ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ 作:オレの「自動追尾弾」
『まさか、成行きとはいえウルトラマンに協力する羽目になろうとは………』
次元城の第3エリアで、アパテーを回収したヤプールがため息交じりに呟いた。隣にいたワロガが、話しかけてきた。
『アパテー、意外と強い。かなりの実力。』
『秘蔵のネウロイの1体だが、レイオニクス相手なら惜しくない。』
『作戦、問題ないか?』
『無論だ。レイオニクスという想定外の事態ではあったが、予定通り作戦は実行する!』
ヤプールが不敵な笑みを浮かべて言う。ワロガは承知したと小さく言って、その場を後にした。
☆★☆★☆★
M78星雲『光の国』、宇宙警備隊本部に、一人の青いウルトラマンが入って来た。
『傷はいえたのか、ヒカリ?』
『はい、まだ戦闘はしないように言われていますが………しばらくは、宇宙技術局でネウロイのコアの調査をします。』
ウルトラマンヒカリは、声をかけてきたウルトラマンタロウにそう答えた。タロウはそうか、と言って頷いた。タロウとヒカリが会議室に入ると、そこではゾフィーが、宇宙警備隊に届いたらしいウルトラサインを眺めていた。
『ゾフィー兄さん、メビウスからですか?』
『ああ、『レイオニクス』と呼ばれる怪獣使いが現れたそうだ………』
『レイオニクス?』
『私も噂程度でしか聞いたことがないが、どうやら怪獣を操ることができる者のようだ。この事は、大隊長にも伝達している。』
ゾフィーからの報告を聞いたタロウが、少し驚いた表情をした。その後ろから、不安そうな顔になっていたヒカリが前に出てきた。
『ゾフィー隊長、私に地球に向かわせてください。ネウロイの研究で分かったことを伝えたいですし………』
『それは許可できない。まだ傷の癒えきっていない君を、危険な目に遭わせるわけにはいかない。』
『しかし!』
ヒカリはなおもゾフィーに意見をしようとするが、振り返ったゾフィーはヒカリの肩に手を置いた。
『心配することはない。君の代わりに地球へ向かうのに、適任の者がいる。』
『適任………?』
ヒカリが聞き返すと、会議室にある人物が入ってきた。
『!君は………!』
第三十九話 地底からの挑戦
古代怪獣 キングザウルス三世
地底怪獣 マグラー
地底怪獣 パゴス
ウラン怪獣 ガボラ
異次元怪異 ネウロイ(GX‐15)
登場
関東一帯を襲った吹雪から数日後、雪も溶け切ったフェニックスネストではガンフェニックスとガンスピンドラーの修復が進められていた。
「『フェニックス・スティンガー』はまだ試験段階だったが、エネルギー系統の損傷が酷くてパーツを交換する必要なほどだった。敵を倒せても、コッチがいかれたら意味がねえ………」
「済まねえとっつぁん………」
整備員が作業をするガンフェニックスを見ながらアライソ班長が言うと、背後でリュウが頭を下げる。
先日の戦闘の後、ガンフェニックスとガンスピンドラーは帰還の途中で飛行に支障が出始めており、点検の結果エネルギー系統に異常が見られた。恐らくは『フェニックス・スティンガー』を使った反動で機体に負担がかかり、エネルギーの出力に耐えきれなくなったのだと思われた。
結果としてガンフェニックスとガンスピンドラーはオーバーホールに近い形で修理されることになり、急ピッチで作業が進められていた。
アライソはフンと鼻を鳴らしてリュウに振り返った。
「ま、今回の事でデータも取れたし、それを参考にして調整予定だ。しばらくはガンブースターやガッツイーグルで対処をしてくれや。」
「ああ、任せてくれ!」
リュウの言葉にアライソはニッコリ笑って作業に戻る。
☆★☆★☆★
同じ頃、サンダーバード基地のディレクションルームに続く廊下をミライと芳佳が歩いていた。
