ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ   作:オレの「自動追尾弾」

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第三十六話 恋の怪獣大相撲

ウルトラマンダイナに復讐心を燃やすチェーン星人が、アスカにリベンジを挑んできた。

 

それから一週間後、宇宙から現れた怪獣モチロンへの対処をしていたが、何と、モチロンの目的はサーニャに一目惚れしたためだったのだ。

 

突然の告白にサーニャは困惑し、エイラは叫んだのであった………

 

 

 

 

 

第三十六話 恋の怪獣大相撲

 

うす怪獣 モチロン

双体宇宙人 チェーン星人(ライト・レフト)

スーパー必殺怪獣 デマゴーグ(ツー)

異次元怪異 ネウロイ(GX-13)

登場

 

 

 

 

 

モチロンが花束を出して告白をし、その場はしんと静まり返った。

サーニャは顔を真っ赤にして困惑し、ミライや美緒は口をあんぐりと開けて唖然とし、エイラは絶叫をした顔でフリーズしていた。

 

「………………え、えーと……………」

 

おそらく、1分ほどの時間がたったと思うと、ようやくサーニャが声を出した。そして、手に持っていた海苔をテーブルに置くと、モチロンの目の前に出てきて、頭を下げた。

 

「ごめんなさい。」

「ええ!?」

 

サーニャに断られた事に大きくショックを受けるモチロン。後ろでエイラがホッと胸をなでおろしていると、モチロンはサーニャに聞いた。

 

「な、何で………何でダメなんだぁ!?」

「えーと、気持ちは嬉しいけど、怪獣はちょっと………」

「がーーーん………」

「まあ、そうだろうなぁ………」

 

真っ当かつストレートな理由、というか厳しい現実を突きつけられ、ショックのあまり周囲の背景ごとネガポジ反転してしまうモチロン。直枝が呆れたように呟くと、モチロンは花束を落として目に涙を浮かべてわなわなと震えていた。

 

「そ、そんな………う~~~うううあんまりだ……HEEEEYYYYあァァァんまりだァァアァ~~~~~~~~~~!!」

「あっ………」

 

モチロンはどこぞの怪焔王みたいに大泣きしながら踵を返し、ドスドスと足音を立てて走り去ってしまった。

 

「行っちゃった………」

「サーニャ、断るにしても、もう少し手心をだな………」

「いえ、あの、急だったから………」

 

走り去ったモチロンの背中を見ながら直枝はため息をつく。美緒はサーニャに苦言を呈したが、当の本人であるサーニャは困惑しながらも申し訳なさそうな表情をしていた。

 

「………ってか、モチロン放っといたらマズくないか!?」

「あ………」

 

そこで我に返ったリュウが叫ぶと、皆もハッとなった。傷心したモチロンが我武者羅に走ってしまっては、それだけで街に被害が出てしまう。慌てて一同はガンマシンやストライカーの元に向かうと、乗り込んで離陸をした。

 

「サーニャは、モチロンの方に行かない方がいいな………」

「そうだな………ひかりとエイラと一緒に、一旦基地に戻ってもらうか。」

「あ、はい………」

 

美緒と直枝に言われて、サーニャは2人と一緒に基地に方向転換した。

 

「とんだ災難だったナー、サーニャ。」

「う、うん………モチロンには、悪い事しちゃったかも………」

 

妙に嬉しそうなエイラに対し、モチロンに罪の意識を感じているらしいサーニャ。半分はエイラの占いのせいな気もするが、その時、隣を飛ぶひかりが話しかけてきた。

 

「………何言っているんですか、サーニャさん?」

「え?」

「話が通じる分、マシじゃないですか………」

 

ひかりは、ハイライトの消えた目でサーニャに話しかけていた。自分がゴメノスの時に味わった恐怖を思い出しているらしかった。

 

「ひ、ひかり………」

「何か、ごめん………」

 

ひかりの顔を見て、思わず謝ってしまうエイラとサーニャであった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

それから数十分後、港の倉庫街でモチロンに追いついたリュウたちは、ガンマシンとストライカーから降りていた。モチロンは膝を抱えて座り込み、時折ため息をつきながら悲しそうな目で水平線を眺めていた。

 

「はぁ~………」

「………結構ショック受けてるみたいだな………」

 

倉庫の陰からモチロンの様子を見ていたリュウが呟いた。さすがに哀れに思えてくる。

 

「どうしますか、アイハラ隊長?流石に、このまま帰すのも少し気が引けますし……」

「地球に来た理由はサーニャちゃんへの告白で、悪意はないですからね………」

 

