いかに太陽のない時間帯であっても、人は月明かりで生活を営むことが出来た。手元をよく光らせる、小さな太陽がまだ発明されていなかったころ、新月の日とはまた恐ろしくも早く床に就くべき暗がりの日であった。古き昔の英霊にとって、今宵、月明かりのない日に当たり前のように街灯が道路を照らすのはどのような気分なのだろうか。
「なあ、キャスターは聖杯に何を願うんだ?」
聖杯戦争において当たり前の理由。他の英傑を退けてでも叶えたい願いがこのサーヴァントにもあるはずだ。正義の英霊であれば、平和を願うだろうか。王たる英霊なら永遠を願うだろうか。世界に未練のある英霊は破滅を願うだろうか…
「そうだな…。特にないと言えばないんだろうが、まあ強いて言うなら人が夢を見続けられる世界を望むだろうな…」
「へえ、女関係だと思ってたが、割とまともな願いなんだな」
「英霊だからな。未来に希望を持ってるんだぜ。これでも」
未来…。彼のことを近代的な英霊だと思ってたが割と古い英霊なのかもしれない。彼が生前見た夢とはどんなものだったのだろう。
「きっと、素敵な世界になるさ。…多分」
「はっはっは。まあ、世界が絶望色だけしかなくなるなんてそうそうねえよ。この星が戦火に巻かれて黒い煙が空を覆ったとしても、その上にはちゃんと空が、美しい空があるらな。上だけ見てりゃあ、絶対空が見える。……あっ、太陽が滅んだ時とかは別だぞ」
俺はこの英雄を召喚した。未来に光を求める過去の残像を。聞くに触媒無しの召喚では、自分と精神性の似通った英霊が召喚されるらしい。俺にも、誰かに語れる夢があるのだろうか…。魔術師として、自分の出自を憎んでしかいなかった男がいつか、自分の、自分だけの夢を誰かに語れるようになるのだろうか。…それはきっと素晴らしい事なのだろう。
「おっと、昭義。注意しな。お客さんが来なすったぜ」
ランサーなのだろうか。槍と盾を持った闇に蕩けるような黒い肌の青年が、こちらを見据えて近寄ってくる。
「サーヴァント、キャスターとそのマスターだな。では構えろ。殺してやろう。我が真名はシャカ。ズールー族の長だ。誇り高き戦士だ」
うわあ、真名言っちゃったよこの人。まあ、シャカって、ゴーダマシッダぐらいしか知らないけども。知らないけども!ていうかどうしよう今バーサーカ達と待ち合わせしていたからキャスターしかいないし…三騎士にも勝てる…よな。
「落ち着けよ。昭義。大丈夫、俺がついてる。ライダーの時みたいにうまくはいかないかもしれんが、まあ大丈夫さ」
「笑止。キャスター如きに我に勝てる所以はない。では、参る!!」
ランサーが突っ込んでくる。まるで雄牛のような迫力だ。まともに食らえばただでは済まないだろう。
「『もてなし』!!」
キャスターがバッジを取り出し、投げる。極度の魔力を帯びたソレは満月色の光を発し、ランサーの洗練された突きをいとも容易く相殺した。
「ふん。魔術師のクラスが我が突きを受ける術を持ち合わせているとはな」
「生憎、まだくたばる訳にはいかないんでね」
刹那、ランサーから殺気が零れる。憎悪の類の粘っこく、中々堕ちない殺気だ。熱き情熱が彼の槍を朱く染め上げた。不気味なほどの殺気が空気を沸騰させる。
「では、疾く死ね。宝具を開帳してやろう『
――我が生涯に正しき愛などない。母を敬愛していたが彼女の愛は贖罪だったのだろう。妻を溺愛していたが彼女の愛は恐怖からくるものだったのだろう。憎め、恐れろ。蹂躙だ。殺せ。殺せ…これは
「オオオオオォ!!侵…略ゥ!虐殺!この世界に
世界が、変わった。朱色に染められていく。
CLASS:ランサー
マスター:???
真名:シャカ・ズールー
性別:男性
身長・体重:185*89
属性:秩序・混沌
筋力A 魔力D 耐久C 幸運E 敏捷EX 宝具B+
クラス別能力
対魔力D: 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。魔力避けのアミュレット程度の対魔力。
保有スキル
戦闘続行D:往生際が悪い。
仕切り直しB:戦線から離脱し、軍を立て直すことに特化している。
狂化B:彼の半生は狂気に満ちていた。自身の真名を勝手に明かしたりする。
軍略C:軍を率いる才能
カリスマ(偽)A:彼の部下は彼と志を共にしなければならない。
宝具
???
???
???
第六話でした。これでサーヴァントは全員登場したかな。真名当て、楽しんでください。アーチャーとアサシンは情報が少ないからこれで解ったらすごいと思います(こなみ)