を消した。コウメイは席に戻ると、ジュダが話しかけた。

 

『今回は残念だったな、コウメイにヤプール?』

「いえいえ。敗北はしましたが、有力な情報を手に入れられましたわ♪これを元に、作戦と準備を整えたら、実行に移しますわ。」

『ほほう?』

 

コウメイはそう言って邪悪な笑みを浮かべた。ジュダはそれを見ると、コウメイに期待を寄せるのだった。一方のヤプールも、不敵な笑みを浮かべていた。

 

『私の方も、ネウロイと超獣以外の手を用意しております。ネウロイを差し向けつつ、準備をいたします。』

『なるほどな………こちらも負けていられないようだ。』

 

ジュダもヤプールの言葉に、ニヤリとした。

 

『敗北は勝利の糧となる………諸君、これからも励んでくれ。』

『『『『『「は!」』』』』』

 

ジュダの言葉に、七星将は力強く応えた。

 

 

 

 

 

つづく




第三十四話です。

・ドルジュ一味の過去がちらり。ドルジュを襲ったロボットはダダ繋がりでw

・日本各地で戦うウルトラマン達。各軍団から1体ずつって考えて、こんな面子になりました。バルタン星人は「ザ☆ウルトラマン」に登場したバージョンです。

・VSアントラー。頭が前後逆になるのはアントラーのソフビ持ってる人なら1度はやったことあるハズw

・再生恐竜戦車登場。再生怪獣軍団は当初コスモスに配慮して設定したんだけど、いつの間にかイロモノ怪獣枠にw四足歩行怪獣は今作の再生怪獣には意外と最適。
後、まったく意図してなくて途中で気付いたけど、こいつらキャタピラ地獄じゃん………

・秘密兵器はダイナの『シャイニング・ジャッジ』を再現したメテオール。実際の重力レンズってこういうのじゃないらしいけど、まあ、その辺はご容赦ください(汗

・スパイの正体はギギでした。コードネームのジュモクはジュモク→樹木→ギ(樹)ギ(木)という由来で、漢字で書くと樹木交、樹木双、樹木角。
コウメイとヤプールの企みについてはいずれ。

では、また次回。
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