バルクホルンとミライが困り顔で言う。今回、モチロンの体質ゆえに混乱が生じてしまったものの、当のモチロンに悪気はなかった。ただ純粋に、想いを伝えようとしただけなのだ。

 

「話は通じるから、説得すればわかってくれると思う、が………」

「が?」

「………この中で、失恋したヤツ励ませるの、いるのか?」

「「「…………」」」

 

リュウの言葉に、全員黙ってしまった。よりにもよって今回、恋愛経験のないメンバーばかりが集まってしまっていた。

どうしたものかと頭を悩ませていると、どこからともなく、ピアノの音色が聞こえてきた。

 

「ん………?」

「何だ………?」

 

突然響いたその音に全員が耳を傾けると、その音は徐々に大きくなってきた。どこから聞こえてくるのだろうかと周囲を見渡していると、ピアノの音色は頭上から聞こえてくる事に気が付いた。

 

「上……!?」

 

芳佳が上空を見上げると、そこにははるか上空からグランドピアノが、ゆっくりゆらゆらと降りてきており、それを白い服を着た女性が弾いているのだ。

 

「え………!?」

「だ、だれ………!?」

「あの人は………!!」

 

芳佳たちはその人物に驚いているが、ミライはその女性に覚えがあった。

やがて女性はゆっくりと着陸すると、鍵盤蓋を上げて演奏をやめ、その場に立ち上がった。

 

「あなたは、月星人の南夕子さん、ですよね………?」

「ええ。はじめまして、みなさん。」

 

ミライは女性の方に駆け寄り、声をかけた。南夕子はニコリと微笑んで挨拶を返した。

 

「じゃあ、夕子さんは月の人なんですか………?」

「はい。この度は、うちのモチロンがまた地球の人に迷惑をかけてすみませんでした………」

「い、いえ………」

 

頭を下げる夕子に、芳佳たちは恐縮してしまう。

夕子はかつて、北斗星司とともにウルトラマンエースとして超獣と戦っていたが、遠い昔に超獣ルナチクスに滅ぼされた月星人の世界の再建のために地球を離れたのだという。

 

「月に文明があったとは………」

「最近になってヤプールがまた地球で悪事をしているって聞いて、地球の様子を見ていたんだけど、それをモチロンも一緒に見ていたらしくて……それでいつの間にか、地球に来ちゃったのよ………」

「そうだったのか……」

 

リュウが納得してうなずく。夕子は苦笑しながら話を続けた。

 

「まさか、モチロンが地球人の女の子に恋をするなんて思っていなくて……モチロンは、私の方で説得をしてみます。」

「は、はい、よろしくお願いします………」

 

夕子の申し出に美緒が会釈を返すと、夕子はモチロンの方へ歩き出した。しかしその時、リュウのメモリーディスプレイが通信音を鳴らした。

 

[隊長、目黒方面に怪獣が出現しました!!]

「何!?」

 

エリーからの通信により、怪獣出現が告げられた。モニターを見ると、そこには街を破壊する緑色の体表に黒と黄色のまだら模様を持った、サイボーグ化した怪獣の姿があった。その姿を見たリュウは、ある事に気が付いた。

 

「コイツ、この間アーカイブで見たチェーン星人の怪獣に似てるぞ!!」

「チェーン星人が動いたのか………!!」

 

その怪獣が、チェーン星人が生み出したデマゴーグに酷似している事に気が付いた。チェーン星人が強化して生み出した個体なのだろう。

 

「モチロンの対応に気を取られている間に………!!」

「まさか、チェーン星人はそれを狙って!?」

 

リュウの言葉に、美緒たちも気が付いた。レーダーに映らないモチロンが来るのを利用して、それの対処に追われている隙に攻め込む作戦であったのだ。

 

「アイツら、モチロンを利用しやがって………!!」

「みんな、直ちに怪獣の方に向かうぞ!」

「G.I.G.!」

「あ、宮藤とニパは、念のためモチロンの方に残ってくれ!」

「は、はい!」

 

リュウが指示を飛ばすと、美緒は芳佳たちに残るように伝え、その場から飛び去った。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「グヮァアアアウッ!!」

 

街に出現したデマゴーグⅡが咆哮と共に背中の大砲から破壊光線を放ち、建物を次々に粉砕していく。街中で爆炎が巻き上がり、逃げ惑う人々が次々と飲み込まれていく。

 