「じゃあ、坂本さんはサコミズ総監と一緒にニューヨークのGUYS総本部に?」
「うん、何だか本部で坂本さんに用事があるみたいでね。3日くらいは向こうにいるって言ってたよ。」
「そうですか………」
ミライから話を聞いた芳佳が残念そうに言うと、2人はディレクションルームに入った。ディレクションルームでは、先日の冷凍怪獣との戦いの映像が映し出されていた。映像の中では、ドラゴリーをスノーゴンとギガスが圧倒する様子が映されていた。
[2体1とはいえ、超獣であるドラゴリーが怪獣に負けるのは本来あり得ないはずですが……]
「やはり、あの『レイオニクス』という存在が気になりますね…」
フェニックスネストからミサキ女史が通信機越しに言うと、バルクホルンが腕を組んで言った。
「宮藤さんやミーナ隊長を助けたという宇宙人も、そのレイオニクスの可能性がありますね。」
「そうね………」
ニパの言葉を聞いたミーナは、司令官席に飾られた一輪挿しに刺された赤い薔薇を見た。あの時、ディオールから受け取ったものだ。
「今回のレイオニクスの件は、宇宙警備隊にも連絡しています。向こうでも調査をしてくれるでしょう。」
「そうですね……」
ミライがそう言うと、フェニックスネストのディレクションルームにリュウが戻ってきた。
[今はグア軍団やエンペラ軍団もいるっていうのに………]
[それに、先日ブラジルのコルコバードの丘でキリスト像を破壊した怪獣の行方も分かっていません。今回の件と関連があると思われますが……]
画面は切り替わり、コルコバードの丘で切り裂かれたキリスト像が映され、切り裂いている最中と思われる怪獣の写真が映し出された。
[怪獣は恐らく、ドキュメントMATに記録される『八つ切り怪獣 グロンケン』と思われます。かつては観音像を切り裂いていました。]
[現在、グロンケンは行方不明……あの怪獣たちと同じように煙のように消えている……レイオニクスとの関連は濃厚だな……]
「怪獣を操るレイオニクス……何者なんだ………?」
バルクホルンが腕を組んで疑問を口にする。その時、基地内にアラートがけたたましく響いた。
[長野県の山中に、ネウロイが出現しました!]
「ネウロイだと!?」
[映像出ます!]
映像が切り替わると、下部に砲門を備えたような直径30mの円盤型ネウロイ3体が三角形のような陣形で、山の間を縫うように飛行している様子が映っていた。それを見た直枝とニパが、声を上げた。
[[[キィィイイイイイイーーーーーーーーーーーーーーー!]]]
「コイツらは!?」
「どうかしたの…?」
直枝とニパの様子を見たミーナが聞く。直枝がそれに答えた。
「間違えねえ、オレたちがこの世界に来た時に現れたネウロイだ!」
「何ですって!?」
直枝の言葉に一同は驚愕する。画面の向こうではネウロイが空中で静止をすると、その場でグルグルと回転を始めた。
「何をしているんだ……?」
「そういえばあの時、キングザウルス三世が現れる寸前にも、ネウロイが同じことを………」
ニパが思い出したように呟くと、ネウロイの真下の山肌が蠢き、地中から先端が尖った円錐型の物体が現れたかと思うと、花弁のごとく開いて巨大怪獣の顔が露わとなった!
[ガアアーーーゥウッ!]
怪獣は大きくひと鳴きをすると、大きな口を開けて大声を上げながら地中から這い出てきた。
[ドキュメントSSSPに記録確認!レジストコード『ウラン怪獣 ガボラ』!!]
首の襟巻と背中に蛇腹状の背びれが目を引くガボラが全身の土を振るい落とすように体を揺らすと、エリーがデータを読み上げた。
「あのネウロイは、眠っている怪獣を呼び起こすために……!?」
[ガボラは全身から放射能を放つ……ネウロイがいても、生身のウィッチたちを向かわせる事はできない!]
