ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ   作:オレの「自動追尾弾」

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第五話 ウルトラマンの身代金

ウルトラマンガイアとアグルの守護する世界『ガイアアース』に迷い込んだミーナ・ディートリンデ・ヴィルケは、地球防衛組織『XIG』に保護される。

XIGと共に出現したネウロイと怪獣を撃退すべく出撃したミーナであったが、突如として別次元から来たというリフレクト星人が、アグルを人質に取って現れた!

 

『アグルの命が惜しいのでしたら、XIGに所属する高山我夢氏に、異次元移動装置『アドベンチャー』とその研究の全てを持ってこさせなさい!』

 

『場所はこの場所、東京タワーです。今からきっかり24時間後に持ってくるよう、お願いいたします。ふっふっふっ………』

 

果たしてアグルの運命は?

 

「ウルトラマンアグルを助けるには、君たち2人の力が必要だ。引き受けてくれるな、カイト君、いや―――ウルトラマンマックスよ。」

 

そして、同じくこの世界に迷い込んだエーリカ・ハルトマンとトウマ・カイトの目の前に現れた、この老人の正体は?

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「ようこそ、フジミヤ・ヒロヤ博士。私はナックル星人だ。」

 

エネルギーが切れて元の姿に戻った藤宮は、ガラガラ星人に縛られ、ナックル星人のいる部屋まで連れて来られていた。ナックル星人は、サイケデリックなマーブル模様が渦巻く異空間が見える大きな窓を背に、艦長席と思わしき机に脚を放り出してふんぞり返っていた。

 

「………貴様が、こいつらの親玉か。何故我夢を狙う?」

 

ナックル星人に藤宮は聞いた。ナックル星人はフンと鼻を鳴らすと、足を組み直した。

 

「いいだろう、教えてやろう。リフレクト星人が名乗った際に言ったが、我らは別次元の宇宙から来た。そして、別次元の怪獣や技術を持ち出して、我々のいた宇宙を征服する計画を立てていたのだ。」

「何だと!?」

「だが、調べている内にこの世界に別次元へと渡る技術がある事、そして、この世界にも『ウルトラマン』がいる事を知った。それらは、我らの大きな障害となる!」

「それで『アドベンチャー』を………!」

 

ナックル星人はそうだと返すと、立ち上がって藤宮に背を向け、後ろで手を組みながら窓の方を向いた。

 

「そうだ。その為にクローン再生させた怪獣や、別次元から持ってきたネウロイを用いて貴様らの戦闘データを取り、それを元にブラックキングを強化したのだ。結果は貴様が一番知っているだろう?」

 

ナックル星人の同族は、かつて帰ってきたウルトラマンことウルトラマンジャックを倒すために怪獣をクローン再生させてデータを収集した事があった(本来死んでいない筈の津波怪獣 シーゴラスも、MATによって折られた角から細胞を採取して再生させている)それほどまでに、ナックル星人は優れたクローン技術を持っているのだ。恐らくはコッヴの細胞片やアルゴナの卵の殻からDNAを採取し、クローン再生怪獣を生み出したのだろう。

藤宮がそこまで考えた時、ある事に気付いた。

 

「今、「この世界にもウルトラマンがいる」と言ったな。お前たちの世界にも、」

「ああ、ウルトラマンはいる。宇宙警備隊と言う大組織に所属し、宇宙の平和を守るとほざく、偽善者どもだ。」

 

ナックル星人はそう吐き捨てると、組んだ腕の力を強める。彼らからすれば、宇宙警備隊の存在は相当忌々しいのだろう。

 

「だが、連中には異次元を渡る技術がない。即ち、我々の邪魔をしに、こちらの世界に来る事は出来ない。後は貴様ら2人と『アドベンチャー』を潰せば、我らの脅威はなくなる訳だ!」

「勝手な事を………!」

 

ナックル星人の主張に怒りを覚える藤宮。だがその時、藤宮はある事を思い出し、ナックル星人に問いだした。

 