「きゃあああっ!?」

「助けてくれぇっ!!」

 

街の中を逃げる人々が悲鳴を上げる中、アイハラ隊長の率いるCREW GUYSジャパンが現場に到着した。

 

「怪獣を確認!!」

「市民の避難を優先しろ! 俺たちが時間を稼ぐ!!」

「「「G.I.G.!!」」」

 

ガンウィンガーからリュウが叫ぶと、ガンマシン各機はデマゴーグⅡに向かって行く。事前の情報から、デマゴーグは格闘センスに加えて先端の鋭利な尻尾を突き刺す「デマゴーグスペシャル」を武器とした怪獣だという事は既にわかっていた。おまけに背中や頭に大砲が装備されており、強化されている事は明白である。

 

「グヮァアアアウッ!!」

 

ガンマシンに気が付いたデマゴーグⅡが頭頂の砲門からビームを放つ!ガンマシンとウィッチたちはそれを回避すると、そのまま接近して攻撃を開始した。

 

「攻撃開始!!」

「「G.I.G.!!」」

 

先行したガンウィンガーがビークバルカンを放つと、デマゴーグⅡの腹部に当たって火花が散った。

 

「グヮァアアアウッ!!」

 

デマゴーグⅡは痛みに鳴き声を上げるが、その時、背中のビーム砲を持ったバックパックが分離をして空中に浮かび上がった。

 

「何!?」

 

バックパックが分離した事に驚く間もなく、バックパックはガンウィンガーに接近をしてビームを発射する。

 

「くっ……!!」

「グヮァアアアウッ!!」

 

リュウは咄嗟に回避をするが、そこにデマゴーグⅡの尻尾の先端でドリルが回転しながら迫ってくる!デマゴーグⅡの必殺技『ネオデマゴーグスペシャル』である!

 

「うぉおお!?」

 

リュウは回避をしようとしたが、右の翼にドリルが掠り小さい爆発が起きた!

 

「うおおお!?」

「アイハラ隊長!!」

 

黒煙を上げながらバランスを崩し落下をするガンウィンガーにミライが叫び声を上げた。幸い、ガンウィンガーは不時着をしたが、デマゴーグⅡとバックパックは攻撃の手を緩めず、街を破壊し続けていた。

 

「ぐぅ……!!」

「アイハラ隊長!」

「隊長、大丈夫ですか!?」

「ああ、何とかな……」

 

リュウは通信機越しに伝えた。その時、通信が入って来た。

 

[ふふふ、その程度かね、GUYSの諸君?]

「通信?」

「あの怪獣の背中にあったヤツからか………?」

 

リュウは、それが今飛翔しているバックパックからの通信である事に気が付いた。そしてメモリーディスプレイの画面には、左半身が青く右半身は真っ黒に塗りつぶされたような宇宙人・チェーン星人レフトの姿が映った。

 

「お前がチェーン星人か!!」

[はじめまして。先日はそこにいる私の片割れが、世話になったようだね。]

 

レフトが丁寧ながらも見下しているかのように挨拶をした。ミライはレフトの言った「そこにいる」という言葉に気が付いた。

 

「もう片方もいるのか…!?」

[その通りだ!!]

「グヮァアアアウッ!!」

 

ミライが呟いたその時、デマゴーグⅡの方から声が聞こえた。視線を向けると、デマゴーグⅡの頭頂部から右半身が赤いライトのホログラムが現れた。

 

「まさか、あの怪獣はお前らが!?」

[以前の失敗は、子供に遠隔で怪獣の操縦をさせていたからだ。デマゴーグⅡ本体はライトが、私がこのバックパックの砲撃を行う事で、その問題点を解決したのだ。]

[さあ、早く出てきたらどうだ?ウルトラマンダイナ!!]

 

チェーン星人の2人はそう言い放つ。リュウが歯噛みをしていると、ガンローダーから金色の光が飛び出たかと思うとみるみるうちに人型となり、ウルトラマンメビウスとなってデマゴーグⅡの目の前に着地をすると構えを取った。

 

「メビウス!!」

「グヮァアアアウッ!!」

『セヤァッ!!』

 

デマゴーグIIがひと鳴きをすると、メビウスはデマゴーグⅡに向けて駆け出した!

 

ドォンッ

『ゥアア!?』

「え!?」

 

しかしその時、メビウスの背中に赤い光線が直撃して爆発を起こした!背後を見ると、そこには左右に丸いファンを持った大型戦闘機のような30m級のネウロイが3体空中で静止していた!

