短編SS集   作:龍剣朱羅

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ドーモ、ハーメルンユーザー=サン、龍剣(タツルギ)=デス。
今回は何故かレッドマンでございます。但し、忍殺風仕立て故読まれる方は十分注意されたし。

当然ではありますがこの作品もpixivに掲載されております(皇紀2678年7月16日加筆)。

*皇紀2678年7月21日修正


忍殺風“赤いアイツ”

 「ザッケンナコラーッ! 俺達ゃカイジュウ軍団だぁァ!!」

 

 それはまるで魚類めいた尾鰭背鰭を持つ異形だった。

 

 「ボーシッ! トーリボーシッ、スッゾコラーッ!!」

 

 それは恰も巨大な蛸に手足を付けた様な異形だった。

 

 二体の巨大かつ強壮なる異形は傍若無人の限りを尽くし、モータル達の生活を街諸共蹂躙していた。その有様はまるで砂場にて戯れる童子の様にも見える。

 

 「ア、アイエェェェェェ ……」

 

 「お、俺の家が……」

 

 「この世にはブッダもオーディンもおらぬのか……」

 

 巨大かつ強壮なる異形“カイジュウ”の前にモータルはひたすら怯え嘆くのみ。抗う愚者は今や悉く屠られ尽くしたのだ。

 

 ここは太陽系第3惑星“地球”。今や宇宙開発など児戯染みた夢絵空事、一般人即ちモータルは日々超自然より来る災厄“カイジュウ”や“チョウジン”の蹂躙をただ黙して享受するのみ。最早神も仏も死んだ、宛らマッポーめいた有様なのである。

 

 だがしかし ……

 今や瓦礫の山と成り果てた街に一人の名も無きモータルの男が立ち上がった。それを目敏く発見した二体のカイジュウは男に詰め寄る。

 

 「誰だ、テメーは!?」

 

 「殺されてーのか!?」

 

 男はカイジュウの存在など意にも介さぬかの如く言霊を並べる。その時男の目は恰もピジョンブラッドめいて赤い光を放っていた。

 

 「こ …… ころ …… 殺す …… べし …… カイジュウ、殺すべし!」

 

 その刹那、男の体全体から赤い光が発せられた!その光は瞬く間にカイジュウに匹敵する程巨大な物となっていたのだ。そこから溢れ出る殺気に満ち満ちたアトモスフィアは二体のカイジュウを喰らい尽さんがばかりに漲っていた。

 次の瞬間、二体のカイジュウは無様な断末魔の絶叫を放つ。噴き上がる鮮血と共に!

 

 「「アバァァァァァァァァァァーッ!!」」

 

 南無三!“赤いアイツ”が出て来て殺すッ!

 

 

 

 ~ フロム・レッドスター・イン・ア・ファーギャラクシー ~

 

 

 

 「あ、アイエェェェェェェェェッ! チョウジン! チョウジンナンデ!? アイエェェェェェェェェェェッ!! ア、アイエェェェェェェェェェェェェーッッ!!」

 

 哀れ、その場に居合わせたモータル達は“CRS(チョウジンリアリティショック)”フィードバックによりニューロンが焼き切れしめやかに失禁悶絶!そして気絶ッ!

 直後一体のカイジュウが現れる。次の瞬間奴が目にしたのはすっかりネギトロと成り果てた二体のカイジュウだった!南無阿弥陀仏!

 

 「こ、これはムルチ=サンにタッコング=サン! な、何が起きたと云うのだ!?」

 

 直後背後に殺気を感じたカイジュウはすかさず振り向いた。その眼前に立つのは一人のチョウジン、赤い、赤いチョウジンだったのだ!それは正に“血の赤”だった。そう、恰も血の海から生まれたが如き姿である、コワイ!更に銀色の顔にはこれまた血の如き赤い仮面で覆われ、瞳から金色の光を放っている、コワイ!

 

 「何奴!?」

 

 カイジュウの問いに対し赤いチョウジンは両手を己の胸正面にて合わせ、頭を下げた。所謂“アイサツ”である。

 

 「ドーモ。レッドマンです」

 

 古来よりイクサに臨むチョウジンやカイジュウにとってアイサツは必要不可欠の行為である。アイサツされれば返さねばならない!

 

 「ド、ドーモ。レッドマン=サン。イカルス星人です …… 貴様俺をどうする気だ!?」

 

 「殺す!」

 

 カイジュウ、即ちイカルス星人の問に対し、レッドマンと名乗るチョウジンは立て板に水の如く鮮やかに丁々発止と切り返す。しかし、イカルス星人はレッドマンから放たれる殺意と怨念に満ち満ちたアトモスフィアに気圧されながらも己が命を狙う理由を問う。

 

 「何故!?」

 

 「お主がカイジュウだからだ! イヤーッ!!」

 

 云うやいなや問答無用とばかりにイカルス星人めがけカラテを振るうレッドマン、その鮮やかさ正に閃光の如し!

 

 「グワーッ!」

 

 ひとたまりもなく絶叫諸共100メートル単位でふっとばされたイカルス星人、無論レッドマンも更なる追い打ちをかけるべく間合いを詰める。その有様宛ら瞬間移動の如し、タツジン!

 

 「ヤメロー! ヤメロー!」

 

 己の身に死が近寄る事態を察したイカルス星人は心ならずも命乞いに及ぶ。だが、レッドマンに慈悲など無かった!サツバツ!

 

 「イヤーッ!」

 

 気合諸共手刀がマチェットめいてイカルス星人の首を切り飛ばす。ゴウランガ!その切れ味たるや正にニッポントーの如し!ワザマエ!

 

 「サ ヨ ナ ラ !」

 

 斯くして断末魔と共にイカルス星人はしめやかに爆裂四散!

