ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ   作:オレの「自動追尾弾」

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第四十二話 灼熱の刺客

列車砲ネウロイが砕け散った様子を、ジュダと七星将は、次元城会議室のモニター越しに見ていた。

 

『ネウロイ、アパテー、どっちもヤラレタ………』

『問題はない。全て計画通りだ。』

「計画…?」

 

ネウロイが敗れたと言うのに余裕綽々のヤプールにコウメイやヅウォーカァは怪訝な顔になった。

 

『うーむ……(かつてベムスターをコピーしたネウロイは、エネルギー吸収のキャパシティーオーバーが敗因であった。ヤプールがその対策をしていないなんて考えられない………何を企んでいる………?)』

 

ジュダがヤプールの思惑を探ろうとしていると、モニターの向こうで動きがあった。地底から現れたドームから風船のような球体が現れたかと思うと、破裂をして1体の怪獣が出現したのだ。

 

『!?あれは………!!』

『ゼットンだと!?まさか………』

 

現れた怪獣、『宇宙恐竜 ゼットン』を見て、ジュダは思わず腰を上げていた。

 

 

 

 

 

第四十二話 灼熱の刺客

宇宙恐竜 ゼットン(ゼットンレッド)

要塞ロボット ビームミサイルキング

変身怪人 ゼットン星人カウント

バド星人ボルター

グア軍団七星将

剛力怪獣 シルバゴン(スカーシルバゴン)

登場

 

 

 

 

 

「ゼットーン………ピポポポポポポ」

「何、あの怪獣……?」

「不気味なやつだな………」

 

現れたゼットンの姿に、ウィッチやウルトラマンたちがその異様な出で立ちに戦慄する中、リュウやメビウス、マックスは、ゼットンを警戒していた。

 

「みんな気をつけろ……あれはゼットンだ!」

「ゼットン?」

「かつて科学特捜隊の基地を壊滅させ、初代ウルトラマンが手も足も出ないまま命を散らす原因となった最強クラスの怪獣だ!並大抵の相手じゃないぞ!!」

「ウルトラマンの命を………!?」

 

ゼットンの情報を聞いたウィッチたちが絶句を絶句する。そこに、フェニックスネストのエリーから通信が入った。

 

[隊長、こちらでもゼットンを確認しました。アーカイブ・ドキュメントと比較をすると、頭部と胸部の発光体の色が異なっている事から、強化個体であると推測できます!]

「ただでさえ強いゼットンを、更に強化したってのかよ………!?」

 

リュウがアーカイブから呼び出したドキュメントSSSPのゼットンとドキュメントMATの二代目ゼットン、アウト・オブ・ドキュメントのパワードゼットンのデータを呼び出して、目の前にいるゼットンと見比べて悪態をつく。確かにアーカイブのゼットンの発光体はオレンジっぽい黄色であったが、目の前の発光体は炎のような真っ赤な色をしていた。

ゼットンが不気味に佇んでいた時、芳佳はゼットンの名前に聞き覚えがある事に気が付き、そして思い出したのか、それを口に出した。

 

「ゼットン……ゼットン星人………!!」

「ゼットン星人?」

「!?まさかエンペラ軍団の!?」

[気付いたようだな!!]

「「「!?」」」

 

芳佳の呟きを聞いたひかりが聞き返したその時、通信機から声が聞こえたかと思うと、空の彼方から赤いロボットが降りてきた!

 

「ロボット!?」

「ビームミサイルキング!!ボルターか!!」

『やはり、このゼットンはエンペラ軍団の……!!』

『いかにも!!』

 

ゼットンの隣に並び立ったビームミサイルキングからバド星人ボルターが答えた。それに次いで、ゼットン星人カウントの声が響いた。

 

『このゼットンレッドは、ヤプールが持ち込んだ『プラズマソウル』というエネルギー結晶を与えて生まれた強化個体です。私が最高傑作と自負する、最強のゼットンです!!』

「ヤプールが!?」

「アイツ、なんて余計なマネを……!!」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

『え………?』

 

次元城で戦いの様子を見ていたジュダと七星将は、ボルターの発言を聞いてヤプールに視線を移した。当のヤプールは何か思い出したのか「あ。」と小さく口を開いていた。

 

『……そーいえば、連中にネウロイのコアと一緒に別次元で手に入れたヤツを渡したような記憶が……』

『何しとるんじゃお前はーーーッ!!』ゴガッ

『ぐぶぇ!?』

 

ヤプールが呟いた瞬間、怒りの叫びと共にヅウォーカァが後頭部目掛けてドロップキックを炸裂させた!キックをモロに喰らい吹っ飛んだヤプールは大広間の壁をブチ抜いて、2つ隣の部屋でようやく停止してひっくり返るように倒れ込んだ!

