ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ 作:オレの「自動追尾弾」
ここは、地球から38万8千400キロメートル離れた月の表面。そこで、兄弟星である地球の様子を見ている者たちがいた。
「………」
地球で起こっている地球人とグア軍団の戦いを心配そうに見ていたその者は、白い服の女性であった。
そして、同じく地球の様子を見ていた者は、1人の地球人、銀髪の少女に目を奪われていた。
『………』
地球に目を向けていた女性は、その者の呟きに気が付かなかった………
第三十五話 双体の復讐鬼
双体宇宙人 チェーン星人(ライト&レフト)
スーパー必殺怪獣 デマゴーグ
登場
「これはこれは、ジュモクカクさん。大変だったようですね?」
次元城の廊下を歩いていたジュモクカク、ジュモクコウ、ジュモクソウの3人は、後ろから話しかけられて足を止めた。振り返るとそこには同じく『エージェント宇宙人軍団』に所属する2人の宇宙人がいた。その2人はそっくりなヒューマノイド型宇宙人のように見えた。
「聞いたぞ?潜入作戦に失敗したそうだな?」
宇宙人の1人が嘲笑うように言う。ジュモクカクはむっとして言い返そうとしたが、それをジュモクコウが手で制した。
「それはさておき、次は我々の番だ。既にコウメイ様の許可は下りている。」
「まあ、あなた方のように失敗はしないと思うがな?」
『キサマ………!!』
『言わせておけば………!』
ジュモクカクとジュモクソウは怒りの形相を浮かべたが、ジュモクコウがそれを止めた。
『ならば、見せてもらおうか。ウルトラマンダイナに無様な敗北をした貴様らが、どれだけの成果を出せるのかをな?』
「「ぐぬぅ……!?」」
2人は余裕そうに笑っていたが、ジュモクコウに痛いところを突かれ苦虫を噛み潰したように歪めた。しばらくジュモクコウたちを睨んでいたが、やがて背を向けた。
「いいだろう、我らがウルトラマンを倒す様を見せてやる!!」
「行くぞ!!」
2人はそのまま去っていった。その後ろ姿を見送ったギギたちは、ふっと息を吐いて肩の力を抜いていた。
『すまんなジュモクコウ、あの2人の挑発につい乗ってしまった………』
『気にするな。あれだけ大口を叩いたんだ。あの2人がどれほど出来るのか、見物しようじゃないか。』
『それもそうだな……』
ギギたちは小さくにんまりと笑っていた。
☆★☆★☆★
女性の買い物とは、どうしてこうも長くかかるのだろうか?アスカ・シンはそう思った。
アスカはミライと一緒に、マイやシャーリーたちが日用品の買い出しをするのに付き合っていた。女性の日用品という事で、アスカとミライは店の前のベンチに座って待っていた。
「結構時間かかるなぁ……」
「仕方ないよ。女の子って色々買わないといけない物が多いみたいだし……」
隣で小さくぼやくミライにアスカが答える。ミライは少し地球の常識に疎い一面があるのだが、アスカにも女性の買い物が多い理由は分からなかった。
ふと周囲を見ると、休日という事もあってか家族連れの姿が多く見えた。子供を連れた夫婦らしき男女、子供たちが楽しげにはしゃいでいる様子が見える。平和だなぁ、と内心思っていると、自分たちの前に黒いレザージャケットを着て黒いサングラスをかけた男が立っている事に気が付いた。
「久しぶりだな、アスカ・シン………」
「え?」
突然名前を呼ばれて、アスカは戸惑った。何となくその顔に見覚えがあるように思ったが、男はそれに構わずにアスカに掴みかかると、そのまま遠くに投げ飛ばしてしまった!
