ウルトラマンメビウス&ストライクウィッチーズ   作:オレの「自動追尾弾」

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第八話 慈愛の蒼い月

 

メビウス達ウルトラ兄弟のいる世界『M78ワールド』に来訪した春野ムサシと、彼に助けられたサーニャとエイラが、GUYSと合流した。

 

だが、それと同時に宇宙から宇宙大怪獣 ベムスターが襲来。さらに、それを守るようにマグマ星人ヴァルドスキーとイカルス星人ジュリコも巨大化して現れた!

 

苦戦するメビウスに異世界の青い巨人『ウルトラマンコスモス』も加勢しベムスターを鎮静化させたのだが、ベムスターは再び狂暴化して逃亡してしまった。

 

さらに、

 

「メビウ―――」

「ヒビノ隊員!!」

「!?」

「え………?」

 

倒れる2大ウルトラマンを前に坂本美緒が言ってしまった言葉が、ウィッチたちに波紋を呼ぶ………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「どういう事だ、カウント!」

 

その日の夜、アジトに使っている廃工場についたヴァルドスキーは、早々に怒鳴り込んだ。カウントは澄ました顔で紅茶を飲んでいたが、ヴァルドスキーは構わずに続けた。

 

「ウルトラマンがもう1人いるなんて聞いてないぞ!何者だアイツは!?」

「君の怒りはごもっともだ、ヴァルドスキーくん。私も知らなかったのだよ、どうやら、君たちの言う『アネゴ』とやらを追ってきたようですね。」

「え、姐さんを?」

 

カウントの言葉に、ジュリコが聞き返す。カウントはやれやれと頭を振ると、

 

「兎に角、今回あの青いウルトラマンに受けた光線のせいで、ベムスターには調整が必要です。最低でも3日はかかるかと―――」

「残念だが、そう悠長な事は言っていられない。」

 

カウントがそう言いかけた時、廃工場の入り口から声がした。振り向けばそこには、黒いテンガロンハットに薄茶色のポンチョを着込んだ男と、その背後には異形の宇宙人が立っていた。

 

「お前、ボルター!」

「ボルターさん、何の用です?」

 

ボルターと呼ばれたその男は、帽子の縁を指で押し上げる。鋭い目つきと左頬に傷を持った若い顔つきの男は、4人を見据えた。

 

「状況が変わった。明日、再びベムスターを出すぞ。」

「無茶を言わないでほしいですな。ベムスターに仕込んだ“アレ”の調整はかなり困難で……」

「ナックルと、リフレクトがやられた。」

 

カウントの進言を遮るようにボルターがそういうと、4人は息をのんだ。

 

「今日の午後の事だ。貴様らがあの時、ヴェネツィアで巻き込んだ『ウィッチ』とか言う小娘共や地球人に邪魔された様だ。」

「まさか、あの2人が………!」

「悪いニュースがもう1つ、「惑星グルータス」にいるカタン星人達との通信が途絶えた。こちらも地球人や別次元のウルトラマンの姿が確認されている。状況は、はっきり言って最悪と言っていいだろう。」

 

吐き捨てるボルターに対し、信じられない表情のカウントたち。静まり返った廃工場で、再度口を開いたのはヴァルドスキーであった。

 

「じょ、冗談じゃねえ!宇宙警備隊だけでも厄介だってのに、これ以上ウルトラマンが増えられちゃあ命がいくつあっても足りやしねえ!オレ様は降りるぞ!」

「俺もだ。あんなハシタ金で、これ以上命ははれなイカらな!!」

 

ヴァルドスキーとジュリコはそう言って廃工場を後にする。ボルターは帽子をかぶり直してやれやれとため息を吐くと、カウントが声をかける。

 

「追わなくて、いいのですか?」

「構わん。所詮は金で雇ったアウトローどもだ。無理やりや従わせては、作戦に支障が出る。」

「確かに。では、明日の出撃には「バトラー」を向かわせましょう。手負いのウルトラマン達には、十分すぎるくらいです。」

 