 

「ネウロイだと!?」

[他のウルトラマンやウィッチに邪魔をされては困るからな。ヤプールに頼んで、ネウロイを拝借したのだよ。]

「くそっ………!!」

「「「キィィイイイイイイーーーーーーーーーーーーーーー!」」」

 

リュウが悪態をつくと、ネウロイたちはメビウスに向けて光線を放ってきた。メビウスは金色の『メビウスディフェンサークル』を発生させて防ぐが、そこにバックパックからの攻撃が襲い掛かる!

 

『グァアッ!?』

「メビウス!!」

「メビウスを援護だ!」

「「はい!!」」

 

美緒の号令で直枝とバルクホルンと共にネウロイに向かって行く。すると、ネウロイ3機はボディの上部から円盤型の子機が分離してウィッチたちに向かって行き、大型のネウロイ3機はメビウスに攻撃を再会した。

 

『さあ、どうしたんだウルトラマンダイナ!?早くしないと、お前の仲間が全員御陀仏だぞ!!』

 

戦いが激化する中、ライトが挑発するように叫んだ。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「メビウスが………!」

 

モチロンの元に残った芳佳とニパ、夕子が、デマゴーグⅡとネウロイとの戦いをメモリーディスプレイ越しに見ていて呟いた。

 

「このままじゃ、メビウスが………!」

[みんな、今からそっちに行く!それまで耐えてくれ!!]

 

アスカが通信を入れるが、フェニックスネストから戦場まで距離がある。少し歯がゆく思っていると、ふと、3人の背後でモチロンが大きなため息をついた。

 

「あ………」

 

それに気が付いたニパが、何か思いついたのかモチロンに向けて駆け足で近づいて行った。

 

「お~い、モチロン!」

「ん~~~?」

「お前、宇宙人の陽動に使われてたんだってさー!!」

「ええ………!?」

 

ニパに話しかけられたモチロンは、落ち込みながらもその内容に耳を傾けた。ニパは続けた。

 

「それでさー、ちょうど今その宇宙人が戦ってるんだ!モチロン、利用されて悔しくないの!!」

「そ、そりゃぁオラだって利用されて悔しいけど………」

「だったらさあ、アイツらぶっ飛ばしに行こうよ!!」

「ニ、ニパさん!?」

 

ニパの発言に芳佳と夕子も驚いた顔をした。確かにここからなら、アスカよりも先に戦場まで辿り着けるかもしれない。だが、当のモチロンはあまり乗り気ではない様子だ。

 

「でも、オラ……」

「それにさー………」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

『グアアッ!!』

 

メビウスはネウロイの放った光線を受けて吹き飛ばされた。メビウスは立ち上がって構えるが、メビウスの背後に回ったネウロイの下部から先端にグローブのようなものが付いた長いアームが伸びると、メビウスを羽交い絞めにしてしまった!

 

『ゥウ!?』

 

メビウスは逃れようとするが、他のネウロイの下部からもアームが伸びると、メビウスに殴りかかってきた!

 

「メビウス!?」

「ネウロイが直接殴ってくるなんて………!!」

 

ネウロイの攻撃方法に直枝が驚いていると、円盤型の子機が光線を放ってくる。ビームをシールドで防ぐが、その間にネウロイ3機の攻撃でメビウスが倒れてしまう!

 

「メビウス!!」

『グウウ………!!』

 

リュウが声を上げるその時、メビウスのカラータイマーが赤く点滅を始めた。

 

「これ以上は、難しいか………!!」

 

美緒はメビウスの限界が近い事に気づくが、自分たちはネウロイの相手で手一杯。どうしようもない状況に舌打ちをした。

美緒はネウロイの光線を回避すると、烈風斬を放って一刀両断して破壊に成功した。

 

「私は大型に向かう。ここは任せ」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

美緒が言いかけたその時、遠くの方から雄叫びが聞こえてきた。全員が振り向くと、そこには大きな臼がこちらにゴロゴロと転がってくるではないか!

