自由と白式   作:黒牙雷真

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第12話

シャルルが転入、そして雷真の同居人になった翌日、一組に新たな転入生が…………。

しかし、山田先生も何故か戸惑っている。

 

 

真耶「えっと……。きょ、今日も嬉しいお知らせがあります。また一人、クラスにお友達が増えました。」

 

 

転校生は山田先生の隣にいる銀髪の女子だろう。てか、こいつ軍人じゃん。立ち姿がまんまだもん。

 

 

真耶「ドイツから来た、転校生のラウラ・ボーデヴィッヒさんです」

 

「どういうこと?」

 

「二日連続で転校生だなんて?」

 

「いくらなんでも、変じゃない?」

 

真耶「み、皆さんお静かに。まだ自己紹介が終わってませんから」

 

千冬「挨拶をしろ、ラウラ」

 

ラウラ「はい、教官」

 

 

やっぱり、軍人だったよ。てか、織斑先生が教官ってことは…………前に話した。ドイツに居た時の教え子ってことか。流石は教師。

 

 

ラウラ「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

 

ボーデヴィッヒが名前を言ってから、しばしの沈黙。

 

 

真耶「あ、あの……以上、ですか?」

 

ラウラ「以上だ」

 

 

ボーデヴィッヒがそういうと、一夏を見て動きだし、そのまま…………。

 

 

雷真「おい!」ガシッ

 

ラウラ「何をする、貴様!」

 

雷真「何故、一夏を殴ろうとした?」

 

 

そう、ボーデヴィッヒは一夏の前に行くと裏拳をかまそうとしたのを俺が止めたのだ。

 

 

ラウラ「何故だと?そんなのは決まっている!そこの出来損ないの所為で教官は偉業をなすことができなかったのだからな!」

 

雷真「なら聞くが、その偉業を成し得たかも知れない人の前で、その教え子が何の抵抗もしない人間に手を上げたら、その人はどう思うかな?」

 

ラウラ「ッ!?」バッ

 

 

ボーデヴィッヒは雷真の言葉で千冬のことを見る。

 

 

千冬「…………」

 

雷真「一夏と何やら因縁のようなものがあるのは分かった。けれど、お前がしようとしたことは相手に宣戦布告もなく、戦争を仕掛ける愚者のすることだ。気をつけろよ、ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

 

俺は殺意を少し向けながら言うと、ボーデヴィッヒは殺意に気押されたのか距離を取る。

 

 

ラウラ「き、貴様…………」

 

雷真「貴様じゃない、黒牙雷真だ。覚えたければ覚えればいい」

 

ラウラ「貴様が二人目の…………」

 

千冬「そこまでだ!黒牙、ボーデヴィッヒ。席に座れ授業を開始する」

 

雷真「すみません」

 

ラウラ「申し訳ありません」

 

 

 

 

 

 

 

朝のホームルームが終わって、放課後になり、今は一夏といつもの特訓メニューの雷真のギリギリの射撃から回避する特訓。

 

 

雷真「いくぞ!」

 

一夏「おう!」

 

 

まずは一夏が動き、それを追いかけるように飛ぶ

 

 

雷真「それじゃ、始め!」

 

 

雷真の合図、ハイパーセンサーにロックオンをされている警告アラームが鳴る。

 

 

一夏「ぐっ!やっぱり、まだ雷真のロックオンから簡単に抜け出せないか」

 

 

何度もバレルロールやジグザグ運動をするが雷真のギリギリ当たる射撃からは逃れられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▲▽

 

 

 

 

 

 

 

 

雷真と一夏の追いかけっこを見ているシャルルは歓喜の声をもらす。

 

 

シャル「凄い…………雷真はわざと一夏にギリギリ当たるか当たらないかの所を狙って撃ってるんだね」

 

刀奈「そうよ。雷真はいつも、放課後の特訓で一夏くんに射撃回避のやり方を教えるんだけれど、雷真曰く、『一夏は頭で覚えるより、実戦的にやった方が覚えがいい』って言ってたの」

 

シャル「そうなんだ」

 

刀奈「それにしても雷真ったら、特訓と言っておきながら遊んでるわね」

 

