ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ 作:オレの「自動追尾弾」
第四十五話 最強の遺伝子
宇宙忍者 バルタン星人ディオール
宇宙
八つ切り怪獣 グロンケン
ムチ腕怪獣 ズラスイマー
登場
「ミーナ!」
「宮藤!大丈夫か!?」
「バルクホルンさん………」
ガンフェニックスとともについてきていた美緒とバルクホルンが、芳佳とミーナに駆け寄って来た。リュウとミライはガンフェニックスから飛び降りると、トライガーショットを構え、ディオールに警戒を向けつつ、ミーナと芳佳の側に駆け寄った。ディオールは人間態で両手を上げて「敵意はない」事を示すが、2人は警戒を解かなかった。
「ミーナ、怪我は?」
「大丈夫よ。彼、ああ見えて紳士だったから。」
美緒に聞かれて、ミーナは笑って答えた。リュウは2人の無事を確認すると、ディオールに向けて話しかけた。
「悪いが、デートはこれでお開きにしてもらうぞ。」
「………まあ、こんな状況じゃあね。またの機会にさせてもらうよ。」
ディオールは肩をすくめて答えたが、少し残念そうにしていた。リュウはそんな彼の様子を訝しんだが、とりあえずこちらに攻撃してくる気はないようなのでそこは安心である。一方、美緒はミーナと芳佳に事情を説明していた。
「レイオニクスが、観音像に封印された怪獣を狙って!?」
「ああ。今、平和観音像の方へはシャーリー達が向かっている。ちょうどここは平和観音像から近い位置にある。ストライカーも持ってきているが、2人とも出動出来るか?」
美緒から事情を聴いた2人は顔を見合わせると、小さく頷いた。
「………分かりました。私も行きます!」
「私も、と言いたいところだけど、着替えが無いから………」
「それなら、ガンウィンガーの複座に乗ってくれ。そこから指揮を執ってもらえれば問題ない。」
「分かりました。」
ミーナはリュウの指示に頷くと、芳佳はストライカーと銃器を受け取り、ミーナはガンフェニックスの後部座席に搭乗すると、全機一斉に垂直離陸をして行った。ディオールはそれを黙ったまま見送ると、自身の円盤に向かって歩いて行った。
☆★☆★☆★
ミーナ達が湖から飛び立った頃、シャーリー、ルッキーニ、直枝、クルピンスキーを引き連れたガンブースターとXIGファイターEXⅡ、ガッツイーグルαスペリオル、テックスピナーは、平和観音像まで数千メートルの地点まで到達していた。
「あの怪獣は、まだ現れていないようだな………」
「今の内に、観音像の前に陣取って防衛線を張ろう。」
ガンブースターを駆るコウジが指示を出すと、一同は飛行速度を上げて観音像へ向かおうとした。
「グォオッ!グォオッ!」
「!?」「何!?」
だがその時、観音像とGUYS達の間に光が出現したかと思うと、それは全身に丸鋸を持った怪獣・グロンケンとなって地面に降り立った!グロンケンは平和観音像に狙いを定めると、のっしのっしと観音像に向かって歩き出した。
「グォオッ!グォオッ!」
「マズい!アイツ、観音像を壊すつもりだ!」
「させるか!!」
グロンケンが観音像に辿り着く前に倒そうと、ガンブースターはグロンケンの背中に向けてアルタードブレイザーを放ち、背中で爆発を起こした!
「グォオッ!?」
光線を受けたグロンケンは背後のガンマシン達に気付くと、両手の丸鋸を回転させ、ガンマシン達に襲い掛かろうとした。
「グォオッ………!」
しかし、1歩踏み出したかと思うとすぐに踵を返して再度観音像に向かって歩き出した。
「あ、アイツまたこっちを無視して……!!」
「ヤツの目的はあくまでズラスイマーだ。俺達の事は無視してでも、観音像を破壊しようというわけか!」
グロンケンの行動に憤慨するシャーリー。一方でアスカは、グロンケンとそれを操るレイオニクスの目的を推測し、呟いた。
「マズい!グロンケンが観音像に辿り着くぞ!」
「させるか!!」
グロンケンが平和観音像まであと数百メートルまで近づいていたため、速度を上げてグロンケンを追い越すと、正面からグロンケンに向けて砲撃を行った!
