BLEACH The Magical Girls Site   作:未来跳躍

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大変遅くなって申し訳ありませんでした。
今回はあのキャラが登場するので、ネームから色々手間取っていました。
もしよろしければ感想や評価、誤字脱字などの指摘の方、よろしくお願いします。


ENTER.7 Princess is Poison Apple(2)

ENTER.7 Princess is Poison Apple(2)

 

穴沢虹海。今、人気急上昇中のアイドルグループ『いぬあそび。』のメンバーの一人。

『いぬあそび。』の中でもセンターを務める彼女の人気は留まる事を知らない。

彼女はその可愛い容姿もそうだが、歌唱力、ダンス力も飛びぬけている。

更に、彼女は副業で自身がデザインした『おしりんご』グッズは絶大な人気で工場の生産が追い付かず、予約も一カ月以上待ちが多い。

街に行って彼女ことを知っていますかと聞いて知らないという人はほとんどいない。まさに老若男女全てから愛されているアイドルの中のアイドルという存在であろう。

 

「驚いたわね。まさか、人気アイドルが魔法少女だったとはね」

 

奴村はテレビに映る虹海を見て驚愕を隠せない。もちろん一護と彩も右に同じだった。

 

「とりあえず、どうすんだ?」

 

一護が奴村に尋ねる。

 

「そうね。まずは彼女に会ってみないとね。このノートの中でコンタクトを取れるのは彼女だけなんだから」

 

「会うって、相手は人気アイドルだぞ。そう簡単に会えるものじゃねえだろ」

 

「問題ないわ。ステッキで時間を止めてしまえば問題ないでしょう」

 

そう答える奴村だが、彩はステッキの事を聞いたその時、彼女は咄嗟に潮井梨ナの事を思い出した。

 

「奴村さん、腕を見せて下さい」

 

そう言って、奴村の左腕を掴んで彼女の腕に刻まれた紋様を確認した。

彼女の左手首に刻まれた紋様はすでに半分近くが消えていた。

これを意味する事はただ一つ。奴村は既に寿命の半分近くを消費しているという事。

 

「お前、これ!?」

 

一護も驚愕する。魔法少女が自身の寿命を使って魔法を使う事は最初に聞いていた。だが、その時は魔法少女になりたての彩の腕で奴村は一護に魔法少女の寿命の事を教えており、奴村自身の紋様は二人には見せていなかった。

まさかすでにここまで寿命が消費しているとは二人は思いもしていなかった。

 

「別に問題ないわ。この程度」

 

掴んだ彩の手を振りほどいて奴村は静かに口を開いた。

 

「奴村さん、でも…」

 

「このくらい大丈夫――「ダメだよ!」」

 

奴村の言葉を待たずに彩が大きな声でかぶせてくる。

驚いて目を丸くする奴村に向けて彩は言葉を続けた。

 

「もし奴村さんが倒れたら、私は耐えられない…」

 

心配そうな顔を伏せる彩を見てさすがに奴村もこのままステッキで強行突破する訳に行かなくなり、再びこれからを考え始めた。

 

「でも、そうしたらどうやって穴沢虹海と接触するかよね」

 

「それなら、私に一つ提案があります」

 

困って呟いた奴村の言葉に彩が人差し指を立てて答えた。

 

「握手会です」

 

「「握手会?」」

 

一護と奴村が口を揃えて首を傾げた。

 

「もうすぐ開かれる『いぬあそび。』の握手会に行けば、目の前で穴沢虹海と出会える場面が出来ます。あとは奴村さんが時間を止めて、私が彼女をどこか話せる所に飛ばせば、最低限のステッキの使用で彼女と話が出来るという事です」

 

彩の提案に二人は『オォ~』と感嘆の言葉が口から漏れる。

 

「朝霧さん、あなた以外と策士ね」

 

「もう!真面目に聞いてくださいよ」

 

奴村が真顔で彩を褒めると、彩は恥ずかしそうに顔を真っ赤にして照れながら可愛く怒っているこの緩い空気の中で、一護がある疑問を呟いた。

 

「なぁ。少し疑問に思ったんだが、その握手会って“チケット”とか必要なんじゃねえのか?」

 

「「……あ…」」

 