「うわああ!?」
「アスカさん!!」
ミライは飛んで行くアスカを追って走り出すと、男は不敵な笑みを浮かべた。
「あれ?ミライさんは?」
「アスカもいないな……?」
調度その時、店から出てきたマイとシャーリーが辺りを見渡していたのを見た男は、その場から消えてしまった……
☆★☆★☆★
ドオンッ
「うッ!?ぐぅ………」
投げ飛ばされたアスカは廃車置き場で廃車の上に叩きつけられた。痛みで顔をしかめながら顔を上げると、そこにミライが走ってきた。
「アスカさん!大丈夫ですか!?」
「な、なんとかな………」
「リュウさんにはこの場所を伝えてあります。10分ほどで来ると思います………」
「ならば、10分以内にお前らを倒せばいい訳だな?」
ミライはアスカを介抱しながら伝える。すると、積み上がった廃車の上に先ほどの男が立っている事に気が付いた。
「思い出すなぁ、あの時も、ここみたいな廃車置き場でお前と戦ったんだったな………」
「何………!?」
男のその言葉を聞いたアスカは、その男がかつて自分と戦った宇宙人である事を思い出した。男は地面に降り立つと、野太い叫びと共にその姿を変えた。
左半身が真っ黒に染まり、右半身が赤くなった宇宙人『双体宇宙人 チェーン星人・ライト』であった!
「チェーン星人!!」
『やっと思い出してくれたようだな!!』
ライトは嬉しそうに叫ぶと地面を蹴り、アスカたちに殴りかかった!
「くうっ!!」
『む!?』
咄嗟にミライが拳を止めると、ライトは驚いた声を出すが、直ぐにフッ、と笑った。
『やるじゃないか……』
「くっ!」
ミライは腕を振り払うと左腕を構えてメビウスブレスを装着、ライトに向けて『メビュームスラッシュ』を放つ。しかし、放たれた光線はライトの体をすり抜けて、背後の廃車の山に着弾し火花を散らした。
「光線がすり抜ける…!?」
「お前、生きていたのか!!」
ミライが光線がすり抜けた事に驚く中、アスカがライトに問いかけた。ライトはフン、と鼻を鳴らして答えた。
『あの時は俺達も死んだかと思ったが、幸いにもコウメイ様に助けられてな………だが俺は、コウメイ様への恩義やグア軍団の使命以上に、貴様への復讐のためにここに来たのだ!』
ライトはそう叫ぶと、両腕を振り上げて襲い掛かってくる。ミライとアスカは攻撃を腕で受け止めるが、その威力に2人とも腕が痺れて顔を歪めた。
「ぐうぅ!?」
「なんてパワーだ!?」
『ははは!!どうした、そんなものなのか!?』
ライトは更に激しく攻撃を繰り返す。ミライとアスカは防戦一方になっていると、ライトは大降りに殴って2人を吹き飛ばしてしまった!
「ぐう…!?」
「大丈夫か!?」
「な、なんとか………」
『ふはははは!!』
倒れたミライをアスカが助け起こすと、ライトは余裕そうに腕を広げて笑っていた。
「アイツ、前は燃料に誘爆させて倒したけど………」
「じゃあ、似たような作戦で行きますか………」
「そうだな………」
『作戦タイムは終わったか!?』
2人が小声で話している間に、ライトが近づいて足を上げてかかと落としを繰り出してきた!ミライとアスカが左右に飛ぶと、ライトの足が大きく地面を砕いた!
ライトは左右に逃げた2人を目で追おうとしたのだが、2人は廃車の陰に隠れたかと思うと、そこから人間サイズのダイナとメビウスが飛び出して、同時にメビュームスラッシュとビームスライサーを放って、ライトを爆発の炎が襲った!