 

『ヅウォーカァ、城を壊すもんじゃあない………』

『も、申し訳ございません!!』

 

ジュダがため息交じりにヅウォーカァに注意をすると、ヅウォーカァは慌てて頭を下げた。起き上がったヤプールは、部下であるマザロン人ドリダラに肩を借りながら立ち上がり、大広間に戻って来た。

 

『も、申し訳ありませんジュダ様………連中を信用させるためとはいえ、あいつらに塩を送る事になろうとは………』

『いや、過ぎた事を悔やんでも仕方がない……それより、ここから見ものだな。』

『ウルトラマンたち、マックス以外エネルギー切れ間近。ウィッチたち、疲労溜まってる。エンペラ軍団、そこ狙って来た。』

「セコいといえばセコいけど、いい作戦よね~。」

 

ワロガとコウメイが分析していると、画面の向こうではゼットンとビームミサイルキングが動き出し、戦闘が始まった。

 

『さて諸君、ヤプールがエンペラ軍団に送った特大の岩塩でどれだけウルトラマンを苦しめるか、ウルトラマン達がどうやってこのピンチを切り抜けるか……このあたりでティータイムと行こうではないか。』

 

ジュダの余裕を持った、おまけに先ほどの自分の発言を皮肉った発言に、ヤプールは内心歯噛みしていた。

 

『くっ……(まあいい。連中のデータがより多く取れるならば、良しとしよう……)』

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

[さてウルトラマンの諸君、お疲れのところ大変申し訳ないのだが、我々の相手をしてもらおう!]

「ゼットーン………ピポポポポポポポ」

 

ボルターの宣言と同時に、ゼットンがウルトラマン達に向けて歩き始めた。ゼットンの接近に芳佳たちは銃器を構えるが、それよりも先にメビウスとマックスが前に出ると『メビュームスラッシュ』と『マクシウムソード』を先制として放つが、ゼットンは両腕を顔の横に持っていくと周囲にバリアを展開、直撃したメビュームスラッシュはパリン、と音を立てて消え、マクシウムソードは弾き返されてしまった!

 

『バリアか!!』

「あのバリア……キングザウルスと同じで頭上ががら空きだぞ!!」

 

バリアを張ったゼットンを見たシャーリーが咄嗟に叫ぶ。それを聞いたダイナが飛び上がって飛び蹴りを放とうとするが、ゼットンは頭上に迫るダイナを見上げると、頭部の発光体から『メテオ火球』を放ち、ダイナに直撃させた!

 

ドォンッ

『グァアッ……!!』

「ダイナ!!うわっ!?」

 

ダイナが火球を受けた事に驚くバルクホルンだったが、次の瞬間にはメテオ火球の余波の高温の熱波が周囲を襲い、思わず顔を腕で覆って防御した。

 

「な、なんだ今のは!?」

「ウィッチの魔法力が無ければ、無事では済まなかったぞ……!!」

「今のが、1兆度の火球か!!」

 

熱波の威力にシャーリーとエイラが冷や汗を流す。

ゼットンのメテオ火球は1兆度という驚異の超高温であり、初代ウルトラマンを苦しめた一因でもある。その余波でさえ周囲に甚大な被害を及ぼし、まともに喰らえばひとたまりもない事は明白だった。

ダイナが地面に倒れ込むと、咄嗟にガイアがS(スプリーム)V(ヴァージョン)に変身すると同時に、ゼットンに殴り掛かる!

 

「ゼットーン………ピポポポポポポポ」

 

しかし、ゼットンはバリアを解除するとガイアの拳を片手で受け止めてしまい、そのまま最小限の動きでガイアを投げ飛ばして地面に叩き付けた!