 

「な、何だ!?」

「あれは、まさか……!!」

「どっせえええええええええええええええええええええええい!!」

 

一同が驚く中、臼は転がりながら大きく跳ねてそのままネウロイ3機に激突!ネウロイ3機は弾き飛ばされ、地面に叩きつけられ、そのまま粉々に砕け散り、子機も一拍置いて砕け散った。

 

『な、何事だ!?』

ドォンッ

『うげあ!?』

「グヮァアアアウッ!?」

 

バックパックのレフトがたじろいでいると、臼はデマゴーグⅡに直撃をして停止した。すると、止まった臼から手足がにょきにょきと伸びて、モチロンの姿になって立ち上がった。

 

「モ、モチロン!?」

「お前ら!よくも利用してくれたな!!」

『あ、あのやろぉー………!』

 

デマゴーグⅡ内のライトが悪態をついていると、怒りに燃えるモチロンが啖呵を切った。

 

『あの怪獣、我々が利用した事を知って……?』

『キサマ、よくもやってくれたな!!』

『ライト、落ち着け!』

 

レフトは怒るライトを窘めるが、ライトは聞く耳を持たない。モチロンは鼻息をフンと鳴らすと、デマゴーグⅡに向けて叫んだ。

 

「オラもう怒ったぞ!オラと相撲で勝負しろ!!」

『上等だ!受けてたつぞ!!』

『ライト!?』

 

モチロンの挑戦を勝手に受けたライトにレフトが困惑の声を漏らす。だが、モチロンとライトはやる気満々であった。

 

「な、何が起こったんだ………?」

「リュウさん!」

「おお、ミライ………」

 

同じくリュウが困惑をしていると、ミライがそこに駆け寄って来た。その時、上空の美緒たちの元に、夕子を連れた芳佳とニパが合流してきた。

 

「坂本さーん!」

「宮藤!って、夕子さんも飛んでる……?」

「そんな事より、モチロンのヤツ、どうしたんだ?」

「実は、モチロンに利用されていたのを教えて、ダイナが来るまでの時間稼ぎをしてもらおうってニパさんが………」

「なるほど……だが、モチロンのやつ、随分とやる気満々だな………」

 

腕を振って気合を入れるモチロンを見た美緒が芳佳は少し困ったような顔を浮かべた。

 

「そ、それが………」

 

 

 

 

 

「ニパさんが、「サーニャは逞しい男が好みだから、怪獣倒したら惚れてくれるよ!」って言ったら……」

 

 

 

 

 

「………なっ!?」

 

芳佳がそう言うと美緒たちは一斉にニパの方を見る。ニパは後頭部を掻きながら、誤魔化すように笑っていた………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「何やってんダお前ーーーーーーーーーーーーーーーー!?」

 

同時刻、話を聞いたエイラが絶叫していた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

街中に寄せ太鼓の音がなる中、設置された土俵の両側からモチロンとデマゴーグⅡが塩を撒いた。

 

どこから太鼓が鳴っているんだ、とか、

そんな大量の塩どこから用意したんだ、とか、

そもそも何で東京のど真ん中に怪獣が使えるようなデカい土俵が用意できたんだ、とか、

色々ツッコミどころがあるが、今は置いておこう。

 

「無駄に本格的だな………」

「こうなると、行司もいた方がいいかもな。」

 

怪獣たちの相撲が始まろうとする中、軽い冗談で直枝が一言言った。すると―――

 

『ならば、私が行司をしよう!』

 

どこからともなく声が聞こえたかと思うと、空間がパリンと割れてヤプールがその場に現れた!

 

「ヤプール!?」

「何で………!?」

『なに、相撲には行司が必要であろう?公平に審判をするから安心をしろ。』

 

ヤプールはそう言うが、過去の所業を考えると何一つ信用はできない。そうこうしている内に、モチロンとデマゴーグⅡは一礼の後土俵に上がり、四股を踏み始めた。

 

『に~し~、デマゴーグⅡ~~~!デマゴーグⅡ~~~!ひが~し~、モチロン~~~!モチロン~~~!』

 

ヤプールは鎌のようになった右手を軍配に見立てて、両者を呼びあげる。無駄に気合が入っている。

 

『ライトのヤツ………好戦的なのはいいが、こんな事に体力を使うんじゃないよ………』

 

レフトは離れた地点から、相撲の成り行きを呆れながらも見ていた。モチロンとデマゴーグⅡは中央で睨み合う。

 

『見合って見合って、はっけよい!!』

「どりゃあああ!!」

 

ヤプールが合図を出すと同時に、モチロンとデマゴーグIIはぶつかり合った!巨体同士がぶつかる衝撃に大地が揺れる。

 

『のこった!のこった!』

「グヮァアアアウッ!!」

「ぬぅううううんッ!!」

 

ヤプールが掛け声を掛ける中、モチロンとデマゴーグⅡは激しくぶつかり合い、互いに一歩も譲らない。力は互角のようだった。モチロンは勝負に出ようとしたのか、いったんデマゴーグⅡから離れると、勢いをつけて突進した!

