女魔術師と解毒剤の水薬   作:ダラ毛虫

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今回も地味ぃな原作改変があります

あとお風呂(サウナ)回です
お色気描写は俺には無理だがね! だからちょこちょこネタに走るよ! すまんな!




前話でハインツ・ベルゲさんから、「至上の存在」ではないかと誤字報告いただきましたが、小説版漫画版共に「史上」と記述されていたため、「歴史に名を刻んだ」という意味合いと解釈し、「史上」とさせていただきました




一時撤退・突入準備

 聖光(ホーリーライト)の光源を尾に点けた白い沼竜(アリゲイタ)がゴブリンを噛み千切っていく様子を、脇道の暗がりに蹲りながら、冒険者たちは眺める。

 

 船の作り方と使い方を学習したゴブリンが、しかし、沼竜の存在を知らない。

 その不自然さから、ゴブリンスレイヤーは結論を出した。

「この小鬼禍(ゴブリンハザード)は、人為的なものだ」

 黒幕を見つけ出して、頭を叩き、潰す。ゴブリンを皆殺しにするのは、それからだ。

 そう方針を定め、徹底してゴブリンとの遭遇を避け、探索を進める。

 汚水の川上へ向かい、地下墳墓(カタコンベ)、神代の戦争で、秩序の勢力として戦った人々の墓、そして、今となってはゴブリンの巣に、到達した。

 

 ここまでだ、と、ゴブリンスレイヤーは一時撤退を提案する。

 

 術と奇跡は、女神官が2回、女魔術師が1回使ったのみであり、呪的資源(リソース)はあれど、長時間の探索で、体力を消耗している。

 目的地が定まったならば、1度退き、準備を整え、然る後に、切り込んで皆殺し(ハック&スラッシュ)だ。

 

 

 

 

 

 

 

 地表へと戻った一党は、鉱人道士と蜥蜴僧侶は「酒と食事」と街に繰り出し、ゴブリンスレイヤーは「手紙を送る」と早々に姿を消し、妖精弓手は彼の後を追いかけた。

 

「わぁ……っ」

「凄いわね……」

 残る只人(ヒューム)の少女2人、女神官と女魔術師は、法の神殿の大浴場ーー蒸し風呂に来ていた。

 法を司る者は清らかな身であれという、至高神の神殿の中でも、辺境では他に類を見ない規模である、水の街の法の神殿。

 必要とあればゴブリンの内臓をかぶることも厭わないーー無論、抵抗はあるがーー冒険者であっても、年頃の少女たちだ。

 贅沢な浴場に浮かれるのも、無理はない。

「はぁぁ……っ」

「ふああぁぁ……」

 香油を垂らされた湯を、高温に熱された香花石(サウナストーン)で出来た浴槽神像へと振り掛け、瞬く間に蒸発した薔薇の湯気を全身で浴びた。

「「ふぅ……」」

 女神官の薄い尻と、女魔術師の肉付きの良い尻が、ぺたりと音を立てて長椅子に並ぶ。

 揃って白樺の枝を手に取り、ぴしゃりと軽く、撫でるように身体を叩き、長時間に及ぶ探索で疲労した筋肉を解してゆく。

 

 

 

 白樺の枝を振る度に、女魔術師の肉体が、ふるりと揺れる。

 そのバストは豊満であった。

 

 女神官の肉体は揺れない。

 そのバストは平坦であった。否、年相応である。将来性はある。多分。

 

「……何よ?」

「いえなんでもないです」

「何で棒読み?」

 

 きっと需要はある。

 少なくとも、幼馴染みのそれに特に反応していない以上、『彼』はそれに拘らないはずだ。

 …………ゴブリン以外の何に反応するのかは、未知数だが。

 

 

 

「もう半年……なんですよね」

「ええ……そうね……」

 ぽつり、と女神官が呟き、女魔術師が頷く。

 ここに居る2人と、ここに居ない2人の、初めての冒険。ゴブリンの巣穴で、少女たちが死にかけてから、半年が経った。

「未だに、あの日の冒険を夢に見ることがあるんです」

「……私もよ」

 もしも。

 もしも、と、女魔術師は言う。

「あの人が来なかったら、来るのが遅れていれば、私たちは死んでいたし、あの時、解毒剤(アンチドーテ)を買っていなければ、私は死んでいた」

 もしも、何かが1つ違っていたら。

 これまでの半年間は、どうなっていただろう。

 