カウントがそう言うと、控えていた執事・バトラーが会釈をした。

 

 

 

「キュ~~~………」

 

 

 

異次元の狭間に、ベムスターの苦しげな声が響いていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第八話 慈愛の蒼い月

 

宇宙大怪獣 ベムスター

異次元怪異 ネウロイ(GX‐04)

怪異変形獣 ネウロイ(GX‐04β)

宇宙超人 スチール星人バトラー

マケット怪獣 アギラ

登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は多少前後して、CREW GUYSジャパン基地フェニックス・ネスト

 

「ベムスターと2大宇宙人の行方は、依然不明。現在、急ごしらえではありますが、次元観測装置による調査が進んでいます。」

 

ディレクション・ルームでは、ミサキ代行がベムスターたちの捜索状況を報告する。次いで、カナタが報告をする。

 

「春野さんは肋骨2本にひびが入っているのと全身に打撲と擦り傷で、少なくとも3日間は安静、ミライさんは疲労で寝込んでいますが、芳佳ちゃんの治療があったおかげか、2人とも命に別状はないそうです。」

「そうか………」

 

カナタから2人の容体を聞いて、リュウは腕を組んで深刻そうな顔になる。

 

医療室の集中治療室のガラスの向こうにあるベッドには、それぞれ包帯だらけのムサシと、点滴を打つミライが眠っている。芳佳とサーニャはガラスに張り付いて、ソファーに座るエイラが心配そうにそれを見つめていた。

 

皆が押し黙る中、戸惑いながらもペリーヌが美緒に問う。

 

「あの、………少佐はいつから気付いていたのですか?ヒビノさんがその、ウルトラマンであると………?」

 

ペリーヌの問いに、一同の目が美緒に集中する。美緒は少し迷うもそれに答えた。

 

「………1週間前、陸戦型ネウロイのコアを探っている際に、偶然、ヒビノ隊員がメビウスに変わる瞬間を見てしまったのだ………」

「あの時、か……」

「少々うかつでしたね。まあ、ウィッチの能力をちゃんと認識していなかった我々にも非はありますが………」

 

美緒の言葉にリュウは額に手をやり、トリヤマも自分たちの認識の甘さを反省する。その様子を見たリーネが、ある事に気づいた。

 

「え?………あの、アイハラさんたちは、ミライさんがメビウスって知っていたんですか?」

「「………あ。」」

 

一拍おいて、自分のミスに気づきしまったと口を押えるリュウとトリヤマ。あっけに取られるウィッチ一同と、何やっているんですかとトリヤマに突っ込みを入れるマル。少し間を置いて、ペリーヌがため息をついた。

 

「………その様子ですと、何やら事情がおありのようで……」

「あ、えっとその………スマン。」

「いや、私たちも責めている訳では………」

(もしかして、最近少佐が何か悩んでいたのって………)

 

美緒の悩んでいた事に気づいたリーネであった。すると、治療室から通信回線が開き、エイラの顔が映った。

 

[エート、………これでいいのか?ちゃんと繋がってる?]

「………あー、エイラっつったか?ちゃんと繋がっているぞー?」

[ああ、良かった、初めてで分からなかったから……こちら医務室。2人が目覚めたゾ!]

「本当か!」

 

初めての通信機を使った為か、若干不安そうであったもののエイラの報告を聞いてディレクション・ルーム内に喜びの表情が浮かんだ。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

ムサシが目を覚まし、痛む体を起こすと、そこは集中治療室のようであった。自分の隣のベッドにはミライが寝ており、廊下側の窓を見ると、芳佳とサーニャが安心した顔を見て、自分に起こった事を思い出した。

 

「………そうか、僕はあの時………」

「ムサシさん………!」

 

ムサシが思い出していると、治療室のドアが開いてサーニャが入ってくる。

 

「サーニャちゃん……うぅっ!」

「まだ無理しないでください。」

 

胸が痛んだのか、苦痛の表情になるムサシ。サーニャと芳佳がベッドに寄るとムサシは再び横になり、2には心配そうに見る。ムサシは笑って大丈夫と返すが、無理をしている事は明らかであった。その時、隣のミライも意識を取り戻したのか、軽く声を出してゆっくり起き上がった。

