辻堂との屋上での出来事からは何事もなく俺は家路についた。その間どっかのヤンキーが殴り込んで来たり、俺がヤンキーだって事がヒロに知られたが説明したら気にしないと言われたのは以外だったが嬉しかった…なんて、ガラじゃないな。
「ただいまぁ~。」
「お帰りなさい、全さん。」
「お帰り~、全チャン。」
「おぉ!かなり片付いたじゃん!」
「でしょでしょ!!いや~疲れたよ。全チャンがサボるから~。」
―――イラッ!!
「ほぉ~、学校をぶっちぎった恋さんがそのセリフ吐くんですかぁ~?」
ムギュゥ~
恋の頬をつねる。
「いひゃい~いひゃいよ~しぇんひゃん~。」
「転校初日からサボるとかありえないだろ、普通。」
ムギュ ムギュ
…やばい、ちょっと楽しくなってきた。
「いひゃい、はにゃひてぇ~。」
「明日もサボるんですか~、恋さん?」
ムギュ ムギュ ムギュ
…この触感はちょっとハマるかも。
「ニャァァァーーッ!!」
あっ、キレた。
「痛いって言ってんじゃん!!全チャンのアホッ!!」
「うわ~、本物のアホにアホって言われた…ショックだ。」
「誰が本物のアホなのよッ!!」
「今の会話の流れで分かるだろ。わからないとか、恋オマエ本物の…。」
「違うわよ!!アタシ!アタシのコトでしょ!!」
「とうとう自他共に認めるアホですね、恋さん。」
「ちがぁうぅ~~!!」
俺と恋のやり取りがヒートアップしつつあったが…
「アホなコトしてないで夕食にしましょう。早く席について下さい。」
「アホって言われてますよ、恋さん。」
「全チャンのコトでしょ!!」
「2人とも早くしないと夕食片付けますよ。」
「「は~い。」」
飯がかかると人間素直になるのは必然である。
「今日は引越し初日ですので蕎麦にしました。ホントは鴨そばにしようと思いましたが季節が外れていましたので鳥そばにいたしました。」
「「いただきま~す。」」
「えぇ、どうぞ。」
グマグマ…グマグマ…
「「うまい!!・おいしいぃ!!」」
「それは、なによりです。」
ようやく鶫も席につく。
「ところで、全さん。」
「(ズルズル…ん?」
「辻堂 愛さんとはお会い出来ましたか?」
「まぁな。軽く話したが…いい意味でも悪い意味でも素直過ぎるヤツだな。」
「そうですか…策を弄するタイプではないんですか?」
「無理だな。あいつは駆け引き無しで正面から行くバカだ。」
「それは全さんもでしょう。と言う事はその方面は片瀬さんを気を付けておけば問題ないですね。」
「そうだな。」
「全チャンの肉いただきッ!!」
真面目な話をしているスキに鶏肉の強奪に恋が動く。
「オマエッ!!それ最後の肉ッ!!」
「(グマグマ…油断する方が悪いんだよ、ご馳走でした!!」
一目散に恋が逃げる。
ズルズル…ゴクん。
最後の一滴まで飲み尽くす。
「ご馳走様…いい度胸だ、恋。…よろしい、ならば戦争だ!!」
恋を捉えるべく俺は走りだした。
「やれやれ…。」
鶫の気苦労は晴れないが今日も夜は更けていく…。
―――翌日・稲村学園―――
「ふあぁぁぁ~~~……。」
眠い…。日課(まぁ、昨日はやらんかったが…)となる鶫と恋とのスパーリングを朝から行ったが…恋のヤツまた腕上がってんなぁ~、良い事だが。恋の吸収力には驚かされる、俺や鶫の戦い方を独学で研究しモノにしていく。出会った頃は正拳突きしか知らなかったのに…どっかの武神の正拳突き見よう見真似で覚え練習に明け暮れたとか…。それでも、俺や鶫にはまだ届いてないけどな。その恋は別の学校に通うコトにしたようで由比浜学園に向かった、制服がカワイイからとかって理由らしいが…どうなんだろ、それは。
「あッ…。」
「「「おはようございますッ!!!」」」
うわぁ~…なんだ、あれ?