[僕が行きます!]
リュウの言葉に反応してか、ムサシが格納庫へ走り出そうとした。しかしその時、アラートが再び鳴り響いた。
「何だ!?」
[栃木県と山梨県の山中にも同型の三機編成ネウロイが出現………同時に怪獣も現れました!!]
画面の向こうでマルが慌てた様子で入室と同時に報告をする。画面が再び切り替わり、左右で2分割されて2体の怪獣が映し出された。
[グルルィイーーーッ!]
[ガアアーーーゥウッ!]
画面右の栃木県山中に現れたのはガボラに似た蛇腹状の背びれに頭に4本鼻先に1本角を生やした『地底怪獣 パゴス』、画面左の山梨県山中に現れたのは全身が黒いトゲに覆われた『地底怪獣 マグラー』だ!3匹の怪獣の頭上には円盤型ネウロイが浮遊しており、怪獣たちはネウロイに誘導されるように動き始めた。
「あの怪獣たち、ネウロイに操られているのか………!」
「随分、見た目が似てる怪獣たちダナ………」
ミライが言うと、隣にいたエイラがボソっと呟いた。確かに少し似ている。
「今回はグア軍団の仕業のようだな………」
[俺とムサシさんでガボラに向かう。マグラーとパゴスは、ミーナ隊長たちウィッチとアスカさんたちに頼みたい。]
[もちろんだ!]
リュウの指示にアスカと我夢、ムサシが頷いて了解をした。そこにミライも加わる。
「リュウさん、僕も………」
[いや、ミライは待機してくれ。]
「え……?」
ミライは一瞬キョトンとするが、リュウが続けた。
[前のノーバの時みたいに、この基地を狙われないと言い切れない。ミライと芳佳たちは待機を頼む!]
「あ………G.I.G.!!」
[GUYS,SALLY GO!!]
[[[G.I.G.!!]]]
「「「了解!!」」」
ミライはかつてノーバの襲撃を思い出して、リュウに頷く。リュウは全員に号令をかけると、全員がそれに答えて出撃していった。
☆★☆★☆★
『GUYSとウィッチ、動いた』
『メビウスはフェニックスネストに残っているようだな………だが、それは好都合だ。』
次元城内でヤプールとワロガが様子を見て、ほくそ笑んだ。
『作戦を第2段階に移行する。ヤツを出すぞ。』
『承知。』
ヤプールが合図をすると、ワロガが手にしたデバイスを操作した。次元城内の第6エリアで待機状態の怪獣の檻の1つが起動をすると、1体の怪獣が転送を開始された。
「キュイイーーー!」
☆★☆★☆★
[各機、怪獣たちと戦闘を開始しました。]
ディレクションルームからエリーが報告をする。スクリーンには3匹の怪獣とそれぞれ交戦するガンブースターとテックスピナー、ガッツイーグルαスペリオル、ファイターEXⅡがウィッチたちと共にガボラ、パゴス、マグラーと戦闘を開始していた。怪獣たちに光線や弾丸が迫る中、頭上のネウロイたちが光線で応戦してくる。ネウロイの攻撃を掻い潜ったシャーリーたちウィッチがネウロイに接近して銃弾を浴びせるが、パゴスは口から「分子破壊光線」を、マグラーも口から高熱火炎弾を放ってきた。
[うわっ!?]
[手強いな……!]
ウィッチたちの悲鳴が通信から漏れる。ネウロイは怪獣を操り連携をさせるだけではなく、自身もビーム攻撃を行ってくるのだ。
「怪獣を剣と盾に、進撃をする気ね……」
各地で怪獣を率いて進行するネウロイの動きを見たミーナが呟いた。ガボラと戦うガンブースターとテックスピナーは下手にガボラへ攻撃が出来ないため周囲を旋回しているが、そこにネウロイの光線が襲いかかってきた。
[これじゃあ、埒が明かねえ………!!]