「………もう一つ教えろ。」

「何だ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前たちは、『ヤプ・ウル』の使者なのか………?」

「「……………!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第五話 ウルトラマンの身代金

 

用心棒怪獣 ブラックキング

暗殺宇宙人 ナックル星人

光波宇宙人 リフレクト星人

異次元怪異 ネウロイ(コード№05)

遊牧星人 ガラガラ星人

虚言宇宙人 フルータ星人

 

 

 

ウルトラマンマックス 登場

 

 

 

 

 

ネウロイの撤退から3時間後、我夢やミーナたちは、エリアルベースⅡに帰還していた。

 

「我々が東京タワーに釘づけになっている時に、アグルを待ち伏せして攫ったのか…」

 

司令室のモニターに映るアグルとブラックキングの戦いを見ながら、石室とミーナがリフレクト星人の企みを解析していた。傍らに立つ我夢たちは、不安そうにアグルの戦いを見る。

 

「この怪獣、手下らしき者の呼び名からブラックキングと呼びますが、ブラックキングは恐らく、アグルの攻撃に対抗出来るよう調教されている可能性があります。」

「では、この1ヵ月の怪獣やネウロイは、このための戦闘データ収集のために?」

「恐らくは。そして、確実にガイアの戦闘データも………」

 

ブラックキングの動きから推測される事を話す我夢。恐らく敵は、ガイアの戦闘データも収集済みであろう。今まで以上に厄介だ。

 

「一番の問題は、敵の目的はアドベンチャーとその研究の全て、と言う事だな。」

「リフレクト星人は、自分が『別次元の宇宙から来た』、と言っていた。だとしたら、アドベンチャーの存在は邪魔だと言う事だ。」

「それにこの怪獣、ブラックキングは、ヴェネツィアに出現した怪獣の内の一体です。」

「まさか!?」

 

ミーナの言葉に、千葉参謀は声を上げる。

 

「はい、今回、私たちの部隊が巻き込まれた事に、この宇宙人が関わっている可能性は大いにあります。」

「なんたる事だ………!」

 

千葉参謀が息をのむ中、ミーナは映像に映るリフレクト星人を睨んでいた。

するとその時、オペレータ席の敦子の元に通信回線が開いた。

 

「コマンダー、KCBの田端ディレクターからテレビ通信です。」

「田端さんから?」

「何でも、リフレクト星人に関して情報があるとか……」

 

意外な名前が出てきて聞き返す我夢。石室はモニターに出すように指示をすると、メインモニターに中年男性の顔が映った。

 

[お久しぶりです、石室コマンダー。先日、インタビューを受けてもらって以来………]

「挨拶はいい。それで、この回線を使って迄伝えたい情報というのは?」

 

田端の話をさえぎり、用件を聞く石室。すると、田端の横から金髪の少女の顔が割り込んできた。

 

[アレ?これって通信繋がってるの?]

[ちょ、ちょっと君!]

「!?フ、フラウ!?」

[あ、ミーナだ。オーイ!]

 

割り込んできた少女、フラウことエーリカ・ハルトマンはミーナの姿を確認すると、呑気に手を振ってきた。

 

「君の部下か?」

「ええ………フラウ、いえ、ハルトマン中尉、何でそんなところに?」

[こ、この子たちが、アグルをさらった宇宙人に関して知っているって言うから………]

「この子、たち?」

 

エーリカに押しやられる田端の話に千葉が疑問を持つと、2人の後ろから20代くらいの男性が割って入ってきた。

 

[失礼します。]

[あ、カイト。]

「………あなたは?」

[トウマ・カイトと言います。]

「トウマ、………カイト?」

「君は何者だ?」

[………僕は、あの宇宙人と同じ次元宇宙から来た、宇宙人です。]

