「あ。今日ハロウィンか」
現地暦を元に作ったカレンダーを見て、ふと気付く。今日は10月31日。ハロウィンだ。ユグドラシルだったら限定イベントがあったから、リアルでは縁が無かったけど覚えていただけなんだが……。折角のイベントだし、まぁ何かやれたら……なんて思いつつ。幸せそうに微笑みながら俺の傍に控えている最上位悪魔を見る。
「ウルベルト様、如何なさいましたか?何か用意する物があればご用意致しますが」
「……あぁ、そうだな。後で用意して貰うが……デミウルゴス」
「はい」
ジッとデミウルゴスを見つめながら、口を開く。
「トリックオアトリート」
そして、手をデミウルゴスの方に差し出す。
「……えっ?」
「だから、トリックオアトリート。……あぁ、お前の知識には入っていないか?つまり、お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ、って事なんだが」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔(ってどんなのだ、ってずっと思ってたが多分コレがそうなんだろう)で、俺を見るデミウルゴス。口元が緩むのを隠しもせずにそう言うと、途端にデミウルゴスは慌て始める。
「そ、その、ウルベルト様、悪戯とは……?」
あ。尻尾が、もの凄い勢いで揺れてる。動揺しまくってるなー、デミウルゴス。
「まぁ、ヒトによるな。可愛らしい悪戯のヒトも居るだろうし……悪魔なら、まぁ多少はえげつない事をしても許されるんじゃないか?」
と、勝手な解釈を付け加えてそう言うと。何故かデミウルゴスは瞳を潤ませながらその場に跪く。
「ウルベルト様!つまり、トリックオアトリートとは悪魔としての資質を試される呪文なのですね!」
「……は?」
何で、そうなる!?って、あぁ、まだハロウィンについて説明してなかったな……。そう思い至り。俺は慌てて跪いていたデミウルゴスにハロウィンについて改めて説明した。
「……と、まぁそういう訳だ。モモンガさんは優しいから多少の悪戯なら許してくれるだろうが……誰に対してどの程度の悪戯をするのかは、各人の裁量に任されているからな。私の最高傑作であるお前なら、絶妙な匙加減で極上の悪戯を披露してくれると信じているぞ?」
「はいっ、ウルベルト様!!ウルベルト様の被創造物として恥ずかしくないよう当たらせていただきます!」
尻尾の先までピシッと伸ばして、やたらと気合いの入ったデミウルゴス。……ハロウィンって、こんなに気合いを入れないといけない行事だったっけか……。と、チラリとそう思ったが、まぁ気にしないことにする。楽しくなりそうだし。
「よし。じゃあ、私に菓子を用意してから出掛けてこい。私以外の全員のギルドメンバーに仕掛けて来るんだぞ?……影の悪魔」
そう声を掛けると、扉の隙間からシュルリ、と漆黒の影が入り込んで来る。
「お呼びでしょうか、ウルベルト様」
「あぁ、呼んだ。コレを渡しておくから、デミウルゴスについていって、全てを録画してこい」
そう言って、小型の悪魔像を渡す。まぁ、見た目はアレだが普通に動画撮影が出来るアイテムだ。とりあえず24時間程度なら余裕な筈だから、ハロウィン中の出来事なら録画出来るだろう。
「畏まりました」
「……そう言う訳だ、デミウルゴス。私の期待を裏切るなよ?」
と、目一杯ハードルを上げまくってやると、デミウルゴスは頬を紅潮させ尻尾を大きく左右に振りながら頭を垂れる。
「勿論でございます!最上位悪魔として、立派にお役目を果たさせていただきます!!」
「では、行って来い。あぁ、私の部屋に菓子を用意するのも忘れずにな?悪戯をされる前に渡せるよう、多めに頼む」
そう言うと、デミウルゴスは立ち上がって俺に一礼して即座に行動を開始した。
数時間後。俺はモモンガさんに呼び出しを食らって派手にお説教をされるハメになるのだが……この時の俺には、そんな事は予想も出来なかったのだった。
ウルベルトさんとるし★ふぁーさんは、正座させられてお説教コース。
たっちさんの所でデミウルゴスとセバスが激突してる筈ですが、数時間じゃ書ききれないので皆様の脳内で妄想していただけたら……。(他力本願)