 

『グゥア!?』

「スプリームヴァージョンが力負けした……!?」

 

ガイアがアッサリ投げ飛ばされた光景を見たエーリカが思わず声を上げた。ゼットンは倒れたガイアに追撃をしようとするが、左右からメビウスとコスモスは挟み撃ちにするようにゼットンに迫る。しかし、ゼットンの背中の装甲が左右に開いて翅のように変形し、浮かぶように飛び上がると、2人は正面から激突をしてしまう。

 

「ゼットーン………ピポポポポポポポ」

 

上空に飛んだゼットンはその場に静止すると、無数のメテオ火球を地上に向けて放った!立ち上がったメビウスのメビュームシュートとコスモスのネイバスター光線、そしてマックスのマクシウムカノンを放って空中で相殺する事は出来たが、次の瞬間、浮遊していたゼットンの姿が消えたかと思うとメビウスの背後に現れて、両手を組んで後頭部に向けて振り下ろした!

 

『ゥアアッ!!』

「メビウス!!」

「テレポートまで………!!」

 

メテオ火球の余波をシールドで防いでいた芳佳たちの目の前で、背後のゼットンに気付いたコスモスとマックスに向けてゼットンが両手の先を2人に向けると、手の先端から高温の火花を放った!かつて、二代目ゼットンが使った『ゼットンナパーム』である!

 

『グゥウ……!!』

『ゥアァアア!?』

 

ゼットンナパームを受けたコスモスとマックスが地に伏せる。流石にこのままではいけないと、芳佳を含めた数人がゼットンに向かって行こうとするが、ストライカーユニットのエンジンから異音が聞こえ、煙が噴き出してきた。

 

「え!?」

「マズい!熱波の影響でオーバーヒートしたのか!!」

「火球を放つだけで、ここまでカヨ………!!

「これじゃあロクに戦えねーぞ!?」

 

ほとんどのストライカーユニットが煙を噴いて段々と高度も下がってきている事に、焦りの声が上がる。その時、ダイナとガイアがゼットンに狙いを定めると、クァンタムストリームとソルジェント光線の発射体制に入った。

 

『待て!ゼットンに光線は………!!』

 

メビウスは2人を止めようとするが間に合わず、ソルジェント光線とクァンタムストリームがゼットンに向かって放たれてしまった!

 

「ゼットーン………ピポポポポポポポ」

 

しかし、ゼットンは胸の前で両手の先を合わせる構えを取ると、2つの光線は吸収されてしまう!

 

『『!?』』

「光線を吸収した!?」

 

驚く間もなく、ゼットンが両手を伸ばしてダイナとガイアに向けると、波状の光線が放たれた!

 

「スパイラル・ウォール!!」

 

その時、ゼットンとウルトラマンの間にマニューバモードになったガンブースターが割って入ると、バリアで光線を防ぐ!ゼットンは驚いた様子も見せずに光線を連射するが、その全てをバリアで弾く。ゼットンはそれを見ると、ガンブースターに一瞬で接近をして殴りかかってきた!

 

「チィッ!!」

 

リュウが舌打ちと同時に回避運動を行うが、それでもゼットンの攻撃を回避する事が出来ずに、機体が大きく揺れる!

 

「ぐぅっ……!!」

「リュウさん!!」

「大丈夫だ!!」

 

何とか機体を立て直すもマニューバモードが強制解除されてしまい、ふらふらと飛行が安定しない。ゼットンの力に、冷や汗がリュウの頬を垂れた。

 

[フハハハハハ!!見ましたか!これがゼットンレッドの力だ!!]

『カウント………!!』

 

その時、ビームミサイルキング内のカウントが高らかに叫ぶ。普段の冷静で紳士的な彼からは想像もできないほど興奮しているようで、隣のボルターも若干引いていた。

 

[プラズマソウルの力だけではありません!格闘と超能力は初代ゼットン!パワーと瞬発力は二代目ゼットン!そして火力と飛行能力はパワードゼットン!ゼットンレッドは、ウルトラマンを苦しめた歴代ゼットンの能力を受け継いだ、最強のゼットンなのです!]