 

「どすこぉおおおいッ!!」

「グヮァアアアウッ!!」

 

しかし、デマゴーグⅡは両手のひらを巨大化させてその突進を止めてしまった。ウルトラマンの光線をも完全に防いでしまうデマゴーグの能力の1つ「デマハンドプロテクション」である。

 

「な、」

「グヮァアアアウッ!!」ドドォンッ

 

モチロンは突進を止められた事に驚く間もなく、デマゴーグⅡは大きいままの手を振るって、モチロンを土俵の外にまで突き出してしまった!

 

「ぐぇえっ………!!」

「ああっ………!!」

 

土俵外に吹っ飛ばされて倒れるモチロンに美緒たちが悲痛の声を上げる。デマゴーグⅡは手のひらを戻すと、勝利を告げるように鼻息を荒くした。

 

「ウゥ……」

「モチロン………」

 

倒れたモチロンが悔しそうに顔を歪ませる。芳佳が思わず心配をしていると、行司を務めるヤプールが右手を上げて宣言をした。

 

『この勝負、モチロンの勝利ぃ~~~!』

「!?」

「何………!?」

 

ヤプールの思わぬ判定に、芳佳たちは驚き戸惑った。倒れていたモチロンも立ち上がる中、デマゴーグⅡ内のライトもバックパックのレフトも驚き、物言いをした。

 

『ヤプール、何を言っているのだ!?今のはどう見ても俺の勝ちだろうが!!』

『そうだ!貴様、どこに目をつけている!?』

 

チェーン星人が物言いをする後ろで、モチロンも不思議そうにしていた。当のヤプールはいたって真面目に答えた。

 

『では、今の試合を映像で確認しよう。』

 

そう言って手を振ると、上空に映像が投影されて先ほどの試合が流れた。一同の視線が映像に集中する中、映像はデマゴーグⅡがデマハンドプロテクションでモチロンを突き出す所からスローモーションになった。

 

『ここのデマゴーグⅡをよく見てほしい。』

 

ヤプールの言葉と共に、映像の中のデマゴーグIIが動き出した。そして、デマゴーグIIが手を突き出そうとした瞬間、直枝が「あ!」と声を上げた。

 

「あの怪獣の尻尾!」

「尻尾?ああ!」

 

ミライは何の事だろうと思っている中、映像をよく見ると、デマゴーグIIの尾が手を突き出す瞬間、自慢の長い尻尾が地面に叩き付けられて土俵の外にまで伸びきっていた!

 

『な、あ、あれは………!?』

『この通り、先に土俵外に出たのはデマゴーグⅡの方だ。よって、モチロンの勝利とした。』

 

ヤプールは堂々と言った。デマゴーグⅡは中のライトに連動してか、両手を両の頬に当ててショックを受けていた。

 

『そ、そんなバカな……!!』

「ギュウュ~~~………」

「こ、これは………」

 

意外にも公平な審判をしたヤプールにリュウやミライが困惑していると、芳佳はチラリとモチロンの方を見た。モチロンは勝利を告げられたものの、複雑な表情をしていた。

 

「う、うーん………」

「複雑そうだなモチロン………」

「試合に勝って勝負に負けてるからなー………」

 

美緒と直枝が顔を引きつらせていると、バックパックのレフトが声を上げた。

 

『ええい、こんな相撲などどうでもいいわ!!さっさとやるぞライト!!』

『お、おう………!』

 

ライトは未だにショックを隠せていないものの、デマゴーグⅡにバックパックが再度ドッキングし、デマゴーグIIは大きく咆哮を上げた。

 

「グヮァアアアウッ!!」

『おっと、これ以上長居は無用だな。』

 

ヤプールはそそくさと次元の穴に退散すると、デマゴーグⅡは再び街を破壊せんと動き出した。

 

「グヮァアアアウッ!!」

「アイツ、逆切れかよ!!」

 

直枝がうんざりしたように叫ぶ。突然暴れ出したデマゴーグⅡにモチロンもはっとなって構えるが、デマゴーグIIは頭頂部のビーム砲をチャージし始めた。

 

「モチロン、危ない!」

 

咄嗟にニパが叫んだその時、デマゴーグⅡの頭上で光ったかと思うと、人型になってデマゴーグⅡの顔に飛び蹴りが叩き込まれた!