 

「ううん、………」

「!?ミライさん!」

 

それに気付いた芳佳がミライの傍へ寄る。エイラがディレクション・ルームと通信する中、ミライは芳加とサーニャの気まずそうな様子に、何か気づいたようだ。

 

「………そうか、知っちゃったんだね。」

「ミライ、さん、……その………」

「いいんだよ、芳佳ちゃん、言わなかった僕も悪いんだから。」

「いえ、あの、少しショックでしたけど、メビウスの正体がミライさんだって知って、ちょっと、ほっとしたと言うか、何と言うか………」

 

しどろもどろながらも芳佳は自分の気持ちを述べた。ミライはそんな芳佳に微笑みかけ、

 

「大丈夫だよ。」

「え?」

「僕は、僕だから。」

「ミライ、さん………」

 

優しくそう話すミライに、芳佳は涙腺が少し緩んだ………

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「―――では、お二人は春野さんがウルトラマンであると、知っていたのですわね?」

 

翌朝、朝食の席でペリーヌらウィッチたちはサーニャたちとムサシの事で話をしていた。

 

「うん、ムサシさんとウルトラマンコスモスが一体化して、変身したのを見たの。」

「それで……」

 

食パンにジャムを塗りながら、サーニャの説明に頷く芳佳。そこに、エイラが続けた。

 

「コスモスの話では、ムサシさんたちのいた宇宙中で奇怪な事件が起きていて、仲間の「ジャスティス」っていうウルトラマンと一緒に調べていたそうだ。そんな時に、遊星ジュランで、ムサシさんの友人が攫われたンダ。」

「コスモスは、その攫ったロボットの裏にこの異変の元凶があるとにらんで、元の世界をジャスティスと、『もう一人の友人』に任せて、私たちと共にこちら側の世界に来たの。」

「そうだったんだ………」

 

サラダを刺したフォークを口に運びながら頷くリーネ。それはそうと、とペリーヌが席を見渡して、

 

「坂本少佐は、まだ来ないのですか?」

「あ、はい……何か、考え事していたみたいですけど………」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

「フッ………!ハッ………!」

 

その頃、美緒はGUYS基地の敷地内で素振りをしていた。何かに憑かれたかのように一心不乱で木刀を振り続けており、体中汗まみれであった。

それからしばらく素振りをしていた美緒だったが、しばらくすると木刀をおろし、息を整え始めた。

 

「はぁ………、はぁ………、………」

「いやあ、朝から感心ですな、少佐殿!」

「………トリヤマ補佐官………」

 

声を掛けられて振り返ると、今来たと思われるトリヤマ補佐官が、笑顔で歩み寄って来ていた。木刀を下げて礼をする美緒にトリヤマは大丈夫だというと、美緒の隣に立った。

 

「ですが、妙に力が入りすぎているようでしたな。」

「何……?」

「こう見えても私、剣道の段を持っていりましてな。何か、お悩みの様子で。」

 

やわらかい物腰でそう聞く補佐官。この男、一見軽そうに見えてなかなか鋭い。

 

「………ヒビノ隊員の正体を最初に知り、戸惑っていました。」

「ふむ?」

 

少し間をおいて、美緒は話し出した。

 

「出会って少ししかたっていませんでしたし、宮藤たちは既にあっていたようですが、そんな人物を、直ぐには信用できないという事もあったのでしょうが、どう接していいか、悩んでいて………ただ、その本人に悩みがあるなら聞くといわれた時には、非常に困ったのですが………」

「………」

 

苦笑する美緒。トリヤマには、その時の情景が安易に想像できた。確かに、彼ならば言いそうである。

 

「数日の間は、少し距離を置いていたのですが………来たばかりのペリーヌを、彼なりに気遣っている事や、我々を帰還させる事を心配している事を知ったりして、なんとなくですが、彼の性格を知って………それで、余計にどう接していいのか分からなくて………」

