ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ 作:オレの「自動追尾弾」
列車砲ネウロイを撃破した日の夜、ニューヨークからGUYS特別機で帰還した美緒を芳佳とペリーヌが出迎えた。
「坂本さん!!」
「すまない、みんなが大変な時に………」
「いえ、坂本さんが謝るような事はなにもないですから………」
申し訳なさそうにする美緒に対して、芳佳が言った。
「それで、助けてくれたという宇宙人について何か分かったのか?」
「いえ、それはまだ………」
「今、ミーナ隊長が接触できないか試みていますが……」
歩きながらペリーヌが美緒に答えると、ちょうどディレクションルームに到着をした。ドアが開いて中に入ると、ミーナが電話の受話器を置いていた。
「ミーナ!」
「美緒!帰ったのね……」
「ミーナ隊長、どうでした?」
「……ええ、今話はついたわ。」
美緒との挨拶もそこそこに、ミーナはため息をひとつついて答えた。
「今週末、彼とデートをする事になったわ。」
「………はぁあッ!?」
ミーナの予想外の言葉に美緒は一瞬固まり、その言葉の意味を理解してか、思わず大声を上げた。困惑しながらも周りを見てみれば、芳佳たちはこうなる事を予期していたのか苦笑をして肯定の意味で頷いた。どうやら、知らなかったのは今来たばかりの自分だけであったと理解し、美緒は肩を落とした。
「えーと、落ち着いて?デートと言ってもあの人から情報を引き出すためだから……」
「そ、そうか………そういう事なら………」
慌ててミーナがフォローを入れると、美緒は納得した様子で返した。そんな美緒の様子を見た芳佳は、話題を変えようと口を開いた。
「……あ、そう言えば坂本さん、ニューヨークはどうでした?」
「え?あ、ああ………どうといっても、ほとんどネウロイに対する会議に出席した程度だからな……特にこれといったものはなかったな。」
「そうですか。」
芳佳はそう言ってちょっぴり残念そうな顔をする。美緒は呆れたようにため息をつくが、内心ある事を考えていた。
(“
☆★☆★☆★
「え?カンノン像を探してるって?」
中東の某国某所、観光客らしき人物が現地民の集まる酒場で1人の男に話しかけていた。観光客の顔はよく見えないものの、男は酔っているのだろうと思ってあまり気にしなかった。
「んー、この国にそんなのがあるって聞いた事ねーが………そーいやぁ、『ニホン』って国にそんなのがあるって聞いた事があるぞぉ~」
男が気だるげに返すと、観光客は本当か、と嬉々として食いついてきた。
「あ~、アジアの端っこの島国だったなぁ確か……まぁ俺も行ったことないから詳しくは知らんけどよぉ……」
男は手にしたグラスをグイっと煽り中の酒を飲み干して反対の席を見ると、いつの間にか観光客の姿がない。テーブルの上を見れば、そこには数枚の紙幣と「情報料」というメモが置いてあった。「せっかちだなぁ」と男は呟きながら、紙幣をジーンズのポケットに押し込んだ。
第四十三話 ミーナのデート大作戦
剛力怪獣 シルバゴン(スカーシルバゴン)
鬼女 マザラス星人ウイミイ
光熱怪獣 キーラ
宇宙怪人 ストラ星人アトール
凶暴怪獣 アーストロン
宇宙
八つ切り怪獣 グロンケン
登場
そして数日後、約束のデート当日となった。
エリーやマイが見立てた服―――赤を基調としたワンピースを着て、ミーナは待ち合わせ場所のオープンカフェでコーヒーを飲んでいた。
離れた席ではミライ、アスカ、芳佳、ひかり、美緒が、こっそりその様子を窺っていた。
「待ち合わせの時間まで10分だな………」
「上手くいくと良いんですけれど……」
少し心配そうにする美緒とミライ。反対の席に座っていた芳佳とひかりも「そうですねー」とつぶやいていた。
「……まあ、個人的には失敗してくれた方がいいんですがねー」
「そうですねー、何か私たちの時と比べて、明らかに差があるように思えますしー」
「宮藤………」
「結構根に持ってるね、2人とも………」
自分たちの時(ゴメノス)とは大分違う相手である事にどこか納得ができない様子の芳佳とひかり。
一方のミーナは、コーヒー口に含みながらもどこか落ち着かない様子であった。
(任務とはいえ、流石にちょっと緊張してきたわね……)
今回のデートは結果にかかわらず、ディオールから『レイオニクス』に関する情報を聞き出す事が目的となっている。どのように彼に聞き出そうかと考えていたが、ふと、先日カイトから聞いたウルトラマンヒカリからの伝達を思い出していた。