 

『うぉおお!?』

「ギュウュ~~~!?」

『な、何だ!?』

 

デマゴーグⅡ内でチェーン星人が慌てふためく中、吹き飛ばされたデマゴーグIIは仰向けで倒れ込んだ。一体何が起きたのかと誰もが驚いていると、ウルトラマンダイナがその場に着地をした!

 

『ゼヤッ!』

「ダイナ!!」

 

ダイナはデマゴーグⅡに向けて構えを取った。デマゴーグⅡは起き上がると、ダイナを睨みつけた。

 

『ダイナ………!!』

『来いよ!俺と戦いたかったんだろ?』

『くっ……!』

 

挑発するような口調で来るダイナに対し、チェーン星人は歯ぎしりをするも、すぐにデマゴーグIIを動かした。

 

『上等だ!あの時の恨み、晴らしてやる!!』

「グヮァアアアウッ!!」

 

デマゴーグIIはひと声鳴くと、背中と頭のビーム砲を放つ!ダイナはバリアを張って防御をするが、デマゴーグⅡは直ぐに接近して巨大化させた手のひらで殴り掛かってきた!

 

『グワアッ!?』

『ふはははは!「攻撃は最大の防御」とはよく言ったものだな!!』

 

先ほどのモチロンとの戦いで見出した戦法を活かすライト。ダイナは倒れ込むが直ぐに立ち上がると、額のクリスタルを青く光らせて『ミラクルタイプ』にチェンジすると、ウルトラマジックを使って3人に分身、デマゴーグⅡの周囲を囲んだ。

 

「グヮァアアアウッ!?」

『そう来たか………!』

『だが、甘いわ!!』

 

ライトとデマゴーグⅡは慌てた声を上げるが、再度バックパックが分離して背後のダイナに向けて砲撃してきた。

 

『グゥッ!!』

 

背後のダイナは直撃こそ免れたものの、バックパックは攻撃の手を緩めない。更に、前側のダイナに砲撃と『ネオデマゴーグスペシャル』が襲い掛かる。ダイナはデマゴーグⅡの攻撃により何も攻撃が出来なくなってしまった。

 

『グ、グウウ………!!』

「グヮァアアアウッ!」

『このまま攻撃を続ければ、君は何もできないままエネルギー切れになる!!』

「それが狙いか………!!」

 

バックパックのレフトの言葉にリュウが呟いた時、デマゴーグⅡに向けて火炎が襲い掛かってきた!

 

「グヮァアアアウッ!?」

『な、何だ!?』

「うおりゃぁあああああ!!」

 

炎は、モチロンの口から放たれる「モチロンボイラー」であった。デマゴーグⅡはその攻撃にひるんで攻撃を止めてしまう。

 

『ライト!?』

 

レフトもそれに気が付いたが、バックパックの上部に火花が散って破損してしまった!

 

『な、何!?』

「よし!」

 

それは、ウィッチたちの攻撃によるものであった。美緒はガッツポーズを取ると、バックパックは慌てて攻撃をしようとした。しかし、その上空から直枝がバックパックに向けて急降下してきた!

 

「くらえやぁあッ!!」

ドゴォンッ!!

『ナニィイーーー!?』

 

直枝は右拳に魔法力を圧縮させてバックパックを殴りつけ、バックパックの右側が起こして地面にゆらゆらと落ちていった!

 

「どうだオラァ!!」

 

直枝が勝ち誇るように叫ぶ。ダイナは起き上がったデマゴーグⅡに向き直ると腕から『ハンドスラッシュ』を放って頭頂のビーム砲を破壊、デマゴーグⅡはデマゴーグⅡは頭を押さえて苦しみ出した。

 

「ギュウュ~~~………!!」

『こ、こんなバカなことが………!!』

 

レフトは信じられない声を漏らすと同時に、デマゴーグIIはフラつきながら立ち上がる。ダイナのカラータイマーが点滅を始めるが、ダイナは腕を交差させてフラッシュタイプに戻ると、素早く腕を十字に組んで『ソルジェント光線』の発射体制に入った。デマゴーグⅡはデマハンドプロテクションで防ごうとしたが、背中にウィッチたちの攻撃にひるんでしまい、その隙にダイナは必殺技を放った。

 

『ショワァアアッ!!』

バシュンッ

 

デマゴーグIIは避ける間もなく、ソルジェント光線を受けてしまった!