「「「!?」」」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

10年前、地球を滅ぼさんと現れた「根源的破滅招来体」。

2ヶ月ほど前、その襲来を予知した太古の遺跡や戦国時代の陰陽師『魔頭鬼十郎』が、ある名前を己の文献に残していた事が判明した。

偶然か必然か、その名前はまったく同じ読み方をしていたのだ。

日本では『夜腑迂瑠』、そしてメキシコのとある遺跡の壁画ではインカの言葉で「天上よりきたる者」を意味する『ヤプ・ウル』と呼ばれるその存在の詳細は、未だに不明である。

 

 

 

 

 

「―――ヤプールめ、まさかこの世界にも干渉していたとは………」

 

ガラガラ星人に藤宮を牢屋に連れて行かせ、ナックル星人とリフレクト星人は向かい合って話していた。

藤宮にはヤプ・ウルについては知らないと言ったが、異次元を渡るなど造作もないあの悪魔がこの次元世界に干渉しているとは思ってもみなかった。

 

「もしやと思いますが、こちらの地球に来たという『根源的破滅招来体』の正体と言うのは………?」

「………問題はない。仮にそうだとして、我々には関係のない事だ。」

「それもそうでしょうが………」

 

鼻を鳴らすナックル星人に対し、リフレクト星人は少し不安そうにする。すると、通信機から受信音が鳴り響き、通信用のモニターに黒い人影が映った。

 

[首尾はどうだ、ナックル?]

「おお、これは“ボルター提督”。」

「順調だ。お前の心配など、不要なほどにな。」

 

ボルターと言うらしい通信相手に対し、ナックル星人は鼻を鳴らして答える。

 

[ならばいい。とにかく、我々の計画最大の障害たる異次元移動装置を破壊するのだ。]

「言われずともわかっている。貴様は一々口出しするな!」

[おー、怖い怖い。では、また連絡する。]

 

そうおどけた態度を取り、通信を切るボルター。ナックル星人は不機嫌そうにデスクへ拳を叩きつける。

 

「ええい、あの若造め!元エンペラ軍団の幹部だかなんだか知らんが偉そうに!」

「まあまあ………」

 

苛立つナックル星人を宥めるリフレクト星人。彼らからすれば、ボルターが心配する必要なく、明日の作戦は成功間違いなしであった。

 

 

 

 

 

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「STのモーター、交換完了!」「クロウの分も修復急げよ!」「スティンガーの装甲板、痛んでいる所を重点的に修復!」「あーもー、ハーキュリーズはいつもムチャな使い方を………」

 

その日の夜。

整備員の声が飛び交う格納庫の片隅、そこでミーナと我夢は、ストライカーユニットの修復を急いでいた。

 

「これで、何とか飛べるはずです。代用できそうな部品での突貫工事なので。あまり無茶は出来ないでしょうけど………」

「いえ、十分です。」

「「リパルサーリフト」があればもっといいんだろうけど、さすがにこのサイズ用の物を用意するには時間が足りないからなぁ………」

「ああ、このエリアルベースを浮かせるのに使っているもの、でしたっけ?」

 

苦笑する我夢にミーナは聞き返す。

リパルサーリフトは我夢が開発した反陽子浮揚システムであり、エリアルベースを赤道上に浮かせているのに使用されている他、XIGの各戦闘機の揚力としても用いられている。そのためファイターのジェットエンジンは推進力としてのみ使われているのだ。

 

「明日は私も出撃します。ネウロイ05は任せてください。」

「そんな事は出来ませんよ。君一人であの怪獣と戦うなんて………」

「大丈夫ですよ。ネウロイに関しては、皆さんより一日の長がありますから。それに、敵のコアに位置は把握しています。」

 

それでも、と食い下がろうとする我夢に、ミーナはですから、と遮った。

 

 

 

 

 

「あなたは怪獣に専念して下さい、“ウルトラマンさん”。」

「ッ………!?」

 

ミーナの言葉に、我夢は面を食らった顔となる。少し驚いていた我夢だったが、気を落ち着かせてミーナに聞いた。

 

「………いつ、気付いたんですか………?」

「さっきのコッヴって怪獣と戦っている時ですね。」

 