☆★☆★☆★
「―――『マイナスエネルギー』?」
「ええ。ヒカリ達宇宙技術局の調査の結果、ネウロイのコアはマイナスエネルギーを吸収し、自身の稼働エネルギーにする性質があると判明したそうなんだ。」
フェニックスネストで、カイトがリュウや美緒に説明をしていた。ちょうどその時、ひかりと直枝が入って来ると、不思議そうな顔でひかりが話しかけてきた。
「え?私がどうかしましたか?」
「え?ああ、そうじゃなくて、ウルトラマンヒカリの事だから………」
「あ、そうですか…」
「紛らわしいな。」
自分の話をしていると勘違いしたひかりにカイトが訂正をすると、直枝は呆れた様子で呟いた。呆れながらも、美緒がカイトに話を続けるよう促した。
「それで、そのマイナスエネルギーとは一体?」
「マイナスエネルギーは、「人間の心の暗い波動」とも言われているエネルギーで、怒りや悲しみ、妬みに憎しみといった『負の感情』から生まれ、邪悪な怪獣を呼び寄せ、生み出したりするものなんだ。」
「人間の心から………?」
「実際、ドキュメントUGMにはマイナスエネルギーによって生まれた怪獣が数多く記録されています。」
エリーがコンソールを操作し、アーカイブ・ドキュメントから『三日月怪獣 クレッセント』や『硫酸怪獣 ホー』、『妄想ウルトラセブン』のデータを呼び出しながら補足をする。それを聞いたエイラが、膝の上に寝転がるリムエレキングを撫でながら口を開いた。
「それって、ある意味モチロンと逆ダナ。」
「………あー」
「言われてみれば………」
エイラの言葉に、一同が感嘆の声を出す。
モチロンは『月ではウサギが餅をついている』という伝説を信じる人の心から生まれた怪獣だ。それはマイナスエネルギーとは逆のプラスの感情から生じたエネルギーと言えなくもない。
「その性質を考えると、ヤプールが気に入る理由も頷けるな。あいつらはマイナスエネルギーを糧に、何度でも蘇る事が出来るそうだからな………」
「なるほど……いざって時には、吸収させたマイナスエネルギーを自分の非常食にしようって魂胆か………」
ヤプールの目論見を察したリュウが納得した様子で頷いた。カイトも小さく頷くと、話を続けた。
「現状判明したのはその性質のみだが、調査は続行されるとのことだ。また何かあったら伝えるよ。」
「ありがとうございます。」
リュウが頭を下げると、カイトはディレクションルームを出ようとした。
「あれ?カイトさん帰っちゃうんですか?」
「あ、今回は地球の近くに寄ったついでだったからね。太陽系を何回か周回して、異変がないか調査してから光の国に帰還する予定だよ。」
ひかりの質問にカイトは答えると、部屋から出ていった。
☆★☆★☆★
(ネウロイがマイナスエネルギー………負の感情を糧にしている、か………)
カイトの言葉を思い出しながら、ミーナは考えた。
自分たちの世界でネウロイは古代からいた事が記録されているものの、進攻が始まったのは1939年。それまでの間に自分たちの世界で人の悪意や怒り、憎しみが蓄積され、ネウロイがそれを摂取し、成長したのが侵攻の始まりなのではないか。
ミーナはそう推測していた。
(負の感情を糧にする……人から負の感情を消すことは不可能……だとしたら、ネウロイの侵攻を止める手立ては……)
ミーナが考え込んでいると、前の方から赤い薔薇の花束暴を手にした白いスーツの男性、ディオールがこちらに歩いて来るのが見えた。
「来た、あの人です!」
「白いスーツに薔薇……話に聞いてはいたが、今時珍しいくらいのキザ野郎だな……」
ディオールの姿を見た芳佳が小声で言うと、同じくその姿を見たアスカが呆れた様子で呟いた。ミーナも近づいてくるディオールに気が付いたのか、その姿に若干引き気味だった。彼がミーナの座る席に来ると、片膝をつき花束を差し出した。
「お待たせをしてしまって、申し訳ありません。」
「い、いえ……」
ミーナは困惑しながら花束を受け取ると、ディオールは立ち上がり、ミーナに微笑みかけた。
「この度は、私の申し出を受けて頂き、ありがとうございます。」
「いえ……こちらこそ……」
「………見た目だけじゃなくて、性格までキザだな………」
ぎこちなく会釈をするミーナにディオールは微笑むのを見たアスカが、顔を引きつらせながら感想を言った。隣のミライたちも無言で頷くと、ディオールはミーナに話しかけた。
「では、行きましょうか……」
そう言ってディオールが手を差し出すと、ミーナはその手を取った。
