BLEACH The Magical Girls Site   作:未来跳躍

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一護、誕生日おめでとう!
映画『BLEACH』公開おめでとう!
一護のねんどろいど発売おめでとう!
色々とめでたい事が続いて本当に嬉しいです。


ENTER.6 Princess is Poison Apple (1)

ENTER.6 Princess is Poison Apple

 

潮井梨ナが突然倒れてから2時間が経過し、現在は午後7時半。病院は既に一般の人は入れないので、静かになっている。

今、三人はとりあえず待合室で潮井梨ナの治療を待っている。

 

「テンペストか…」

 

一護が一人呟いた。二人はピクッと体が反応するが返事はない。

潮井梨ナが倒れる前に話していた言葉。“テンペスト”、“ある人物”、“封印”、“人類の滅亡”これらが意味するモノとは一体何なのか。そして、潮井梨ナはこれらから逃れるために大量のステッキを集めていた。彼女のカバンからは10以上のステッキと一冊のノートが入っていた。

この大量のステッキが意味する事は一つ。それだけ彼女が多くの魔法少女を殺してきたという事に他ならない。

だが、やはり分からない。いくら魔法のステッキとはいえ、こんなに集める必要がどこにあるというのか。

潮井梨ナは生き延びようと必死だった。それだけテンペストは恐ろしいものなのか。多くの人々の骸を積み重ねても回避せねばならないモノなのだろうか。

考えようと必死に頭を回転させるが、分からない物を分からないまま考えても結局は分からないまま空回りで終わってしまう。

遂には一護の脳内では処理できずパンクしてしまった。

 

「あ~!もう考えるのは止めだ!今のままじゃ、情報が少なすぎる」

 

「そうね。結局、潮井梨ナはただ分からない情報を増やしただけだったわね」

 

一護と奴村はそろって大きな溜息を一つ吐いた。潮井梨ナを捕まえたところで、先はまるで見えないどころか、より深い霧に視界を覆われてしまった。

とりあえず潮井梨ナの治療が終わるまで待つしかない。

それからさらに15分後、治療室から医師の先生が出てきた。

 

「あっ。先生、あの人は?」

 

彩が部屋から出てきた医師に尋ねる。すると、医師は難しい顔をして口を開いた。

 

「とりあえず、命に別条はありません。ただ…。検査の結果、不可解なことがありまして」

 

「不可解なこと?」

 

「彼女の内側、つまり脳や内臓が酷く衰えているのです。中身だけを見ればまるで老人だ。いったいどうしてこうなっているのやら…」

 

医師がそう説明して、とても不思議そうに扉に締められた部屋の方に振り返り呟く。

 

「今のところ意識も戻るかははっきりと分かりません。ところで、彼女とは知り合いですか?」

 

「あっ。それは「いいえ。赤の他人です。たまたま倒れているところを見つけたもので」オイ」

 

一護が答えようとしたところを奴村が割って入る形で答えた。

 

「そうか。とりあえず君たちはもう帰りなさい」

 

「ありがとうございました」

 

医師はそう注意すると廊下を歩いて部屋の前から去っていった。彩は医師にお辞儀をしてとりあえず入口の受付のホールまで歩いて行った。

ホール内も今は電気が幾つか消えて少し薄暗くなっており、壁にかけてある大型テレビの音だけが大きく聞こえていた。

とりあえず、一護は近くの自販機から適当に紙パックのジュースを買うと二人に手渡した。

 

「ホラよ」

 

「ありがとう」

 

「ありがとうございます…」

 

一護からジュースを受け取る彩の声がいつもより少し弱く聞こえた。

 

「どうした?」

 

「……」

 

「潮井梨ナの事、自分のせいじゃないかって思ってるんじゃないでしょうね。あれはステッキを多用しまくったアイツの自業自得よ」

 

「でも…」

 

奴村の事に一理あるとしても、どうしても自分が悪いように考えてしまう。

もし自分に出会わなければ彼女は倒れる事もなかったのではないだろうか。

 

「あなたはただ倒れた潮井を移動させただけ。そんな事に自分を責める必要はないわよ」

 

「ま、そりゃそうだな。お前が気負う必要なんかねえよ」

 