そう言うとミーナは、灰色オオカミの耳と尻尾を生やした。

 

「ハーキュリーズの皆さんにも説明しましたけれど、私の固有魔法『空間認識』は、遠くの声や気配を立体的に認識できるんです。戦闘中に偶然、EXⅡが『無人になっている』ことに気が付いて、その後に、ガイアが消えたと同時に『我夢さんが戻った』ので、もしかしたらと思いました。」

「………なるほど、参ったなぁ………」

 

我夢は頭を掻きながら困った顔をする。

 

「いや、別に秘密にする気は無かったんだけど、話すタイミングが無かったというか、何というか………」

「いえ、別に怒っている訳ではないので。」

 

ただ、とミーナは耳と尻尾をしまって苦笑した。

 

「ただ、頼れる人が近くにいるのは、心強いかなあ、て………」

「ああ、そう言う事………」

 

ミーナの言葉に、我夢も苦笑する。すると2人の元に、ライトニングの3人が近寄ってくる。先ほど墜落した大河原は頭に包帯を巻いていた。

 

「中佐殿に一本取られたな、我夢。」

「梶尾さん………」

「大丈夫なんですか、大河原さん?」

「なあに、墜落するのは慣れっこなモンで。」

「慣れちゃダメだろ………」

 

笑い飛ばす大河原の頭を北田がひっぱたく。梶尾はミーナに向き直った。

 

「明日は、クロウも戦線に参加予定だ。必ず成功させるぞ。」

「ええ。」

 

 

 

 

 

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同じころ、KCBのビルにある小会議室では。

 

「ほら、丁度前にコントの小道具で使ったのが、色々あったぞ。」

「ああ、ありがとうございます。」

 

田端から箱に入った小道具を受け取ったカイトは、田端に礼を言った。

 

「本当に、これで大丈夫なのか?」

「何とかなりますよ。宇宙人の見分け方って、結構単純なんです。」

「そういうモンなんだーね。」

 

箱から出したサンダルのサイズを確認しながら、田端の質問に答えるカイト。エーリカはというと、机に突っ伏しながら出された茶菓子を口に運んでいた。

 

カイトとエーリカがなぜここにいるのかと言うと、あの老人と別れた後、近くにいた田端たちにG.U.A.R.D.への通信をお願いし、そのまま石室の提案で2人に協力する事となったのだ。

 

エーリカが次の茶菓子に手を伸ばそうとすると、ふと、沈んだ表情の玲子に気が付いた。

 

「………あの青いウルトラマンが心配?」

「え、ええ、まあ、ね………」

 

力なく笑みを浮かべる玲子。それに気付いたのか、銀色に鈍く光る肌着を持ったカイトが近づいてきた。

 

「あのアグルというウルトラマン、とても大事な人なんですね?」

「………はい。」

「大丈夫です。必ず彼を助け出しますよ。」

 

優しく話すカイトに、玲子は小さく頷いた。

 

 

 

 

 

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そして翌日、約束の時間まで30分を切った頃、人間大になったリフレクト星人は、ガラガラ星人に繋がれた藤宮を連れて東京タワー前まで来ていた。

 

「ふっふっふっ、いよいよこの世界での目的が達成される時ですよ。」

 

ガラガラ星人が無気味にガラガラと言う音を出す中、リフレクト星人は不敵に笑う。その手には、『アグレイター』がもてあそばれていた。

 

「………お前たちは、その目的を達成させてどうする気だ?」

「そうですねえ、手始めに自分たちの世界の地球を制圧して、そこからは全宇宙に進出、ですかねえ~。」

 

小馬鹿にしたように笑うリフレクト星人。藤宮が唇をかみしめていると、先日の戦闘の折に撤去され切らなかったと思われる瓦礫の山の方で声が上がった。

 

「ちょ、離してよ!!」

「ん?」

「む?誰ですか?出てきなさい!」

 