「ゼットーン………ピポポポポポポポ」

「ゼットンの良いとこ取りかよ………!!」

 

よほど自信作なのか、ハイテンションでゼットンレッドを自慢げに演説するカウント。ボルターは呆れながらため息をついていた。

 

『覚えておきなさい!ゼットンとはこういう恐竜なのですよ!!』

『ったく、念のためにビームミサイルキングで同行したが、この様子なら心配はなさそうだな。流石はカウントの自信作だ。』

『さあ、ゼットンレッドよ!奴らを蹴散らせ!!』

「ゼットーン……ピポポポポポポポ」

 

倒れたウルトラマン達のカラータイマーが赤く点滅する中、ゼットンは静かに鳴き声を上げると、ウルトラマン達に向けて歩き出した。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「みんな!!」

 

砲弾ネウロイを撃破したミーナとクルピンスキーは、ペリーヌとニパと合流していた。ニパを気遣ってゼットンとの戦いの場に遅れて向かおうとしていたが、メテオ火球の余波で動くことが出来ず、現状を知って思わず悲鳴に似た声を上げた。

 

「これは、マズいね………!」

「ウルトラマン達はエネルギー切れ間近、ストライカーとガンブースターは熱波の影響でロクに動かせない、仮に乗り切っても、ビームミサイルキングがいる……ここまで用意周到に準備していたなんて……」

 

カウントとボルターの計画的襲撃に、ミーナは歯噛みをする。ここで手を拱いていてもしかたないのだが、打つ手が思いつかず頭をひねっていると、メモリーディスプレイが通信の受信を知らせてきた。

 

「こちらミーナ。」

[やあミーナさん、ご無事で何よりです。]

「!?ディ、ディオールさん!?」

 

通信をしてきたのはディオールであった。どうやって彼が通信をしてきたのか分からないでいると、ディオールは続けた。

 

[いやぁ、偶然にもそこのお嬢さんの通信機を拾いましてね。ちょうどゼットンが現れたので力を貸そうと持ち掛けようとこの通信機を借りたのですが、なにぶんM240(エム・ニ・ヨン・マル)惑星、地球の機械は扱いに慣れていなくて、遅くなってしまいました。]

「へ?」

 

ディオールの言葉を聞いたニパが慌てて懐を探り、そこである事に気が付いた。

 

「あ……さっき墜落した時に、メモリーディスプレイ落としちゃってたんだ………」

「拾ってくれたことには感謝しますが、勝手に使うのは感心しませんわね………」

[まあまあ、この件が終わったらお返しいたしますので。]

 

ペリーヌの苦言を、ディオールは軽く流した。

 

[まあとにかく、ゼットンとビームミサイルキングは、私に任せてください。ああ、このお礼がしたいのであれば、後日にでも……]

「は、はぁ!?」

 

ディオールの発言にミーナが顔を赤くして困惑をするが、当の本人は通信を切ってしまった。ペリーヌとニパが苦笑しクルピンスキーが「隅に置けないね~♪」と茶々を入れていると、

 

「グギュゥゥウウウウウウウウウウウウ!!」

 

遠くの方からゼットンのものとは別の怪獣の鳴き声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「グギュゥゥウウウウウウウウウウウウ!!」

「む?」「何だ?」

「ゼットーン………」

 

ウルトラマン達に迫っていたゼットンであったが、突如として聞こえてきた怪獣の鳴き声に歩みを止めた。鳴き声の方に振り返ってみると、そこにいたのは羊のような曲がった角と銀色のウロコに包まれた体を持ち、背中に何本ものトゲが生えた怪獣―――『剛力怪獣 シルバゴン』であった!

 

『シルバゴン!?』

「あの怪獣、どこから現れたんだ……?」

 

突然現れたシルバゴンに唖然とする一同。その時、ルッキーニはシルバゴンの左肩に星形に見える大きな傷がある事に気が付いた。

 

「あ!星みたいな傷のシルバゴン!!」

「何!?」

「それって、惑星グルータスでルッキーニちゃんたちが見たっていう……?」

「グギュゥゥウウウウウウウウウウウウ!!」

 

目の前の怪獣が、かつて惑星グルータスで見たものと同一である事に驚く一同。その時、ビームミサイルキングが動いた。

 

『何だ、コイツは?我々の邪魔をするつもりか?』

『どこから来たかは知りませんが、ゼットンレッドの邪魔はさせませんよ。』

『ゼットンの力を借りるまでもない!このビームミサイルキングで十分だ!!』

 

ボルターがそう言いきると、ビームミサイルキングは両腕や肩、両脚のビーム砲をシルバゴンに向けて放つ!