リュウが苦言を漏らす。しかしその時、三度、アラートが基地内に鳴り響いた。ミライが咄嗟にコンソールを操作して画面を切り替えると、フェニックスネストの目と鼻の先に同型の円盤型ネウロイ3機が現れていた!
[[[キィィイイイイイイーーーーーーーーーーーーーーー!]]]
「やはり、ここを狙ってきたか!!」
「ミーナ隊長、出撃を!」
「ええ!」
芳佳に促されて、ミーナは立ち上がって格納庫に向かおうとした。しかし、画面の向こうでアスファルトがひび割れ盛り上がり、地中より怪獣が現れた。
「キュイイーーー!」
現れたのは、長い首と頭に2本、鼻先に1本の角、背中に大きな背びれを持った四足歩行の青いウロコで全身を覆われた怪獣―――
「!?アイツは………!!」
「キングザウルス三世!!」
出現した『古代怪獣 キングザウルス三世』の姿を見た直枝とひかりが驚愕の声を上げた。キングザウルス三世は頭上のネウロイに導かれるように、フェニックスネストに向かって歩き始めた。
「アイツもネウロイに操られているのか!!」
「急ぎましょう!」
ミーナが急かすように言いながら、格納庫へと駆けていった。
ウィッチたちが出撃をした直後、フェニックスネストのディレクションルームにトリヤマが入ってきた。
「基地の真ん前に、怪獣とネウロイだと?」
「はい。今、芳佳ちゃんたちが出動をしました。」
トリヤマにエリーが答える。トリヤマはモニターに映るネウロイとキングザウルス三世を見た。
「………ん?」
ふと、トリヤマは怪獣を操るネウロイをじっと見つめた。
「どうかしましたか、補佐官?」
「このネウロイ………どこかで見た事、あるような……?」
トリヤマは頑張って思い出そうと、首を傾げていた。
☆★☆★☆★
「キュイイーーー!!」
「「「キィィイイイイイイーーーーーーーーーーーーーーー!」」」
出撃をしたミーナ、芳佳、ひかり、直枝、ニパ、クルピンスキーの目の前で、ネウロイに操られたキングザウルス三世が鳴き声を上げて進撃を続けている。キングザウルス三世がミーナたちを睨むと、口から赤い熱線を放ってくる!
ウィッチたちは四方に散開して回避をすると、そのまま上空に飛び上がりネウロイに攻撃を仕掛けた。だがネウロイは円盤状のボディの側面からビームの刃を展開させると高速回転をして全部弾いてしまった。
「ビームの刃……!?」
「あんな能力のネウロイ、初めて見た………」
ひかりたちが初めて見るネウロイの能力に驚くが、その間にもネウロイとキングザウルス三世が光線と熱線を放ち、ウィッチたちはシールドを張って防ぐ。一方、ミライたちは地上から銃撃を行うべく射撃可能な地点にまで来た。
「僕らは、ここからキングザウルス三世を攻撃するんだ!」
「「G.I.G.!!」」
ミライたちはトライガーショットをロングバレルモードに変形させると、キングザウルス三世に狙いを定めて光線を放った。だが、キングザウルス三世の周囲を光るカーテンのようなバリアが展開され、光線を弾いてしまった。
「あの時のバリアか!!」
[キングザウルス三世のバリアは、カーテン状のため頭上が無防備となっています。そこから頭の角を破壊出来れば、解除ができます。]
「そうは言っても………」
エリーからの通信を受けたミーナが、キングザウルス三世の頭上を見る。無敵のバリア唯一の資格である頭上は、3機の円盤型ネウロイが浮遊しているために攻撃ができないのだ。
「操ると同時に弱点をカバーするとは………」
「厄介ですね……」
ミーナとひかりが苦々しく言う。ネウロイとキングザウルス三世の猛攻に、ウィッチたちも苦戦をしていた。ミライはキングザウルス三世とネウロイを睨むと、カナタの方に向いた。
「カナタ君、僕が怪獣を引き付ける!」
「すみません……!」
ミライはキングザウルス三世に向けて走り出すと、左腕にメビウスブレスを出現させ、走りながら左腕を突き上げた。
「メビウゥゥウウウウウウウウス!!」
ミライは金色のメビウスの環を描きながら光に包まれ、ウルトラマンメビウスの姿でキングザウルス三世の目の前に現れた!