 

 だがその直後頭上に落ちてくる巨大な岩、アンブッシュだ!されどレッドマンは微塵たりとも慌てず最小限の動作で落下する岩をスルーした。なんたるチョウジンのワザマエか!そして岩が落下してきた方向を見やるとそこには一体のカイジュウが仁王立ちで崖の上からレッドマンを見下ろしていた。そのカイジュウが放つはツワモノのみが持つ独特のアトモスフィアである。そう、新たな刺客のエントリーだ!

 

 「ドーモハジメマシテ。ダークロンです」

 

 「ドーモ。ダークロン=サン。レッドマンです」

 

 これから血みどろのイクサを繰り広げんとするチョウジンとカイジュウが神妙なるまでにアイサツを交わす。ともすれば一見奇妙な光景である。だがアイサツはイクサを行うに辺り必要不可欠、かつ神聖不可侵の行為なのだ。これは“日本太平風土記”にも書かれている。

 そして草木も眠るウシミツアワー、ありふれた裏山は壮絶なるイクサの開始点と化す!

 

 「レッドファイッ!」

 

 鬨の声を放つやダークロンに挑みかかるレッドマン、その姿正に血に飢えた野獣の如き所作である!片や迎え撃つダークロンも臆すること無く拳を繰り出す。おお、何たる凄まじきカラテの応酬か!まるで圧縮されし小宇宙めいた曼荼羅の如き光景が展開しているのだ。更に言葉の応酬も同時に交えられる。そう、言葉のやり取りもまたカラテなのだ!

 

 「“カイジュウ軍団”に楯突いた事が如何なる罪を招くか、貴様はこれから知ることになる!」

 

 「おお、そのクロスクローのエンブレム。お主らの名はカイジュウ軍団か、覚えたぞ!」

 

 「貴様の目的を云うが良い!」

 

 「カイジュウを殺す! 当然お主も殺す! カイジュウ軍団のカイジュウを総て殺す! カイジュウを総て殺すッッ!!」

 

 「何たる狂人の戯言か!」

 

 「果たして戯言かな?」

 

 ダークロンの嘲る言葉をにべもなく切り返すレッドマン、だが己が狂人たるところを否定しない。実際何たる奥ゆかしさであろうか。

 やがて激しい攻防も佳境を迎える。

 

 「イイヤーッ!!」

 

 遂にレッドマンの拳がダークロンを捉えた。たまらず吹き飛ばされるダークロン、だがレッドマンも更に追い討ちをかけんと一気に間合いを詰める。

 

 「イヤーッ!」

 

 気合諸共繰り出される嵐の如き拳の連打、レッドマンの猛攻を前に最早ダークロンはただ一方的に打ちのめされるのみ。そう、ダークロンは目前の敵のワザマエを恐れたのだ!このチョウジンのワザマエをッッ!!

 

 「グワーッ!」

 

 大地に減り込むが如く叩き落とされるダークロン、ここを勝機と見るやレッドマンはすかさず“後ろを取る”為立ち上がりかけたダークロンの近くに着地した。

 

 そして ……

 

 「レェッド!」

 

 漸く立ち上がったダークロンを後ろから羽交い締めにして気合一閃飛び上がる。そう、ヒサツワザを仕掛ける為なのだ!

 高度1万メートルに到達直後その体制のまま逆落としにて急降下!錐揉み状態に突入したのだ!やがて地面に激突直前の刹那、レッドマンは一人離脱。直後敵を屠る者の名を宣す、タツジン!

 

 「レッドフォールッッ!!」

 

 直後ダークロンは錐揉み状態のまま地面に打ち込まれたのだ!おおゴウランガゴウランガなんたる残虐ワザか!!

 

 「グワーッッ!」

 

 絶叫直後恰も犬神家めいた様を晒すダークロン、だがレッドマンは情け無用とばかりに獲物を召喚したのだ!

 

 「レッドアローッッ!」

 

 レッドマンは己の手に握られた真紅の槍、レッドアローを躊躇せずダークロンめがけ投擲する。次の瞬間それは恰もレーザービームめいてダークロンの体を貫いたのだ!の威力たるや体の半分近く埋まっていたダークロンの体を再び100メートル単位で吹き飛ばす程である。ワザマエ!

 

 「アバァァァァァァァァァァーッッ!!」

 

 「さあ、ハイクを詠むが良いダークロン=サン!」

 

 殺気を漲らせ屈服を迫るレッドマン …… だが!

 

 「わ…… 我が魂のカラテ足りず …… だがカイジュウ八部衆とベリアル=サンが必ず ……」

 

 ダークロンの口から紡がれたのは所謂五七五のハイクではなく、文字通りの呪詛であった。おお何たる闘魂か、例え敗れたとはいえ魂まで屈した訳ではないのだ!

 

 しかし!

 

 「イヤーッ! レッドキック!!」

 

 その闘志に対しレッドマンは無慈悲な飛び蹴りにて報いたのだ、サツバツ!

 

 「サ ヨ ナ ラ !」

 

 斯くてダークロンは断末魔諸共しめやかに爆裂四散!

 

 「フ、フハハハハ …… フハハハハハハハハハハハ!」

 

 そして誰もいなくなった瓦礫の荒野にレッドマンの高笑いが木霊する。彼の胸中に去来するものは何か?それはブッダにすら理解できぬであろう。

 

 こうして4体のカイジュウがレッドマン最初の贄と成り果てた。だが、これは“赤い殺戮者”がこれから築き上げる屍山血河の規模からすれば極々些細な“サキブレ”に過ぎないのであった。

 




ちなみにここでの「日本太平風土記(@ウルトラマンX)」は忍殺に於ける「古事記」と同様の存在ですのでご承知の程を。
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