「グォオッ!!グォオッ!」
「今だ!集中砲火するぞ!!」
「G.I.G.!!」「「「「了解!!」」」」
攻撃を受けて周囲や体表で爆発が起こり、グロンケンは怯んで立ち止まった。その隙を見逃さず、アスカは集中砲火を提案し、全員がグロンケンに狙いを定めた。しかし、引き金を引く寸前に何もない上空から無数の光線がガンブースターとガッツイーグルαスペリオルに向けて降り注ぐ!
「うおおおおお!?」
咄嗟に操縦桿を傾けて回避行動を取って直撃は避けられたが、光線はなおも降り注いでくる。その間にグロンケンは再び観音像に向かって行く。
「や、やろう………!!」
光線を避けつつもグロンケンが再度動き始めたのを見た直枝が悪態をついた。ちょうどその時、ガンフェニックスと美緒らウィッチが現場に到着をすると、現状を目の当たりにして声を上げた。
「グロンケンを確認!!」
「グロンケンは俺たちに任せて、みんなは攻撃してくる宇宙人をどうにかしてくれ!!」
「分かった!」
リュウの指示でガンフェニックスはグロンケンの前方を飛び、ウィッチ達は光線に苦戦するガンブースターとガッツイーグルの援護に向かった。
「まずは、この光線をどうにかしないと……」
「この光線、どこから………?」
ミーナと美緒は光線が降ってくる上空を見上げるが、光線は何もない場所から、しかも複数の箇所からランダムに降ってきていた。美緒は眼帯をずらして『魔眼』を発動させて上空を見ると、上空には3枚の羽のようなものが付いたプロペラのような円盤と、3つの円盤がパイプで繋がったような小型円盤数機が、透明な状態で飛んでいるのを見つけた。
「見つけた!右15度!」
「分かった!!ガンフェニックス、スプリット!!」
リュウはガンフェニックスをガンウィンガーとガンローダーに分離させると、美緒の指示した地点に向けて攻撃をしかける!
「ウィングレッドブラスター!!」
「バリアブルパルサー!!」
ガンウィンガーとガンローダーの熱線とビームが上空で『
「円盤を発見!」
「あれはクール星人の円盤です!」
円盤を見たミライが声を上げる。円盤は羽の一部から煙を上げているが飛行には支障がない様子であった。すると、円盤の方から通信が入って来た。
『地球人ども、邪魔をするんじゃあない!』
「クール星人!!」
『クール星人のボンヌイだ。私の目的は、あくまでもこの先のカンノン像に眠るズラスイマーだ!それを邪魔するのを許す気はないぞ!』
「何を勝手な事を!!」
クール星人ボンヌイの言い様に美緒は怒りを露わにする。だが、ボンヌイはそれを無視して攻撃を再開してきた。
「グォオッ!!グォオッ!」
一方、グロンケンの元に向かった直枝たちは、グロンケンの背中に向けて機関銃を掃射、グロンケンは観音像まであと一歩という地点にまで差し掛かっていたが、背中へのダメージに耐えられずに悶えながら立ち止まった。
「グォオッ!グォオッ!」
「今だ!!一斉攻撃!!」
コウジが全員にそう指示を出して一斉にグロンケンに照準を合わせた。
ゴウッ
「!?」「何!?」
だが、引き金が引かれようとしたその瞬間、突如真下の地面から炎が噴き出してガンブースターたちに向けて襲いかかってきた!ガンブースターはとっさに回避行動を取ったが、避けきれずに炎が翼を掠めて黒い焦げ跡を作り上げた。
「な、何だ!?」
「地面から炎が……!!」
いきなりの事態に直枝とシャーリーは驚きの声を上げた。炎が止まったので見下ろしてみれば、地面に穴が開いており、そこから炎が噴き出した事が推測できた。
「地中に怪獣が潜んでいたのか!?」
「グロンケン以外に、別の怪獣を従えていたのか……!?」
「グォオッ!!グォオッ!!」
どうやら、ボンヌイは既に他の怪獣を地中に潜ませていたようだ。先ほどの炎で一同が怯んだ隙にグロンケンは再び平和観音像に向けて歩き始めていた。
「グォオッ!グォオッ!」
「しまった!」
「させるか!!」
グロンケンを追いかけようとするが、再び火炎が地面から噴き出して阻んだ。直枝たちは火炎を回避してグロンケンを追うが、今度は地面から鞭のようなものが飛び出してきた!