『セヤァッ!!』
「キュイイーーー!!」
「メビウス!」
メビウスの出現にキングザウルス三世は驚いて鳴き声を上げる。芳佳たちはメビウスの姿を見て声を上げた。
「「「キィィイイイイイイーーーーーーーーーーーーーーー!」」」
その瞬間、ネウロイはキングザウルス三世から瞬時に離れると、高速でメビウスに接近をしてきた!
『!?』
「何…!?」
メビウスはネウロイの接近に驚くが、ネウロイはビームの刃を出現させて回転しながら突進を仕掛けてくる!メビウスはメビウスディフェンスサークルで防御をするが、
『ゥウッ!?』
「メビウス!?」
ネウロイがメビウスへの猛攻に、ミーナたちは驚愕する。一方、ネウロイが離れたキングザウルス三世は、何が起こっているのかわからない様子で周囲をキョロキョロと見ていた。
「キュイイーー………?」
「キングザウルスは動きを止めているようだね………」
キングザウルス三世の動きを見たクルピンスキーが呟いた。その時、メモリーディスプレイにフェニックスネストから通信が入った。
[こちらエリー、各地で怪獣と戦っているウルトラマンに、ネウロイが攻撃をしてきました!]
「何……!?」
エリーからの通信を聞いたミーナと芳佳が思わず大声を漏らす。他の場所で戦っている怪獣たちの元でもダイナ、ガイア、コスモスが現れたのだが、ネウロイが怪獣を放り出しウィッチたちに目もくれずウルトラマンに攻撃をしてきているというのだ。
「一体どうして……?」
「まさか、あのネウロイたちは最初からウルトラマンを倒すために………!?」
「そんな……」
芳佳の言葉に、ひかりが愕然とした表情となる。その時、ネウロイの猛攻を受け続けていたメビウスの背中にネウロイの光線が着弾し、爆発を起こした!
『グワアアッ!』
「メビウス!!」「ミライさん!!」
メビウスが片膝をつき、ミーナたちが叫ぶ。だがネウロイ達は再度光線の発射体制に入った。
「させるかッ!!」
カナタが叫ぶと同時に、コウジとマイと共にネウロイに照準を定めトリガーを引く。ネウロイに光線が直撃すると小さく爆発を起こし、3機はボディの1ヶ所を破壊されてフラフラとメビウスから遠ざかった。
「やった!」
「いいえ、まだ油断は出来ないわ!」
ひかりが歓声を上げたが、ミーナは険しい表情でネウロイを睨んでいた。メビウスが立ち上がると、ネウロイはボディを再生させる。すると、ネウロイは上下を入れ替えるようにくるりと反転をさせた。
「あれは………!?」
その時、芳佳たちはネウロイの下部についていた砲門が、怪獣の顔のような形になっている事に気が付いた。
☆★☆★☆★
モニターでその姿を見たトリヤマが、「あ!?」と声を上げた。
「コイツは、ワイルド星人の宇宙船ではないか!」
「ワイルド星人の……?」
トリヤマの発言にエリーが聞き返した。
「ああ、ウルトラ警備隊の新兵時代に、同僚がワイルド星人に襲われたことがあったんだ。いやあ、逆さまになってたから思い出せんかったわい!」
トリヤマが呑気に笑いながら語る。しかしエリーの脳裏に、ある仮説が浮かんだ。
あのネウロイの正体が、本当にワイルド星人の宇宙船としたら、あれの正体は………?