セシリア「そうですわね。雷真さん、遊んでらっしゃいますわね」

 

鈴「本当にね」

 

箒「だな」

 

シャル「え?雷真はあれで遊んでるの?」

 

刀奈「そうよ。雷真が本気を出したら、私でも勝てないもの。生徒会長である、この私ですら。

この前だって、手加減されたし……」

 

シャル「ちなみに皆、流石に雷真に一擊くらいは……?」

 

刀奈以外「「「………………」」」」プイ

 

シャル「うそ…………」

 

刀奈「本当よ。私も雷真との初戦でなんとか運良く一擊を入れられたけど、そのあとは滅多に入らないもの」

 

シャル「雷真って、そんなに凄いんだね…」

 

刀奈「当たり前よ。なんせ死線を生き抜いて来たんだもの」ボソッ

 

 

刀奈のその最後の呟きは誰にも聞かれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

▽▲▽

 

 

 

 

 

 

 

 

ある程度、特訓が終わると一度休憩に入り、現在は刀奈とセシリアが模擬戦を行っている。

 

 

雷真「なあ、シャルル」

 

シャル「なに?」

 

雷真「悪いんだけど、一夏に射撃の特性を教えてやってくれないか?俺はビームライフルとコンバインシールドっていう、シールドと複合されたバルカンしかロックを外せなくて。あまり他の射撃武器を試したことがないんだ」

 

シャル「二つだけ?他にはないの?」

 

雷真「あるにはあるが、ストライクしか装備が出来ないんだよ。一種の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)みたいな?」

 

シャル「なるほどね。わかったよ、僕で良ければ教えるよ」

 

雷真「頼む」

 

 

シャルルに一夏の射撃特性の説明を頼んでいる間に簪のマルチロック・システムのテストを刀奈に手伝ってもらうことにした。

 

 

雷真「刀奈、頼む」

 

刀奈「わかったわ」

 

 

刀奈はアクア・ナノマシンでターゲットを10体作り、それを雷真がランチャーのミサイルで撃ち落とす。

 

 

雷真「いくぞ!」

 

刀奈「いいわよ」

 

雷真「ターゲット、ロック。ミサイル発射!」

 

 

ランチャーのミサイルを10発連続で放ち、ターゲットにちゃんと着弾するかを見ていると10発中、7発が命中。残り3発はあと少しの所で外れてしまった。

 

 

雷真「少し、ズレがあるな」

 

 

雷真はシステムのズレを直すためにホロウ・ウィンドウで修正していく。

 

 

雷真「熱源探知システムは問題無し。熱源追尾システムは………少しズレがあるな。他には、着弾までの射程距離の演算処理は問題無し。あとは…………」ブツブツ

 

刀奈「相変わらず、早いわね」

 

セシリア「刀奈さん。雷真さんは今、何をやってらっしゃるんですか?」

 

刀奈「雷真は、簪ちゃんの専用機に搭載する、マルチロックオン・システムの開発をしてるのよ。もうあと少しで完成みたいだけど」

 

鈴「はぁ!?マジで言ってるの?各国が必死こいて、そのシステムを作ってるのに、アイツは一人でそれを軽々と製作してるわけ!?」

 

刀奈「元々は簪ちゃんの作ってたデータを元に雷真が改良してたんだけどね」

 

鈴「それでもやっぱり、アイツは規格外だわ…………」

 

箒「本当にな」

 

 

箒、セシリア、鈴は雷真のマルチロックオン・システムを一人で大半を製作してしまうことに度肝を抜かれていた。

そんな中、観客席にいる生徒から声が上がる。

 

 

 

「ねぇ、ちょっとアレ?」

 

 

「うそ、ドイツの第三世代じゃない」

 

 

「まだ、本国でのトライアル段階だって聞いていたけど……」

 

 

そのドイツの第三世代機に乗っていたのは今朝ホームルームで一夏のことを殴ろうした、ラウラ・ボーデヴィッヒだった。

 

 

セシリア「ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

鈴「なに、アイツなの?一夏のことをひっぱたこうとした、ドイツの代表候補生って」

 

箒「…………」

 

ラウラ「織斑一夏」

 

一夏「なんだよ?」

 