一護の疑問に二人はこの作戦にある致命的な欠点にある事に気がついた。

それは握手会に入るためにはチケットが必要だという事という当たり前の事実。

もちろん、大人気アイドルの握手券など三人は持っていない。

三人のテンションは一気に落ちて、部屋と同じく暗い空気に包まれた。

 

「ちなみにそのチケットって今手に入れられないの?」

 

「今からじゃ遅いだろ。仮に買おうとしてもものすごい高額を要求してくるだろうし…」

 

そう言われて奴村がスマホでチケットが売られていないか調べてみると、売ってあるのは軽く10万近くまで値段が上がっているものばかりだった。

どう考えても学生3人が出せる金額ではない。

 

「ごめんなさい…」

 

「いや、お前の責任じゃねえよ」

 

シュンと小さく落ち込む彩を見て一護は慌てて彼女を励まそうと言葉をかけた。

 

「ハァ…。誰かチケットをポンと渡してくれる人が出て来てくれねえかな…」

 

「なに言ってるのよ。そんなご都合主義みたいな話なんて――」

 

奴村が話し終える前に、一護の携帯が鳴り始める。

取り出して、画面を見ると相手は啓吾からのLINEの通知だった。

そこには驚く事が書かれていた。

 

『喜べ!何とあの大人気アイドルグループの『いぬあそび。』の握手会のチケットを譲ってもらったのだ!!3人分あるから一緒に行こうぜ!!』

 

それを見た瞬間に一護たちは思考が一瞬停止してしまった。そして――。

 

「「「い、…いた――――――っ!!」」」

 

病院のホール内に響き渡るほどの大絶叫を上げた。

 

「い、いたぞ。救世主だ…。救世主がいたぞ!!」

 

「なにこれ!?こんな美味しい話があるの!?」

 

「はわわ――。こ、これって大チャンスですよね!?」

 

突然舞い降りてきたこの展開について行けず、テンションが異様に上がった三人は少しパニックを起こしかけていた。

 

「お、落ち着け、お前ら!とりあえずここは「あの――」ん?誰だ?」

 

突如後ろから掛けられた声に三人が振り返ると、この病院の警備員の男性がいた。

 

「もう面会時間は過ぎてるし、病院内で大声出したり、君たちこれ以上騒ぐなら警察呼ぶよ」

 

警備員の男性は顔だけは笑顔だが、額には青筋が浮かび上がり背後には阿修羅でも浮かび上がりそうなほど怒りのオーラが見えていた。

 

「「「す、すいませんでした…」」」

 

怒られた三人は慌てて病院から逃げだした。

とりあえず病院を出た彼等はこれからどうしようか考えていた。明日からどうするかを考える為に、まだ話を続けたいが、病院を追い出されて何処で話をしようかと議論していると、そこに彩が手を上げる。

 

「あの、とりあえずここで立ち話もなんですしとりあえず――」

 

彩が提案したのは――。

 

 

 

「えっと、その…お友達、よね?」

 

「う、うん」

 

突然の来客に目を丸くしている彩の母親。

 

「はじめまして。奴村露乃です」

 

「ど、どうも…。黒崎一護、です…」

 

綺麗に礼をする奴村とどこかぎこちない挨拶の一護を見た瞬間、彩の母は慌てて居間に行き――、

 

「お父さん大変よ!彩が彼氏を連れて来たわ!!」

 

と大きな声を上げて居間へと走っていった。

その声がバッチリと聞こえていた彩は顔を真っ赤にして慌てて母の後を追いかけていった。

 

「お、お母さん!そういうのじゃないから――」

 

とりあえず、騒ぎがいったん落ち着くまで一護と奴村は玄関でただ立ち尽くすことしかできなかった。

 

 

 

「――と、いう訳で私達はこの一護さんから期末テストについて色々と勉強を教えてもらおうと」

 

居間で奴村が彩の両親に説明している。もちろん、これは彩の家に入る前にあらかじめ決めておいた家にはいる為の建前である。

彩と奴村は期末テストが近いので、、奴村は彩に知り合いである一護を紹介し、彩は彼に勉強を教えてもらうという為に自宅に招いたという事に設定で話した。

 

「事情は分かった。ただ、私は心配なのは――」

 

彩の父が言葉を濁す。はっきりとは言えないが、彼言いたい事はすぐ理解できた。

一護が本当に彩達の教師が務まるかという事。オレンジの頭で眉間に皺を寄せた一護の風貌はどう見ても不良にしか見えない。

そんな男がいきなり自分の娘の勉強を教えると言っても信じられないのが普通である。

 