リフレクト星人がそう叫ぶと、瓦礫の山の影から銀色に光るぴったりした服を着て、奇抜なデザインのサンダルを履いた男性が、黒い服を着て黒縁の眼鏡をかけた長い金髪の少女の襟を掴んで出てきた。

 

「この女が、こそこそしていましたよ。」

「誰ですかあなたは?どうやら、私たちと同様に地球人ではないようですが。」

 

捕まえた男性は、無表情でリフレクト星人の問いに答えた。

 

「私は、フルータ星人。」

「フルータ星人?そんな宇宙人、聞いたこともないですね。」

「私はこの次元世界の宇宙人。別次元から来たという君たちが知らないのも、無理はない。」

 

フルータ星人と名乗る男の説明に、なるほどと頷くリフレクト星人。

 

「私は、根源的破滅招来体が手を出さないこの機に、地球侵略をしようと潜伏をしていたのだが、丁度君たちが侵略行為をしていたので、手を組もうと来たのだ。」

「ちょっと、離してよ!」

「この地球人の女は、相当強い兵士のようだ。土産代わりに、渡そう。」

「ふーむ………」

 

少女を差し出すフルータ星人を訝しげに見るリフレクト星人。後ろのガラガラ星人たちもざわつきだす中、リフレクト星人は通信機を取りだした。

 

「どう思いますかナックル?」

[うむ、少し怪しいな。地球人ではないようだが…少し待て。]

 

ナックル星人が通信を切ると、瞬きをする間もなく隣に瞬間移動してきた。

 

(やはり、黒幕はナックル星人か………!)

 

いきなり現れたナックル星人に驚くフルータ星人だが、悟られまいと無表情を維持する。ナックル星人はそれに気づいていないのか、フルータ星人をジロジロ観察し始めた。

 

「ふーむ、地球人と同じヒューマノイド型星人か………確かに、この次元の宇宙人ならば、我々が知らないのも無理はないが………」

「信じてくれたかい?」

 

苦笑しながらナックル星人に聞くフルータ星人。ナックルは鼻を鳴らすと、彼の腕から少女を奪い取った。

 

「まあ良いだろう。この地球人は一応貰っといてやる。」

「ちょっと!」

「信じてくれて、うれしいですよ。」

 

少女が叫ぶのも聞かず、ナックル星人は彼女をガラガラ星人に引渡し、拘束させた。

 

「………」「………」

「………?」

 

この時、ナックル星人とリフレクト星人は気づかなかったが、2人がアイコンタクトを取ったことを、藤宮だけが気づいていた。

 

 

 

 

 

そして、約束の時間となった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

約束の引き渡しの時間、発進されたピースキャリーから大型のメカが投下される。それは空中で変形すると、4輪の車体を下部に、左右に大きなホイール状のパーツを持ったメカ―――時空移動実験機『アドベンチャー』は下部からジェット噴射を放って着地した。

 

「これが、………『アドベンチャー』か………!」

「大きい………!」

 

『アドベンチャー』の姿に声も出ない一同。すると、コックピットから大きなジュラルミンケースを2つ持った我夢が降りてきた。

 

「約束の『アドベンチャー』と、その研究資料だ。」

「御苦労。さあ、こちらに渡して貰おうか。」

 

ケースを受け取ろうとするナックル星人。だが我夢は、ケースを後ろに隠した。

 

「その前に、人質を解放してもらおう。そこの女の子もだ。」

「………よかろう。」

 

ナックル星人は承諾すると、ガラガラ星人たちに命じて藤宮と少女を連れて来させる。2人は強く引っ張るガラガラ星人に睨みつけるが、それに構わずガラガラ星人は2人を引っ張って行く。

 

(―――ふん、馬鹿な奴らだ。)

 

ナックル星人は内心ほくそ笑む。

彼がちらりと見た方向には、機関銃を構えたガラガラ星人が密かに我夢たちを狙っていた。

卑劣な事に、ナックル星人たちは我夢や藤宮たちを生きて返すつもりは微塵もなかった。仮に『アドベンチャー』そのものや設計図を破壊したとしても、その理論を確立した高山 我夢の「頭脳」がある限り、永遠に失われた訳ではない。我夢と同じ『天才』である藤宮 博也に関しても、いつ同じような理論を作り出す可能性が無いと言い切れない。

さっき加わった小娘はオマケだ。ついでに死んでもらう。

 

(恨むなら、こんな所に来た自分のおマヌケさを恨むのだな………ククククク………!)