「ミーナ隊長!気をつけてください!あのネウロイは―――」
☆★☆★☆★
「!?あれは!!」
エリーがミーナに通信を入れたちょうどその時、目の前で3機の円盤ネウロイは引き延ばされたばねのように上下に伸びたかと思うとあっという間に細長い紐のようになったかと思うと前後脚が出現して、生物のように体をうねらせた。
「クァーキャアーキャァアーーー!!」
「クァーキャアーキャァアーーー!!」
「クァーキャアーキャァアーーー!!」
ネウロイたちは細長いメカニカルなボディを持った龍のような姿になり、甲高い鳴き声を上げて、メビウスとウィッチたちを睨んできた!
「円盤が、龍に……!?」
[ミーナ隊長、あれは『宇宙竜 ナース』、ドキュメントUGに記録が残るロボット怪獣です!]
「怪獣ネウロイだったのか………!!」
円盤形態から変形したナースに驚くウィッチたち。3体のナースは混乱して動けなくなっている様子のキングザウルス三世の前を素通りし、体をくねらせながら、メビウスの元に接近をしてきた!
「クァーキャアーキャァアーーー!!」
「クァーキャアーキャァアーーー!!」
「クァーキャアーキャァアーーー!!」
ナースは両目から光線を放つが、メビウスはジャンプをして回避、先頭にいるナースの頭部に飛び蹴りを喰らわせるとのたうち回るように体をくねらせる。残った2体の内1体がメビウスの背後を取り尻尾を振り下ろしてきた。メビウスは振り返って左腕で受け止めるが、その隙にもう1体が目から光線を放ってきた!
ドォオンッ
『グァアアッ!!』
「くっ………メビウスを援護よ!!」
「はい!!」
ミーナの号令にウィッチたちはナースに向かって行く。だが、そこにナースの1体が現れると、頭と尾を繋いで輪を作るようにウィッチたちを囲み閉じ込めてしまった!
「何!?」
直枝が思わず声を上げるのもつかの間、ナースは輪の内側に向けて光線を乱射する技「ウロボロス・ケージ」で攻撃をしてきた!
「きゃああ!」
「うわぁ!」
「ぐぅ……!」
ウィッチたちは背中合わせになって障壁をはり、全方向からの攻撃に必死に耐えていた。一方、メビウスは先ほど受けた攻撃によりカラータイマーが点滅を始めた。
「クァーキャアーキャァアーーー!!」
ナースはフラフラになったメビウスに接近をすると、その体をメビウスに巻き付けて拘束をした!
『グゥ………!!』
メビウスは拘束を解こうとするが、ナースが締め付ける力を強めて逃げられないようにする。カナタたちはメビウスを助けようとするが、他のナースが攻撃をしてくるため思うように近づけない。
「クァーキャアーキャァアーーー!!」
ドォオンッ
「うわあ!?」
「これじゃあ、メビウスにも芳佳ちゃんたちにも手が出せない!!」
爆風に耐えながらカナタが漏らす。その時、エリーからの通信がウィッチたちの耳のインカムに聞こえてきた。
[大変です!各地でウルトラマンと戦うネウロイもナースに変形して、ウルトラマンを拘束してしまいました!]
「何ですって!?」
[ウィッチの皆さんも同じように動けなくなっています………このままじゃあ……!!]
「そんな……!」
各地の現状を聞いてミーナが絶望的な表情になる。ナースの光線を防ぎながら、ヒカリが隣の芳佳に話しかけた。
「宮藤さん、私たちが囲むので、メビウスの所に向かってください!」
「え!?でも……」
「いや、今はそれが最善策だね……」
戸惑った声を出す芳佳だったが、クルピンスキーが頬に汗を垂らしながらも笑顔で言った。ミーナも今はそれしかないと思ったのか、芳佳の背中を押した。
「頼んだわよ宮藤さん!メビウスの事をお願い!」
「………はい!!」
芳佳は力強く返事を返すと、ミーナたちの背中合わせの中央に入り込み一同に守られてナースの光線を防ぐ。そして上空に一気に飛び、ナースの『ウロボロス・ケージ』から脱出することに成功した!