「………なるほど。」

 

トリヤマは、美緒の悩みを聞いて頷いた。

 

「少佐殿の見た彼が、どの様に映っているか、ワシには分かりかねますが、」

 

ふと、トリヤマは話し始めた。

 

「私の知っているヒビノ・ミライという青年は、誰より一生懸命で、誠実で優しい男であり、ウルトラマンである以前に、私の部下でもあります。」

「………」

 

そうだ、と美緒は思った。自分は、メビウスであると知る前のミライの事を思い出す。自分に優しく、真面目に接してきた彼のあの姿は、ウルトラマンであっても変わらないのだと思った。

少しすると、美緒は笑顔でトリヤマに向き直った。

 

「………ありがとうございます、補佐官。」

「いや、私は何も。」

「いえ、私はもしかしたら、誰かに聞いてもらいたかったのかもしれません。それでは。」

 

そう言って美緒は頭を下げると、その場を立ち去った。

 

「やれやれ、副隊長といっても、まだ若い。若い者は、悩みが尽きないからな。」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「しかし、しばらくは安静って言われていたのに、もう動いて大丈夫とは………」

「芳佳ちゃんの治癒魔法があったとはいえ、すごい生命力ですね。」

「うん………僕がいた「EYES」のカワヤっていうお医者さんにも、「ウルトラマンモス健康体」って言われた位だからね。」

「何と言うか、割と笑えない冗談だな、ソレ………」

「あはは………」

 

少しあきれ気味に言うリュウと、苦笑するムサシとミライ。

コスモスと一体化している影響なのか、ムサシは予定より遥かに早く回復し、芳佳たちと共にディレクション・ルームへと入った。

 

「こんな怪獣たちと、戦っていたんだ。」

「見ろよサーニャ、変な鼻ダナーコイツ!」

「こらこら、遊ぶんじゃないぞー?」

 

司令室に入ると、席に備え付けられたPCの画面を食い入るように見るサーニャとエイラの姿があり、モニターにはラッパのような鼻とランプの様な赤い眼が特徴的な怪獣が映っていた。ふと、リュウは疑問に思った。

 

「えーと、一つ聞いていいか?」

「あ、隊長。今、2人に、アーカイブの閲覧方法のレクチャーを…」

「いや、それは良いんだけど………」

 

その姿を見たリュウが、不思議そうにしていると、エリーたちは首をかしげる。

 

「何で、ZATとMACのユニフォーム着てるんだ?」

 

リュウの言う通り、サーニャは青を基調としたZATの、エイラはシルバーとオレンジのMACのユニフォームをそれぞれ着ていた。

 

「ええと、実はこれ、マリさんが着てくれって。」

「ほら、サーニャちゃんたち、着の身着のままでこっちに来ちゃったじゃないですか。だから、私が持っていたのを少し改修して着せてみたんです。」

「だからって、何で歴代の防衛チームの制服を………」

「似合うと思ったからです!」

 

リュウの疑問にキリッとドヤ顔で答えるマリ。どうやら、彼女の趣味でチョイスしたらしい。

リュウが顔を引きつらせていると、オレンジ色が目を引く科学特捜隊のユニフォームに身を包んだ美緒が入ってきた。

 

「遅れてすまない。」

「少佐まで………」

「割と似合っているのが、何とも………」

 

ナチュラルに科特隊のユニフォームを着こなす美緒に少し呆れるペリーヌと芳佳。美緒が首を傾げていると、リュウが咳払いをして全員が向き直った。

 

「それで、ベムスターの行方はつかめたか?」

「いえ。次元観測装置にも反応は無く、GUYSスペーシーの観測衛星にも引っかかっていません。」

「一旦別次元に逃げ込まれると、厄介だな………」

 

エリーの報告に顎に手をやりながら悩むリュウ。それと、とエリーがキーボードを操作しながら報告する。

メインモニターにベムスターの画像が表示されると、体内をスキャンした画像に移り変わり、腹部に何やら金属のようなものがある事が表示された。

 