(よし……後は上手く聞き出すだけね……)
そう心の中で呟くと、ミーナは会計を済ませてディオールと一緒にカフェを出ると、ミライたちも顔を見合わせ頷き合い席を立った。
「それで、どこへ行くんですか?」
「そうですね、まずは王道で映画にでも………」
外に出たミーナとディオールが話していたその時、急に周囲がざわめいた。何事かと思い周囲を見ると、前方の人混みが旧約聖書に記されたモーセの十戒の如く左右に割れて、その中心に白い着物のような服を着た、鬼のような白い顔と角、黒い長髪を持った女性宇宙人と、大きな銀色の帽子のような頭と3本指を持った宇宙人の姿があった。
「見つけたわいな………!」
「!?宇宙人………」
「あれはマザラス星人にストラ星人!?何故地球に………?」
現れた宇宙人『鬼女 マザラス星人』と『宇宙怪人 ストラ星人』の姿を見て、ミライが驚いた様子で呟く。ミーナも突然の事態に困惑をしたが、ディオールは不服そうな顔でため息をついた。
「……あー、君たち、確かウイミイとアトールと言ったかな?わざわざ地球にまで来たのかい?」
「フン!ワチキらもあのままやられっぱなしなのは、性に合わないわいな!」
「怪獣を仕入れて、鍛えて来たでゴワス!今度はそう簡単にはいかないでゴワスよ!」
ディオールの問いかけに、ウイミイとアトールが答える。ミーナは事情が良く分かっていないものの、目の前の2人がディオールと因縁がある事は理解できた。
「見ての通り、今日は取り込み中でね。出来れば明日とかにしてほしいのだが………」
「問答無用わいな!!」
断ろうとするディオールを無視してウイミイが叫ぶと、懐から3つの窓のようなものが開いた長方形の白い機械を取り出した。
「?(何、あの機械は………?」
「一番手はワチキわいな!行くわいな、キーラ!!」
《バトルナイザー、モンスロード!!》
ウイミイの言葉に機械が反応して機械から音声が発せられるとカバーパーツが開き、中からカードのようなものが光を放ちながら射出、機械上部のリーダーでスキャンされると、空高く飛び上がった!
「何!?」
「あの光は………!!」
飛び上がった光を見た芳佳が声を上げた。あの光は、以前冷凍怪獣軍団やレイキュバスが現れた際のものと同じであった。
飛び上がった光は空中で巨大化し、怪獣の姿へと変わって地面に降り立った!
「キュォキュイィーーー!!」
出現したのは、光る大きな目が特徴で昆虫を思わせる堅そうな体表と甲羅、頭に短い触角を持った怪獣だった。突然、何の前触れもなく出現した怪獣に周囲の人々はパニックとなり、あちこちで悲鳴が上がり逃げ惑う人々でごった返していた。
「ドキュメントSSSPに記録確認!レジストコード『光熱怪獣 キーラ』!」
「あの機械で怪獣を呼び出して操れるのか………!!」
芳佳がメモリーディスプレイでキーラの情報を読み上げる中、ミライはウイミイの持つ機械の仕組みに気付いた。
「キュォキュイィーーー!!」
「さあ、お前のシルバゴンを出すわいな!」
臨戦態勢のキーラが高らかに鳴くと、ウイミイは挑発するように機械でディオールを指した。ディオールは少しうんざりしたような目でウイミイを見ると、ため息をひとつついた。
「……すいませんミーナさん、ちょっと荒っぽい事をします。」
「え?」
ディオールがミーナに断りを入れると、後ろからミライが前に出てきた。そしてキーラを睨むと腕を構えてメビウスブレスを出現させた。
「待て、ウルトラマンメビウス!!」
「!?」
しかし、変身しようとしたミライをディオールが止めた。
「これっは私たち「レイオニクス」の戦いだ。手出しをしないでいただきたい。」
「だが………!!」
ミライが反論をしようとするが、ディオールがオッドアイの瞳で睨みつけると、その異様な威圧にミライは押し黙ってしまった。ディオールは懐に手を入れると、複数個のサングラスを取り出して、ミライに向かって放り投げた。
「直ぐにそれが必要になる。他の者にも渡しておいてくれ。」
「え?」
「さあ、ミーナさんも。」
「あ、はい………?」
ディオールに促され、ミーナもミライ同様にサングラスを渡された。ディオールは再度懐に手をやると、ウイミイと同様の機械を取り出した。こちらはカバーパーツの角に薔薇の模様が描かれている違いがあるが、ディオールはウイミイと同様にその機械を掲げた。
「行け!シルバゴン!!」
《バトルナイザー、モンスロード!!》
ディオールが機械をウイミイと同じように掲げると、先ほどと同様に光が飛び出して怪獣・シルバゴンが出現した!
