緋色の鳥のような何かを見つけてしまったんだが   作:そば粉うどん

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前回のあらすじ

 緋色の鳥はちょろかった。

夕「・・・さて、殺すか。」
 いや、待って!本当の事だろ!
夕「本当でも言ってはいけないことがあると財団で習わなかったかDクラス?」
 つ、ついにブライト博士の残機呼ばわり!?
天「なんだよ、そのブライト博士って」
 それは後々わかると思いますよ。では、
「「どうなる第3話!」」


第三話「緋色の鳥は写真に興味があるようです」

真っ赤な草原、夕焼けより赤い空。そのなかで一人の少女が草原に敷かれたランチョンマットの上に寝転びながらトランプで遊んでいた。

 彼女の名前は夕緋───否、本当の名前はSCP-444-JP『緋色の鳥』という。

 そう、緋色の鳥である。あの財団さえも基本理念を捨てざるをえなかった最強のミーム汚染オブジェクトである。しかし、今の彼女を財団のお偉いさんが見たらこういうだろう。

「なぜ我々はこんなオブジェクトをketer、いや、unclassedに指定していたのだろう。」

 それほどまでに彼女のかつての狂暴性は鳴りを潜めていた。何せ、寝転びながら鼻唄混じりでソリティアをしつつ誰かを待つかのように足をリズミカルにバタバタさせているのだ。少なくともketerではないだろう。

 と、いきなり彼女は手を止め、なにかに気づいたかのようにどこかを見つめた。

 視線の先には一人の少年。灰色がかった髪と真っ黒な目を持つ彼は、緋色の鳥に優しく微笑みかけた。

「来たよ、夕緋。」

「待っていたぞ、今日は何を持ってきたのだ?天谷。」

 彼こそ、緋色の鳥が待っていた人物である、田所天谷である。

 

 

 

「ささ、早く持ってきたものを見せるのだ!」

「慌てない慌てない。今出すから待っててね。」

 そういってポケットからなにかを取り出す天谷。出てきたものを見て、夕緋は首をかしげる。

「なんなのだそれは、それも外界のおもちゃなのか?」

「いや、これはカメラといってね。写真を撮ることができるんだ。」

「写真・・・?」

「ああ、写真って言うのはね・・・」

 次々と出てくる疑問にしっかりと答えていく天谷。さながら新しい実験器具の使い方を説明する先生のようである。

「・・・。わかったかな?」

「うむ。では、早速その写真とやらを撮ってみようじゃないか。」

「わかったよ。じゃあ、こっちを向いてくれるかな?」

「あいわかった。これでいいか?」

「うんうん。それじゃあ、撮るよ。はい、チーズ。」パシャ

 シャッターを切る音がなり、そのままカメラの下から白い写真のフィルムがでてくる。

「なにか出てきたぞ!」

「今撮った写真だね。といっても、少し待たないといけないから、その間何枚か撮ろうか。」

 それから何分間か、天谷は夕緋を被写体にシャッターを切り続けるのだった。

 

 

 

「ほら、出てきたよ。」

「おぉ・・・。私の姿がしっかりと写っているな。」

 感動した様子で写真を見つめる夕緋。それを見て、天谷はいくつかの写真を差し出す。

「それとこれ、記念にあげるよ。」

「い、いいのか?」

「もちろん。部屋に飾る用のはもうとってあるしね。」

 すでに、天谷のポケットは夕緋の写真で一杯である。

「し、しかし、もらいっぱなしと言うのも申し訳ないな・・・・・・。そうだ!天谷よ、私がいいと言うまで後ろを向いてくれないか?」

「おう、いいぞ。」

 そういって後ろを向く天谷。少したつと後ろから、

「いいぞ。前を向いてくれ。」

と夕緋の声がした。

 天谷が振り向くと、夕緋の手にあったのは赤い紐に繋がれた真っ赤な羽根の首飾りだった。

「特製のお守りだ。身に付けておくといい。」

「おお、すごい綺麗だな。ありがとう夕緋、大切にするよ。」

 そういって受け取った瞬間、天谷の意識はスーっと薄くなっていく───

 

 

 

 

 次の日から、天谷のまわりでは幸運なことが起こるようになったとか。

 

 

ひいろ とり  まだた ず───

 

次回 第四話「緋色の鳥はお風呂を体験するようです」




え、緋色の鳥の羽根とか汚染されるだろって?


は、羽根だけだし大丈夫(震え声)

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