 

『うおおおおおお!?』

『ライト、脱出しろ!!』

 

レフトが叫ぶとライトは装置を起動させて脱出、その直後、デマゴーグⅡは倒れて爆発四散した!

 

「やった!」

 

芳佳が歓喜の声を上げると、ダイナは小さく頷く。しかしその時、地面に墜落したバックパックの中央部分から円盤が分離して空高く飛んで行った。

 

『おのれダイナ!覚えていろよ!!』

「あ、逃げた!」

「テンプレみたいな捨て台詞だな………」

 

逃げたチェーン星人に対して呆れる一同。ダイナはモチロンと顔を合わせると、モチロンの近くで何かがキラキラと光ったかと思うと、そこに巨大化した夕子が現れた。

 

「ええ!?」

「でっかくなっちゃった………!?」

 

巨大化した夕子に驚いているが、モチロンは夕子がいる事にようやく気付いて驚いていた。

 

「あ、姐さん………!!」

「モチロン、もう気は済んだでしょう?月に帰りますよ。」

 

夕子はモチロンに優しく話しかけた。モチロンは少しの間黙っていたが、やがて小さく頷いた。

 

「そうだな………相撲にも負けちまったし………」

「ええ。では、参りましょう。」

 

夕子が言うと、モチロンは渋々と言った感じで頷いた。夕子は皆に頭を下げて謝ると、モチロンはミライに顔を向けた。

 

「あの、サーニャさんに「強くなってまた来る」って、伝えてくんねえかな?」

「え?あ、うん………」

 

ミライは少し困ったものの頷いた。夕子はモチロンの手を引くと、ダイナと一緒に空高く飛んで行った。

 

「行っちゃった………」

「悪気はなかったとはいえ、はた迷惑なヤツだったな………」

 

芳佳と美緒が呆れながらも、遠くに消えていく夕子とモチロンを見送っていた。

 

「夕子さーーーん!!」

 

すると、ニパが空高くに消えていく夕子に向かって大声を上げた。

 

「ピアノ忘れてるよーーー!?」

『え?』

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

『首尾はどうだ、ドリダラ?』

 

次元城に帰還したヤプールは、待機していた配下の怪人に聞いた。聞かれた怪人―――三本角と大きな赤い目に大きな口、肩に赤い発行体を持った『マグマ超人 マザロン人ドリダラ』は、跪いて答えた。

 

『はっ、連中が相撲に気を取られている間に『ギロン人ヴィルダ』と『アンチラ星人パクチャー』が地球に潜伏しました。現在、『宇宙仮面イシュラ』が経過報告を聞いています。』

『そうか。あいつらを倒すには、まずは情報収集が必須だ。期待しているぞ、『ヤプール四鬼衆』よ。』

『御意!』

 

ドリダラは頭を下げ、それと、と話を続けた。

 

『少し気になる情報を得まして、まず、エンペラの残党が地球に潜入したと………』

『そうか………』

『それと………』

 

 

 

 

 

『宇宙各地で、『()()()()()()』らしき宇宙人が確認されている、と………』

『!?なにぃ………ッ!?』

 

 

 

 

 

つづく




第三十六話です。
サブタイトルから放たれるタロウ感が半端無くて好き(笑)

・あっさりフラれるモチロン。知性あるとはいえ、いきなり怪獣に告白されても困惑と恐怖があるだけなんで仕方ないと思います。芳佳たちの時は話通じなかったけど、モチロンは割とマシな方。

・ピアノを弾きながら南夕子さん登場。原典の再現なんだけど、改めて見るとわりとカオスな演出。

・ネウロイGX-13はウルトラマンコスモス劇場版よりトロイトータル。今回、ダイナ以外のウルトラマンやGUYS、ウィッチたちを引き離す必要があったため、アームユニットを持ったトロイトータルをチョイスしました。

・モチロンVSデマゴーグⅡ。尻尾が土俵外に出て負けるのは、怪獣同士の相撲ならではの敗因だと思います。デマハンドプロテクションの攻撃転用はお気に入り。

・ラストのニパのピアノ発言。「ウルトラ父子もちつき大作戦」を見て、冷静に考えたらあの後ピアノどうしたんだろうって思い入れてみました。

・ヤプール四鬼衆はいずれも『A』でヤプールの配下だった宇宙人、異次元人で構成。名前の元ネタは四天王(持国天ドゥリタラーシュトラ、増長天ヴィルーダカ、広目天ヴィルーパークシャ、多聞天ヴァイシュラヴァナ)から。無駄に由緒正しい由来。

では、また次回。
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