――放課後――
「3会?」
俺は聞きなれない行事の事をヒロから聞かされた。3会とはおおよそ海開きのようなモノらしい。詳しく知りたい人は本編をプレイしよう。まぁ、俺の出番はないけどなッ!!
「ふーん。で男子からはヒロで女子が辻堂。でも辻堂は参加していない、まあ当然と言えば当然だ な。」
「やっぱり、そうだよね…」
ヒロが苦笑気味に答える。
「大丈夫ですか?なんだったら私が代わりに行きましょうか?」
歩が気遣ってるようだ。歩というのはこのクラスの委員長である。まぁ、委員長以外の役職などやらせるわけにいかない委員長の中の委員長といった見た目をしている。
「いいってば。1人で間に合ってるから。」
「まあ、ドンマイだな。そうなった運命を恨むしかない。じゃあ、俺は少し校舎中見たら帰るわ。」
「うん、じゃあね。」
「はい、さようなら」
俺は二人に別れを告げ教室を出た。
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「さてと…どこにいるのかな…」
俺が探しているのは辻堂 愛である。だからヒロには悪いが3会の会議への不参加は都合がいい。
「…探そうにも心辺りなんて転校初日からあるわけないし、そもそも場所すら知らなかったんだよ俺…屋上とか行ってみようかな…。」
…階段上がり尽くせば屋上だろ…多分。
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「…おかしい、着かないな…。」
階段を上りきったがまだ最上階というだけで屋上ではない。
別の階段からしか繋がってないのか…。
そう思い各所すべての階段を上り下りしてみたが、結果は同じだった。
「…着かないぞ…どうしようか………鶫に聞いてみるか。」
そう思い携帯を取り出し、鶫に連絡する。
「…もしもし、鶫か?」
――どうしました?
「稲村学園の屋上に行きたいんだがどうしたらいいだろう。」
――は?
「だから、稲村学園の屋上に――」
――馬鹿な事言ってないでヒマなら帰ってきて下さい、荷物の整理が追い付かないので。
「いや、ヒマじゃない。稲村学園の――」
――わかりました。手伝わなくていいので邪魔しないでください。
ピッ…ツーツーツー。
切れた。いや、切られた。
「…どうしよう。他に考えられるのは…隠し扉か!?」
すぐさま最上階の階段付近の壁を調べる。
「何してんだよ、オマエ…。」
後ろから声がするので振り返ると呆れ顔の辻堂がいた。
「ん?いや、隠し扉をさがしててな…。知らないか?」
「ねーよ、ここをなんだと思ってんだよ…。」
「なんだと…。では、屋上へ通ずる道はどこに…」
「はぁ!?」
俺はコトの説明を辻堂話した。
「…オマエ、バカだろ。」
大きなため息を付きながらそう言った。
「バカって言ったバカって!!バカって言う方がバカなんだって偉い人が言ってたぞ!!」
「そうかよ…で、屋上に用があるのか?」
「屋上というよりは辻堂に…だな。」
「…アタシ?」
辻堂の表情が険しくなる。
…まぁ、いきなりこんなコト言えば警戒するか…
「あんま警戒すんなよ、少し話したいと思っただけだから。」
「………。」
「まぁ、屋上で話そうぜ。」
そう言って俺は歩きだす。
「ハァ…。って、そっちじゃねぇよ!!わかんねぇから迷ってたんだろうが!!」
「…あっ!?」
「…こっちだよ。」
辻堂が俺とは反対の方に歩きだす。
「ちょ!!待って!!」
俺は慌てて辻堂を追いかけた。
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「…着いたぜ。」
軋んだ音と共に扉が開かれる。
「おぉ!!ついに到着か、長かった…。」
「迷ってたからだろうが…教室から最短で2・3分で付くぞ。」
「あ~はいはい、そうですよ。迷いましたよ、迷いましたが何か?」
「…開き直りかよ、面倒なヤツだな…。」
…面倒とか…本格的に凹んできた(ノД`)
「…で?」
辻堂がフェンスに体を預けながら真剣な表情に変わる。
「DE?」
「…いや、疑問で返されても…話があんだろ?」
「……あー、そういやそうだった。」
「おい。」
「嘘嘘、冗談じゃないですか辻堂さん。」
「帰る。」
フェンスから体を離す。
「ゴメンナサイ、真面目にいきます。…スゥ~…ハァ~…では…今朝は失礼した、あれは本当に緊張のせいで威嚇したつもりはないよ『喧嘩狼』さん。」
「テメェ…何者だ?その名を知ってるのはコッチ側のヤツか、興味本位でそういう話を集めてるヤツだ。」
辻堂の表情が一層険しくなる。
「ん?てっきり部下とかに俺のコト調べさせたりしたのかと思ってた。」
「んなメンドウなコトするかよ、誰だろうと向かって来るなら潰すだけだ。」
俺に向かって拳を突き出す。
「プッ…フッハハハハハハハハッ!!」
「はぁ?いきなりなんだよ!?」
「ハハハッ……いや、ゴメンゴメン。昼に会った時に思ったイメージ通りだなってさ。」
「それ、どういう意味だよ?」
「悪い意味じゃねぇよ。オマエみたいなのなら部下になっても面白いんだろうな…ま、なる気は
さらさらないけどな。んで、俺が何者かだったか?」
「あぁそうだよ。」
笑われたせいか機嫌悪い…いや、かるく拗ねてる?