「無理に言わなくて結構です。大体の事は分かります。とりあえず、これを見てもらえないですか?」

 

一護はそう言ってカバンから普段授業で使っているノートを数冊取り出して、彩の父と母に手渡した。

一護から渡されたノートを開くと、そこには彼の授業で教わった事が綺麗にまとめられていた。先生が授業中に言った必要なところやテストに出そうな部分はそれぞれしっかりとペンの色を変えて重要度順に分けられている。

普通に授業を聞いたりしている人には出来ない。それだけでも十分に彩の父には伝わった。

 

「分かった。これを見ればキミの勉学態度はすぐ分かる。キミを信じよう。娘の事をよろしく頼む」

 

そう言って、彩の父が頭を下げると居間の扉が開く。

 

「あれ、お客さん?」

 

扉を開けて入って来たのは彩の兄の要だった。要の声が聞こえた瞬間、彩は一瞬だけ恐怖で身体が固まって震えてしまう。父と母はその事に気づいていないが、一護と奴村は彩の一瞬の変化を見逃さなかった。

 

「あら、要。ごめんなさいね。こちらは彩のお友達の奴村露乃さんと黒崎一護さん。黒崎さんは彩達の勉強を見て下さるのよ」

 

「ふ~ん…。彩の友達、か…」

 

要は誰にも気づかれない声で一人呟く。そして、一護たちに満面の笑顔で振り返り口を開いた。

 

「はじめまして。彩の兄の要です。妹の事よろしくお願いしますね」

 

「えぇ。もちろん」

 

「ウッス…」

 

笑顔で挨拶する要に奴村と一護は目も合わせず頭を軽く下げたそっけない挨拶で返した。

 

「それじゃ、母さん。ちょっと、コンビニに言ってくるよ」

 

「えぇ、いってらっしゃい」

 

そのまま母に笑顔を向けて要は家を出ていった。

一護たちも彩の母に晩御飯をごちそうになった後、彩の部屋で勉強会という名の作戦会議を開く事にした。

 

 

 

「いい部屋ね。普通に女の子の匂いもするし」

 

「お前、その発言は変態っぽいぞ――って、足が痛い!」

 

彩の部屋に入った奴村の感想にツッコミを入れた一護。

その直後、彼の脛に奴村の鋭いローキックが炸裂し、一護は脛を押さえて蹲り、悶絶する。

彩の母から小さい机を借りて、彩の部屋の真ん中に置き、机に教科書とノートを広げる。

すると、こんこんとドアをノックする音が聞こえ、外から声が部屋に響く。

 

「彩、入るよ」

 

「ッ!!」

 

ドアを開けて入って来たのは、要だった。彼はお茶とクッキーが入った小皿を乗せたお盆を持っていた。

 

「これ、母さんからの差し入れだって。聞いたよ、一護くん。君なかなか勉強できるみたいだね」

 

「そりゃ、どうも…」

 

要がニコニコ笑みを浮かべて語りかけるが一護は何時もと変わらない無愛想な顔で軽く返事する。

 

「奴村さんもこれからも彩と仲良くしてあげてね」

 

「えぇ…」

 

奴村も普段と変わらない無表情で要に対応すると、「それじゃ、頑張ってね」と言って要は部屋から出ていった。

要が出ていくと彩はホッと胸をなでおろす。

 

「お兄さん、イケメンね。―――なーんて、言うんでしょうね。普通の人ならね」

 

「あんな胡散臭い笑顔、初めて見たぜ。あれなら、藍染の笑顔がまだマシだぜ」

 

要が部屋から立ち去った瞬間に、一護と奴村は要に対して悪態をつく。

居間で初めて会ったときから、彼とは仲良くなれそうにないと感じ取っていた。

 

「気に入らなくても、もう少し愛想よくしなさいよ。印象悪く見えるわよ」

 

「その台詞、熨斗つけて返すぜ。お前なんか目も合わせなかっただろうが」

 

「見たくなかったからね「あ、あの…」――朝霧さんにとって、あの人はいいお兄ちゃんなのかしら?」

 

奴村の問いに彩は答える事が出来なかった。

正直に言うと、彩は要を兄として見る事が出来ない。いつも彼には痛い目を味わわせられてきた。でも、それが彩にとっての兄妹だと思っていた。

昨日、一護の家に泊まった時に見た。一護と遊子と夏梨の仲のいい三人を見て思った。

本当の兄妹とはこういうものなんだ、と――。

 

