黒山羊さんの日常   作:赤紫蘇 紫

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アビス・デーモンたん可愛いよ、アビス・デーモンたん(*´Д`)ハァハァ
そんな訳で、厨二病患者の愛する言葉のうちの一つ、アビスについての短いお話です。(アビス・デーモンたんはオバマスに出て来る悪魔です。イベントシナリオの結構初期の方、「蒼の薔薇討伐計画」と「財宝採掘領域」でアビス・デーモンたんのお話が読めます!私の見落としで他にも出てるお話があるかもですが……)
※作者は厨二病患者ではないため、厨二病の浪漫を正しくは理解しておりません、ご了承下さい<(_ _)>
こんなに短いのに、書き始めてから書き終わるまで2ヶ月も経過しております((((;゚Д゚)))))))
遅筆辛いね!!


厨二病患者の浪漫【無課金同盟&デミウルゴス】

in ユグドラシル

 

「やっぱり、アビスって言葉にはロマンがありますよねー」

 嬉々としてそう語り出すウルベルト・アレイン・オードルは、厨二病患者としてギルド内ではとても有名だった。なので、他のギルメンは『またか……』と思いつつも話を聞いていた。……その傍には、先日作成したばかりのNPC、デミウルゴスが立っている。自慢のNPCをお披露目がてら、各階層を歩き回りつつ見掛けたギルメンに声を掛けていたのだ。

「えっと。よく聞きますけど、そもそもアビスってどういう意味なんですか?何語です?」

 そう訊き返すのは、面倒見の良いギルマス、モモンガだ。

「確か、古代ギリシャ語でしたね。それからラテン語になって……今では英語ですね。多分その辺はタブラさんの方が詳しいですよ。ほら、宝物殿の合言葉もラテン語ですし」

「そーいえばさー、ゲームとかでよく聞くよね。アビス。何か当て字だと深淵って書いてアビスって読ませるよね。その辺もウルベルトさん好きそうって言うか?」

 バフ付きの果物をアイテムボックスを空ける為だけに消費しつつそう言うのはペロロンチーノだ。バフと言っても3%しかアップしない、所謂ゴミアイテムだったりする。ガチャの外れアイテムのひとつだ。

「解ってるじゃないですか、ペロロンチーノさん!深淵、って日本語でも格好いいのに、ルビがアビスになるだけで異国情緒溢れる上に格好良さアップなんて凄いですよね!」

 と、嬉々として語りまくるウルベルトは、まるで神話のことを蕩々と語り出して止まらないタブラ・スマラグディナのようだった。……ある意味、似た者同士である。

「うっわー。ちょい引く。ウルベルトさん、超早口じゃん!」

 一歩程ウルベルトから距離を取りつつペロロンチーノがそう言えば、ウルベルトは『……』アイコンを出しながら口を開く。

「……エロゲについて語ってる時のペロロンチーノさんも似たようなモンじゃないですか?しょうがないでしょう、格好いいモンは格好いいんですから。日本に生まれて良かったー、ってマジで思うのは、漢字に特殊なルビ振れる時ですよね!アビスもですけど、生贄って書いてサクリファイスって読ませるのも良いですよね。風情があって」

「まぁ、確かにそういうのは格好いいって思っちゃいますよね。外国の言葉って結構格好良く聞こえちゃうと言うか……」

 ウルベルトの言葉に同意を示すのはモモンガだ。彼もまた、厨二病患者からは抜け出せていない一人だったりする。……本人は、厨二病患者からは卒業出来ていると思っているが。

「モモンガさんはドイツ語でしたっけ?パンドラズ・アクターに設定してましたよね。俺もドイツ語は結構好きですけど、格好いいって思えるのはラテン語が元になってる単語が多いんですよね。今は英語になってる言葉が殆どですけど」

 と、三人して格好いい言葉についてあーでもない、こーでもない、とひとしきり話終わって。その日はそのまま解散したのだった。

 

 

in ナザリック地下大墳墓

 

「……深淵の悪魔と書いて、アビス・デーモン、か。中々良いな」

 と、ウルベルトが呟いたのを、デミウルゴスは聞き逃さなかった。

「ウルベルト様は、彼をお気に召したのですか?」

 やや強張った表情と、動きを止めた尻尾。その様子に、ウルベルトは小さく笑う。目の前には、平伏した悪魔が一体。アビス・デーモンだ。

「いや?ただ、アビスという言葉の響きが好きなだけだ。趣深い言葉だとは思わないか?なぁ、デミウルゴス」

 ウルベルトのその言葉に、デミウルゴスは一瞬言葉を詰まらせた。

「……左様でございますね。人間では辿り着けない領域である深淵を意味する言葉を冠した悪魔ですので……実力もそこそこございますし」

 デミウルゴスには、過去の記憶がある。嘗て、ウルベルトに創造され、言葉を発する事の出来ないNPCとしてウルベルトの傍に控えていた時の記憶も。その時、アビスについて熱く語っていた創造主を思い出し、胸の中にモヤモヤとした何かが沸き上がってくるのを感じていた。