「………」

 

ナックル星人は勝利を確信していた。フルータ星人が傍観する中、ガラガラ星人たちと我夢の距離が縮まる。ガラガラ星人たちが接触した瞬間に、機関銃でハチの巣にする手筈だ。

引っ張っているガラガラ星人をも巻き込んで、である。

 

「我夢………」

「大丈夫だ藤宮、絶対に助ける。」

 

苦しげに友の名を呼ぶ藤宮に、我夢は優しく語りかける。エーリカは抵抗しているものの、ガラガラ星人の力は相当強いものらしく、びくともしない。

 

 

 

 

 

そして、我夢とガラガラ星人とが接触した瞬間―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダダダダダダァアアアーーーーーン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けたたましい銃声が静寂した街中に鳴り響き―――――――――『リフレクト星人とナックル星人、そして周囲のガラガラ星人が』被弾した!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐう………!!!!!??????」

「なん………だと………!!?」

 

周囲のガラガラ星人たちが倒れる中、幸いにも堅い装甲に包まれたリフレクト星人とその背後にいたナックル星人は軽傷、フルータ星人は無傷であった。訳も分からず、ガラガラ星人がいるはずの方を見ると、

 

「残念だったな、宇宙人ども!」

「ガラ~………」

「地球人!?」

 

ぐったりしたガラガラ星人の首根っこを持った大河原と銃を構えた梶尾と北田、そして硝煙を燻らせる機関銃を構えたミーナの姿があった!

 

「いつの間に………?ええい、こうなれば人質を―――」

「シュトゥムッ!!」

ゴォォオオオオオオオオオオオオッ

『ガラーーーーーーーーーー!?』

「何ぃいい!?」

 

ナックル星人が命令を下そうとした時、いつの間にかダックスフントの耳と尻尾をはやした少女を中心に強風が発生し、ガラガラ星人たちを吹き飛ばしてしまった!

 

「こ、これはいったいどういう事だ!?」

「ずる賢い事で有名なナックル星人さまも、見抜けない事があるのだな。」

「何!?」

 

ナックル星人が振り返ると、そこにはいつの間にか奪ったらしいアグレイターを右手に持つフルータ星人の姿があった。フルータ星人は高くジャンプすると、藤宮と少女の拘束を解いた我夢のそばに着地し、藤宮にアグレイターを手渡した。

 

「どういうつもりだ、フルータ星人!」

「私はフルータ星人ではない。お前たちと同じ宇宙のM78星雲『光の国』のウルトラ星人だ!」

「何だとお!?」

 

してやったり、という風に笑うフルータ星人―――いや、トウマ・カイトの言葉に、驚きの余り素っ頓狂な声を上げるナックル星人。ミーナとライトニングの3人も合流した所で少女、エーリカ・ハルトマンは「じゃーん♪」と言いながら眼鏡とカツラを外した。

 

「ああ、お前は「あの世界」の!?」

「いやー、宇宙人って案外簡単にだませるモンなんだねー♪」

 

眼鏡を右手で弄びながら言うエーリカ。すると、ケースを放った我夢が前に出る。地面に落ちた衝撃で開いた2つのケースから数枚の白紙が舞い上がった。

 

「君たちが別次元の宇宙から来た事を利用して、宇宙人であるカイト君を接近させたんだ。」

「まさか光の国の住人が、この世界に居ようとは思わなかっただろう?」

「で、ではフルータ星人というのは………!?」

「10年くらい前、お前たちも利用したアルゴナの事件で『古田鉄工所』の職員が使った偽名を、拝借させてもらったのさ。」

 