一護も彩に向かって励ましの言葉を掛ける。すると奴村が一護に向かって冷たく言い放った。

 

「いや、あなたは少しくらい反省しなさいよ」

 

「なんでだよ!」

 

「当たり前でしょう。人殺しとは言え、気絶するほどの掌底を打ち込むなんて。相手が潮井(バカ)だから良かったものの」

 

「仕方ねえだろ!あのときはああするしか方法がなかったんだから!というか、お前潮井って書いてバカって読むのはやめてやれよ」

 

二人の口論はどんどんヒートアップし、二人の声は人のいないホールに響き渡っていった。

人がいない時間とはいえ、これ以上うるさくすると病院から追い出されてしまうので、彩は小さな声でも二人を止める事にした。

 

「ふ、二人とも喧嘩はやめよ。ここ病院だから…」

 

彩に止められて二人はすぐに静かになった。病院内は先程の喧騒がうそみたいに静寂に包まれる。

静寂を破り最初に口を開いたのは彩だった。

 

「どうして私達が選ばれたのかな」

 

ポツリと呟いた疑問。なぜ潮井梨ナは魔法少女に選ばれたのか、あの不気味な仮面をしたあのおさげの人はなぜ私を魔法少女にしたのか、何を持って魔法少女にするのか、それが分からなくなっていた。

 

「ねえ、奴村さんはどうして魔法少女になったの?」

 

彩は奴村に尋ねた。自分が魔法少女になった理由を奴村はもとから知っている。

だが、奴村が何故魔法少女になったかをまだ知らない。

だから、彩は思い切って訊いてみる事にした。

 

「そうね。話してもいいけど、その前にあなたのこと聞かせてもらえる?」

 

「俺か?」

 

前触れもない突然の指名に一護は少し驚いた。

 

「昨日、あなたの家に寄った時に思っていたのだけど、あなたのお母さんはどうしたの?」

 

奴村の言葉に一護の肩が大きくビクッと反応する。眉間に寄った皺が更に深くなり、いつも以上に険しい顔つきになる。

 

「話したくないなら、別に無理に話せとは言わない」

 

「いいよ。隠す事でもねえからな」

 

一つ深呼吸をして気持ちを落ち着けた後、一護は口を開いた。

 

「俺のおふくろは虚に殺された」

 

「「っ!」」

 

一護は話す7年前のあの忌まわしき雨の日を――。

 

一護の母、黒崎真咲はまるで太陽の様な人だった。いつも笑顔で皆を明るくさせていたし、彼女が泣いたり怒ったりしたところを一護は見た事がなかった。

その笑顔でいつもすべてを引きつけ、すべてを許し、すべてを照らし振り回す。

一護を含めた黒崎家は彼女に振り回されることが幸せだった。

だが、7年前の6月17日。その日は何時もの空手の稽古の帰り道、母の手を握り土砂降りの雨の中を歩いていた時のこと。

その日は大雨により、川辺は荒れていた。だが、一護は目にしてしまう。その大荒れの川を前に佇む一人の少女が居る事に。

危なかったので助けようと母の手を振りほどいて、その少女の元へ駆け寄った。

 

「ダメ!一護、戻りなさい!!」

 

母が怒った。これが初めて聞く母が一護に向かって怒った言葉であり、同時に一護が聞いた母の最期の言葉となった。

気がついた時には一護は母の下になって倒れていた。自分に覆いかぶさる形で横になる母に何度も声を掛ける。その言葉が二度と届かないのを知らないまま。

 

それから一護は自分が許せなかった。家族から母を奪ってしまった自分を許せなかった。

しかし、家族は一護を怒らなかった。妹達も父も一護を責めなかった。

 

そして、今年の6月17日。母の命日に一護は出会う。母を殺した虚、“グランドフィッシャー”に。

死神代行として、初めて一護が自分の為に戦った。母を殺された怒り、母を護れなかった後悔、母の無念を晴らす為の信念、あらゆる思いを込めて戦った。

結果は両者の痛み分けで幕を引いた。

闘いのあと、父に自分の思いを打ち明けた。どうしてだれも責めない。どうしてだれも怒らない。いっそ自分を思い切り殴って罵声を浴びせられた方が気が楽になるというのに、と。その時、父は一護に言った。「俺の惚れた女は自分のガキを守って死ねる女だった」、「オメーはその俺が惚れた女が命がけで守った男なんだぜ」と屈託のない笑顔で語った。