 

ズドドドドドドォオンッ

「グギュゥゥウウウウウウウウウウウウ!!」

「ああ!?」

 

ビームの連発を受けてシルバゴンが爆炎に包まれる!思わず芳佳が悲鳴に似た声を上げた。

 

『フン、いきなり現れて少し焦ったがビームミサイルキングにかかればこんなもの………』

「グギュゥゥウウウウウウウウウウウウ!!」

『何!?』

 

勝ち誇ったボルターが嘲笑っていたが、煙の中からほとんどダメージを負っていないシルバゴンが雄叫びを上げながら現れて突進してきた!

 

『バカな!?直撃のはずだぞ!?』

「グギュゥゥウウウウウウウウウウウウ!!」

『ぅおおお!?』

 

あまりの頑丈さにボルターが驚愕する中、シルバゴンはビームミサイルキングのボディに頭突きを喰らわせると、そのまま突き上げるように持ち上げて地面に叩きつけた!

 

『うぉおおおおっ!?』

『何とぉお!?』

「す、すごいパワー………!」

「あの光線を受けて、ほぼ無傷なのかよ……!!」

 

ひかりと直枝が、シルバゴンのパワーとタフさに驚く。

かつて、ウルトラマンティガと戦ったシルバゴンの別個体は、ティガの必殺技であるゼペリオン光線を真っ向から受けても立ち上がるほど頑丈であったが、この個体は明らかにそれ以上の防御力と剛力を持っていることが分かる。

 

「グギュゥゥウウウウウウウウウウウウ!!」

『な、なんてヤツだ………!』

『ゼットン!ウルトラマンはこの際後でいい!この怪獣を先に片付けなさい!!』

「ゼットーン………ピポポポポポポポ」

「グギュゥゥウウウウウウウウウウウウ!!」

 

カウントの命を受けたゼットンが、シルバゴンに狙いを定める。シルバゴンもゼットンに気付くと雄叫びを上げてドラミングを行い、突っ込んで行った!

 

「ゼットーン………ピポポポポポポポ」

 

ゼットンは先ほどのガイアの時のように突っ込んできたシルバゴンを片手で受け止めるが、シルバゴンの足は止まらず、少しずつ後退を始めていた。

 

「グギュゥゥウウウウウウウウウウウウ!!」

「ゼットーン………ピポポポポポポポ」

 

ゼットンは慌てる様子もなく、右手の先を押さえつけるシルバゴンに向けると、ゼットンナパームを至近距離で放った!

 

「グギュゥゥウウウウウウウウウウウウ!!」

『さっきのビームに比べれば豆鉄砲ですが、怯ませるには十分ですよ!』

 

至近距離でゼットンナパームを受けたシルバゴンは怯んで力を緩めてしまい、その隙にゼットンはシルバゴンを放り投げる。地面に倒れたシルバゴンを見下ろすゼットンは、追撃でメテオ火球を放とうとしてきたが、シルバゴンは頭を上げると同時に頭突きを喰らわせて角を突き刺さんとしてきた!

 

「グギュゥゥウウウウウウウウウウウ!!」

「ゼットーン………ピポポポポポポポ」

 

シルバゴンの頭突きを受けたゼットンは角の刺突は避けられたものの吹き飛ばされてしまい、背後の山に激突した!

 

「ゼッ、トーン………ピポポポポポポポ」

『ゼットン!?』

 

倒れたゼットンがフラフラしながら立ち上がる。見たところ外傷はないようであるが、胸の発光体の光が弱々しくなっている事に気付いて、カウントは慌てた声を出した。

 

『マズいですね……エネルギーが切れそうだ………!』

『さっき、ウルトラマンを仕留めるためにバカスカ火球を放ったせいか!!』

 

ゼットンのエネルギーが切れかけている事にカウントが歯噛みをする。

 

(現時点でゼットンレッド唯一の弱点は“エネルギー切れ”………それを悟られないよう、戦闘後でウルトラマンが消耗した時を狙ったというのに余計な邪魔が………!!)

『ええい、これ以上好き勝手させてたまるか!!』

 

ボルターが叫ぶと同時に、ビームミサイルキングの背中のミサイルポッドからジャイアントミサイルが数発発射され、シルバゴンに向かって行く!