「グギュゥゥウウウウウウウウウウウウ!!」
「キュォキュイィーーー!!」
「やはり、あのシルバゴンはあの人が………!」
睨み合ったキーラとシルバゴンの雄叫びが、街中に大きく轟いた。
☆★☆★☆★
東京都内に2体の怪獣が出現した知らせは、フェニックスネストにも届いていた。緊急事態のアラートが響く中、リュウはモニターに映るキーラとシルバゴンを見て眉を顰めた。
「やはり、例の宇宙人がシルバゴンを………!」
「隊長!キーラが両目から放つ閃光は、見た人を失明させてしまいます!」
「早いところ対処しないと、甚大な被害がでるって訳か……!!」
リュウが拳を握りしめると、格納庫のアライソから通信が入った。
[リュウ、ガンフェニックスの修理と慣らし運転は済んである!いつでも出せるぞ!!]
「よし!ガンフェニックスとガンブースターで現場に急行するぞ!」
「「「G.I.G.!!」」」
リュウの指令に全員が格納庫へ向かおうとしたその時、再度アラートが鳴り響いた。
「鎌倉市に、怪獣出現!!」
「何だと!?」
その報せに、全員が驚愕の表情を浮かべた。モニターが切り替わると、頭や両腕、腹等に回転する丸鋸を持った怪獣―――『八つ切り怪獣 グロンケン』の姿が映し出された!
「こいつ、この間ブラジルに現れたヤツか!!」
グロンケンの姿を見たカナタが声を上げた。リュウはグロンケンを睨みつつも、隊長としてメンバーに指示を出した。
「オレとカナタ、マリはガンフェニックスでキーラとシルバゴンの方に行く。コウジはガンブースターでグロンケンの方に向かってくれ。」
「「「G.I.G.!!」」」
「我夢さんとウィッチ数名は、ガンブースターの援護を頼む。対戦校某業容ゴーグルを忘れずに装備してくれ!」
[[[了解!!]]]
リュウの指示を聞いた全員が、それぞれ動き出した。
☆★☆★☆★
「グォオッ!グォオッ!」
鎌倉市に出現したグロンケンは、何かを探すように周囲を見渡す。そして目的のものを見つけたのか歩き出した。グロンケンは鎌倉を代表する観光名所『鎌倉大仏殿高徳院』に到着すると、右腕の丸鋸を回転させて大仏を斬りつけ始めた!