そこで一護はルキアに、いや自分に誓った。

 

“もっと強くなって虚に狙われる人たちから護る。自分の同類を作らない為にも”

 

それが黒崎一護の死神代行として初めて持った魂の誓い。

 

「――とまあ、これが俺のおふくろの話だ」

 

自分の昔の話をするのが思いの他恥ずかしく、少し照れ隠しに視線を反らしながら一護は話を終える。

 

「「……」」

 

一護の話を聞いた二人の反応はまるで違っていた。奴村は顔を伏せ重い表情をして黙っていた。一方、彩は涙を流して泣いていた。

 

「うおっ!?どうした!?えっ!なんか悪い事でもいったか!?」

 

「いえ…違うんです…。一護さんもそんなことが…辛いことがあったなんて」

 

一護は彩を本当に優しい奴だと思った。ここまで人の痛みに涙を流せる人を一護は見た事がなかった。

 

「確かに俺に起こった事も不幸と捉える事もあるかもしれねえ。

けど、今の俺は不幸とは思ってねえさ。あの事件があって今の俺がある。

起きた事はもう変えられねえ。だから、これまでの後ろを見るんじゃなくて、これまでを背負って前を見るんじゃねえかと思うんだ」

 

一護がそう言うと、ずっと黙っていた奴村が口を開いた。

 

「一護、あなたは復讐しようとは思わなかったの?自分の母を殺したその虚を。どんな手段を使ってでも探し出して殺してやろうとは思わなかったの?」

 

奴村の声はいつも以上に重く暗くそして冷たく発していた。

 

「別に恨んでないと言えば、嘘になるさ。でも、一番許せないのはアイツよりもおふくろを守れなかった俺自身だからな。それに、アイツはもう別の死神に退治されたって聞いたから、今はもうアイツのことは何とも思ってねえよ」

 

一護の答えを聞いて奴村は少し複雑な心境になった。怒りなのか悲しみなのかそれとも…、自分でもこの気持ちの整理が上手くつけない。

その時、彼女の脳裏に映ったのは、彼女の忌まわしい記憶。そして、湧きあがる憤怒と憎悪。それらを心の奥底に圧し殺して、奴村は「そう。わかった」と短く頷いた。

 

「それじゃ、俺は話したし次はお前だな」

 

「そうね。私は……やっぱやめるわ。話す事でもない、ありきたりの話だから…」

 

奴村はそう言って話を無理やりに終わらせた。もちろん彼女の不幸はありきたりな事などではない。だが、どうにも今の自分にはこの過去を話す気にはなれない。

だから彼女は無理やりにでも話を終わらせたのだった。そんな奴村の言葉に一護と彩は――、

 

「…そっか。それじゃいいぜ」

 

「そうだね。ごめんなさい。無理に訊こうとして」

 

と、一護は軽い口調で返して、彩は申し訳なさそうに奴村に頭を下げて受け入れた。予想外の答えに奴村は目を丸くした。

 

「…驚いた。朝霧さんはともかくあなたならもっとズケズケと言ってくるかと思ったのに」

 

「オイ。それはどういう意味だ。

別にお前が言いたくない事を無理に聞く術が俺にはないだけだよ」

 

さりげなく自分をバカにする言葉に少し腹を立てるが、一護は気だるそうに答えた。

 

 

 

「とりあえず、いずれにしろ潮井が意識を取り戻さない限り、どうしようもないわね」

 

話は再び潮井梨ナが語った“テンペスト”の謎について戻る。

奴村の言う通り、現状で“テンペスト”について知っているのは潮井のみ。

しかし、その彼女も今は病院のベッドで眠っている為に話も聞けない。

どうするか考えている時に、一護がボソッと呟いた。

 

「井上が居たら、アイツの身体直せるのになあ…」

 

その言葉に奴村は大きく反応した。一護に詰め寄って問い掛ける。

 

「治せるの!?潮井の身体を!?」

 

「あぁ、俺の仲間の井上ならあいつの身体を治せるんだが…」

 