「にゃあッ!?」
「3匹目だと!?」
3匹目の怪獣の出現に驚く間もなく、今度は地面から白い糸が飛び出して、ガンローダーをとらえてしまった!
「うおっ!?」
「コウジさん!!」
「アイツ、何匹怪獣を従えてんだ!?」
「くっ、これでは迂闊に攻撃が出来ない……!」
地中に潜む怪獣によって、直枝たちは足止めを食らう羽目になってしまった。糸はクルピンスキーが機関銃で切断できたが、その間にグロンケンは、とうとう平和観音像のすぐ近くまでやってきていた。
「グォオッ!グォオッ!」
「しまった………!!」
グロンケンが右手の丸鋸を回転させて手を観音像に伸ばしたのを見てシャーリーは慌てるが、地中からの攻撃が激しくてグロンケンに近づけない。そして、ついにグロンケンの右手が観音像に届こうとした……
「ちくしょぉー!ダイナァアアアアアア!!」
その時、グロンケンが平和観音像の元にまでたどり着いた事に気付いたアスカがリーフラッシャーを掲げると光に包まれてガッツイーグルから光が飛び出し、グロンケンの頭上でウルトラマンダイナの姿となってグロンケンに飛び蹴りをお見舞いした!
「グォオッ!?」
「ダイナ!!」
『ゼヤァッ!!』
グロンケンを蹴り飛ばして観音像から遠ざけたダイナは、着地と同時に構えを取ってグロンケンと向き合った。
ダイナの出現にシャーリーが声を弾ませる。ダイナはシャーリーたちの方を見ると、『ここは任せろ。』と言うかのように小さく頷き、起き上がったグロンケンに向き直るとファイティングポーズを取った。
「グォオッ!グォオッ!」
「シュアッ!」
ダイナは丸鋸を開店させながら腕を振るうグロンケンの攻撃をかわしつつ、隙を見てはパンチやキックを叩き込む。グロンケンは本当なら主人であるボンヌイの命令通りに観音像を壊さねばならないのだが、目の前のウルトラマンがそれを許してくれない。
「グォオッ!グォオッ!」
「デェアッ!」
ダイナは向かってくる丸鋸をかわしつつ、カウンターで蹴りやパンチを繰り出してダメージを与えていく。その時、ガンウィンガーからの攻撃を掻い潜っていたボン縫いは、グロンケンがウルトラマンと戦っているのを見ると、少しイラついたように呟いた。
『ええいウルトラマンめ、余計な真似を……援護に向かえ!!』
ボンヌイがそういうと、地中に潜んでいた怪獣がその場から移動をし始めた。一方、ダイナはグロンケンの丸鋸を体を反らせて回避すると、そのままグロンケンの腹部に蹴りを叩き込む。
『デェアッ!!』
「グォオッ!?」
後退ったグロンケンが怯むと、ダイナは好機とばかりに腕を組もうとした。
ボゴンッ
『グァアッ!?』
しかしその時、ダイナの足元の地面から怪獣の頭部が飛び出したかと思うと、ダイナの右足に噛みついてきた!ダイナが見下ろすと、そこにはとがった口と頭に3本の角が生えた怪獣の頭があり、地面に空いた穴から長い首を伸ばしていた。
ダイナは足から怪獣を振りほどこうとしたが、今度は背後の地面から右手の一部が鞭のようになった顔のない怪獣が現れて、ダイナの首に鞭を絡ませた!