辻堂の配下の部下『辻堂軍団』の生徒が校門から入ってすぐから左右に別れ辻堂の道を作り挨拶している。
にしても、辻堂軍団ってネーミングセンスはいかがなものかと…。
稲村学園の毎朝の景色を眺めていると、軍団から辻堂が出てきたようなので挨拶に向かう。
「ヤバいっすよ愛さん、やっぱ昨日の情報は確かです。江乃死魔のやつら、今日にも湘南BABYとケリつけるって」
「あとで聞くから、先にさっさとハケろ。通れねぇやつがいるだろ。」
…江乃死魔って恋奈んトコだよな…湘南BABYは…知らないな。恋奈がぶつかるって言い方してるって事はいつもの人数増やしでなく、湘南で力のあるチームとって事だよな…楽しくなってきたな、詳しくは鶫に連絡してみるか…。
そんな事を考えていると、ちょうどよく辻堂軍団が散っていく。
「はよっす、辻堂。」
「ん?」
俺の挨拶に気づいたようで俺の方を向く。
「誰だテメェ?」
「あ゛ぁ!?」
「止めとけ、クミ。クラスメイトだよ…。はよ、全。」
「おう。ところで江乃死魔がどうのって聞こえたんだがどうかしたのか?」
「あぁ、ちょっとな…。」
「そうか…。」
…はぐらかせれたのか?
「おはよう、辻堂さんに全。」
「おはようございます、辻堂さん,板垣さん」
「ヒロに委員長か、はよっす。」
「はよ、委員長。」
ヒロに委員長も登校してきたようだ。
にしても辻堂って委員長と仲良しなのか…まぁいいか。
「辻堂ォォオーーーー!!」
大声のした方へと目を向ける。
「ようやく来たなッ辻堂 愛!!」
「我ら千葉連合より遣わされた、千葉のジャックナイフ3連星!!」
「テメェの首を頂きに来たぜぇ」
うわ~、朝からテンション高ぇ…。
「俺の名はエッジ!!千葉の流星デッドナイフ・エッジ!!」
「そして俺は千葉の忍者バター次春!!」
「そして俺が千葉最強の刺客デッドナイフ・エッジ!!」
…これはツッコミどころか?ツッコミどころなのか?(キョロキョロ…。)
「さぁ、年貢の納め時だぜぇ辻堂!!」
「はぁ…。」
辻堂が大きな溜め息を吐いた。
「クミ。ケンカは放課後からって看板さげとけ。朝8時にこのテンションはキツい。」
「す、スイマセン。」
「朝から大人気だな、辻堂。男3人からとは…ガンバ~。」
「ヤだよ、クミ後お前らに任せた。たった3人だしなんとかなるだろ」
「「「はいッ!!」」」
辻堂軍団が準備を始める。
「おいおい、たった3人に何人掛りで行く気だよ…俺がやる、殲滅戦は得意なんでね。」
「おっとぉ!!雑魚に興味ないぜ!!」
「雑魚だと……!?この俺が……?」
「あれ?板垣君がフリーズしてしまってます?」
「え?なんで!?お~い、全?」
「…ざこ…ザコ…雑魚…。」
ヒロの声が遠くに聞こえる気がする。
「欲しいのは辻堂の首ただ一つだ!!」
「「ヒャッハー!!」」
「きゃ……ッ!!」
委員長を引き寄せナイフを突きつける。
「この地味メガネ、ヤられたくなけりゃ大人しく――――」
―――ボキュ
嫌な音が鳴り…
「はぇ?」
―――ボギボギボギ…。
「いぁ…ぎゃあああぁぁぁぁ!!」
乱入した不良の絶叫が校庭に木霊する。
「朝からテンション上がるタイプじゃないが…、ゴミの始末はしなきゃダメか。」
折れた腕を抱えれうずくまる。
その間に委員長を取り戻す。
「てっ、テメェ躊躇なく…。」
「人質取って大人しくしろって…バカかお前ら?正義の味方でも相手してるつもりかよ……!!」
「「「ひ……ッ!!」」」
不良共の顔が恐怖でひきつる。
「一応礼儀だし、名乗っておこうか。湘南三大天のひとり、辻堂愛……不倒不敗の喧嘩狼―――だそうだ」
「辻堂…ソイツら俺がやる…ドケッ!!」
「!!!」
殺気が辺りを埋め尽くす。
「冥土の土産に教えてやるよ…百鬼夜行・総長。死屍累々の頂に立つ鬼子『白鬼』板垣十全…。」
「「「そ、その名前は…ッ!?」」」
「断じて、雑魚じゃねぇ…世界の果てでその名を頭に刻んで来いッ!!」
ドゴォオオオォォォーーーンッッ!!!
「そして3人は星屑になりましたっと。」
「ナレーション入れちゃったよ…全も強いんだな。」
「愚問だな、ヒロ。ある程度は不良の嗜みだな。」
「それは無いだろ…全。」
辻堂の的確なツッコミを入れる。
こうして俺は全校の前で不良宣言をしてしまった…。