『ぬおおお!?』
ライトは廃車を巻き込みながら大きく吹き飛ばされ、廃車の山が崩れてライトを生き埋めにしてしまった。
『やったか……?』
ダイナが小さくつぶやくが、廃車の山の中から生命反応は感じられなかった。
『………死んだ様子ではない……逃げたのか………』
メビウスとダイナはライトが逃亡した事を察した2人は、変身を解いてミライとアスカに戻った。ちょうどその時、エンジン音が聞こえたかと思うと、背後にガンスピーダーが飛んできた。
「ミライ、大丈夫か!?」
「リュウさん!」
ガンスピーダーからリュウが声をかける。リュウはガンスピーダーから飛び降りると、ミライに駆け寄った。
「何があったんだ?」
「実は……」
☆★☆★☆★
「―――つまり、そのチェーン星人って連中が、アスカさんに仕返しに来たって事か?」
「ああ。」
数十分後、サンダーバード基地に帰還したミライとアスカは、芳佳に治癒魔法を受けながら、リュウ達に先ほど起きた出来事を話していた。話を聞いたエリーがコンソールを操作して、アーカイブ・ドキュメントからチェーン星人の情報を呼び出した。
「チェーン星人、『ドキュメント・パラレル』、TPCの項目に記録確認。」
「さっきの赤いチェーン星人には、左右が逆で青いもう1人の『半身』がいるんだ。そいつは頭脳派で、子供を操ってゲームの怪獣を操作させていたんだ。」
「子供を利用したですって…!?」
「何と非道な………!!」
アスカからチェーン星人の所業を聞いたペリーヌとミーナが、怒りの声を上げる。スクリーンにはチェーン星人が実体化させ子供に操らせたという、サイボーグ化したティラノサウルスのような怪獣『スーパー必殺怪獣 デマゴーグ』の情報が映し出されていた。そこに、ひかりが口を出した。
「じゃあ、そのもう1人がまた襲ってくるかもしれないって事ですか!?」
「そうだな………あの時は地球で会社を作って、子供のゲームを売ってゲームで一番強い怪獣を実体化させて俺と戦わせていたけど………」
「わざわざ会社作って、社会的地位を確立するとは………用意周到だな………」
アスカの言葉に美緒が呆れたように言う。リュウはチェーン星人の対策を考えていた。
「とにかく、またチェーン星人が襲ってくる可能性がある。しばらく単独での外出は控えてくれ。」
「G.I.G.!!」
「分かりました!」
リュウに言われてアスカ、ミライ、ヒカリは返事をした。
☆★☆★☆★
一方、次元城に帰還したチェーン星人・ライトは、怪我の手当てをしていた。半身であるチェーン星人・レフトがそれを見ていると、そこにギギの3人がやって来た。
『フン、大見栄を切ってそのザマか!!』
ジュモクカクがライトを嘲笑う。しかし、ライトはフッと笑うと立ち上がった。
『問題ない。これは作戦の第一段階に過ぎないのだからな。』
『何?』
『我々の計画はこれからだ。まあ見ているといい。』
ライトはそう言い残して、レフトと共にその場を立ち去った。
『負け惜しみ、という訳ではないだろうな………』
『ライトは正面から突っ込む事しかしないだろうが、レフトの方はなかなかの策士だ……』
『はてさて、どのような手を考えているのか……』
ギギたちはチェーン星人の背中を見ながら呟いた。
☆★☆★☆★
『コウメイよ、お前の部下が面白そうな事をしているようだな?』
同じ頃、次元城の第4エリアでは円卓に座ったジュダ、コウメイ、ヅウォーカァ、ワロガが、ポーカーをしながら話していた。
「ええ。あの2人はウルトラマンダイナに恨みを抱いているようですからね。その復讐心で策を練っていたし、部下の怪獣を強化させていましたからね。」
『なるほどな。』
ジュダはそれを聞くとカードを2枚交換して、チップを1枚払った。次の番であるヅウォーカァがカードを1枚交換すると、ワロガにふと聞いた。
『そう言えばワロガ、何か探っているようだが、どうかしたか?』
ワロガは手札を見ながら考えていたが、ヅウォーカァの質問に答えた。
『………ブルトン、ずっと探してる。ブルトン、ヴェネツィアで消えて、見つかってない。』
『ブルトンが?』
ヅウォーカァが聞き返すと、ワロガは3枚交換をした。ジュダもそれに付け加えた。
『あの怪獣は、放っておけば面倒になるが手にすれば有効な戦力になる。おまけに倒そうにも、かなり厄介な手順で処理せねば、次元に穴が開いて大惨事となる………』