「昨日のベムスターを解析してみたのですが、どうやら体内に『異物』が混入しているようなんです。」

「異物?」

「もしかして、昨日コスモスの技が通じなかったのは………?」

「それが原因って事ですね!」

 

エリーの報告にリーネが声を上げる。その「異物」を取り除く事が出来れば、ベムスターを無力化出来るやもしれない。ただ、

 

「問題は、当の大怪獣さんが出てこない事だな………」

「今は、向こうの出方を待つしかないか………今のうちに、除去の方法を―――」

 

リュウがそう言いかけた時、ディレクション・ルーム内に警報が鳴り響いた。

 

「次元観測装置に反応あり!」

「おいでなすったか!?」

 

全員が慌ただしく配置に就く中、エリーが報告をする。観測された地点は都市のど真ん中、しかも、昨日よりも低空であった。

 

[ピヤアアーーーーー!ピヤアアーーーーー!]

 

出現したベムスターは甲高い声で叫びながら、まだ避難警報の準備すらできていない都市部をレイホーンからの光線で破壊し始めた!

 

「倒すしかないのか………!?」

「出撃する。芳佳、お前にこれを預ける。」

「え?」

 

そう言ってリュウは、芳佳に緑色のカプセルを手渡した。すると、ムサシがリュウに抗議をする。

 

「待ってくれ!」

「ムサシさん?」

「コスモスなら、ベムスターの体内から操っているモノを取り除ける!だから………」

「街が大変な事になってんだ!そんな事言ってる場合じゃねえだろ!!」

 

ムサシの言葉を遮りるようにリュウが叫ぶ。ムサシが押し黙ると、リュウはムサシに向き直った。

 

「これ以上、被害を出さないためにも、俺たちはベムスターを倒さなきゃならないんだ!」

「リュウさん………」「アイハラ隊長………」

 

リュウはそういうと、ヘルメットを手に取って隊員たちを見渡した。

 

「現場に到着するまで、『3分』はかかる。芳佳は、ミライたちの体調がまだ万全じゃないだろうからこっちに残ってくれ。GUYS,SARRY GO!!」

「「「G.I.G.!!」」」

 

一同が号令し、出動をした。残された芳佳はムサシを心配そうに見るが、ミライがムサシの肩をたたいた。

 

「行きましょう、ムサシさん。」

「ミライさん?」

 

芳佳が不思議そうにしていると、ミライは笑いかけて

 

「折角リュウさんが、『3分かかるから、何とか出来るならその内にやれ』って言ってくれたんです。それを無駄には出来ませんよ。」

 

芳佳がはっとする。ムサシはミライに頷くと、ディレクション・ルームを飛び出した。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「ピヤアアーー!ピヤアアーー!」

 

ベムスターの攻撃により、都市部のあちこちから火の手が上がる。その中のあるビルの上で、カウントとバトラーは宇宙大怪獣の暴れる様を見ていた。

 

「ふーむ………ボルターさんに急かされて無理やり出撃させましたが、やはり制御がききませんな………」

「………」

 

カウントがやれやれと溜息をつくが、バトラーは興味なさそうに無表情である。そんな中、カウントは空から青い光が飛来してくるのに気が付いた。

 

「ピユウ!?」

『フウッ、ハァアッ!!』

「現れましたね、ウルトラマンコスモス。」

 

青い巨人、ウルトラマンコスモスの出現に驚くことなく、カウントはバトラーに目をやった。バトラーは小さく頷くと、その姿を異形に変えて巨大化した!

 

「え!?」

「あれは………!?」

 

一方、戦闘区域まで来た芳佳とミライは、ベムスターとコスモスの間に現れた宇宙人に驚く。

「凸」の形をしたロボットのような頭部の3方向には赤い丸鋸のような部位が付き、黄色い体にも銀色のトゲがいくつか生えていて、異様に長い両の人差し指が特徴の宇宙人だ。

 

『わが名は、スチール星人バトラー。』

『スチール星人だと………!?』

 

芳佳も、メモリーディスプレイで確認した。『宇宙超人 スチール星人』、ドキュメントTACによれば、当時ブームになっていたパンダのグッズを片っ端から盗み、挙句中国から本物のパンダまで盗んでしまったという宇宙人だが、その戦闘力は侮れない。

バトラーはベムスターに並び立つと、額から炎を出して攻撃をする!