「川神市親不孝通り制覇…チーム『百鬼夜行』総長・板垣十全だ。『白鬼』なんて呼ばれる事もあるな。」
「やっぱ、コッチ側かよ…。で、目的は何だ?湘南最強の座か?それともアタシの首か?」
「まぁ、最強って称号は嫌いじゃないし、辻堂とヤり合うのも面白そうだが、今は違う。目的は親代わりからの仕事だ。でも、三大天には興味あったから今日はその挨拶だな。もしも、ヤり合うコトになるなら前もって話すっからあんま警戒すんなよ、疲れるだろずっと気をはってるのもさ。」
「…そうだな。なんとなくだけど、さっきの言葉信じてもいいと思ったよアンタなら。だから…話があったそん時は全力で相手してやるよ、えっと板垣?」
「全でいい。俺の周りは大体そう呼ぶしな。」
そう言うと俺は辻堂に右手を差し出す。
「そうかよ、わかったよ全。」
辻堂もその手を取って握手を交わした。
―――ビュュゥゥ~~~
屋上に風が通り抜ける。
「いい風だな。」
「あぁ、サマーシーズン到来だな。」
「今年の湘南の夏はどうなるか…。」
辻堂が小声で言った事も風に消えて俺は聞こえなかった。
暫くの沈黙を破ったのは辻堂だった。
「そういえば、コッチに来た目的は親代わりの仕事って言ったよな。」
「あぁ、そうだけどどうかしたか?」
「いや、親じゃないんだなって思ってさ。親はどうしてるんだ?」
…やっぱ、聞かれたか。
「さぁな、どうしてんだろうな…。」
「なんだよ、他人事みたいに。」
「実際他人なんだよ、顔さえ俺は知らん。」
「は?それって…。」
「ウチら板垣兄弟は俺が物心つく頃に捨てられたんだよ。だから、俺は顔も覚えてない…。ソレを悲しいとか寂しいなんて思った事はない。まして会いたいなんて思わない。俺には姉に兄が いる、大事な家族がいる。俺をここまでにしてくれた家族が。」
「ぇっと…ゴメン。」
辻堂が済まなそうな顔をする。
――― イラッ!!!
「辻堂…テメェ何か勘違いしてんじゃねぇか?」
「へぇ?」
徐々に俺の殺意が覇気が膨れ上がる。
「不幸だと思った事はないと言ったハズだが?その表情は憐れみか?同情か?」
「いやっ…ちょっと。」
「俺には最高の姉兄がいる!!俺は優艶な蛇に愛され、慈愛と苛烈をもつ双頭の龍に愛され、笑声が絶えない天使に愛されて育った!!そんな俺が不幸である筈がない!!それでもそう思ってんな ら……。」
ギロッ!!
最大級に近い殺気が辻堂を射る。並のヤツならここで戦意喪失してる。
「今ここで潰してやんよ!!辻堂…。」
「………。」
辻堂は顔を伏せたまま動かない。
「どうした……?」
ギロッ!!
辻堂も最大の殺気で答える。
「このアタシを潰すだと…舐めんなよ!!大した殺気だよ、少し驚いてる…でもアタシは負けない、なぜならアタシが辻堂 愛だから!! …でも、今回は…。」
「………。」
「ゴメン!!」
「…は?」
いきなり辻堂が目の前で頭を下げた。
「お前がそこまで家族を想ってるなんて知らなかったから、深く考えなかった…悪い。」
俺は辻堂 愛と言う人間をまるで理解してなかった事を知った。
「いやッ、その!?とッ、とりあえず頭をあげてくれ、マジで!!」
「……。」
ようやく辻堂が頭をあげる。
「いや…あの…なんで?」
「何が?」
「何でいきなり頭下げるなんてコトを?プライドとかそんなのいろいろあるだろ?」
「アタシが間違っていたと思ったから頭下げただけだ、間違っているか?」
辻堂の真っ直ぐな双眸が俺を射抜く。
「あ…いや…間違ってない…です…。」
確かに間違ってない、どんな人間でも知っている…己が誤った事をしたら頭を下げて謝る。
だが、ソレを出来る人間がどれほどいるだろうか…。人間生きていくほどに見栄・面子・自尊心色んなシガラミがソレを邪魔をする、まして上に立つヤツならなおの事。
だが辻堂 愛はソレが出来る。…俺はどうなんだろうか…。
「だろ。それに今日は挨拶なんだろ?」
辻堂は薄く微笑む。
「そうだな…いきなりキレて悪かった。」
「気にしてねぇよ。全が家族を愛してる、ただそんだけのコトだ。」
「アリガトウ。」
「別に…。」
そうして俺と辻堂は少しだけ仲良くなった。