女魔術師と解毒剤の水薬   作:ダラ毛虫

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アニメ効果もあり、ゴブスレ二次界隈が盛り上がっていて嬉しい限り(爺並感



ところで、賢者の学院って、何歳から入学なんでしょう?
9巻特典のゴブスレ事典か5月発売のTRPGルールブックに書いてるかな?
他にも色々な設定が載っていそうで期待ですね(ステマ



ある女の子の話

 青く広がる大空を、少女は眼鏡越しに見上げる。

 都よりも高く青く見えるのは、この土地によるものか、それとも気分の問題か。

 今年、賢者の学院に入学したばかりの少女は、最初の休暇に、家族でこの西の辺境を訪ねていた。

 旅行の行き先を希望したのは彼女だ。

 家族には話していないが、学院を卒業後、この場所で冒険者になろうと、少女は目論んでいる。

 

 勿論、学院の卒業生ならば、成績次第だが、他にも就職の当てはある。

 しかし、研究者としてならともかく、魔術師として実力を高めるのには、実戦が不可欠。

 冒険者として、より高い等級に昇格できれば、王宮の役職に就ける道すら開ける。

 都で冒険者になることも考えたけれど、悪魔(デーモン)等の仕事が多い分、冒険者も多い。

 余程突出していなければ埋もれてしまうし、突出すれば、出る杭として打たれる可能性もある。

 

 なんて思考を巡らせた結果、学院で攻撃力の高い魔術を学び、都から離れた辺境で冒険者として名を挙げ、より高位の仕事に就く、というのが、少女の描いた人生計画だった。

 絵に描いた餅とも言う。

 

 

 そんな、ここが将来自分が活躍する舞台か、と、上機嫌に街を観光していた少女はーー……。

 

「……どこかしら、ここ……」

 

 家族とはぐれ、迷子だった。

 

 

 

 

 いつの間にやら街外れ。

 

 好奇心に任せて、随分と歩き回ってしまった。

 

 

 どうしたものかと途方に暮れる少女だが、突然、ぱっと顔を上げる。

 

「魔力……?」

 

 学院で慣れ親しんだ、魔術が行使される気配。

 つまり、近くに魔術師がいる。

 

 言うまでもなく、その誰かが善良とは限らないのだが、知らぬ土地、知らぬ人ばかりの状況で、少しでも慣れたものを求めるのが人の(さが)

 無警戒に、少女はふらふらと魔力の気配を頼りに近寄っていった。

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

 街外れで、女魔術師は幾つもの的に向き合う。

 数は、自分が使える《力矢(マジックミサイル)》の倍。

 殆んどをゴブリンの喉の高さに、一部を、田舎者(ホブ)や狼の高さに。

 

「《サジタ()……サジタ()……ラディウス(射出)》!」

 

 術を練り上げ、《矢》を(つが)え、狙いを定め、解き放つ。

 

 放射状に飛び立った《矢》は、一射一殺。全ての的を次々に貫いていく。

 

「……狙いに時間をかけすぎたわね」

 

 だが、女魔術師は満足できない。

 実戦の場で、じっくり狙うのを敵は待ってくれない。

 

 より早く。より正確に。より強く。

 求めるべき力は、幾らでもある。

 手札を鍛えることは勿論、新しい呪文を覚えることも重要だ。

 使いこなせるなら、と注釈が付くが、できることが多いに越したことはない。

 

 やるべきこと、目指すべき場所を思い、ふぅ、と息を吐いた女魔術師は、先程から感じていた視線の方を振り返った。

 

「何か用?」

 

 敵意が無かったので放置していた相手は、幼い少女。

 ちょうど、女魔術師が学院に入学したくらいの年頃で、赤い髪と丸い眼鏡。当時の彼女そっくりだ。

 

「す……」

「す?」

 

 だからだろうか。

 何となく、当時を思い出して、少し話をしてみようか、なんて気紛れをーー……。

 

「すごい! すごかったです今の魔術!

 《力矢》に似てましたけど、呪文が違いましたよね!

 《サジタ()》を2回重ねて、《ケルタ(必中)》をなくしていましたし!

 学院の教科書は全部読んだけど、あんな呪文ありませんでした!

 自分で新しく作ったんですか!? それともそういう呪文を使う一派が!?