『グァアッ!?』
「ダイナ!!」
鞭で首を絞められて苦しむダイナを見たシャーリーが、思わず声を上げる。ダイナは鞭を振りほどこうと首の鞭を摑んだが、その隙にグロンケンはダイナの横を素通りして観音像に向かっていく。ダイナはそれに気づいて腕を伸ばすが、足に噛みついていた怪獣が口を話すと、その口から火炎を吐き出し、ダイナに火炎を浴びせた!
『グァアアアアアッ!!』
「ギュィイーーーッ!!」
炎を浴びたダイナは悲鳴を上げて後退り、更に背後の怪獣は締める力を強めてダイナを苦しめる!
「ダイナが!?」
「あの怪獣は………!!」
ダイナを苦しめる怪獣を見たリュウが思わず声を出した。その名前を出そうとした瞬間、ダイナの元にシャーリー達が駆けつけて怪獣の頭部に向けて銃撃を開始した!
「ギュィイーーーッ!?」
銃撃を受けて頭部で火花が散ると、怪獣は長い首をのけ反らせた。その時、頭部が痛みに苦しむのと連動するように、もう一体の怪獣が痛みに悶えるように身体をくねらせた。
「な、何だ?」
シャーリーが不思議に思っていると、ダイナの首から鞭が外れる。怪獣から解放されたダイナは地面から頭を出している3本角の怪獣を睨むと、両手で掴んで引っ張り出した。
「ギュィイーーーッ!!」
『!?』
「なッ………!?」
「ええ!?何だあれ!?」
だが、引っ張り出した怪獣の姿を見て、一同は驚愕した。長い首を持った怪獣は、何と『首の根元から先』がなく、首だけの怪獣だったのだ!
「ギュィイーーーッ!!」
『ゥアッ!?』
首だけの怪獣はダイナの手から離れると、後ろにいたもう1体の元に飛んで行く。もう1体も穴からはい出てくると、こちらは顔がなく、足と足の間に丸いくぼみを持っていた。首だけの怪獣はそのくぼみに首の根元を収め、1体の怪獣となった!
「ギュィイーーーッ!!ギュィイーーーッ!!」
「1体になった………いや、元々1体の怪獣だったのか!?」
それは、とても奇妙な姿をした怪獣であった。4足歩行の怪獣の後ろ脚が腕になっていると言えば、分かりやすいであろうか。頭のない2足歩行の怪獣の足と足の間から、長い首を持った頭部を生やした怪獣であったのだ!
「あれは、『ムカデンダー』という怪獣のようだな。頭と胴体を分離させても動ける怪獣らしい……」
「頭と胴体を分離できる怪獣を地中に潜ませて、複数体の怪獣がいるかのように見せかけていたのか!頭良いなオイ!!」
「ギュィイーーーッ!!」
メモリーディスプレイで目の前の怪獣を検索したシャーリーが、ドキュメントZATから『百足怪獣 ムカデンダー』の情報を読み上げる。それを聞いた直枝がボンヌイの作戦に気付いて悪態をつくが、その間にグロンケンは平和観音像のすぐ近くまでやってきていた。
「グォオッ!グォオッ!」
『!!、まずい!!』
ダイナは急いでグロンケンの方に向かおうとするが、ムカデンダーが口から火炎放射を放ってダイナの足を止める。ダイナが火炎放射に怯んで足を止める間に、ムカデンダーはグロンケンに悪態をつくが、その間にグロンケンは平和観音像のすぐ近くまでやってきていた。
「グォオッ!グォオッ!」
『!!まずい!!』
ダイナは急いでグロンケンの方に向かおうとするが、ムカデンダーが口から火炎放射を放ってダイナの足を止める。ダイナが火炎放射に怯んで足を止める間に、ムカデンダーはグロンケンに向かっていくウィッチたちに向けて鞭をふるってきた!