『待て、グロンケン。』
「グォオッ………」
しかし、その途中で何者かに止められた。グロンケンは切断を中断すると、上空を見上げた。
「それは『カンノン像』ではなく、『ダイブツ』のようだ。このボンヌイとしたことが、間違えてしまった。カンノン像は別にあるようだ……」
不可視の宇宙船からグロンケンに命令していたのは、昆虫の腹を思わせる大きな銀色の頭とフック状の6本腕、細長い尾を持った『宇宙
「カンノン像がどんなものか知らなかったから違う像を斬っていて時間がかかったが、ようやく見つけたぞ。グロンケン、カンノン像は北の方角だ!」
「グォオッ!グォオッ!」
ボンヌイに命じられたグロンケンは、北に向かって歩きだした。グロンケンの目線の先には、全長25mの大船観音があった。グロンケンが鎌倉中央公園に差し掛かった時、ガンブースターとファイターEXⅡ、そして直枝、クルピンスキーが到着した。
「グロンケン、鎌倉中央公園から北上中!」
「大仏の次は観音像をぶった切ろうってか?罰当たりな怪獣だな!!」
「攻撃開始!!」
ガンブースターがグロンケンの目の前に回り込むと、機首のアルタードブレイザーを放ち、直江とクルピンスキーは背後から機銃での攻撃を仕掛ける。
「グォオッ!グォオッ!」
グロンケンは目の前に現れたガンブースターに驚く間もなく攻撃を受けて面食らったものの、あまりダメージがない様子だった。グロンケンは両手の丸鋸を回転させて、ガンブースターに斬りかかった。
「うわっと!」
「グォオッ!グォオッ!」
「危ねーなオイ!!」
ガンブースターはギリギリで回避すると、そのまま旋回して距離を取る。グロンケンは周囲を飛び交うガンマシンとウィッチに両腕を振るって攻撃するが、距離を取って攻撃をするガンブースターとウィッチたちには当たらない。
『グロンケン、そいつらは放っておけ!今はカンノン像が最優先だ!!』
「グォオッ!グォオッ!」
グロンケンが躍起になってガンブースターとウィッチを攻撃していた事にボンヌイがイラついたように指示を出すと、グロンケンはピタリと動きを止めて大船観音へ向き直って、進軍を再会した。
「あれ?攻撃をやめた?」
「一直線に北上……もしかして、コイツも宇宙人に操られているのか……?」
グロンケンが行動を変えた事に呆気に捕られた直枝とクルピンスキーだったが、その動きから我夢は、グロンケンが何者かに操られている可能性に思い至った。ガンブースター達がグロンケンを追いかけている間に何か操っている電波などがないか我夢が調べるが、その間にグロンケンは大船観音像の目の前にまで来てしまった。
「くっ!!」
我夢はこれ以上被害を出すわけにはいかないと判断してエスプレンダーを取り出した。しかし、その瞬間に警告音がなったかと思うと、上空から光線が何発もEXⅡを上空から光線が何発もEXⅡを掠めた!
「うわあ!?」
我夢は咄嗟に操縦桿を握ると慌てて光線を躱した。上空を見ても何も見当たらないが、攻撃が止む気配は一向になかった。
「我夢さん!!」
「グォオッ!グォオッ!」
EXⅡが攻撃された事にクルピンスキーがたじろぐが、グロンケンは観音像に丸鋸を横一文字に入れてしまった!
「観音像が!?」
直枝が思わず声を出してしまう。グロンケンはあっという間に観音像を切り裂いてしまい、像の頭が派手な音を上げて地面に落ちて地面に落ちて砕け散った。
「グォオッ!グォオッ!」
観音像を破壊したグロンケンは、大船観音の残骸を横薙ぎに払い除けて破壊した。その様子に直枝は怒りの声を上げたが、グロンケンは観音像のあった場所を不思議そうに覗き込んでいた。
「グォオ………?」
『どういうことだ?これはカンノン像ではないのか?』
ボンヌイも同じように首を傾げていたカンノン像であれば、破壊して何も出てこない筈がない。どういう事かと頭を抱えていると、グロンケンに向けて攻撃が再開されて体表で爆発が起こった!
「グォオッ!グォオッ!」
『くっ!一先ず戻れ、グロンケン!!』
ボンヌイはこれ以上この場に居たら不利だと判断して懐から白い機械を掲げると、グロンケンは光になってボンヌイの手元に戻って来た。
「消えた………?」
「あ、あれ……?」
グロンケンの消失に驚いて周囲を探るが、その隙にボンヌイは円盤を操作してその場から人知れず飛び去って行った。
☆★☆★☆★
「グギュゥゥウウウウウウウウウウウウ!!」
「キュォキュイィーーー!!」
東京の街中で、シルバゴンとキーラがぶつかり合った。頭突きでぶつかり合った2体の怪獣は反動で100m近く後ろに下がるが、頭への衝撃で直ぐには動けない様子だった。
「グギュゥゥウウウウウウウウウウウ!!」
いち早くシルバゴンが復活すると、尻尾を振るってキーラに叩きつけた!キーラは咄嗟の事で防御が間に合わず、吹き飛ばされてビルに激突した!