 他にはどんな呪文があるですか!?」

 

 ーー訂正。似ていない。私は今も昔もこんなぐいぐい行く性格じゃない。

 

 なんとなく、「いや、割りと強引なとこあるわよ?」と見知った上の森人(ハイエルフ)が肩をすくめている気がするが、そんなことはないはず。

 

「わたしも《力矢》なら1回使えるんですけど、あんな呪文は考えたこともなくって!」

「はいはい。分かったから、落ち着いて」

 

 まったくもう、と溜め息をつき、少し屈んで、少女と視線を合わせる。

 

「話なら聞くわよ。

 とりあえず、見ない顔だけど、貴女どこの子かしら?」

「あっはい」

 

 昼まではここで魔術と投石紐(スリング)と投げナイフの訓練をするつもりだったが、少し早めの休憩だ。

 

「……迷子の観光客、ってところかしら?」

「そう……です……」

 

 予定の時間までには、この子の保護者が見つかると良いのだけれど。

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

「学院の卒業生……なら、わたしの先輩ですね!」

「そうね」

 

 街外れで出逢い、今こうして街を先導してくれている女性は、学院を卒業した冒険者だそうだ。

 つまり、少女の人生計画の見本。

 これは話を聞かない手はない。

 

「冒険者として、どういう活動をされているんですか?」

「……貴女、もしかして冒険者になりたいの?」

「はい!」

 

 少し勢い余ってずれた眼鏡の位置を直していると、女性は僅かに空を見上げて、そして言った。

 

 

「初めての冒険で、死にかけたわ」

 

 

 え、と少女の足が止まる。

 少女の方を見ていなかったけれど、気配を察したのか、女性も足を止めて、言葉を続けた。

 

「相手はゴブリン。たかがゴブリンよ。

 油断して、根拠もないのに慢心してかかって、仲間は一人殺されて、一人捕らえられて……。

 私も毒を受けて動けずに、もう一人の仲間と捕まるか殺される寸前に、熟練(ベテラン)の冒険者に助けられた。

 解毒剤(アンチドーテ)水薬(ポーション)を持っていなければ、私も死んでいたでしょうね」

 

 絶句する少女の方を見ず、女性は言う。

 

「冒険者になるのは自由だけど、自分の命は自己責任。

 油断したら死ぬし、弱くても死ぬし、運が悪くても死ぬ。

 自分なら大丈夫、なんて考えている奴から先に死ぬわ。覚えておきなさい」

 

 ほら行くわよ、と振り向いた女性に言われて、ようやく少女は、混乱しつつも足を動かす。

 

 本で読んだ、吟遊詩人が歌うのを聞いた、英雄譚。

 そこにはなかった、女性が語る現実。

 主人公たちは、たとえ危機に陥っても、必ず逆転していたから。そうでなければ、物語にならないから。

 

 

 成功した、竜殺し(ドラゴンスレイヤー)などの話だけで、『自分なら大丈夫』と思っていた。

 

 

「あの……」

「何かしら?」

 

 だからこそ、彼女に、自分の前を歩む女性に、聞いてみたい。

 

「あなたは、どうして冒険者を続けているんですか?」

 

 少女の問いに、女性は肩越しに軽く笑って、答えた。

 

 

「『たかがゴブリン』に負けて諦めるだなんて、悔しいでしょ?」

 

 

 

 唯の意地よ、と、軽く、だけど、炎のような意思を瞳に宿して言った女性が、それからどうなったのか、少女は知らない。

 

 そのすぐ後に両親が見つかり、女性は名乗りもせずに去ってしまったから。

 

 

 

 それでも、旅行中も、都に戻っても、休暇の間も、学院が再開してからも、少女は考える。

 

 

 冒険者になるかどうかは、まだ答えが出ないけれど、もしなるなら、解毒剤と、どんな相手でも油断しない心構えは、忘れないようにしよう、と。

 

 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 

 

「ごめんなさい、待たせたわね」

「おう。時間にはまだ早いし、そんな走らなくて良かったんだが」

「稽古を頼んだ以上、私が先に来ておくのが筋でしょう。

 結局、待たせてしまったけれど」

 

 息を整えつつ言う女魔術師に、真面目だねえ、と辺境最強、槍使いは苦笑する。

 

「そんな真面目な嬢ちゃんが、何かあったのかい? 随分と嬉しそうだぜ?」

 

 言われて初めて、女魔術師は自分の頬が緩んでいたのを自覚する。

 

「別に、大したことじゃないわ」

「そうかい」

 

 首を振り、改めて訓練に気持ちを切り替えれば、槍使いはそれ以上は突っ込んで来ない。

 

 

 この気配りを、受付嬢相手にも発揮したら、彼女の印象もまた変わるだろうに、と思うが、そこは言うだけ野暮だろう。

 

 

 それよりも、訓練だ。

 杖を槍のように構えて、相手に向ける。

 

 

「…………嬉しそう、か」

 

 完全に意識を切り替え終える直前、先程まで話していた女の子のことを思い出す。

 