 

『グゥウ………ハァアッ!』

『おっと。』

 

コスモスは炎を避けるとバトラーに接近しようとするが、バトラーはベムスターの背後に回ってしまう。コスモスがそれにより攻撃を止めた隙に、ベムスターのレイホーンの光線が放たれ、コスモスに直撃してしまう!

 

『グァア………!』

「ムサシさん!」

 

倒れるコスモスを見て、芳佳が悲痛な叫びをあげる。2対1、しかもコスモスは昨日の戦いのダメージがまだ回復しきっていない不利な状況だ。何かできる事はないか、芳佳が考えていた時、ミライが声を上げた。

 

「芳佳ちゃん、さっきリュウさんに渡されたマケット怪獣!」

「え?ああ、そうか!」

 

ミライにそう言われて、芳佳は先程リュウに渡された緑色のカプセルを取り出した。恐らくリュウは、この為に渡したに違いない。

 

「リュウさん!」

[もうそっちに着いてんだな。メテオール、解禁!]

「G.I.G.!」

 

解禁の許可を得ると、芳佳はカプセルをメモリーディスプレイにセット、コスモスに迫るバトラーに向けてトリガーを引いた。

 

《REALISE.》

『む?』

 

現れたのは、恐竜のプロトケラトプスに近い外見の2足歩行型怪獣で、額の一本角と半開きの眼を持った、グレー色の怪獣だ。

 

「ギョオギャアアアーーー!ギョオギャアアアーーー!」

「アギラ、スチール星人を止めてくれ!」

 

ミライの指示を聞いたマケット怪獣、レジストコード『アギラ』は、襟巻をピクピクと動かして気合を入れると、バトラーに突っ込んだ!

 

『ぐお!?こ、コイツ………!』

「ギョオギャアアアーーー!」

「今だコスモス!」

『………すまない!』

 

アギラによってバトラーが遠ざけられた隙にコスモスは起き上がると、ベムスターに向き直る。

 

「ピヤアアーーー!ピヤアアーーー!」

『フゥッ、フッ!』

 

コスモスは暴れるベムスターの放つ光線をバリアで弾くと、目から透視光線『ルナスルーアイ』を放つ。すると、腹部に「黒い金属の塊」のような物を発見した。

 

『フゥウッ、ハァアアアアア………』

パァアアアアアアアアア

「ピヤア………」

『何!?』

 

コスモスは胸の前に手をやって優しい虹色の光を放つエネルギーをためると、右手を突き出してベムスターに照射した。すると、腹部の「吸収アトラクタースパウト」が大きく開き、体内から金属の塊を吐き出した!

 

「あれは!?」

 

吐き出された塊は、中央に2つの球体が刺さった棒状の胴体を持ち、4方向に伸びたパイプ状のパーツでリングを繋いだボディをベムスターの体液で濡らしたネウロイであった。

 

「キイイイーーーーーー!!」

「ネウロイをベムスターに飲み込ませて、無理やり従わせていたのか!」

『おのれえ!!』

「ギョオギャアアアーーー!」

 

バトラーはアギラを突き飛ばし、消耗して倒れたベムスターを気遣うコスモスを襲おうと向かっていく。だがその時、突如としてバトラーの背が火花を散らした!