「なるほど、手元にあるだけで連中の脅威になりますわねぇ。」
コウメイが笑いながら言うと、ワロガがそれに続いた。
『ブルトン、逃げてる。おれからだけじゃない。他にも、狙ってるヤツ、いる………』
『何?』
『ブルトンを引っ張りだことは………悪いヤツもいるものだな………フラッシュ。』
ジュダは呆れながらも自分の手札を見せるが、
「ストレートフラッシュ。」
『フルハウス。』
『すいません、フォーカードです。』
『あら?』
他の3人がいい手札だったため、ガクッと肩を落としていた。ジュダはコウメイにチップを払うと、うーんと悩んだ様子をみせる。
『なーんでワシ、こういうゲーム弱いんだろ?顔に出ちゃうのかな?』
『そんな鉄仮面着けてるのに?』
ジュダの呟きに、思わずヅウォーカァがツッコミを入れた。
☆★☆★☆★
チェーン星人の襲撃から1週間、警戒をしていたGUYSとウィッチたちであったが、あれ以来襲撃も怪獣等の出現はなかった。
「あれ以来、何も起きないですね………」
「チェーン星人のもう片方は、かなり用意周到だそうだし………いつ何を起こすかわからないな………」
格納庫で芳佳とミライが話していた。アスカもチェーン星人の動きがない事に首を傾げていたが、かつての戦いを思い出していた。
「あの時は、向こうから迎えに来て戦いを挑んできたけど、今回は特に動きはないみたいだし……」
「向こうが出てくるのを待つしかないのか………」
ミライがため息混じりに言った時であった。突然警報が鳴り響いた。
「どうした!?」
フェニックスネストのディレクションルームで、リュウがエリーに聞いた。
「GUYSスペーシーより、宇宙から怪獣が大気圏を突破したとのことです!」
「怪獣が!?」
「何で気が付かなかったんだ!?」
エリーの報告にカナタとコウジが疑問を口にした。
「GUYSスペーシーによると、怪獣はレーダーに感知されず、気が付いたら防衛ラインを突破していたとのことです!」
「レーダーに映らない怪獣………?」
「怪獣が日本の東京に向かったところまでは判明しましたが、その直後に見失ったとのことです。」
エリーの報告にリュウが聞き返した。スクリーンには怪獣の予測進路が表示されているが、関東方面の広い範囲に現れる事は分かるが、何処に現れるかまでは分からなかった。
「レーダーに映らない怪獣を、どうやって探す……!?」
「………俺に考えがある。」
「え?」
リュウはそう言うと、通信を入れた。
「美緒、それにサーニャ、悪いが手を貸してくれ。」
[私が……?]
「ああ、科学の目じゃあ見えないが、お前たちなら見えると思ってな。」
[なるほど、了解しました!]
リュウの頼みに美緒とサーニャは顔を見合わせながらも承知をした。
「怪獣を見つけ次第、対処をするぞ!GUYS, SALLY GO!!」
『G.I.G.!!』
アイハラ・リュウ隊長号令の下、CREW GUYSジャパンの隊員は出動をした。
☆★☆★☆★
美緒をガンウィンガー、サーニャをガンローダーの後部座席に乗せたガンフェニックスは、東京の上空数百メートルにまで上昇していた。捜索だけであればストライカーじゃなくてもいいだろうと、ミーナからの提案であった。
「乗ったのは初めてだが、零戦よりも揺れは少ないな………」
「間もなく、怪獣の降下予測時間だ。分離して捜索を開始する。」
[G.I.G.!]
リュウの指示で分離をすると、2機の戦闘機は別方向に飛んで行った。
「どうだサーニャ?」
[………いえ、魔導針に反応はありません………]
「そうか………」
サーニャの全方位広域探査でも探せない事を聞いて、リュウは顔をしかめた。それを聞いた美緒は眼帯を外して魔眼を発動させ、怪獣の捜索を開始した。
「………!?なぁあッ!?」
「ど、どうした!?」
急に大声を上げた美緒にリュウが驚きながら聞いた。美緒は冷や汗を流しながらも、報告をした。
「い、いえ……十時の方向に、怪獣を確認しました。」
「確かか?」
「ええ。もうすぐ、あの雲から出てきます。」
ですが、と美緒が続けようとしたが、ガンウィンガーは美緒の指した方角に向かって行った。すると、雲の中から怪獣の足が現れ、危うく正面衝突をしそうになり、急転回をして回避をした。
リュウは舌打ちをしながら後方の怪獣を睨むと、その姿に呆気に取られてキョトンとした。
[[………は?]]