ラウラ「貴様も専用機持ちだそうだな?なら話が早い。私と戦え」

 

シャル「えっ?」

 

一夏「嫌だ。理由がねぇよ」

 

ラウラ「貴様に無くても、私にはある」

 

一夏「今で無くてもいいだろ?もうすぐ、クラスリーグマッチなんだがら、その時で」

 

ラウラ「ならば…………」

 

 

ラウラは問答無用で一夏に向けて右肩に装備している、大型のレールカノンを放った。

がしかし、そのレールカノンは赤と白の混じったビームによって阻まれる。そのビームの正体は雷真の乗る、ランチャーストライクのアグニだ。

 

 

ラウラ「誰だ!」

 

雷真「そうカッカすんなよ。軍人ならば、冷静に状況を対処するのが常識だろう」

 

ラウラ「その声は今朝の……。貴様も専用機を持っているとはな」

 

雷真「どうする、このまま続けるか?けど、そろそろ教師陣が来るけどな」

 

 

雷真がそういうと、言葉通りアリーナ内に教師の声が響く。

 

 

『そこの生徒、何をやっている!』

 

 

ラウラ「フッ。今日のところは引いてやろう」

 

雷真「負け犬の遠吠えにしか聞こえないがな?」

 

ラウラ「…………」

 

 

ラウラはそのまま、シュヴァルツェア・レーゲンを待機状態に戻し、アリーナを去っていく。

 

 

箒「一体、どういうことだ。一夏?」

 

セシリア「あの方と貴方の間に何がありましたの?」

 

 

箒とセシリアが一夏とラウラの関係を聞き、捲し立てるが、それを雷真が止める。

 

 

雷真「ストップだ。二人とも」

 

箒「雷真」

 

セシリア「雷真さん」

 

雷真「二人とも、一夏にも知られたくない秘密があるはずだ。お前らだってそうだろう?俺だってそうだからな」

 

箒「それは……」

 

セシリア「確かに……」

 

 

腑に落ちていなさそうな三人に近づき、耳打ちをする。

 

 

雷真「それに一夏だって、しつこい女は好みじゃないかもしれないぜ。気をつけろよ、お三方」ボソッ

 

 

三人「「「ッ!?」」」

 

 

雷真「ああ~、場が白けたな。一度、休憩しようぜ。小腹が減ると思って、お菓子を作ってきたから」

 

刀奈「本当!」

 

雷真「ああ、今日はラスクを作ってきたんだ。よかったら食べてくれ」

 

 

ラウラによって場が白けてしまったが、雷真のお菓子で空気が穏やかになる。

また、女性陣は男である雷真の料理の腕に『女として負けた』と思ったそうな。

 

 

 

雷真のお菓子を食べたあと、放課後の特訓でアリーナの使用限界時間まで使い、女性陣と別れ、更衣室で着替えていると、一夏が何やら思い悩んでいるようだ。

 

 

一夏「…………」

 

シャル「一夏、大丈夫?」

 

一夏「あ、ああ。雷真もさっきは助かった、サンキューな」

 

雷真「気にするな、友達だろ?」

 

一夏「本当にお前と友達になれて、よかったぜ」

 

雷真「よせよ、照れ臭い」

 

シャル「男の友情だね。それじゃ、二人とも僕は先に部屋に戻るよ」

 

一夏「え?ここでシャワーを浴びて行かないのか?お前、いつもそうだよな?」

 

雷真「一夏、シャルルだって自分のペースでゆっくりとシャワーを浴びたいんだろう?アリーナだとゆっくりできないし、部屋に戻る前に湯冷めして風邪を引いちまうかもしれないだろう?」

 

一夏「なるほどな。悪かった、シャルル」

 

シャル「ううん、大丈夫。それじゃ、雷真。部屋のシャワー、先に使わせてもらうね?」

 

雷真「ああ」

 

 

一夏と一緒に制服に着替えてアリーナを出る。

 

 

雷真「それじゃ、一夏。俺はこの後は整備室に用事があるから」

 

一夏「そうなのか?わかった、またな」

 

雷真「おう」

 

 

 

一夏と別れた後は、簪が居る整備室に向かう。

 