 

『グゥウ!?』

「スチール星人とベムスター、それにネウロイを確認!」

「ベムスターの方は沈静化されているな………ウィッチたちはネウロイを撃て!」

『了解!!』

「キイイイーーー!」

 

振り返ったバトラーが見たのは、集結したガンマシンとウィッチたちの姿であった。5人のウィッチはネウロイの方へと攻撃を開始し、ネウロイは独楽のように回転しながら赤いビームを放つ。

 

「ギョオギャアアアーーー………」

《BANISH.》

 

制限時間となりアギラが霧散すると、バトラーはガンマシンの集中攻撃に対して3つの円盤パーツから光線を発射、3機のマシンが散開して回避をすると、バトラーはベムスターを庇うコスモスへと向かう。

 

「待ちなさい、バトラー。」

『!?』

 

だが、その進行をひと声で妨げる者がいた。彼の主人、カウントその人だ。

 

「ベムスターは、捨て置けばよいです。あなたは邪魔な地球人を打ち落としなさい。」

『し、しかし、カウント様………』

「ご安心を。コスモスの相手は、もう決まっています。」

 

バトラーが首をかしげる中、ガンウィンガーを駆るリュウは、動きの止まったバトラーに迫る。

 

「スチール星人の動きが止まった!今だ!」

「G.I.………!?待ってください、あれは!?」

「何!?」

 

カナタが見上げた先には、ウィッチ達に追われるネウロイの目の前に、大型の円盤が横から飛んできた所であった。

慌ててアーカイブから、同型の円盤が無いか検索するカナタ。すると、『ドキュメントUG』に、同型機の記録があった。

 

「あれは、イカルス星人の円盤です!」

「何!?」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

一方その頃、ヴァルドスキーとジュリコのコンビは、円盤に乗って地球脱出を試みていた。

 

「あーあ、ワザワザ地球まで来たってのに、こんだけぽっちの稼ぎかよ………」

「でも、前金だけでもこれだけあるなら、半年は遊んで暮らせるんじゃなイカ?」

「だがよお、これだけ持って帰っても、アネゴに何言われるか分からないぜ?」

 

公用宇宙語で書かれた小切手をヒラヒラと振りながらふて腐れるヴァルドスキーに対し、操縦桿を握るジュリコは左程気にしている様子はなかった。

 

「まあ、その辺は追々考えるとして、どうだ、帰りに土星でおでんでも食べてかなイカ?」

「お、いいな。奢ってくれんだろ?」

「いや、あのワリカンで………」

 

ジュリコが慌てて言い直そうとしたその時、機体に重い衝撃を受けて、2人は一瞬跳ね上がった。

 

「何事だ!?」

「き、機体に何かぶつかったみたイカ………!?」

 

ジュリコが期待のセンサー類を確認していると、コックピットの各所から黒い触手のような物が伸びてきた!

 

「おおおい!?どうすんだコレ!?」

「この円盤はもうイカん!脱出!!あ、ポチッとな。」

 

計器類を見て円盤が墜落すると察したジュリコがスイッチを押すと、転送装置が作動し、2人は円盤から脱出した。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「何だと!?」

「これは………!?」

 

ネウロイを追って飛んでいた美緒達ウィッチーズは、目の前に現れた円盤に取り付き、同化を始めたネウロイに驚きを隠せなかった。見る見るうちに円盤をその身に吸収していくネウロイを見て、かつての光景、暴走し、赤城と同化したウォーロックの姿が脳裏に蘇る。

 

「宇宙人の円盤に、同化していくだと………!?」

「…!待ってください!あれは!?」

 

だがその時、ペリーヌは円盤がグネグネと変化していることに気付く。

円盤から角が3本生え、胴体が5方向に伸びて星型になったかと思うと、うつろに光る眼と尖った嘴を持った大きな頭と鋭い爪を持った細長い腕、そして腹部に六角形の器官を持った姿へと変貌したではないか!

これはまるで………

 

「まるで、まるでベムスターではないかッ!?」

「クァアアアキイイイーーー!!」

 

ベムスターのような姿となったネウロイは高速でウィッチたちを掠めて降下をすると、ベムスターを庇うコスモスの元へと降り立った。

 

「クァアアアキイイイーーー!!」

「ピヤ!?」

『何………!?』

 

突然現れたもう一体のベムスターに驚く一同。間近にいたミライは、ひと目見て何故そのような姿になったのかを察し、リュウに通信を入れた。

 

「リュウさん、おそらく、宇宙人たちの狙いはこれだったのです!」

[どういう事だ?]