「きゃあ!?」
「ヤロ~、何が何でもグロンケンの邪魔はさせない気か!!」
鞭を掻い潜りながら、直枝がボンヌイの思惑に気付いて悪態をつく。鞭を避けながら銃撃を行うが、ムカデンダーは首を分離させてダイナに噛みつき、胴体の方は鞭でウィッチやガンブースターを攻撃して、グロンケンの邪魔をさせないようにしていた。更に、ボンヌイの駆る円盤の上部が開いて小型円盤が追加で10機以上発進すると、円盤はグロンケンに向かうウィッチたちに向けて攻撃を開始した!
「うわっ!?」
「円盤が!?」
小型円盤の攻撃によりウィッチやガンブースターはグロンケンに近づけず、その隙にムカデンダーの胴体は頭と連携してダイナに向けて糸を吐き出して、ダイナをがんじがらめに縛り上げた!
『グゥウ………ッ!?』
「ダイナ!!」
身動きが取れなくなってダイナが呻く。ムカデンダーはダイナが動けないのを確認すると、ガンブースターに標的を定めると再度頭を分離し、高速で噛みつかんと飛んで行く!
「ギュィイーーーッ!!」
「うぉおお!?」
ガンブースターはムカデンダーの噛みつき攻撃をかわすが、そこに胴体の鞭攻撃が襲いかかる!
バヂンッ
「うわああ!!」
咄嗟の事でコウジは回避が間に合わず、ガンブースターのエンジン部に鞭の一撃を受けてしまい、ガンブースターはエンジンから炎と黒煙を噴き出して高度を下げ始めてしまった!
「コウジさん!!」
「くぅッ………ガンブースター、イジェクション!!」
コウジはガンブースターからガンスピーダーを分離させて脱出、ガンローダーは黒煙を上げながら墜落していった。その時、グロンケンは観音像の目の前まで来ると、ついに回転する右手の丸鋸を観音像に振り下ろした!
「グォオッ!グォオッ!」
「マズイ!!」
『いいぞグロンケン!そのままカンノン像を真っ二つにしてしまえ!!』
「グォオッ!グォオッ!」
グロンケンが観音像に刃を入れ始めたのを見たボンヌイが歓喜の声を上げる。グロンケンは堅い大谷石をものともせずに観音像にどんどん刃を入れていく。
「早くグロンケンを止めないと!」
ミライはガンウィンガー内で毒づき、左腕を構えてメビウスブレスを出現させて変身をしようとするが、小型円盤の攻撃が激しく、変身がままならない。ダイナもムカデンダーの糸を引きちぎろうとするが、強靭なうえに段々と力が抜けて行くようにも感じ、うまく力が入らない。
ムカデンダーの吐く糸には毒が含まれている。ダイナはその毒によって、じわじわと体力を削られていたのだ。
『グゥウ………ッ』
「ギュィイーーーッ!!」
ムカデンダーはそんなダイナにとどめを刺さんとばかりに、炎をダイナに吐き出して攻撃する!
『グァアアアッ!?』
「ダイナ!!」
「グォオッ!グォオッ!」
ダイナが炎に苦しむ中、グロンケンはついに観音像を真っ二つにしてしまい、観音像の上半身が大きな音を立てて地面に落下した!
「ああっ!!」
「観音像が………!!」
「グォオッ!グォオッ!」
観音像っが切断されてしまった事に芳佳と美緒が思わず悲痛な声を上げる。グロンケンは勝ち誇ったように吠えると勢いよく振り返るようにして観音像の下半分に尻尾を振るい、尻尾の一撃で観音像を吹っ飛ばしてしまった!
「ああっ!!」
「間に合わなかったか………!」
飛んで行った観音像が地面に倒れるのを見た芳佳が悲鳴を上げ、美緒が悔しげに呻く。苦しむダイナのカラータイマーが点滅を開始したその時、地面が揺れ始めていることに気が付いた。
『さあズラスイマーよ、目覚めるのだあッ!!』
ボンヌイがそう叫んだ瞬間、観音像のあった場所から勢い良く怪獣が飛び出してきた!
