インフィニット・ストラトス~獣耳とかツイてる彼女~   作:王・オブ・王

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第六章-その存在、鬼柳杏澄-
第二十六話『歪み』


 臨海学校が終わり、帰ってきて一日の休みが入ったがすぐに授業が開始された。

 もうすぐ夏休み、ということもあってもうふぬけている生徒も山ほどいるが、織斑千冬がそれを許すわけも無く、一組の生徒たちは今日も頑張ろうと気合を入れる。織斑一夏と同じクラスなのだし、当然だろう。

 ほかのクラスや学年から一夏を見に来るなんていう生徒もいなくなったが、今だに廊下などで一夏を見れば顔を赤らめる生徒たちなどもいる。そしてそんな生徒たちにとって鬱陶しいのは杏澄だった。

 

 朝、目覚まし時計の鳴る音が聞こえて起きる杏澄。

 

「んぅ……あれ、一夏来ない」

 

 いつも起こしに来る一夏が来ないことに気づきながら起き上り、いつもよし十分ほど遅い時間に起きたことに溜息をつく。

 

「寝坊してるのかなぁ」

 

 ともかく、杏澄は前までと同じように着替えて、カチューシャを付ける。髪を整えることもなく、杏澄は食堂へと向かうことにした。

 食券を買って朝食を受け取ると、席を探していつもの面子が居る方を見つけて歩いていく。

 

「あっ、おはようございます杏澄さん!」

「今日は一夏行かなかったみたいだからいつ来るのかと思ったわよ」

 

 セシリアと鈴の言葉に、杏澄が一夏が座っているのに気付いた。少しばかりムッとして鈴の隣に座る杏澄、両手を合わせて『いただきます』と言うと食事を始める。そこからはあまりいつもと変わらない今日の授業の話や先日の臨海学校の話などを続けるが、杏澄がふと一夏に言う。

 

「なんで今日起こしてくんなかったのさ」

「あー、今日はちょっとな。まぁ起きれたんだし良いだろ?」

「そういう問題じゃない気がするけど……」

「ともかく、お前も少しは自立しないと大変だぞ!」

 

 さすがに杏澄はぐうの音も出ない。普通なら今日のように自分で起きるのがあたりまえなのだから……。

 

「杏澄さん、明日から起きなくても良いように私が毎晩ン゛ッ!?」

 

 良く聞こえていなかった杏澄。セシリアはつま先を押さえているようだがなにかあったのだろうかと疑問を浮かべるが、まぁ特に気にする必要も無いだろうと杏澄は食事を続けることにした。

 なんだか一夏はずいぶん口数が少なかったように思える。

 まぁ、なにはともあれその後もいつも通り校舎へと向かう。

 

 授業を受けて、すぐに昼になって再び長い休み時間でいつものメンバーで昼食。

 全員が屋上にて円になって食べていると、ふとラウラが言う。

 

「それにしても杏澄のサイレントビースト、あれの調整は今どうなってるんだ?」

「えっと、調整も終わったらしくて今日の放課後にはお姉ちゃんが渡してくれるんだって……変な仕掛けも無かったみたいだし」

「潜水空母持ちの組織がISの整備までして帰してくれるなんてね、なにが目的だったんだろう?」

 

 シャルロットの言葉に、全員が頷く。杏澄はアームドピースのことを一言も漏らさず、伝えたのはただ潜水空母持ちの組織がISの整備をして帰してくれたということだけだ。

 片瀬曰く『テロ組織として扱われている』のだから、下手に話をすれば大事になりかねない。杏澄には、自称妹がいる組織を売ることができなかった。

 

「そう言えば一夏、私のお母さんとお父さん憶えてる?」

「ん、ああ、おじさんとおばさんのことは憶えてるぞ」

「あのさ、私とやっぱり似てなかった?」

 

 そんな言葉に、場の空気は妙な雰囲気へと変わる。まぁ突然そんなことを言えばそうなるだろう。

 

「いや、おじさんはわからないがおばさんは杏澄に似てたと思うぞ? 黒髪だったし」

「そんなこと言ったら一夏もそうじゃん」

「まぁそうだけどさ」

 

 話をしながら食事を続ける二人、そして圧倒的幼馴染力を見せつけられた五人はなんとも言えないような表情をしている。

 

「まぁマジな話だと結構目元とか似てたように思うけどな、なんでそんなこと聞くんだ?」

「いやぁ、なんとなくだよ」

「なんとなくって、突然そんなこと聞いたらびっくりするだろ、なぁ?」

 

 そう聞かれた箒がビクッとしてから杏澄と一夏を交互に見る。

 

「わ、私に振るな! というより杏澄の親にいたっては一夏しか知らないだろう!」

「千冬ねぇに聞いてみるか!」

「いや、そこまでしなくて良いから」

 

 千冬に聞くのをビビった杏澄はとりあえずやめさせることにした。

 よくよく考えてみれば自身の親のこともいずれ聞かなければならないと思った杏澄は、自称妹が来るのを楽しみにしてとりあえずは待つことにするのだった。

 

 夏はまだ始まったばかりだし、さらに言えば一年は、もっと言えば高校生活はまだまだあるのだ。

 だったらゆっくりすれば良いと、杏澄は内心ほくそ笑むのだった。

 そして同じようなことを考えて鼻の下を伸ばしていたセシリアは、箒に警戒されるのだった。

 




あとがき

みなさんお待たせしてしまい申し訳ありません!
ここから、だいぶ鬱展開が続くこととなりますが、読んでもらえればと思います
更新速度も遅くなってますがこれからはもっと早くできればなーと思いながら
では、次回もお楽しみください!

PS,疑問質問感想など、お待ちしています
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