やっぱりこれは外せないですよね。
───女の話をしよう。
いつの日からか、女は病を嫌悪していた。
鋼鉄の白衣は隙間なく、重装歩兵の特攻隊。
救いはない、と余人は嘆く。
救いはある、と彼女は叫ぶ。
難攻不落の鋼鉄城塞。
城門は固く、されど来るもの拒まず。
他人の幸福は自分の幸福だと語るが、さて。
「──ぱい、せんぱい。起きてください、先輩」
聞きなれた愛らしい声で目を覚ます。
妙に重い瞼を開けると、真っ先に誰かの顔が目に入る。
薄い桃色の髪の毛と黒縁眼鏡。
透き通るような無垢な瞳と白い肌。
優しげな眼差しを少しは不安げにして、艶のある唇で自分の名前を口にした少女の名前は、
──マシュマロ?
「はい……って違います。少し名前にオマケが付いてしまってますよ先輩。
正しくはマシュ・キリエライトです。記憶に間違いはありませんか?」
もちろんだ、間違える筈がない。
人理修復の旅、それを一番最初から支え、守り続けてくれた女の子。
自分の一番大切な、愛すべき後輩を忘れたりはしない。
「そ、そんなにまでストレートに告白されてしまうと、私も、は、恥ずかしいのですが……いえ、イヤと言うわけではなくて、その……か、からかってますか?」
からかっていない。
紛れもなく、自分の本心だと断言できる。
何なら令呪を使っても構わない。
「そ、そんなことに令呪を使わないでください! もう……やっぱり何か異常が起きてるんでしょうか……。こんなに情熱的な先輩は見たことが──いや、たまにあったりはしますが、それはハロウィンやクリスマスでテンションが上がっている時くらいですし、今回はベクトルが違うというか……」
目の前で百面相をする後輩の姿に安心し、寝ている体を起こす。
自分が寝ていたのは診療所のあるようなベッドだった。やけに冴えた目で回りを見ると、微かな薬品の匂いと共に薬の瓶の棚や人体模型等が見えた。
おおよそカルデアでは見れない風景。
その時点で何かが起こっているのは明白だった。
──ここは、保健室?
少なくとも、自分の記憶の中でこの風景と合致するものはそれしかない。
もう一年も昔の、学校で見た景色だ。
「──はい。保健室で間違いありません。
私の記憶によれば、ここは近代の日本。明治や大正といった時代に作られた学校の保健室と酷似しています。
というよりも、この校舎事態が、いわゆる旧校舎と呼ばれるような建物で間違いないでしょう」
旧校舎──なるほど、よく見れば壁は木造で建てられており、雰囲気も何処と無く風情があるというか、どこか懐かしい感覚が自然と湧いてくる。
実際に通った経験は無いが、これは紛れもなく昔の学校そのものだ。
「はい。私も写真でしか見たことがありませんでしたが、ここに居るだけで不思議と懐かしい気持ちを感じます。ノスタルジーとはまさにここを指すかのような、とても神秘的な場所です」
近代日本の代表例を神秘的とは、逆説的だが言い得て妙だ。
そこに居るだけで人の気持ちをときめかせる神秘が、ここにはあるのだろう。
それにしても、何故自分達はここにいるのだろうか。
人理修復の旅を終え、つい数日前にセイレムで観測した特異点を修復したばかりの筈だが──?
「それが、私達にも良くわからないんです。目が覚めたら校舎のこの保健室で寝ていまして……少し散策してみましたが、様々な発見と驚愕の嵐で目が回りそうでした」
私達、ということは、ここには他の人も居ると言うことだろうか?
「はい。現在この校舎には先輩と私の他に、ダヴィンチちゃんとミスターホームズ、それとムニエル氏を含めた六人のスタッフ……それと、購買部の店主を名乗る男性がいます」
それは……かつて無いほど大人数での異常事態だ。
謎の特異点は何度もあったが、現地にスタッフ毎飛ばされるなんてことは今までなかった。
「目下作戦会議中で、まずは状況の確認を急いでいます。私は先輩が起きたら、会議に一緒に参加するよう頼まれていました」
なるほど。それで保健室に。
なら早く行動に移すべきだろう。ベッドから降り、靴を履いて立ち上がる。立ち眩みや体のダルさもなく、健康体そのものだ。むしろ少し調子が良いくらいかもしれない。
「無理はしないで下さいね。きっと今回も先輩のお力が必要になると思います。コンディションには気を使いましょう」
心配性な後輩が薄く笑って隣に立った。
……先程から気になっていたのだが、一応聞いておこう。
その着ている服は……ここの制服だろうか?
「は、はい。恐らくは。ここで目覚めたときには既に着ていて、いつもの服も無くなっていたのでそのまま着ています」
と少しマシュは戸惑いながら腕を広げたり、背中を見せたりして服を見せた。
黒を貴重とした古風なセーラー服。折り目の無い赤いスカーフを首に付け、少し長めのスカートを履いた姿は真面目なマシュらしい。
「そ、その……似合っているでしょうか?
こういった服は着たことがなくて……着こなせているか不安で……」
もじもじと体を縮こませて、自信なさげに囁いた。
そうだな──
→とっても似合ってる。学級委員長みたいだ。
その服で毎日味噌汁を作ってくれないか?
何か危険があるといけない。スカートを上げて確認しよう。
──とっても似合っている。真面目なマシュが着ると、まるで学級委員長みたいだ。
自然と声が出た。
眼鏡の縁を押さえて、キリッとした顔でいれば、そのまま学校でも通用するくらい、マシュの雰囲気と合致していた。
「そ、そうですか……その、良かったです。
ダヴィンチちゃんやムニエル氏や他のスタッフも誉めてくれたんですが、それでも少し自信がなくて……先輩が言ってくれるなら安心ですね」
そう言って、彼女は花のように笑った。
この時点で誰書くか丸分かりだな……。
一応CCCの凛のプロローグをちょっとパクりました。
自分の才能の無さが怨めしいです。
SGは既に考えているので、彼女に関しての大筋は構想してますが、なにぶんリアルが面倒なことになってるので、気長に待ってて下さい。
因みに選択肢他の二つを選択すると
その服で毎日味噌汁を作ってくれないか?
→「か、からかってますよね? 今度は絶対からかってますよね!?」
なお、このあとの分岐で
ああ、勿論。愛してるに決まってる。
目を、瞑ってくれないか?
の選択肢を順番に選ぶとキスシーンからのマシュマロルート確定になります。
何か危険があるといけない。スカートを上げて確認しよう。
→「だ、ダメです! き、危険なんてありませんから!!」
なお、このあとの分岐で
ダメだ、ちゃんと確認しよう。
ダメだ、マシュに何かあったら一大事だ。
分かった。そこまで言うなら正直に言おう。たくしあげて下さい。
の選択肢を順番に選ぶと、真っ赤になりながらスカートを上げるマシュマロが見れます。
続きは時間があったときに。
気長に待っていてください。