「キュォキュイィーーー!!」
「いかんな……これ以上地球人に迷惑をかけては寝覚めが悪い………」
悲鳴を上げるキーラに対して、ディオールは破壊されたビルを見て、これ以上の市街地での戦闘は被害が出ると判断した。
「シルバゴン、別の場所に移るぞ。ソイツを投げ飛ばしてくれ。」
「グギュゥゥウウウウウウウウウウウ!!」
ディオールの命令を聞いたシルバゴンは返事をするように鳴き声を上げると、キーラに向かって歩き始めた。
「何を余裕ブッコいてるわいな……キーラ!!」
「キュォキュイィーーー!!」
ウイミイがアトールと共にゴーグルを装着してキーラに向かい叫ぶと、キーラは顔をシルバゴンに向けてその大きな両目を瞑った。
「来るぞ!対閃光防御!!」
「え!?」
ディオールが叫ぶと同時にサングラスをかけると、ミーナたちは同じ様にサングラスをかけた。そしてキーラの目が開かれた瞬間、眩い光が発せられた!
「グギュゥゥウ!?」
「ああ!?」
「見たか!これがキーラのクラッシュ光線だわいな!!」
「キュォキュイィーーー!!」
閃光を受けたシルバゴンが苦しむ様子を見てゴーグルを外したウイミイが勝ち誇ったように言うと、同調するようにキーラも鳴き声を上げてシルバゴンに向かって歩きだした。シルバゴンが苦しむ様子を見たひかりが思わず声を上げるが、サングラスを外したアスカが口を開いた。
「だけど、シルバゴンって視力弱い怪獣だから、視力奪う光くらってもあまり効果ないんじゃないか?」
「え?」
「「え?」」
「シルバゴン、そこだ!」
「グギュゥゥウウウウウウウウウウウ!!」バギッ
「キュォキュイィーーー!?」
「あ、本当だ。」
アスカの言葉にひかりとウイミイ、アトールが呆気に取られた声を上げた。その瞬間、ディオールの指示を聞いたシルバゴンは何の問題もない様子でキーラの顔面を殴りつけた。
「キ、キーラ………!」
「シルバゴン、ソイツを投げ飛ばせ。」
「グギュゥゥウウウウウウウウウウウ!!」
キーラが轟音と共に倒れたのを見たウイミイが思わず悲鳴を上げるが、それを無視してディオールはシルバゴンに命じた。シルバゴンはキーラの尻尾を掴んで掴むと、背負い投げの要領で大きく振りかぶって投げ飛ばした!
「キュォキュイィーーー!!」
「キーラ!」
ウイミイが叫ぶ中、投げ飛ばされたキーラは遠くの方へ飛んで行ってしまい、空の彼方でキランと光った。
「さて、止めを刺しに行くか………」
「そ、そうはさせないでゴワス!!」
ディオールはキーラを追いかけようと機械をシルバゴンに向けたが、それを止めるようにアトールが叫ぶ。アトールは2人と同様に手にした機械を掲げた。
「行け!アーストロン!!」
《バトルナイザー、モンスロード!!》
アトールの宣言と共に光が飛び出すと、頭頂部に一本角、口には鋭い牙を持った二足歩行の怪獣、『凶暴怪獣 アーストロン』が出現した!
「ガギャァーアウ!!」
「アーストロンまで!?」
「何か、怪獣らしい怪獣が出てきたな………」
「グギュゥゥウウウウウウウウウウウ!!」
アーストロンを見たアスカが感想を呟くと(芳佳たちは「怪獣らしいって何だろう?」と小首をかしげていた)、シルバゴンはアーストロンに気付いたのか標的をアーストロンに定めて腕をパコンパコンと鳴らした。
「今のうちにキーラを!」
「す、すまんわいな………」
「やるでゴワス、アーストロン!!」
「ガギャァーアウ!!」
ウイミイはアトールに礼を言うとその場を去って行った。アトールが命令をすると、アーストロンは口からマグマ光線をシルバゴンに向けて放った!
「グギュゥゥウウウウウウウウウウウ!!」
シルバゴンはマグマ光線を受けたものの、それをものともせずアーストロンに向けて突き進んで行った。
「アーストロン、角でゴワス!」
「ガギャァーアウ!!」
命を受けたアーストロンは自慢の角を突き刺そうと振りかざすが、シルバゴンは難なく首を傾けて避けてしまい、その顔面にフックをお見舞いした!