―――だったら、私にとってお兄ちゃんは本当にお兄ちゃんなの?それとも――。

 

「ホラ、無駄話はやめて早く本題に入るぜ」

 

一護が二人を呼ぶ声が聞こえて、彩はその先を考えるのを辞めた。

こうして、三人は新しい魔法少女、穴沢虹海から話を聞く為の計画を話し合った。

ちなみに、その後もちろん普通に一護が二人の勉強も見てあげました。

 

 

 

翌日の放課後。空座町第一高校にて――。

 

「いっちィィごォォォォウ!!なぁなぁ、昨日のLINE見てくれたかよ」

 

「そうだ。啓吾、それについてなんだけどよ。お前、チケット三枚持ってるんだよな?」

 

「あぁ、三枚持ってるぜ。いやぁ、俺の顔の広さによるものでさ」

 

「なに言ってんだよ。僕の友達が一緒に行こうって話がドタキャンになったから啓吾にあげたんじゃないか」

 

完全に天狗になっている啓吾の後ろから水色が冷静に捕捉を付け加えて、彼の伸び切った鼻をペッキリとへし折った。

 

「う、うるせえ!!もうこれは俺のチケットだからな!!チャドはいないから、いちご~男二人で可愛いアイドル達に癒されに行こうぜ~!!」

 

そう言いながらすり寄ってくる啓吾に、一護は突然頭を下げた。

いきなりの事で啓吾はもちろん、水色も目を丸くしている。

 

「悪い、啓吾。そのチケット三枚、俺に譲ってくれねえか」

 

「…な、何言ってんだよ!!一護。いくらお前の頼みでもこればかりは――「頼む!!」……」

 

啓吾も断ろうとしたが、一護が必死に頭下げている姿を見て迷いが出てきた。

 

「いいんじゃない。啓吾、あげたら。どうせ啓吾が持っていても一人で行くだけで無駄になるんだから」

 

「なな、何を言っているんだ。水色くん!そんな人をボッチみたいに「違うんですか?」やめて!そんな真顔で言わないで!!……~~~っ!!分かったよ。ホラ」

 

やがて諦めて啓吾は一護にチケットを三枚手渡した。

 

「貸しだからな。高くつくぞ」

 

「分かってるって。今度、購買の幻のたまごパン奢ってやるよ。アリガトな!!」

 

一護はチケットを受け取るとそのまま教室を後にした。

 

「一護がアイドルに興味あったなんてな…。――って、痛い!なにすんだよ、有沢!!」

 

一護が去った姿を見送った啓吾が一人呟くと、後ろからたつきが彼の脳天目掛けてチョップを喰らった。

 

「そんなわけないじゃん。あいつがテレビの有名人とかに興味を持つタイプじゃないってのは、アンタだってよく分かってるでしょうが」

 

「分かってるよ。有沢…」

 

「まあ、十中八九死神関係だろうね。言ってくれてもいいのに…」

 

あの大きな戦いから一護の口から語られた秘密を知っている三人にとって、彼が共に頭を下げる時は、誰かの為に戦う為だと理解している。

理解しているからこそ、詳しくは聞かない。聞いたところで一護の心配を増やすだけだ。

だからこそ、彼等は見送るのだ。校門へと走っていく友の背中を黙って押す。

それも彼らの友情の印なのだから。

 




朝霧要の今日の呟き

「ヤァ、今日は僕の新コーナーにようこそ。
ここでは成績優秀、眉目秀麗で神に祝福された存在の僕がその日に起きた事を語っていく。平和なコーナーさ。
今日の出来事は何と言っても、彩がお友達を連れてきた事だろう。
この僕が取っておきの笑顔でもてなしてやったのに、ニコリともしない失礼千万なメスガキと僕を睨みつける生意気な態度を取る不良崩れのクズ。
奴村露乃と黒崎一護。この名は絶対に覚えておこう。
おっと、もう時間の様だね。それではまた次回にお会いしよう」

訂正と侘び
この小説の感想ページにてBLEACH側の時系列はパラレルで強さは破面篇中期と言いましたが、時系列を地獄篇終了後(藍染も倒した後)に変更させていただきます。
誠に勝手ながらも、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
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