「ベムスターの体内にネウロイを潜ませて従わせていただけでなく、体内から細胞組織を解析させて、ベムスターの姿と能力を模したのです!」

「じゃあ、光線やミサイルの吸収も………!?」

 

隣で聞いていた芳佳が聞くと、ミライは頷く。ネウロイはバトラーと共にコスモスとベムスターに迫っていた。

 

「でしたら!」

 

コスモスの危機に、ペリーヌがネウロイに向けて降下する。狙うのは、その背中だ。

 

「ベムスターと同じ能力ならば、背後は無防備でしてよ!」

 

そう、昨日の戦闘時にベムスターの弱点は背後であると聞いていた。故に、同じ能力を持つネウロイも同様であると、ペリーヌは確信していた。

だがその時、エイラの持つ「未来予知」の魔法が、ペリーヌの危機を告げた。

 

「ペリーヌ、逃げロ!!」

「え!?」

「クァアアアキイイイーーー!!」

 

エイラの忠告が聞こえたのも束の間、何と、ネウロイの背中が赤く光り、無数のビームが背後に向けて放たれた!ペリーヌは慌ててシールドを展開しつつ後退、ネウロイから遠ざかる。

 

「背中からビームを………!?」

「ヤロー、本家と違って、背後の弱点を克服してやがる!!」

『形勢逆転、だな。』

 

ネウロイの思わぬ攻撃に驚いていると、バトラーが再度、コスモスに迫る。その時、ベムスターを庇うコスモスのカラータイマーが赤く点滅を始める。限界時間が迫っていた。

 

「………」

「行くんですね、ミライさん。」

 

決意を固めた目をするミライを見て、芳佳は聞く。ミライが小さく頷くと、芳佳は手を握り締めた。

 

「あの、私、何て言えばいいのか、分からないけれど………」

「芳佳ちゃん………」

「あの、………ムサシさんの、みんなの事を、お願いします………!」

「………ああ!」

 

ミライはそう返事をすると、左腕を構えた。そして左腕に光が集まり、赤に金色のラインが光る『メビウスブレス』が出現する。ミライはブレスの中央にはめ込まれた球状のクリスタルに右手を当てると一気に振りおろして回転させ、左腕を突き上げ、叫んだ。

「メビウゥゥウウウウウウウス!!!」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

『む?』

「キィイー……」

「あれは………!」

 

コスモスの目の前に、メビウスの環の軌跡を残しながら金色の光が舞い降りる。赤いラインを走らせた銀色の身体、頭頂部とこめかみには後方に伸びるヒレ状の突起を持ち、胸にはひし形の『カラータイマー』を青く光らせ、左腕に『メビウスブレス』がきらりと輝く。

 

『現れたな、ウルトラマンメビウス!』

「クァアアアキイイイーーー!!」

「ヒビノ隊員………!」

「ミライさん………!」

 

バトラーが意気揚々と叫び、ネウロイが雄叫びを上げ、5人のウィッチがその姿を見つめる中、ウルトラマンメビウスは、拳を作った左手を上に、開いた右手の指先をバトラーに向けた構えを作り、叫んだ。

 

『セヤァッ!!』

 

 

 

 

 

つづく




第八話、『コスモス篇』の中篇です。

ボルター登場。活躍はもう少し後になるかと思います。惑星グルータスはアンドロメロスに登場したグルータス星に由来。

スチール星人バトラー登場。名前は執事の英語から。スチール星人って、ヤプールと無関係という、「A」では珍しい宇宙人なんですよね。

アンデレスホリゾントで未遂に終わってしまったマケットアギラ登場。鳴き声はにせセブン時に再登場したものを意識しています。

ベムスターの体内に潜んでいたネウロイは、「帰マン」でベムスターが飲み込んだMAT宇宙ステーション、変形態および鳴き声は「タロウ」の改造ベムスターがモデル。最初はベムスターから出てすぐに変形する予定でしたが、怪獣の体内に入るサイズだと大きさが合わないのでジュリコの円盤と融合させました。

次回はコスモス篇後編になります。

では。
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