「……………何じゃ、あれは………?」
ガンローダーの2人からも困惑した声が聞こえ、リュウは思わず口に出した言葉は、彼女たちの代弁であろう。それ程、現れた怪獣のインパクトは凄まじかったのだ。
「フハハハハハ!!」
それは、巨大な臼に緑色の手足と尻尾、角が生え。赤く尖った目にキバの生えた口が付いたような怪獣であった!
☆★☆★☆★
「………え、何あれ………?」
サンダーバード基地のモニターで怪獣の姿を見たアスカが、思わず呟いた。先日の恐竜戦車以上に見た目のインパクトが凄まじかった。
「あれって、臼、ですよね……?」
「だな………」
「もしかして、扶桑の「ツクモガミ」ってやつか?」
芳佳と直枝も困惑していると、エイラが言った。すると、隣にいたミライが思い出したように言った。
「あれは『モチロン』だ……!」
「も、もちろん?」
[ドキュメントZATに記録確認!レジストコード『うす怪獣 モチロン』!!]
ミライの言葉に芳佳が首を傾げた。ちょうどいいタイミングで、モニターにレジストコード『うす怪獣 モチロン』のデータが表示された。
[モチロンはかつて出現した際には、東京中の餅つき大会を襲撃し、推定十数トンの餅を捕食しています。]
「被害が大きいような、小さいような………」
モチロンの過去の所業を聞いて、微妙な顔になるバルクホルン。ミライはそれに付け加えた。
「タロウ兄さんの話では、モチロンは地球の人の「月では兎が餅をついている」という伝説を信じる心が月に到達し、怪獣化したものらしいです。」
[それで兎でも餅でもなく、臼の怪獣になんのかよ………]
通信機の先でリュウがツッコミを入れてきた。先ほどエイラが口にした「付喪神」というのも、あながち間違いではないように思えた。
モニターに映るモチロンに目をやると、モチロンはロープにつかまっており、その先には黒い飛行船が飛んでいた。
「あれでここまで来たのか………」
「さっきの話だと、特殊な生まれだからレーダーに映らない体質みたいダナ………」
直枝が呆れていると、エイラがそう推測した。
[モチロンは現在、日暮里方面に向けて進行中!]
「どちらにしても、モチロンがこのまま進むと街の被害が出るぞ。]
エリーの報告に美緒が言うと、リュウが指示を出した。
[補佐官、臼と杵、それにもち米を100㎏用意できるか?]
「え?ああ、できなくはないが………」
トリヤマは少し戸惑いながらも返答をすると、リュウは続けて指示した。
[よし、なら作戦は決まった。モチロンを餅つきでおびき寄せて、重力偏向盤で宇宙に送り返すぞ!]