「ミライさん!!」
『!芳佳ちゃん!!」
芳佳が叫ぶと、メビウスはこちらに飛んでくる芳佳に視線を向けた。芳佳はメビウスに巻き付くナースの頭部を睨むと、銃口を向けた。
「クァーキャアーキャァアーーー!!」
「……?」
ふと、芳佳はナースの目が規則的にチカッ、チカッ、と点滅をしている事に気付き、疑問を抱いた。さながらモールス信号のようなその点滅に何かおかしいと芳佳が思ったその時、ミーナが叫んだ。
「!?何かがこっちに飛んでくる!!」
「何!?」
ミーナの叫びを聞いた芳佳は、上空を見た。そこには、こちらにとんでもない速度で落下してくる黒い物体―――ネウロイの姿があった!
「別のネウロイ……!?」
「マズいわ!このままじゃあメビウスに激突する!!」
「くっ……!!」
芳佳は咄嵯に飛び出すと、目の前に巨大な障壁を展開させた落下してくるネウロイを受け止める気だ!
「な!?」
「宮藤さ―――」
ひかりが声を上げるよりも先に、芳佳の障壁にネウロイ―――巨大な砲弾のような形状のそれが激突し、衝突音を響かせた!
ゴッ
「ぐぅ!!きゃあああッ!!?」
衝突の瞬間、芳佳は弾かれて吹き飛ばされてしまった!瞬間、遅れて風を切る音が聞こえたかと思うと、メビウスに真っ直ぐ落ちて来ていたネウロイは軌道を変え―――
「キュイイーーー………」
ドォオオオンッ
戸惑って動きを止めていたキングザウルス三世の背中に直撃し、大きな爆発を起こした!!
『ゥウッ………!?』
「きゃあああ!?」
「「「うわああ!?」」」
「「クァーキャアー!?」」
爆発の衝撃波でメビウスやウィッチにGUYS、ナースたちまでもが吹き飛ぶ。フェニックスネストにもその衝撃が伝わり建物全体が大きく揺れ、モニターが乱れて映らなくなった。
「うわあ!?」
「ミーナ隊長!カナタ君!ミライさん!応答してください!!」
エリーはコンソールを操作しながら、通信機に慌てて呼びかける。だが、通信機はノイズを発するだけで誰も答えない。
「そんな……皆さん!!」
エリーが悲痛な叫びをあげる。
「クァーキャアーキャァアーーー!!」
「クァーキャアーキャァアーーー!!」
「クァーキャアーキャァアーーー!!」
炎の上がる戦闘現場で、頭部だけになった3機のナースが鳴き声を上げて空の彼方に飛んで行った………
☆★☆★☆★
「ガァアーーーァアウ!!」
どこかの山中、巨大な生物がトンネルの中に姿を消した。木の陰に隠れていたディオールはそれが完全にいなくなったのを確認すると、手にした薔薇を目の前に構えた。
「あの怪獣………(この間の
ディオールはそう言うと、その場から煙のように消えた………
つづく
第三十九話です。
・ヒカリ退院。地球に来るウルトラマンが誰かはお楽しみに。
・今回は地底怪獣祭り。元ネタ知っていれば気付いた方もいると思いますが、ある意味伏線です。
・ブレイブウィッチーズ4人にとって因縁の相手であるキングザウルス三世と円盤型ネウロイ。で、ネウロイの正体は上下逆転したナースでした。
『ウロボロス・ケージ』は鬼畜技だけどお気に入り。
・不意打ちで飛んできた砲弾のようなネウロイ。正体は次回あたり。
では、よいお年を。