書こうか?
書こう
書こう
そういうことになった
神々はサイコロを振る
もしも、新人の女魔術師が
些細な違い。
ほんの僅かな差異。
新人の剣士、女武闘家、そして女魔術師の
「……念のため、買っておこうかしら」
剣士に比べれば、魔術師は装備にかかる金が少ない。
そんな、大したことでもない、『サイコロの目が悪くなければ』思いつく程度のこと。
すぐに使わなくても、いつか必要になるかも。
少ない予算から解毒剤の費用を捻出する決断ができるかどうか。
サイコロ次第。
サイコロ次第。
6面体が2つ。
目標値は合計5。
平均未満。運が悪くなければ、他愛なし。
そんな些細なことが生死を分けると、ベテランの冒険者であれば、誰だって知っている。
新人は知らない。
知らずに死ぬか。
生きて知るか。
生きるも死ぬも、サイコロ次第。
疑問を持つな、ただ祈れ。
祈りが届くかも、サイコロ次第。
これは、サイコロの目が悪くなかった、可能性の話。
ごぼり、と。女魔術師は、血泡を吐き出した。
全身がひどく熱い。痙攣が止まらない。ローブを湿らせる汗が、気持ち悪い。
毒だ。
熱と頭痛で千々に乱れる思考が、それでも答えに辿り着いたのは、学院で培った頭脳故か。
あるいは、走馬灯の中に見つけた、解毒剤を買った時の記憶故か。
それとも、剣士が、女武闘家が、文字通り身を呈して時間を稼ぎ、女神官が少しでもゴブリンの群から距離を稼いでくれたからだろうか。
「……ァ……
「っ! わ、分かりました!」
《
鞄を持っていない女魔術師が、1つだけ買った解毒剤をとりあえず差し込んだ腰帯。
そこから抜き取った小瓶の中の水薬を、女神官はできるだけ素早く、けれど、溢さぬよう慎重に、女魔術師の口に注ぐ。
息が詰まり、舌が震え、全身が痙攣し、熱が出て、意識が混濁する。
それでも、生きたい。
死にたくない。
薬を飲み込むのは、こんなにも困難な行為だっただろうか。
喉に全神経を集中させなければ、思わず吐いてしまいそうだ。
だけど、飲み込まなければ、死ぬ。
こんなところで。
まだ何も成し遂げていないのに。
ゴブリンなんかのせいで。
死ぬ。
嫌だ。
そんなの、嫌だ。
必死になって、水薬を飲み干す。
解毒の効果か、少しずつ、痙攣と熱が納まり、呼吸が戻り始める。
そのことに、死にかけていた女魔術師も、容態を見ていた女神官も、揃って安堵した瞬間。
女神官の左肩に矢が突き立った。
悶絶する彼女に、2匹のゴブリンが近づく。
にやにやと、涎を垂らして、厭らしく。
少女たちをなぶり、そして殺そうと。
女魔術師を庇おうと抱き寄せる女神官の身体から、恐怖による震えが伝わってくる。
同じ恐怖で、女魔術師の身体も、震えが納まらない。
毒のせいでまだ混濁した意識では、魔術は使えない。
あと1度、《
せめて1匹は、仕留められるのに。
毒で死ぬのを回避できて、ようやく、生きられると思ったのに。
女魔術師は、術が使えない。
女神官は、懸命に、すがるように、地母神の名を唱えた。
少女たちに、救いはなかった。
だが、闇の奥に、ゴブリンの破滅は、確かにあった。
彼は世界を救わない。
彼が何かを変えることはない。
そして、彼は決して、神々にサイコロを振らせようとはしない。
彼はただ、ゴブリンを殺す。
以降はプロットすらありません!
何か受信したら書きます!
女魔術師の弟登場まで到達するのいつになるやら!
ちなみに、漫画版ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン第2話の買い物シーンを見るに、解毒剤と治癒の水薬1つずつで金貨2枚っぽいです
姉が遺した財布に金貨が十数枚(小説版同シーンに記述)ってことは、そんな高価でもない模様
なのに「薬買う金も無い」って剣士お前……そら死ぬわ新人一党 (-人-)