「ガギャァーアウ!!」
アーストロンは倒れこみそうになるが、倒れる寸前で火球状のマグマ光線を放った!マグマ光線はシルバゴンの脇をすり抜けてしまうが、その先にはディオール達の姿があった!
「あ、バカ!?」
「マズい!!」
アーストロンの行動に思わずアトールが非難の声を上げるが、ミライが咄嗟にバリアを張ろうとするが、ディオールとミーナは自分たちと離れているせいで間に合わない!ミライは慌てるが、マグマ光線は目の前にまで迫ってきていた!
「間に合わない………!!」
「ミーナ!!」
美緒が悲痛な悲鳴をミーナが上げたが、その瞬間、マグマ光線が近くに着弾して爆発が起きた!
「うわあ!?」
「きゃああ!?」
爆炎が襲い掛かり、アトールが吹き飛び、ひかりが悲鳴を上げる中、咄嗟にミライがブレスを掲げてバリアを張るものの、ミーナとディオールは間に合わない。そう思った時、ディオールがミーナを庇うように前に出るとその姿が変貌した。
「何!?」
ディオールの変貌に驚くが、2人の姿を爆炎が隠してしまい、衝撃波でミライたちは身を屈めた。
「ぐぅう………!!」
「大丈夫か!?」
「は、はい………」
「ミーナ隊長は!?」
爆炎と衝撃波をバリアで凌いだミライが芳佳たちに聞くと、芳佳が大声を上げて周囲を見渡す。周囲の煙が晴れて来ると、煙の向こうに多角錐上のバリアに守られたミーナと、異形の宇宙人の姿があった。
「これは………!?」
「大丈夫ですか、ミーナさん?」
「!?」
宇宙人はミーナに優しく話しかけるが、ミーナはその姿に驚いてしまった。その声を聞いて、そして右が青、左が黄色の瞳を見て、宇宙人がディオールである事が辛うじて分かった。
「ディ、ディオールさん、なの………?」
「ええ。」
「あれがディオールの正体……!?」
「あれは………!!」
ディオールの正体を見た芳佳と美緒が驚きの声を上げる。吹き飛んだアトールも戻って来て来て宇宙人の姿を見るが、その姿を見て驚愕の声を上げた。
「あ、あの宇宙人は………!?」
V字の尖った頭頂部、
セミを思わせる複眼と口吻、
銀色に光る巨大なハサミになった両腕、
「フォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ………」
………これを読んでいる方の中にウルトラマンや怪獣に疎い方がいたとしても、ここまでの説明と笑い声で、この宇宙人、ディオールの正体に気づいた方もいるだろう。
何せ、説明する必要もない程に有名な宇宙人なのだから。
だがあえて、今回はあえてこの宇宙人の名前を説明させてもらおう。
ドキュメントSSSPに3件、MATに1件、ドキュメントUGMに2件、アウト・オブ・ドキュメントにはアメリカに出現した記録が3件残る、地球来訪記録最多数記録を保持する宇宙人!その名も―――
「バルタン………星人………!!」
レジストコード『宇宙忍者 バルタン星人』!
つづく
第四十三話です。
・今作ではネウロイがマイナスエネルギーを糧にしているという設定。他にもいろいろ考えてるのでいずれ。
・マザラス星人ウイミイとストラ星人アトールが再登場。今作のレイオニクスはディオールに合わせて薔薇の品種から名前を付けています。ウイミイはちょっと宇宙人っぽい語感で好き。
・キーラ登場。実はザラガスとどっちにしようか迷ったけど、ザラガスだと変身したら厄介だと思いキーラにしました。まあ、どっちにしても閃光攻撃はシルバゴンには通用しないでしょうが。
・グロンケンを操るのはクール星人ボンヌイ。目的があるようですが、観音像が何か知らなくてキリスト像や大仏を狙うのはちょっとマヌケ。
・ディオールの正体はバルタン星人でした。元々、バルタン星人のレイオニクスを出そうと思った時に今までにいなかったタイプのバルタン星人にしようと思い、真っ先に思いついたのがキザな伊達男でした。で、キザなキャラには薔薇だろうと考えてトレードマークにしてディオールのキャラが完成しました。
では、次回をお楽しみに。