ナックル星人の疑問に梶尾が答える。そこでようやく2人は、「フルータ=古田」という事に気付いた。安直すぎて、逆に気付かなかったのだろう。

 

 

 

なお、この名前を使用するにあたって昨晩、堤チーフが直々に古田鉄工所へ菓子折り持参で使用の許可を取りに行っていたりする。

 

閑話休題。

 

 

 

「だ、だが、何故隠れていたガラガラ星人の居場所が………!?」

「そんな直球な名前だったのか、あいつら………」

「………私たちウィッチを舐めていたようね。私の空間認識魔法で、伏兵のいる位置は簡単に割り出せたわ。」

「何!?」

「ずる賢いナックル星人の事だから、手下ごと彼らを殺そうとするだろうと予測して、捜索をお願いしていたんだ。」

 

ハイイロオオカミの耳と尻尾を生やしたミーナとカイトがそう言い放つ。リフレクト星人が愕然とする中、ナックル星人は怒りで拳を振るわせる。

 

「おのれぇ………下等な地球人の分際で………許さんぞ!」

「許さないのは俺たちも同じだ。ここまでやられて黙っていられるほど、俺もおとなしくないぞ………!」

 

ナックル星人たちを睨みながら言い放つ藤宮。ナックル星人は怒りの拳を振り上げて、叫んだ。

 

「ネウロイ!ブラックキング!!」

 

ナックル星人が叫ぶと、空中が歪んでネウロイコード№05とブラックキングが出現、更に、

 

「行くぞ!」

「ええ!」

 

ナックル星人の掛け声にリフレクト星人が返事をすると、2人はみるみる内に巨大化し、ブラックキングと並びたった!

 

「グォォオオオオオオオオオオ!」「キィイイイイイイイイイイ!!」

『勝負だウルトラマンども!ここでねじふせてくれるわ!!』

 

「なんとも、悪役らしいセリフだな。」

「藤宮、行けるかい?」

「ああ、この程度の傷、なんともない。」

 

藤宮は受け取ったアグレイターを右腕に装着すると、我夢と並んで巨大化した星人2人を見上げた。

 

「PAL、ピースキャリーにアドベンチャーを。」

[了解シマシタ。]

 

我夢はアドベンチャーに換装させたPALに通達すると、アドベンチャーはリパルサーリフトで上昇し、ピースキャリーに向かう。ナックル星人はネウロイに追撃を命じようとしたが、突如、自分たちに砲弾が直撃してたじろぐ。見れば、地上には鋭角なフロントと後部に供えられた7門の砲身を持った6輪の巨大戦闘バギー『バイソン』2台が、スティンガーと共に接近していた!

 

「ミーナ中佐、ハルトマン中尉のストライカーの修繕は完了し、バイソンに搭載されてる!中佐のも一緒だ!」

「分かりました。」

「俺たちもファイターに!」

「「了解!!」」

 

ハーキュリーズからの通信を受けたミーナは、カイトの護衛の元、エーリカと共にバイソンへ向かう。途中、スティンガーが瓦礫を飛び越えた衝撃で倒れた自転車を飛び越えつつ、2人はバイソンに搭乗した。

 

「行くぞ我夢!」

「ああ!」

 

我夢は呼応すると、右手にしたエスプレンダーを左肩に充て、藤宮は右腕のアグレイターの翼が開き中央のクリスタルが音と共に点滅を始める。

 

 

 

そして、我夢はエスプレンダーを前に突き出し、

 

 

 

藤宮は右腕を挙げて、

 

 

 

 

 

叫んだ。

 

 

 

 

 

「ガイアァァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「アグルゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!」

 

 

 

 

 

叫ぶと同時に、2人を赤と青の光が包み込み、

 

右腕を高く上げてウルトラマンガイアV2が、

両の握りこぶしで突き破るように腕を伸ばしてウルトラマンアグルV2が、

 

土ぼこりを高く上げて、地面に降り立った!