「だが…?」

 

「今、井上は今週いっぱいまで帰って来ねえんだよな」

 

一護の言葉に二人も肩を落とす。

もちろん井上が帰ってくるまで待つという選択肢もあるが、今の三人にはそこまで悠長に出来る余裕はない。

今の潮井の容体は安定しているが油断は出来ないし、潮井の持つ大量のステッキを狙ってまた新たな魔法少女狩りが現れる危険もある。

今、ここにある大量のステッキもこの場では役に立たない物ばかりで、結局手詰まりになっていた。

その時、頭の中でステッキを考えていた彩がある事に閃いた。

 

「そうだ。ステッキ!奴村さん、一護さん、ステッキですよ」

 

「ステッキ?ステッキって言ってもここにあるものじゃ――」

 

「うんうん。ここにあるものじゃなくて、他の魔法少女に潮井さんを治せるステッキを持ってる人が居ないのかな?」

 

彩の提案を聞いて一護と奴村は理解した。魔法のステッキで多様な能力があるのなら、怪我などを治せる治癒の能力があってもおかしくはない。

 

「それよ!確か、潮井の所持品にあったあのノートに」

 

奴村は急いで潮井のカバンから一冊のノートを取り出した。ノートの表紙には「さつりく帳」と書かれており、中を開けるとそこには大量の中学生から高校生と言った女子の顔写真が貼られていた。

 

「これは?」

 

「おそらく魔法少女のリストよ。潮井はこれを使って魔法少女を探して殺しまわっていたと思う」

 

「けど、なんでアイツはこんなもん持っているんだ」

 

一護の疑問、潮井が元情報屋だとしてもこれだけの魔法少女の顔写真を集められたのだろうか。彼女のステッキはどんな物も砕くハンマー。情報集めには何の役にも立たない。

なぜ、彼女はこんなノートを手にしたのか奴村も気になってはいるが、今は後に回してノートに貼られている写真をチェックする。

 

「この写真の上のバツ印って」

 

「おそらく潮井が殺した魔法少女でしょうね」

 

とりあえずページを捲っていると、彩が「あっ」と何か気付いた様な声を出した。

 

「どうかした?」

 

「あの、この子どこかで見た事があるなと思って」

 

そう言って指差したのは、水色のツインテールの明るい笑顔の女の子。

 

「知り合いか?」

 

一護が尋ねると、彩は少し難しい顔で答える。

 

「知り合いじゃないんですけど、どこかで顔は見た記憶はあるんです」

 

「そうね、私もどこかでこの子の顔は見た覚えがあるわ」

 

奴村も同じように思い出す。だが、はっきりとこの写真の事で合った覚えがないという。

 

「なに言ってんだよ。二人して顔は見たのに会ってないなんて、アイドルとかじゃあるまいし」

 

と、一護がそう言ってジュースを飲んで、テレビの方に目を向けた。

すると――、

 

「ブハッ!」

 

「キャッ」

 

「ちょっと、何してるのよ!」

 

一護が口に含んだジュースを一気に噴き出したのだ。

いきなりの事に彩は驚き、奴村は怒りの声を上げるが、一護は口からジュースを垂らしたまま呆然とした表情でテレビを指さした。

二人もその方向に首を向けると、

 

『それでは聞いてください。“いぬあそび”の新曲“オンリーわんこになりたくて”!』

 

テレビには写真の女の子がはっきり映っていた。

 

「「「いた…」」」

 

あまりの出来事に三人は思わず声を揃えて呟いたのだった。

 




死神図鑑ゴールデン

コン「よう!お前ら、今日は『BLEACH』の公開日だ!みんな待ったか!?俺様も朝一に見る為にこれから映画館に並びに行くぜ!!
更に明日は人気スマホアプリ『BLEACH BRAVE SOULS』の3周年記念生放送だ!ゲストも超豪華!森田成一、置鮎龍太郎、小西克幸、朴璐美といった豪華声優陣も登場だ!21日の夜九時からYouTube、ニコ生、FLESHで放送予定だ。見逃すんじゃねえぞ!」

奴村「最近宣伝ばっかりじゃない?」

一護「色々あんだよ。大人の事情ってのはな」
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