 彼は、どうなっていた。

 

 変わることなくゴブリンを殺し続けているだろうか。

 何処かで何かが変わって、死んでしまっていただろうか。

 

「まあ、『もしも(IF)』のことなんて、考えても仕方が無いけどね」

 泡沫の思考に沈みかけた女神官を、女魔術師の言葉が引き上げた。

「死んだら終わり。生きていたらできることがある。だからやる。それだけよ」

 半年間、できることを増やすために、努力を続けた『仲間』の台詞。

 ありふれた台詞でありながら、力強い、『生きた』言葉。

「……そうですね。できることを、頑張りましょう」

 想いを声に出して、確かめ合うように、少女たちは笑いあった。

 

 

 

「ふふ、素敵ですわね」

「ひぁっ!?」

「あら」

 艶やかな、隠されもせず、惜しげもなく晒された、熟れた果実のような、剣の乙女の美しい肉体。

 瞳を覆う目隠しによる淫らさと、神秘的な雰囲気に彩られた美体が、しっとりと蒸気に濡れ、肌を上気させている。

 

 そのバストは豊満であった。

 

 

 

「隣、いいかしら」

「はっ、はい」

「どうぞ」

 女神官の隣に腰を下ろす剣の乙女。

 右を見ても左を見ても豊満豊満。

 視線を下に向ければ、平野ではないものの、なだらかな丘。

 浴室の天井を仰ぎ、祈りを捧げれども、いと慈悲深き地母神からの(いら)えは無し。世は無情である。

 

「……その傷跡は、冒険で?」

「ああ、これ……」

 不平等を嘆く女神官を余所に、女魔術師と剣の乙女は、彼女を挟んで会話を始める。

「すこし、失敗してしまったのね」

 剣の乙女の全身に(はし)る、肌がうっすらと桃色に染まったからこそ見える、白い筋。

「うしろから、頭をがつん、って。……もう10年以上も、前のことだけれど」

「……私も……」

 女魔術師は剣の乙女の言葉に対し、そっと自身の腹部を撫でる。

 彼女のそこにも、薄く白い筋が、まだ残っている。

「不意を打たれてしまって……」

 ゴブリンの刃を突き立てられた傷跡。

 お互いに、『何に』やられたのか、言葉にせずとも通じ合った。

「……あなたは、恐ろしくはないのですか?」

 探索に出る前に、女神官も問われていた質問。

「怖いですよ」

 それに、女魔術師は迷わず答えた。

「でも、震えているだけなのは、(しょう)に合わないので」

 ちろちろと、燻るような、いつでも燃え上がるほどの熱を宿した瞳で、言い切った。

「…………なるほど」

 その目を、剣の乙女は覆われた瞳で、確かに見た。

 

 女魔術師と、視線を交差させた。

 

「そろそろ上がります。この子、のぼせてしまいそうですし」

「ええ。探索では、お気をつけて」

 しばし見つめ合い、女魔術師が席を立つ。

「ありがとうございます。……ほら、行くわよ」

「ひゃう!? えっ、あっ、はいっ!」

 

 連れ立って出ていく少女たちを、剣の乙女は、じっと見ていた。

 

 




今回の原作改変
「ガソリン《火球》で原作よりリソースと体力を温存できたので、ゴブリンの拠点の確認まで探索続行し、一時撤退」

地味ぃいぃぃッッ!!!




原作通りなシーンは基本省略しますが、入浴シーンは女魔術師も一緒に入って原作と変わっているのでカットしません
入浴シーンはカットしません←大事なことなので以下略

なお、『もしも』で生き残った女魔術師の、「考えても仕方が無い」という台詞を書いている時の筆者は、表情筋がピクピクしていました愉悦
 



大司教様といえば、ゴブリンスレイヤー外伝2、まだ平坦であったころの剣の乙女さんや『君』のバスト論評、豊満な従姉の魔術が楽しみですね早く読みたい
やはり書籍でも『た』さんは被害担当なのだろうか……
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