「ウルベルトさんってさー、大悪魔って言ってる割には、喋りが小者っぽいですよね?」
ペロロンチーノがそう言うと、ウルベルトの表情が固まった。……笑みのまま。その事に気付いたモモンガは、その場で硬直している。……前回の惨事を思い出して。
「へぇ……ペロロンさん。俺の何処が小者っぽいと?」
「えーっと……たっちさんとやり合ってるとき、最初は慇懃無礼な喋りでフ●ーザ様っぽいんだけど、ガチギレすると三下っぽい罵倒しますよね?ソレって大悪魔としてどーなの?とか俺は思う訳ですよ、うん。俺は元々ロール回してないですけど、ウルベルトさん浪漫ビルドでロールガチ勢じゃないですか?なのに詰めが甘いなー、って。ほら、たっちさんなんかは常に聖騎士っぽい丁寧口調で私、っていうの崩さないじゃないですか?ウルベルトさんもたっちさんのそーいう所は見習った方が良いんじゃないかなー、って……」
「……遺言はねぇな?よし、死ね、燃え尽きろ。大災……」
「止めて下さいウルベルトさんっ!!ペロロンさんも!!この間のこともう忘れたんですか!?仲裁する俺の身にもなって下さいよっ!!」
慌てて背後からウルベルトを羽交い締めし、その口を押さえることで魔法の発動を防いだモモンガは、ペロロンチーノにそう叫ぶ。その事で、ペロロンチーノもようやく事態を把握したのか、小刻みに震えながらもその場で綺麗な土下座をした。実際は無詠唱で大災厄は発動可能だが、術者であるウルベルトの集中力が乱れれば術の発動も止まる。
「……大変申し訳ありませんでした、ウルベルトさん。俺、素朴な疑問を口にしただけのつもりだったんですが……」
「……ペロロンさん、マジでアンタ、口開く前に一呼吸置いた方が良いですよ。俺だって、前回のこととかが無ければもうちょっと寛大に出来たかもしれませんけど……。異形種になった影響もあるんだろうけど……鳥頭過ぎますって、マジで。何で数日前のことコロッと忘れて同じようなこと繰り返すんです?」
溜息を吐きながらそう言ったウルベルトの言葉を聞いて、モモンガも激しく頷いている。
「えーっと……その、気になるなーって思ったら既に口を開いてる、って言いますか……」
土下座から頭を上げた状態のペロロンチーノがそう言うと、ウルベルトもモモンガも大きく溜息を吐いた。
「……ウルベルトさん、ペロロンさんはもう修正不可能っぽいので……どうか、大目にみてあげてくれませんか?」
モモンガがそう言えば、ウルベルトは小さく頷く。
「そうですね……あぁ、でも俺もこっちに来てちょっと手が早くなっているので、炎の矢とかブッパするかもしれませんけど、ソレもおあいこって事で許して欲しいモンですね」
「えっ!?ちょ、言葉と炎の矢が同等!?てかおあいこになるんです!?」
ウルベルトの言葉に、ペロロンチーノは小さく羽根を震わせながらそう叫ぶ。
「だって、ペロロンさん痛い目見なきゃ覚えないでしょ?茶釜さんがあっちであんなに指導してくれてたのに……それでも、失言なくならないんですから。
……とりあえず、俺には身長の話とたっちさんの話だけしなきゃ、そんな怒りませんから。それだけ気をつけて下さいね?同士討ち有効だから、俺がガチで切れたら多分ペロロンさん瀕死か死亡ですからね?ガチだと真っ先に大災厄ブッパしますし」
サラッとそう怖いことを言うウルベルトに、ペロロンチーノは何度も頷く。その羽根も、バッサバッサと派手に動いていた。
「えっと……その、ウルベルトさん。俺、今後気をつけますので……初手大災厄だけは勘弁していただけると……助かります……」
「努力しますが……約束は出来かねますよ。俺、悪魔ですし嘘は吐けないので」
顔に張り付いた笑顔のままそう言われて。ペロロンチーノは自分の背筋に冷たい何かが走ったような気がしていた。その感覚を振り払うように、ペロロンチーノは大きく顔を左右に振る。
(……ヤバイ。俺、マジ死ぬかも……。防御強化系のアイテムと即時復活の指輪常時装備しとかないと、確実に逝くっ……!)
そんな事を考えながら、ペロロンチーノは床の上で正座をしたまま小さく躯を震わせたのだった。