 

『ジュアッ!』『ジュワッ!』

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「こちらです。武器、弾薬の補充も済んでいます!」

「ありがとうございます!」

 

ガイアとアグルが2大宇宙人とにらみ合うその頃、バイソンの停車地点まで到着したミーナとエーリカはハーキュリーズの桑原からストライカーと銃器を受け取る。今にも激突しそうな両者を見上げていると、着替えたらしいカイトが歩み始めた。

 

「じゃあ、僕も行くよ。」

「カイト?」

「危険です!下がって………」

「大丈夫だ。流石の2人も2対3じゃあ分が悪いし、君たちは、ネウロイに集中してほしいからね。」

 

でも、と食い下がるミーナ。するとカイトは、懐から「金色のスティック」を右手で取り出し、2人に見せるように掲げた。

 

「それに、僕も『ウルトラマン』だからね。」

「え―――」

 

3人が問いただす暇もなく、カイトはそのスティック―――『マックススパーク』を高く掲げると、それを左腕の甲に装着、すると、カイトの体は金色の光に包まれ、胸を中央に青く光る『パワータイマー』を備えた白金色の胸当てが出現、そしてそこを中心に全身が赤く変化し、頭部を銀色が包み込むと、見る見るうちにその身体は巨大化していった!

 

 

 

 

 

『『!?』』

「グゥウウ………!?」

『何!?』

『これは………!?』

 

巨大化した赤い巨人は、金色の光と共に地面に降り立つ。その姿を見たナックル星人が、巨人を指差した。

 

『貴様は、一体何者だ!?』

『私は――――――『ウルトラマンマックス』!!』

 

ウルトラマンマックスは力強く名乗り、ガイア、アグルと並び立った。

 

『カイト君、いや、マックス………』

『ガイア、ネウロイは彼女たちが迎え撃つ。私はリフレクト星人の相手をしよう。』

『なんですってぇ~?』

 

マックスの申し出にリフレクト星人が首をかしげる中、それならばとアグルはナックル星人を睨んだ。

 

『ナックル星人は俺がやる。ガイア、あの怪獣を頼んでもいいか?』

『………ああ、任せてくれ!』

「グォォオオオオオオ!」

『小賢しい………貴様らなど、我らの敵ではない事を教えてやる!』

 

ナックル星人がそう言った時、ネウロイ05と2人のウィッチ、そしてライトニングのXIGファイターによる戦闘が始まった。

 

『ふん、地球人など、ネウロイで十分だ。』

『行くぞガイア、マックス!!』

『『オウ!!』』

 

ネウロイのビームとファイターSTのレーザーが交差した爆発を合図に、3大ウルトラマンと宇宙人・怪獣は駆けだした!

 

 

 

 

 

戦いの火ぶたは、今、切って落とされたのだ!

 

 

 

 

 

つづく




第五話・『ガイア篇』中編です。サブタイトルは言わずもがなw

ナックル星人がクローン技術に優れているというのは、原典で死んでいないはずのシーゴラスを『再生』させた事からの解釈。アルゴナの卵って、あの後どうしたのか描写がなかったので利用された事にしました。

ヤプールの件書いている時、勢い余って最後に民名書房刊と書きかけてしまいましたwボルターなる黒幕っぽい人物はいずれ。
ところで、「80」の宇宙人は集団で行動する星人が多いイメージ。ガラガラ星人といいバム星人といい、ゴルゴン星人にファンタス星人も。

フルータ星人が変わったデザインのサンダルを履いているのは『ウルトラQ』のルパーツ星人が元ネタ。銀色のぴったりした服はレトロな宇宙人の服装のイメージに由来。なお、ウルトラ星人という呼称は、『80』で星涼子に対して矢的猛が使ったものから。

種明かしからの決戦という流れ。次回決戦です。



では次回、第六話「地球の守護神」でお会いしましょう。
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