何だか勢い余って仕上がりました
書き溜めなしだと自己最速記録かもですね
漫画版既刊分を過ぎてしまったので、この先は小説版準拠でございますです
「扉が破られた!」
「《
「……いや、ここは《
「はい! わかりました!」
「
その群れの中で、ひときわ大柄な存在。
ゴブリンロードとの戦いでも、重戦士と女騎士、銀等級の前衛2人がかりで仕留めた、強敵だ。
「《
それがどれほど危険か、ゴブリンスレイヤーは勿論、あの戦いに参加した内の1人、女魔術師も知っている。
だからこそ、その行動に迷いは無かった。
「GORAORARO!!」
「……浅い、か」
《眠雲》の直後、ゴブリンスレイヤーが投擲した剣が、ゴブリンチャンピオンの右目に突き刺さる。
「奴の攻撃を封じろ。タイミングは任せる」
「わかったわ」
ゴブリンチャンピオンに率いられた、雲霞の如く押し寄せるゴブリンの群れを前に、いつも通りの淡々とした指示。
「切り込む」
「おう、一の太刀は任されよ!」
蜥蜴僧侶と
17匹目のゴブリンを仕留めたゴブリンスレイヤーが、ゴブリンチャンピオンの背後に回り、
「む……!」
しかしその切っ先が貫いたのは、盾にされた他のゴブリン。
自らの片目を潰した存在を、薄汚い黄色の左目で捉えた小鬼英雄は、口元に歪な笑みを浮かべる。
「《眠雲》!」
その剛腕が棍棒を振りかざし、掬い上げるように振るわれる寸前、再びの眠りの魔術が放たれる。
「19」
それを、ゴブリンスレイヤーは読んでいた。
必ずこの瞬間に、《眠雲》が使われると。
だから彼は、防御を捨て、小鬼英雄の懐に飛び込み喉を穿つ。
「GROOOOORB!!」
だが、敵はチャンピオン。
様々な巣を渡り歩き、様々な冒険者との戦いを経た、小鬼における英雄。
《眠雲》を受け、喉に長剣を突き立てられようと、無抵抗に死にはしない。
「……が、ッ!?」
咄嗟に棍棒を捨て、肉体各部の旋回運動を集約した、至近距離への
死に際の小鬼英雄が放った打撃に、金属と肉、骨がひしゃげ、砕ける嫌な音が響き渡る。
咄嗟に構えた盾ごと打ち飛ばされたゴブリンスレイヤーは、そのまま玄室に幾つも並ぶ石櫃へと叩きつけられる。
「ゴブリンスレイヤーさんッ!?」
「オルクボルグ、やられた……ッ!?」
叫び声をあげる女神官と妖精弓手。
「《
崩れる。
そう直感した刹那、女魔術師は
狙いをつける暇は無い。
ゴブリンの群れに飛び込んだ蜥蜴僧侶まで被害を受けないよう、辛うじて制御するのみ。
「《聖壁》を! 立て直して!」
「……ッ! はい!」
乱れ飛ぶ《矢》に射殺されるゴブリン。
振り絞るような女魔術師の声。
それらが、恐慌状態に陥りかけた女神官に、前を向かせる。
崩れかけた心で、再び、《聖壁》の奇跡でゴブリンの群れを食い止める。
「ん、なろっ! おら、引っ込め、小鬼ばら!」
鉱人道士の
「落ち着いて、集中を……!」
間断なく、一瞬の隙も与えぬ妖精弓手の矢は、ゴブリンを寄せ付けない。
「イィーアァアァッ!」
父祖を讃える戦の雄叫びと共に、蜥蜴僧侶の牙の小刀が鱗の両腕によって嵐の如く吹き荒れ、ゴブリンたちを尾で潰し、牙で噛み砕く。
「《いと慈悲深き地母神よ、か弱き我らを、どうか大地の御力でお守りください》!」
震えながら、恐れながら、それでも錫杖を握り締める女神官の祈りが、
時間は、充分に稼げた。
「…………これで、19」
ぐしゃり、と、血泡を吹きながらも立っていた小鬼英雄の頭に、石櫃の欠片がめり込む。
巨体に相応の轟音と共に、付近のゴブリンを巻き込み、チャンピオンが倒れる。
「……次は、どいつだ」
棺桶の釘のように、死へ進む、谷底を吹き抜ける風のように冷たく、無機質で、淡々とした声。
「お前か……?」
ゴブリンへの殺意が人の形をしている。
子供程度の知恵でも、理解できた。
ゴブリンですら、例外なく感じ取った。
群れを率いる英雄は死んだ。
最早、ゴブリンに戦意は残されていない。
悲鳴を上げ、脇目も振らず、泣き喚き、叫びながら、次々に入口へ殺到し、脱兎の如く逃げ出すゴブリンたち。
それらを追撃する余力は、冒険者たちには残っていない。
それでも、彼は動こうとする。
「……私がやっとくから、少し休んで」
よろよろと足を引きずりながら、死体を確かめようとするゴブリンスレイヤーから、女魔術師が手槍を奪う。
「ゴブリンスレイヤーさん……!」
「オルクボルグ……!」
バランスを崩しかけた彼を、両脇から支える女神官と妖精弓手。
「無事か」
頭陀袋のような体から、ぼたぼたと滴り落ちる血が、2人を塗らす。
「はい……!」
「そっちの方が、無事じゃないでしょう……!」
「やれやれ……どうにかこうにか、つうところじゃのぅ」
「一先ずは回復を。拙僧の祈りでも、気休め程度にはなりましょう」
満身創痍で、サイコロの目が悪ければ、あわや全滅という危機であったが。
「……1度、退く」
「当たり前です!」
「当たり前でしょ!」
彼ら一党は、切り抜けた。
状態異常無効じゃない大物に初手睡眠
空を飛んでいても睡眠
初見に挨拶代わりの睡眠
よし、普通だ(確信
正直な話、書き始めた時は「《眠雲》連打でチャンピオン封殺いけるくね?」とか思っていましたが、「英雄舐めんな」とばかりに勝手に動かれました
立て直し判定も、もしもリソース尽きていたら失敗していましたね
私の脳内GMがクソ外道であかん (ー_ー;)