「どうした?デミウルゴス」

 デミウルゴスの内心を知ってか知らずか、そう訊いてくるウルベルトに、デミウルゴスは貼り付けたような笑みを浮かべる。

「……」

 嘘を吐けないからか、デミウルゴスは何も答えない。何か思う所があるからこそ、『何でもない』とも口に出来ないのだ。

「嫉妬でもしたか?たかが配下の一人に」

 笑いながらそう言われて、デミウルゴスは観念したように口を開く。

「分かりません……。ですが、ウルベルト様が以前アビスという言葉を褒めていたことは覚えておりますので、その言葉を冠した悪魔だと思うと……どうにも、不快感がございます」

 その言葉と同時に滲み出る殺気を感じ、アビス・デーモンは身を小さく縮こませた。恐怖のあまりに。

「そう、威嚇してやるな。……なぁ、デミウルゴス。アビス・デーモンはお前と違って替えもきく。幾らでも創造出来る悪魔と、唯一無二の私の僕のお前と比べてどうする?」

 ウルベルトのその言葉に、デミウルゴスの機嫌は目に見えて良くなった。その尻尾はブンブンと大きく左右に振られている。放たれていた殺気もなくなったことで、アビス・デーモンは小さく安堵の息を漏らした。

「それもそうですね。……おかしな事を口にしてしまい、申し訳ありませんでした」

「まぁ、そんな訳だ。アビス・デーモンは私の数居る配下の一人に過ぎない。他のシモベと同様に、功を立てれば褒めてやるし、そうでなければ罰するだけだ。別に特別なシモベではないからな、お前もその様に扱ってくれ。……間違っても、先程のような殺気は向けるなよ?確かに替えはきくが……創造するにもコストも掛かるんだ。無駄にするな」

 ウルベルトがそう言うと、デミウルゴスはその場で一礼する。

「承知いたしました。他のシモベと同様、平等に扱うことをウルベルト様に誓わせていただきます」

 その言葉に、その場に平伏したままのアビス・デーモンは、内心ホッとしていたのだった。

 

END

 

おまけ

side 深淵の悪魔

 

 我々悪魔の創造主たる、ウルベルト・アレイン・オードル様がご帰還なさった。そのため、全ての悪魔がウルベルト様の御前に参上し、ご挨拶をする事になったのだが……。

(……デミウルゴス様の機嫌が……!!)

 結構機嫌屋な所があるデミウルゴス様だけれど、ウルベルト様のご帰還以降、ずっと上機嫌でとても働き易かったと言うのに……。ウルベルト様が私の名前をお褒めくださってから、急激に機嫌が悪くなったのが分かった。伏していてもハッキリと分かる。私にだけ向けられる殺気。恐らく、ウルベルト様がいらっしゃらなかったら、その場で消し炭にされていただろう、と思わせる程のそれを受けて、平常心など保てる筈がない。私はただ伏したまま、何の言葉も発さず、石のように身を固くしてその圧力に耐えていた。刹那の時が何時間にも思えた、その時。ウルベルト様が口を開かれた。

「そう、威嚇してやるな。……なぁ、デミウルゴス。アビス・デーモンはお前と違って替えもきく。幾らでも創造出来る悪魔と、唯一無二の私の僕のお前と比べてどうする?」

 そう仰って下さったことで、急激に周囲の圧が消えた。私からしたら至極当然の事を仰っているのだが、その御言葉がどうやらデミウルゴス様の機嫌を良くして下さったようだった。

(私の名は種族名。デミウルゴス様と違い個体名では無い。つまり……複数体存在しても"深淵の悪魔"と呼ばれる、単なるシモベのうちの一人に過ぎない)

 その事実を改めて創造主であるウルベルト様から伝えられたことで御自身の立場を思い出されたのか、一気に機嫌が上向きになって。私に向けられていた殺気も、綺麗さっぱり消え去っていた。……本当に、ありがたい事に。あのままだったら、ウルベルト様が部屋にお戻りになった瞬間、私は本当に消されていたに違いないから。

(命拾いした……っ!!御方のお役に立てないまま死ぬのだけは避けたかった……!!)

 今更ながら、身体に震えが走った。先程までは身動ぎすら難しい状況だったからか、その反動が時間差でやって来たのだろう。

 内心安堵しつつ、それでも私はデミウルゴス様の言動に注意を払う。何かあったら、本当に洒落にならない事態に陥ってしまうから……。

 

 後日。ナザリックの為とは言え、不死身を演出する為に何度も敵の攻撃を受けては回復するのを繰り返したのだが、その際脳裏を過ったのは、ウルベルト・アレイン・オードル様がご帰還してすぐの日のデミウルゴス様のお姿だった……。

(デミウルゴス様……!意外と根に持つ御方なのですねっ……!!)

 恐ろしすぎて、その様な事は絶対口には出来ないが、そうとでも思わないとやっていられなかった。その後でフォローする御言葉も頂けたが、今後も同様の作戦を行う可能性もあることを示唆されて、私の身体の震えは止まらなかった……。

 

END

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