「ギュゥーイィーーー!!ギュゥーイィーーー!!」
「あれがズラスイマーか………!!」
地面から飛び出して来た頭頂に蛇の頭のような器官、顎にヒゲのようなものが生え、左腕が鞭のようになった怪獣、『ムチ腕怪獣 ズラスイマー』は地上に降り立つと、高らかに吠える。ズラスイマーの出現にボンヌイが歓喜し、グロンケンとムカデンダーも同調してか喜ぶ素振りを見せた。
「ギュゥーイィーーー!!」
ズラスイマーは両腕を振るい鳴き声を上げたかと思うと、近くにいたグロンケンに向けて左腕の鞭状の腕を叩きつけて来た!
「グォオッ!?」
「ギュゥーイィーーー!!」
「何だと!?」
ズラスイマーがグロンケンに攻撃した事に驚愕する直枝。小型円盤の攻撃を回避していたリュウはそれを見て口を開いた。
「流石に起きたばかりだし、起こした奴に従うって訳にはいかないんだろうな………」
「ギュゥーイィーーーッ!!」
ズラスイマーはグロンケンに鞭を叩きつけ続ける。グロンケンがそれに耐えていると、ボンヌイはムカデンダーに指示を出した。
『ムカデンダー、ズラスイマーを押さえつけろ!』
「ギュィイーーーッ!!」
ムカデンダーはズラスイマーの鞭めがけて自身の鞭をふるうと互いの鞭が絡まって動けなくなる。
「ギュゥーイィーーーッ!!」
「ギュィイーーーッ!!」」
ズラスイマーは鞭を封じられて怒ったように吠えると左腕の鞭を引っ張って解こうとするが、ムカデンダーも負けじと鞭を引っ張って解かせない。
「ギュィイーーーッ!!」
「ギュゥーイィーーーッ!!」
鞭を引っ張り合うズラスイマーとムカデンダー。その隙にグロンケンは立ち上がると、両脚と尻尾を使ってジャンプをすると、その勢いに任せてドロップキックをズラスイマーにお見舞いした!
「ギュゥーイィーーーッ!?」
「グォオッ!グォオッ!」
ムカデンダーに鞭を引っ張られていたズラスイマーは、グロンケンのドロップキックを受けて大きく吹っ飛ばされる。ムカデンダーはズラスイマーから鞭を外すと、口から糸を吐き出してズラスイマーを縛り上げた。
「ギュゥーイィーーーッ!!」
『いいぞ、そのまま動けないようにしろ!』
「ギュィイーーーッ!!」
ボンヌイの指示にムカデンダーは頷き、ズラスイマーを縛り上げる。ボンヌイはガンマシンを小型円盤に任せて縛り上げられたズラスイマーに円盤で向かうと、バトルナイザーをズラスイマーに向けた。すると、バトルナイザーから光が飛び出してズラスイマーに飛んで行きズラスイマーを光が包み込んだ。
「ギュゥーイィーーー………」
ズラスイマーはボンヌイのバトルナイザーの光に包まれると、その光に導かれるようにバトルナイザーの中に吸い込まれていく。ズラスイマーを吸い込んだバトルナイザーを見たボンヌイは、満足そうに頷いた。
『ふふふ……これでズラスイマーは、私のものだぁ!!』
「そ、そんな………!」
ボンヌイはバトルナイザーを高く掲げて高笑いをした。
つづく
第四十五話です。
・平和観音像防衛線回。クール星人らしく透明化や小型無人円盤を駆使したり、怪獣を上手く使ったりして意外と頭使う回になりました。
・ボンヌイの手持ち2体目はムカデンダー。ムカデンダーの特性なら地中で分離して何匹もいるように見せかける事が出来ると思い、頭脳派のボンヌイには丁度いいと思って選びました。
・ついに目覚めたズラスイマー。手に入れるには弱らせたり動き止めたりするのはお約束。
では、次回をお楽しみに。