「なるほど………」
リュウの指示を聞いたミライとアスカが納得をして頷いた。さっそく、餅つきの準備のために一同は奔走しはじめた。
「うーん、餅つきかぁ………」
「ネウロイと違って、怪獣は種類も対応も多種多様ダナ………」
芳佳とエイラは、モチロンの対処作戦に呆れと困惑の混じった顔になっていた。
☆★☆★☆★
『モチロンが動き出したようだ。』
『そうか、いよいよか!!』
同じ頃、次元城でレフトから報告を受けたライトは意気揚々と立ち上がった。レフトは笑いながら、手にした端末を操作した。端末のモニターには、以前侵略に使用したデマゴーグを基に、頭部や背中にはビーム砲、自慢の尻尾の先端には円錐型ドリルを装備し、緑色の体表に黒と黄色のまだら模様を持った怪獣が映し出されていた。
『さあ目覚めろ、『デマゴーグ
☆★☆★☆★
十数分後、東京都内の広い公園に即席で作られた餅つき大会会場ができあがった。周囲にはガンマシンが停まり、リュウや美緒たちも手伝いをしていた。
「よし、モチロンはちょうどこっちに向かってきているし、準備完了だな!」
「このペースだと、あと数分でこちらに到達します。」
リュウとミライが、遠隔操作のカメラでモチロンの動きを見ながら言った。
「私、お餅つきって初めて………」
「わたしもダナ。」
「おーい宮藤、蒸したもち米って、臼に入れればいいのか?」
「あ、はい。それでつく前に杵で練って………」
背後ではバルクホルンが蒸しあがったもち米(新潟産)を臼に入れて、芳佳は餅つきの手順の説明をしている。エイラやサーニャ、ニパは醤油や海苔等、ついた餅を食べる時の調味料を用意している。
「………なんか、怪獣退治とは思えない雰囲気だな………」
「まあ、今回は相手が相手だからな………」
呆れる直枝に美緒は苦笑しながら答える。すると、ミライが声を上げた。
「モチロンが来ます!距離1500!」
「よし!餅つき作戦、開始!!」
『おー!!』
リュウの号令で、餅つきが始まった。
「よーし、はっ!」「はい!」
「はっ!」「はい!」
「はっ!」「はい!」
はじめてとは思えないバルクホルンの見事な腕前で、次々と餅が出来上がっていく。そうしていると、飛行船にぶら下がったモチロンが、肉眼でも確認できるまで接近してきていた。
「モチロンを確認!」
「よし、いいぞ………そのまま近づいて来い………!」
接近するモチロンを見ながら呟くリュウ。モチロンは段々と近づいてくると、餅つき大会会場に気が付いたのか飛行船から飛び降りて地響きと共に着地をした。
「んあ~~~?」
「気付いた!!」
こちらを見下ろしてくるモチロンにミライが小さく言う。後は餅を食べている間に重力偏向盤を使うだけなのだが、ふと、少しおかしい事に気が付いた。
「お、おお………!!」
「あれ?」
モチロンは臼の中の餅には目もくれず、急に恥ずかしそうにもじもじとし始めた。何だろうと思っていると、モチロンは目下で海苔を手に持ったサーニャに話しかけてきた。
「あ、あのー……そ、そちらの、黒い服の人………」
「え?」
「お、お名前は、なんて言うのでしょうか………?」
「あ、サーニャ・V・リトヴャグです………」
モチロンに名前を尋ねられて、困惑しながらも答えるサーニャ。すると、モチロンはもじもじしながらも嬉しそうな様子になった。
「サ、サーニャさん、ですか!あの、オ、オラ………月から地球を見てる時に……サ、サーニャさんを見てから、忘れられなくて………!」
「え?」
「は………?」
モチロンの突然の言葉を聞いて、美緒たちは呆然としてしまった。すると、モチロンはどこからか花束を出して、サーニャに差し出してきた。
「あの!ひ、一目見た時から、す、す、す………好きです!付き合ってください!!」
「………ふえ!?」
「はぁああああああああああああああああああ!!??」
モチロンの突然の告白にサーニャは顔を真っ赤にし、エイラは絶叫を、美緒たちは唖然となった。
つづく
第三十五話です。
・チェーン星人登場。割と好きなキャラだったので、今回実は生きてましたって事にしました。
2人ともギギたちと同じコウメイの配下ですが、周りを挑発するというか下に見ているせいか、衝突は絶えない感じです。
・部下とポーカーに興じるジュダ。一応ヅウォーカァ将軍の忠誠心は七星将の中でも特に高いんですが、かの徳川家康公の「いさめてくれる部下は、一番槍をする勇士より値打ちがある」という言葉通り、遠慮なくツッコミ入れられるくらいにはいい環境。
・ブルトン行方不明問題。追っているのが誰かはいずれ。
・モチロン登場。今回、モチロンの名前出したら完全にギャグ回だって分かっちゃうと思い、サプライズ的に登場させました。
・サーニャに人生最大級の恋愛相手はモチロンでした。彼の恋の行方ははてさて?
では、また次回。