 

「シュトゥム!!」

ゴォオウッ

『何!?』

 

しかしその時、ミサイルに向けて竜巻が吹いたかと思うと、ミサイルは軌道を変えてシルバゴンから大きく離れた地点に着弾し、爆発した!

 

「ハルトマンさん!」

「流石に、任せっきりなんてできないからね!とは言え、今日はこれで打ち止めだよ………」

 

竜巻の元凶であるエーリカは笑って見せたが、高度を維持できないほど消耗をしたのか、ふらつきながらバルクホルンの肩につかまった。

 

『し、しまった!オレとしたことが………ロクに動けないだろうと思って、ウィッチの事を忘れていた……!ええい、かくなる上は残りのエネルギーとミサイルを一斉掃射だ!!』

『ゼットンレッド!最後の一撃を放つのです!!』

「ゼットーン………ピポポポポポポポ」

 

ボルターがやけくそ気味に叫ぶと、ビームミサイルキングの各所からビームとミサイルが雨霰となってシルバゴンに迫り、ゼットンが最後の力を振り絞ってメテオ火球を放った!

 

「グギュゥゥウウウウウウウウウウウ!!」

 

しかし、シルバゴンは尻尾を大きく振るうとメテオ火球が弾かれて、ミサイルに向かって行く!メテオ火球を受けたミサイルが爆発し、周囲のミサイルに誘爆していく!

 

『何だと!?』

『バカな!?』

「グギュゥゥウウウウウウウウウウウ!!」

 

尻尾の一振りで一斉掃射を防がれた事にボルターとカウントが驚愕する中、ミサイルの爆炎の中からシルバゴンが飛び出してゼットンに掴みかかると、柔道の一本背負いのように投げ飛ばしてしまった!

 

「ゼッ、トーン………」

『ゼ、ゼットンレッド………!!』

「……?(動いていないゼットンを?)」

 

ビームミサイルキングの目の前に投げ飛ばされてきたゼットンレッドにカウントが息を飲む。一方、シルバゴンがゼットンを投げ飛ばしたことに、シャーリーは違和感を覚えた。

 

『残弾もエネルギーもない………カウント、悔しいがここは引くしかないぞ………!』

『………クッ!致し方ありませんね………!!』

 

ボルターに言われて、カウントは苦虫を潰すような顔をしながら撤退を決断する。

 

『ウルトラマン!不本意ながら今日の所は引いて今日の所は引いてあげますよ!次こそは必ず……!!』

『覚えておれよ!!』

 

そう言い残すと、先ほどゼットンが出てきた円盤が頭上に飛来して下部から光線が照射されると、ゼットンとビームミサイルキングは吸い込まれるように回収されて、円盤は一瞬で空の彼方に消えてしまった。

 

「た、助かった、の………?」

「そのようだな………」

「まあ、ほとんど痛み分けに近いがな………」

 

芳佳が思わず呟くとバルクホルンとリュウが答え、一同はホッとした表情を浮かべる。ウルトラマン達はエネルギーがほとんど残っていないものの立ち上がると、結果的に自分たちを助けてくれたシルバゴンに目を向けた。

 

「グギュゥゥウウウウウウウウウウウ!!」

 

シルバゴンがひと鳴きをすると、次の瞬間、小さな光になってどこかへ飛んで行ってしまった。

 

『あ………!!』

『消えた………?』

『今の消え方……先日の冷凍怪獣たちと同じ………?』

 

シルバゴンが姿を消したことに驚きつつも、消えた際の状況が先日の冷凍怪獣軍団が消えた時と同じ状況であるとガイアが気付いた。シルバゴンが何者かの差し金であると思われたが、その正体の謎が深まるばかりであった。

 

ボスンッ

「ひゃっ!?」

「ストライカーが限界だ!一旦着陸するぞ!!」

「は、はい!!」

 

その時、芳佳やリーネのストライカーユニットから黒い煙が噴き出して、エンジンに異常が起きている事が分かった。バルクホルンの指示で一同はすぐ下に降下して着陸をすると、ウルトラマン達も顔を見合わせて頷くと、光になってみるみる小さくなって人間態へと戻った