 

雷真「失礼しま~す」

 

簪「あっ、雷真」

 

本音「お~、ライライだ」

 

雷真「専用機の調子はどうだ?」

 

簪「大分完成してるよ。あとは、テスト飛行と雷真が今作ってるマルチロックオン・システムを組み込んで完成だよ」

 

雷真「そうか。それじゃほい」

 

 

雷真は首から待機状態のストライクを簪に渡す。

 

 

簪「ありがとう。今日も特訓の戦闘データを貰うね」

 

雷真「それだけじゃないぜ」ニヤリ

 

簪「えっ………まさか!? 完成したの、マルチロックオン・システムが!?」

 

雷真「おう。性能はランチャーストライクで確証済みだ。そのデータもストライクに入ってるから抽出すればいい」

 

簪「ありがとう、雷真。これなら、クラスリーグマッチまでには間に合うかもしれない」

 

雷真「それは良かった」

 

本音「ねぇ、ライライ」

 

雷真「なんだ?」

 

本音「お菓子ない?」

 

雷真「まったく、本音。お前はいつも、そればっかりだな?」

 

本音「だって、ライライが作るお菓子は凄く美味しいんだもん。駄目かな、雷真?」

 

雷真「久しぶりに、お前に名前で呼ばれたな。ほら、ラスクだ」

 

本音「わ~い、ライライ。ありがとう」

 

 

俺は喜んでいる本音にラスクの入ったバスケットを渡す。

俺の年齢が実際、3つも離れているためか本音が妹のように感じてしまう。

バスケットを受け取った本音は、簪の専用機を作るのを手伝っている整備科の生徒にもきちんと分けてから食べている。

 

 

「なにこれ……美味しい!」

 

 

「それに味が4つもある!」

 

 

「プレーンに、チョコレート、メープル、ガーリック」

 

 

「なんか……女として負けた感が否めないわ」

 

 

「「「「確かに……」」」」

 

 

それから、しばらく整備科の皆とブレークタイムを楽しむ。簪がストライクのデータを抽出し終わり、シャルルもシャワーを浴び終わった頃だろうと思い、整備室を出て部屋に戻る。

 

 

雷真「簪の専用機もあと少しか……。」

 

 

部屋に戻ってきたので手洗いうがいをしようと脱衣場に入るとそこには…………。

 

 

雷真「えっ?」

 

シャル「えっ?」

 

 

束ねていた髪を解いて長くし前屈みになりパンツを履こうしているシャルルがいた。しかし、注目する点はそこではなく…………シャルルが持つパンツだ。それは男物のボクサーやトランクではなく。はたまた子供が履くようなブリーフではなかった。そう、シャルルの手には女性用のショーツがあった。

 

 

シャル「……………」

 

雷真「…………」

 

雷真「な、なんか、ごめん。シャルルがそんな性癖を持っているなんて思わなかった。大丈夫、安心して、誰にも言わないから」バタン

 

 

俺はその言葉と、共に脱衣場の扉を閉じる。すると脱衣場の中から…………

 

 

シャル『うわあああああ!?』

 

 

こんな時は冷静になるためにコーヒーを飲もう。うん、そうしよう。それと今度からシャルルに気をつけないと。

阿部さん、みたいに「ア"ア"ア"ア"ア"~!!」、みたいなことになりかねん。

 

シャルルの脱衣場での叫びと俺の脳内の叫びが終わって少し経ったころ、脱衣場からシャルルが出て来た。

 

 

シャル「ら、雷真……」

 

雷真「だ、だだ大丈夫だ、シャルル。マジでシャルルがあんな性癖を持っていることを誰に言わないから」

 

シャル「そうじゃなくて…………こっち見てよ」

 

雷真「わ、分かった」ギギギギ

 

 

シャルルに言われるまま、シャルルの方に向くと………二度目だが、そこには男の物でないものが俺の視界に入った。それはパンツとかではなく、もっと分かりやすい部分、そう胸部が男性ではありないほど、膨らんでいるのだ。

 

 

雷真「ん?えっ……。」

 

雷真「えええええええ!?」

 

 

今度は脳内では無く、部屋に響くほど叫んでしまった。

 

 




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