 意外と、自分はあの女の子、過去の自分のような少女との会話を、楽しんでいたのだろうか。

 

 

「まあ、それも……」

 

 大したことではない。

 

 良くある話。

 

 世界を変えることもない、ささやかな出逢い。

 

 

 

 

 その思考を最後に、女魔術師は、一足で踏み込み、槍使いへ杖の先端を突き出した。

 

 何度も申し出て、ようやく取れた稽古の時間だ。

 

 

「まだ荒いが、筋が良い……。なあ嬢ちゃん、魔術師だよな?」

「魔術師よ」

「だよなあ?」

 

 

 無駄にせず、糧にしよう。

 




以下、本編とまったく関係ない徒然垂れ流し
千文字以上ダラダラ駄弁っているので、興味ない方はスルー推奨



老師のスレの方で、ゴブスレさんと同郷の圃人で村が滅びた当時と外見が変わらないゴブスレさんのトラウマに突き刺さる系オリ主、みたいな感じの話題を見て

凄く、書いてみたいと思いました(悪鬼スマイル


あのゴブスレさんが嘔吐するレベルのトラウマってことは、「姉と良く似た顔立ち」くらいの追加効果はあると思うんだ(澄んだ瞳

無自覚に姉っぽい言動をして、それがまたゴブスレさんのトラウマにザクザク刺さるんだ!
それを気にしてゴブスレさんの前では顔隠したり口調変えたり、そしてゴブスレさんもそれを察しつつ何も言えなかったりすると、とても良い!
女神官や他のパーティーメンバーだけの場では兜と面頬を外して口調も女性らしくなって、皆から不思議そうにされるけど、困ったように笑って誤魔化すのも良し!

圃人自身も、父親が元旅の冒険者で、ゴブリンの襲撃から逃れる際に掠めた毒矢が原因で亡くなり天涯孤独、年齢を誤魔化して冒険者になり、パーティーを転々としながら生き残り、5年後のゴブスレさん冒険者デビュー時に再会、そしてゴブスレさんSAN値直葬で嘔吐、とか!
ジョブはサムライにすれば、成長に時間がかかる分、近接戦闘でゴブスレさんと同程度かつ魔術少々、くらいのバランスで行けるかな!
武器は父が遺した大脇差なら閉所戦闘もできるか! 魔術は初期が《力矢》1回、イヤーワン時点で《火矢》2回、等級は鋼鉄か青玉等級くらいにしとこう!
イヤーワンの後に4年くらい王都や他の地方を巡って銀等級になり、原作本編のタイミングで西の辺境に帰還、って流れにすれば、先にアニメ編やって、過去編としてイヤーワンに移行な感じで!

いや待てよ……ここはこうした方がトラウマダメージ上がるな……良し良し


とまあ、設定とプロットだけなら無限に湧くよね、という話ですね
プロット山に1つ追加、と……気が向いたら書こう

転生者にする必要は……特にないな!
父親の旅ダイスの出目がゴブスレさんの故郷を引いて定住したんでしょうメイビー
TRPG風の世界観だと、原作と違う理由をサイコロのせいにできるから楽ですねー

原作解離の理由付けとして便利なんですけどね、転生者
オリジナルでも、「その世界における異物」として分かりやすいですし

桃太郎は桃から生まれたor桃で若返った爺婆がハッスルして生まれたから強いんだよ
転生者は転生したから何か凄いんだよ

いわゆる「なろう系」批判って、要するに「芝刈りや洗濯のパートをしっかり書けよ!」ってことじゃねーかな、という雑なまとめ
或いは「もともと強い虎」が好きな、桃太郎より金太郎派
ハンデを背負った主人公が知恵と勇気と根性で鬼退治するのが好きなら一寸法師派
浦島太郎は異世界転移系(異郷淹留譚って呼ぶらしいですね)として、力太郎は……なんだあれ? 教えて文系詳しい人




で、話をゴブスレに戻して


AAスレの方でボツ案として紹介されていた、明るくお馬鹿なキャラを「作ってる」タイプのサンシタ盗賊系ヒロイン(AAみのりん)も良いなぁ
でも既存ヒロインとコンフリクトすんだよなぁ
あと、俺が書くと絶対に闇ってかドブ川にしたくなるよなぁ、この手のヒロイン(溜め息
仮面が外れた瞬間の淀んだ瞳……好き……

「旦那……。あいつら皆殺しにするまで……こっちに来ちゃダメっすよ……?」
って最期に笑顔で言わせるくらいが慈悲か……慈悲か?←自問
苦痛なき死だから慈悲だな←ナザリック並の自答


なお、ゴブスレさんのSAN値は削れる (  ̄▽ ̄)<テンドーン
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