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「ネウロイは倒せたけれど、こっちも結構被害を受けたわね………」

 

夕陽で周囲が紅く染まる中、ため息交じりにミーナが呟いた。周囲では急遽駆けつけた整備班がストライカーやガンブースターの点検と回収を行い、負傷したミライたちを治療する芳佳を、リーネとひかりが手伝っていた。

 

「あのゼットンっていう怪獣、すごく強かったですね……」

「ああ。今回は、向こうのミスとシルバゴンに助けられた形だね………」

 

芳佳が治療をしながらミライと話し合っていた。一方、整備班と共にストライカーの点検をしていたシャーリーは、後ろにいたバルクホルンに話しかけた。

 

「………なあ、あのシルバゴン、動いていないゼットンに攻撃したよな?」

「………お前も気付いたか。」

「え?なになに?何の話ー?」

「どうかしたの?」

 

2人の話に、ルッキーニとミーナが入って来た。

 

「いや、シルバゴンは視力が弱くて、動いていないものは認識できないんです。それなのに、あのシルバゴンは()()()()()()()()()()を攻撃していた………」

「あ!?」

「あのシルバゴンは、肩の傷から見てもグルータスにいたものと同じ。あの時は動いていない我々が見えていなかったのに、動いていないゼットンを何故攻撃できた………?」

 

シャーリーの言葉にバルクホルンが疑問を口にし、他の面々も考え込む。その時、ミーナが口を開いた。

 

「………おそらく、あの怪獣は以前『レイオニクス』と名乗った怪獣使いと同じく、宇宙人の命令を聞いて戦っていたのでしょう。スイカ割りで、周囲の声を聴いてスイカの位置を探るみたいにね………」

「何……!」

「そうか……それならば説明が付くな………」

 

ミーナの仮説にシャーリー達は納得をするが、バルクホルンはミーナの表情からそれが仮説ではなく確信していると気づいた。

 

「……ミーナ、あのシルバゴンを操っていた宇宙人に心当たりがあるのか?」

「……ええ、あの時私たちを助けたディオールさんよ。」

「何だと!?」

 

バルクホルンの質問に対して返ってきた答えに、バルクホルンだけでなくその場にいる全員が驚愕する。

 

「その人と会ったことはないが……レイキュバス以外にもシルバゴンも所有していたのか………!」

「ブラック星人たちといい、何が目的なんだ?」

 

レイオニクスたちの目的が分からず頭を抱える。ミーナは少し考えていると、ふと、シャーリーの手元のストライカーの上に、薔薇の花束が置かれている事に気が付いた。

 

「え?あれ……いつの間に…?」

 

シャーリーが戸惑いながらも花束を持つと、薔薇の間にメモリーディスプレイと手紙が添えられている事に気付いた。

 

「あ、ニパのメモリーディスプレイ………ミーナ隊長宛だな………」

「ディオールさんからみたいね………」

 

多少呆れながらも花束を受け取るミーナ。手紙を開けてみれば、そこには後日食事でも、といった内容が書かれていた。

 

「デートのお誘いかよ………」

「だいたーん!」

「どうするミーナ?かなり怪しいぞ?」

「……そうね………冷凍怪獣の時に加えて、今回の情報提供にシルバゴンのお礼があるのは確かだし………」

 

ミーナは少し悩んだものの、手紙を手にしてある決意をした。

 

「彼のお誘い、受けようと思うわ。」

 

 

 

 

 

つづく




第四十二話です。

・ゼットンレッドは、まさかの大怪獣ラッシュからのプラズマソウルで強化されていました。パワードゼットンまでの歴代ゼットンのいいとこどりという事で、背中が開いたりゼットンナパームを放ったり、カウントの言う通り、「ゼットンとはこういう恐竜だ!」とばかりにやりたい放題しちゃったかもw

・ゼットンの代名詞である1兆度の火球の表現ってどんなもんだろうと考え、余波で周囲に熱波が走るって形にしてみました。

・スカーシルバゴン登場。ビームミサイルキングとゼットン2体相手でも全く引かないのは割と強いですね。ゼットンは今回エネルギー切れで撤退。今後も登場すると思います。

・ディオールからのお誘い。という訳で、次回はいよいよディオールの秘密に迫ります。

では次回、「ミーナのデート大作戦」にご期待ください。
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